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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X093742
管理番号 1261651 
異議申立番号 異議2011-900391 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-28 
確定日 2012-07-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5428563号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5428563号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5428563号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマートBEMS」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月29日に登録出願、第9類「エネルギー消費量の削減を図るためのビル制御システム用コンピューターソフトウェア,太陽光発電装置の状況を通信ネットワークを用いて監視するための遠隔監視用電子計算機,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,蓄電池,太陽電池による発電装置,電気通信機械器具」、第37類「エネルギー消費量の削減を図るためのビル制御システムを搭載した建築物の建設工事,エネルギー消費量の削減を図るためのビル制御システムを搭載した建築物の建築工事に関する助言,その他の建築工事に関する助言,エネルギー消費量の削減を図るための建築設備の運転・点検・整備,その他の建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守」及び第42類「エネルギー消費量の削減を図るためのビル制御システムを搭載した建築物の設計,その他の建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,エネルギー消費量の削減を図るための電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,エネルギー消費量の削減を図るための電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,エネルギー消費量の削減を図るための電子計算機の貸与,エネルギー消費量の削減を図るための電子計算機用プログラムの貸与,省エネルギーに関するコンサルティング,建物内におけるエネルギー消費量の測定,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,計測器の貸与」を指定商品及び指定役務として、同23年6月23日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、その指定商品・役務について識別力の低い語である「スマート」と、指定商品・役務の業界の取引者・需要者が一般的に使用している「ビルエネルギーマネージメントシステム(Building Energy Management System)」の略語「BEMS」からなり、全体として「スマート化した(コンピュータ制御の)ビルエネルギー管理システム」の意味として理解されるため、省エネルギー又はビルエネルギーに関係した商品・役務については、商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標は、「BEMS」の語を含むため、「BEMS」に関係しない商品・役務については、商品の品質・役務の質について誤認を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2) 商標第3条第1項第6号について
本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないとしても需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であり、 商標第3条第1項第6号に該当する。

3 本件商標に対して、平成24年2月28日付けで通知した本件商標の取消理由は、別掲のとおりである。

4 商標権者の意見
(1)本件商標に関して
ア 本件商標中の「スマート」の文字部分から、仮に「情報通信技術(ICT)を駆使した?」の意味合いを理解すると、本件商標全体から「ICTを駆使した、建物全体のエネルギー設備をICTにより統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム」程の意味合いを想起させ、重複表現となり、当業者であれば多大な違和感を覚える。
本件商標に接する当業者は、本件商標の構成中の「スマート」の文字部分より、「ICTを駆使した?」の意味合いを理解するよりむしろ、「洗練された(ないし「賢い」)BEMS(建物全体のエネルギー設備をICTにより統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム)」ほどの意味合いを想起するのが自然といい得る。
イ まして、本件商標の構成中の「スマート」の文字部分から、「(従来のBEMSに、より高度なICT等を付加し、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減等を効率的に行い、)ビル環境、ひいては地球環境の最適化を実現するといった、技術向上を図る」などといった具体的な意味合いを認識するとはいえない。
(2)他社の使用について
