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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X06
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X06
管理番号 1262978 
審判番号 不服2011-19402 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-08 
確定日 2012-08-23 
事件の表示 商願2009-93364拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「太陽光照明システム」の文字を標準文字で表してなり、第6類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月10日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同22年6月30日付け手続補正書により、第6類「採光用天窓を備えた採光システムに用いる建築用又は構築用の金属製専用材料・金属製建具・金属製金具・金属製建造物組立てセット」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『太陽光照明システム』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、『太陽光を利用した照明装置』程の意味合いを容易に認識させるものであり、新聞記事情報及びインターネット情報において、前記照明システムを「太陽光照明システム」と称していることに鑑みれば、これをその指定商品中、例えば「太陽光を利用した照明装置設置用の建築用又は構築用の金属製専用材料・金属製建具・金属製金具・金属製建造物組立てセット」に使用するときには、単に商品の品質・用途を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「太陽光照明システム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「太陽光」の文字は、「太陽から放出される光」の意味を看取させるものであり、また、「照明」の文字は、「建築で、光をある空間に供給すること。ライティング。」の意味を、「システム」の文字は、「方式」の意味をそれぞれ有するものである(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。
ところで、昨今のエコロジー志向から、人工照明によらない照明方式が考案されており、その中には太陽光(昼光)を利用した照明方式がある。
これは、集光レンズなどで太陽光を集め、ダクト(金属製管)や光ファイバなどを通じて太陽光を室内に取り入れ光源とするものであるところ、別掲に示す内容によれば、該照明方式を実現するための設備を設置するための金属製のダクトや、該照明方式を実現するための設備を設置するための金属製のダクト・金属製建具・金属製金具などからなる金属製建造物組立てセットが取り扱われており、それらを「太陽光照明」又は、「太陽光照明システム」と称する実情も認められる。
そうとすれば、本願商標に接した取引者、需要者は、「太陽光を利用した照明方式」程の意味合いを容易に理解するとみるのが相当であって、その指定商品中、「太陽光を利用した照明方式を実現するための設備を設置するための金属製のダクト」又は、「太陽光を利用した照明方式を実現するための設備を設置するための金属製のダクト・金属製建具・金属製金具などからなる金属製建造物組立てセット」に使用した場合は、該商品が「太陽光を利用した照明方式を実現するための設備を設置するための商品」であること、すなわち、単に商品の品質、用途を表示するものとして認識し理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、該商品があたかも「太陽光を利用した照明方式を実現するための設備を設置するための商品」であるかのように、商品の品質、用途の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人は、「太陽光照明システム」の語は、請求人の創作による造語であり、平成21年12月頃から自己の取扱い商品について使用を開始し、現在に至っているものであり、また、太陽光を利用した照明システムを指称する語については、「太陽光採光システム」又は「太陽光利用システム」の語が適当であるから、本願商標「太陽光照明システム」は、自他商品識別機能を有し、独占適用性を有するものである旨主張する。
しかしながら、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるところ、「太陽光照明システム」の文字は、その取引の実情を勘案すれば、上記のとおり、商品の品質、用途を表示するものとして認識されると判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「CNET Japan」のウェブサイトにおいて、「日光を光ファイバーで室内に--Sunlight Direct、太陽光照明システムを開発」の見出しの下、「Sunlight Directと呼ばれる企業は、ハイブリッド太陽光照明システムを開発している。このシステムは、光ファイバーケーブルを通じて屋内に日光を供給するもので、窓際の席でない人も日光を浴びることができる。インテリアデザインの世界では、屋外の光を屋内で最大限利用するという考え方が一般化しており、天窓や屋根設置型の光ダクトなど、さまざまな方法が用いられている。Sunlight Directは、ハイテクを駆使したアプローチを取っていて、米エネルギー省の研究結果を基にした製品開発を目指している。同社のハイブリッド太陽光照明システムは、直径40インチ(約1メートル)の皿状の鏡を備えている。その鏡には、GPS連動の制御装置が付いており、日中は鏡の向きを変え採光量を最大化する。屋根で集められ、凝縮された光は、フィルターにかけられ、その後プラスチック製の光ファイバーコードを通じて建物全体に供給される仕組みだ。」の記述(http://japan.cnet.com/news/ent/20223372/)がある。