ア 甲20号証の5において、「“スマートBEMS”は、NTTファシリティーズの呼称です。」と記載されていることからみても、商標権者以外の者においても、「スマートBEMS」が特定の商品や役務の内容を表わす一般的な呼び名ではないと認識していたことが認められるものである。
イ 甲20号証の1ないし同28によれば、(株)東芝、大成建設(株)、(株)明電舎、(株)山武ビルシステムカンパニー、(株)NTTファシリティーズ(以下、「(株)」を省略する。)によって、「スマートBEMS」が使用されていることがうかがえる。
(ア)このうち、東芝、大成建設、明電舎については、明電舎が、横浜市が行った「横浜スマートシティプロジェクト」(以下、「YSCP」という。)へBEMSに関するワーキンググループとして参加したところ、明電舎から事業を受託したのが東芝、大成建設の2社である(甲20の6)。そして、委託企業である明電舎が、当該事業プロジェクト中のBEMS技術について「スマートBEMS」を使用したために、受託先の東芝、大成建設もこれに倣って使用しているに過ぎず、実質的には、明電舎の1社のみの使用とみなし得る。
(イ)甲第20号証の6、同9、同13、同18ないし20、同23及び同27は、いずれも「YSCP」に関する記事であり、上記同様に、明電舎が「スマートBEMS」を使用していることを示す証拠にすぎない。
(ウ)甲20号証の3は、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会自身が「スマートBEMS」を使用しているのではなく、「YSCP」の提案が「次世代エネルギー・社会システム実証事業」として採択されたという審査結果を表わすに過ぎないものであるから、(イ)と同様に、明電舎が「スマートBEMS」を使用していることを示す証拠にすぎない。
(エ)甲第20号証の2、同15及び同22は、明電舎による使用例である。
(オ)甲第20号証の7は、「YSCPなどで実証する予定であり」の旨の記載があるとおり、「YSCP」における明電舎からの受託事業についての記載であるから(イ)と同様に、明電舎による使用例といい得るものである。
(カ)甲第20号証の8、同10、同14及び同17は、単に山武ビルシステムカンパニーの従業員が講師を務めるセミナーの案内であって、商品又は役務の内容を表わす一般用語として取引上普通に使用されている例には該当しないものである。
(キ)甲第20号証の1、同4、同12、同16、同21及び同26は、NTTファシリティーズによる使用例であるが、甲20号証の5において、「“スマートBEMS”は、NTTファシリティーズの呼称です。」と記載されているとおり、同社は、「スマートBEMS」を同社の特定のサービスを表示するものとして使用しているのであって、これらの証拠は、商品又は役務の内容を表す一般用語として、取引上普通に使用している例には該当しないものである。
ウ 以上のとおり、結局、「スマートBEMS」を、明らかに商品又は役務の内容を表す一般用語として使用しているのは、わずか明電舎の1社のみに止まるものである。
エ そうしてみると、申立人提出の甲各号証によっては、「スマートBEMS」が本件商標の指定商品又は指定役務の内容を表示するものとして、一般に使用されているものとは到底いえないものである。
よって、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、単に商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標には該当せず、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではない。
(3)商標権者の使用について
ア 甲3号証の2、甲第8号証、甲第12号証の52、同131及び甲第19号証の記載は、いずれも「シミズ・スマートBEMS」の使用例であるが、商標権者は、「シミズ・スマートBEMS」の商標を文章中に使用する際は、括弧書きを用いて普通名称と見られないよう強調して使用してきたところであり、特に、甲第3号証の2の記載「ビル制御システム『シミズ・スマートBEMS』」、甲第8号証の記載「『シミズ・スマートBEMS』というBEMS(ビルエネルギー管理システム)」及び甲第19号証の記載「エネルギー制御システム『シミズ・スマートBEMS』」に顕著であるが、当該商標と普通名称とが併記されていることは、「シミズ・スマートBEMS」が商標権者のBEMSを表示するものとして使用されていることを示す証拠にほかならない。
よって、これら号証の「シミズ・スマートBEMS」の使用は、「スマートBEMS」が特定のシステムの内容を表すものとして使用されていたという証拠にはなり得ない。
なお、商標権者は、「シミズ・スマートBEMS」の表記を順次「スマートBEMS」へ切換えているところであり、自社のウェブサイトにおいても積極的に「スマートBEMS」の表示については、「(R)(実際は、○の中にR)」表示を付記するよう励行しているところである(乙1)。
イ 甲第12号証の128は、「日本技術情報センター主催」のセミナー案内であり、商品又は役務の内容を表す一般用語として取引上普通に使用されている例には該当しないが、当該証拠における記載は、日本技術情報センターの担当者が、参加企業のうち、商標権者及びNTTファシリティーズが、たまたま自社の商標として「スマートBEMS」を使用していたために、「スマートBEMS」を一般名称と誤解し、「スマートBEMS」が特定の商品又はサービスを表示するものであるかのような記載となっており、商標保護の観点から対応に苦慮しているところである。
ウ そこで、商標権者は、今後、本件商標「スマートBEMS」が一般用語であるかのような誤解をされることのないよう、文書により、東芝、大成建設、明電舎、NTTファシリティーズの各社及び横浜市に対し「スマートBEMS」を使用しないよう求め、登録商標の稀釈化及び一般名称化の防止に努めているところである(乙2)。

5 当審の判断
(1)本件商標について通知した上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
してみれば、本件商標をその指定商品・役務に使用しても「(従来のBEMSに、より高度な情報通信技術(ICT)等を付加し、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減等を効率的に行い、)ビル環境、ひいては地球環境の最適化を実現するといった、技術向上を図るビルエネルギー管理システム」なる意味合いを認識させるにすぎないものであるから、単に商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわなければならない。
(2)取消理由に対する商標権者の意見に対して
ア 本件商標に関して
商標権者は、前記4(1)のとおり、取消理由における本件商標中の「スマート」部分の認定からすれば、本件商標から「ICTを駆使した、建物全体のエネルギー設備をICTにより統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム」程の意味合いを想起させる重複表現となり、違和感がある旨、主張している。
しかしながら、取消理由では、概略「従来のBEMSに、より高度なICT等を付加したBEMS」と認定しているのであって、違和感があるということはできない。
イ 他社の使用について
商標権者は、前記4(2)のイのとおり、東芝、大成建設、明電舎、山武ビルシステムカンパニー及びNTTファシリティーズにより、「スマートBEMS」が使用されているが、実質的に明電舎1社のみの使用と見なし得る旨、主張している。
また、同様に、甲20号証の3は、前記4(2)イの(ウ)のとおり、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会自身が「スマートBEMS」を使用しているのではなく、明電舎が使用していることを示す証拠にすぎない旨、主張している。
さらに、前記4(2)イの(カ)のとおり、甲第20号証の8及び同10等は、単に山武ビルシステムカンパニーの従業員が講師を務めるセミナーの案内であって、商品又は役務の内容を表す一般用語として使用されている例には該当しない旨、主張している。
その他、前記4(2)イの(キ)のとおり、甲第20号証の1、同4、同12、同16及び同21は、いずれもNTTファシリティーズによる使用例であるが、前記4(2)アの記載(甲20の5)において、「“スマートBEMS”は、NTTファシリティーズの呼称です。」との記載から「スマートBEMS」が特定の商品や役務の内容を表す一般的な呼び名ではないと認識されているとして、甲第20号証以外の号証(前記の甲20の1、同4、同12、同16及び同21)における「スマートBEMS」の使用も同様(一般的な呼び名ではない)である旨、主張している。
しかしながら、本件商標と同一の「スマートBEMS」の各社による使用は、例え横浜市からの「YSCP」の提案による明電舎からの受託事業であったとしても、明電舎の他、実際に「一般社団法人新エネルギー導入促進協議会」、「山武ビルシステムカンパニー」、「東芝」及び[NTTファシリティーズ」等の各社において本件商標の指定商品・役務の品質(質)を普通に用いられる方法により実際に使用されている事実が存する(別掲の取消理由参照。)。
加えて、これらの各社による本件商標と同一の「スマートBEMS」の使用は、「BEMS」関連事業を企業の一使命として責任を持って当該技術の開発・技術動向及び今後の展開等を研究若しくは、推進している社による使用であることから、統一された理解、認識の下、該語の使用がなされているものであって、委託企業である明電舎が、「スマートBEMS」を使用したために、受託先の東芝、大成建設もこれに倣って使用しているに過ぎないとか、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会における使用も「YSCP」の提案が「次世代エネルギー・社会システム実証事業」として採択されたという審査結果を表すに過ぎないとか、さらには、単に「山武ビルシステムカンパニー」の従業員が講師を務めるセミナーの案内につき、商品又は役務の内容を表す一般用語として取引上普通に使用されている例には該当しないとかということにはならない。
また、NTTファシリティーズによる使用に関しては、甲第20号証の5においてのみ、「“スマートBEMS”は、NTTファシリティーズの呼称です。」と記載されているにすぎず、それ以外の号証においては、何らのコメントも付されていないものである。
そのほか、「INPRESS BUSSINESS MEDIA CORPORATION」(甲20の1)、ダイキン工業(甲20の16)及び日経BP社(甲20の21)の各ネット情報、さらには、日経産業新聞(甲20の26)の記事においてもNTTファシリティーズが「スマートBEMS」に関するプロジェクトを始めたことの紹介や「スマートBEMS」を導入する事の発表の事実が存する。
したがって、上記各社又はメディア(但し、東芝による使用は、以下のウにおいて記載)が本件商標と同一の「スマートBEMS」を本件商標の指定商品・役務の品質(質)を普通に用いられる方法により実際に使用されている以上、実質、明電舎のみの使用によるものということはできない。
ウ 商標権者の使用について
商標権者自身が使用する「シミズ・スマートBEMS」は、商標権者のBEMSを表示するものとして使用されているものであり、この使用は、「スマートBEMS」が特定のシステムの内容を表すものとして使用されていたという証拠にはなり得ない旨、主張している。
しかしながら「シミズ・スマートBEMS」として使用する場合は、取引者、需要者をして「スマート」及び「BEMS」の両語の意味合い、さらには、他社の「スマートBEMS」の使用例と相俟って、「商標権者のスマートBEMS」という意味合いを認識させるものとみるのが相当であって、「商標権者のBEMS」を表示するものとはいい難いものである。