2 「森ビルグループ」のウェブサイトにおいて、「太陽光照明ひまわりとは?」、「太陽光照明で変わるライフスタイルの提案」及び「高機能な太陽光照明ひまわりの仕組み」の記述(http://www.himawari-net.co.jp/)がある。
3 「後悔しない理想の家づくり」のウェブサイトにおいて、「太陽光照明はこれから普及する?」の見出しの下、「電気を作り出す太陽光発電は徐々に普及してきましたが、今後電気を使わない太陽光照明の普及が見込まれます。太陽光照明とはどのようなものでどのようなデメリットがあるのか、またその他の手段にはどのようなものがあるかを紹介していきます。」及び「東日本大震災後のエコ意識の高まりにより普及が加速した太陽光発電。同時に徐々に普及しつつある太陽光照明についてご存知でしょうか?太陽光照明とは、電気を使うものもあるのですが、基本的には電気を使わずに太陽光の明かりを利用した照明になります。当然窓から入ってくるような太陽光も太陽光照明には違いないのですが、特に照明としての利用をするために暑さなどを抑えつつ太陽光が入りにくい部屋に明かりを届かせる仕組みのことを言います。住宅密集地の場合どうしても北側の部屋などは暗くなりがちなのですが、そのような部屋にも太陽光を届かせることができるため、明るく快適に過ごすことができるのがこの太陽光照明なのです。ではこの太陽光照明はどのような仕組みになっているのかというと、集光レンズなどで太陽光を集め、反射板によりダクトの中から光を運んで必要な部屋に光を拡散するということを行います。また当然種類によって違いがあり、メーカーによっては常に太陽光の光を集めるように自動追尾システムがついているタイプもあります。」の記述(http://honwaka.hannnari.com/taiyoukoushoumeihakorekarafukyu.html)がある。
4 「株式会社 マテリアルハウス」のウェブサイトにおいて、「太陽光照明 光ダクト」の見出しの下、「太陽光を活用した照明『光ダクト』」の記述(http://www.materialhouse.jp/index.html)がある。
また、同ウェブサイトにおいて、「製品ラインナップ」の見出しの下、「光ダクトシリーズ・標準型」として、「垂直型」、「水平型」、「T字型」及び「L字型」の記載、また、「光ダクトシリーズ・特殊型」として、「風車型」及び「クランク型」の記述(http://www.materialhouse.jp/lineup.html)がある。
5 「照明制御のエコ」の見出しの下、「今後の方向性 これからの照明制御を用いた省電力の方向性として、昼光の積極的な活用が考えられる。例えば、光ファイバーや光ダクトを用いて室内に昼光を導くといった採光方法などである(図7)。」の記述がある(「建築知識2012年6月号」株式会社エクスナレッジ 2012年6月1日発行)。
6 「SKYE CAIT」と称するブログサイトにおいて、2011年4月12日付けで「太陽光をそのまま室内へ引っ張り込む照明」の見出しの下、以下の記述及び商品の紹介についての動画がある(http://skyecait.blog62.fc2.com/blog-entry-224.html)。
(合議体注)項番については、当合議体で付与した。
ア HUVCO(http://www.huvco.com/)
「こちらは『スカイライトチューブ』の海外バージョン?なんと、自分で施工・設置するキットのようです。」
イ SOLATUBE(http://www.homeimprovementpages.com.au/professional/solatube_pp/41362)
「こちらも、自分で施工・設置する『ソーラチューブ』という海外のキットのようです。」
ウ VELUX(http://www.velux.cl/)
「こちらもチューブ形式ですね。チューブ形式のものは、機械的な故障の心配はありませんね。強度などは動画では分かりにくいですが、安く済ませたい場合や、大工仕事OKな人に良さそうです。」


審理終結日 2012-06-18 
結審通知日 2012-06-19 
審決日 2012-07-10 
出願番号 商願2009-93364(T2009-93364) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X06)
T 1 8・ 13- Z (X06)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦山本 敦子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 梶原 良子
吉野 晃弘
商標の称呼 タイヨーコーショーメーシステム、タイヨーコーショーメー 
代理人 岸本 忠昭 

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