また、甲第12号証の128における「日本技術情報センター主催」のセミナー案内における記載は、日本技術情報センターの担当者が、参加企業のうち、商標権者及びNTTファシリティーズが、たまたま自社の商標として「スマートBEMS」を使用していたために、「スマートBEMS」を一般名称と誤解し、「スマートBEMS」が特定の商品又はサービスを表示するものであるかのような記載となって旨、主張している。
しかしながら、日本技術情報センターによる本件商標と同一の「スマートBEMS」の使用も、前記イと同様、「BEMS」関連事業を企業の一使命として責任を持って当該技術の開発・技術動向及び今後の展開等を研究若しくは、推進している部署を有する法人による使用であることから、たまたま一般名称と誤解し、使用したものということはできず、NTTファシリティーズ、東芝及び山武ビルシステムカンパニーによる使用のみならず、商標権者においても本件商標の指定商品・役務の品質(質)を表示するものとして実際に使用しているものといわなければならない。
なお、商標権者は、「シミズ・スマートBEMS」の表記を順次「スマートBEMS」へ切換えているところであるとともに、今後、本件商標「スマートBEMS」が一般用語であるかのような誤解をされることのないよう、各社及び横浜市に対し、「スマートBEMS」を使用しないよう求めている旨主張している。
しかしながら、登録異議申立の審理における判断時期は、登録査定時であることから、本件異議の審理結果は、かかる商標権者の行為により左右されるものではない。
エ 小括
したがって、前記(2)における判断のとおり、商標権者の主張はいずれも採用することができない。
(3)以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)「スマート」の語について
ア 甲第2号証は、2010年12月7日更新のネット情報「新語時事用語辞典 weblio辞書」であるところ、「スマート化」の項目には、「情報通信技術(ICT)を駆使し、状況に応じて運用を最適化するインテリジェントなシステムを構築すること。smartには、主に『賢い』『洗練された』などの意味があるが、コンピュータによる制御・処理能力を搭載した、といった意味もある。スマートフォン、スマートカー、スマートカードなどがよく知られている。スマートグリッド(smart grid)は、その名の通りスマートなグリッド(電力網)である。電力網全体をコンピュータで統合的に制御することにより、需給バランスの調整をはじめ、太陽光発電などの新エネルギーとの連携、あるいは家庭内での余分な電力消費の削減、といった制御を実現しようとする構想である。これが実現すれば、停電・事故の防止及び被害最小化、省電力化による資源の節約や環境負荷の低減など、さまざまな側面でメリットが享受できる。」と記載されている。
イ 甲第3号証の1は、2010年10月25日付け「日本経済新聞」電子版であるところ、「流行『スマート』の欧州事情」の見出しの下、「スマートグリッド(次世代送電網)は、・・・需要情報を的確にとらえたうえでの供給の在り方を最適化するということだろう。」の他、「スマートメーターは従来型の積算電力量計をスマート化して、需要家の電力使用状況をより詳細に計測し、上述のスマートグリッドに組み込み、需要家に対してテレビやエアコンなどのより最適な利用情報を提供するといった役割が期待されているようだ。」、さらには、「スマートハウスは、必ずしもスマートグリッドとはリンクしなくとも、住宅におけるエネルギー利用を最適化するためのハードとソフトを組み込んだ住宅を指すようだ。」とそれぞれ記載されている。
ウ 甲第3号証の2は、2011年4月25日付け「日本経済新聞」電子版であるところ、「スマートシティを支える半導体」の見出しの下、「ITを駆使して、都市を『スマート化』する動きが活発になっている。都市のスマート化とは、電力やガス、水道といったライフラインはもちろん、ビルや工場、住宅などの建物、そして交通機関などをITで相互に結びつけて、エネルギー効率を高めたり、快適な生活環境をつくり出したりすることを指す。このための実証実験が今、世界各地で行われている。」と記載されている。
(2)「BEMS」の語について
ア 甲第9号証は、2010年12月9日更新のネット情報「新語時事用語辞典 weblio辞書」であるところ、「ビルエネルギーマネジメントシステム」の項目には、「別名:ビルエネルギー管理システム、・・・」、「英語:Building Energy Management System、BEMS」、「業務用ビルや工場などの建物において、建物全体のエネルギー設備を統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム。空調設備や照明設備などをネットワークに接続して一元管理する。いわゆるスマートビルの中心となる技術である。」とそれぞれ記載されている。
イ 甲第12号証の61は、野村総合研究所の所員が、第3回 IPv6環境クラウドサービスWGに用いた「IPv6環境クラウドサービスの利用促進を阻害する課題(案)」なるタイトルの2010年5月11日付けプレゼン資料であるところ、その1頁には、「1.環境センサーネットワークの技術面での課題 主にBEMSにおけるセンサーネットワークにフォーカス」のタイトルの下、「ビルの環境・エネルギーを最適にするシステムは、BEMS(Building and Energy Management System)」と呼ばれる。」と記載されている。
ウ 甲第12号証の74は、経済産業省の補助金により、「一般財団法人環境共創イニシアチブ」が公募する平成23年5月付けの「平成23年度住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業(BEMS導入事業)」の公募要領であるところ、その1頁における、1.事業の概要、1-1の「背景」の項には、「現在、我が国のエネルギー消費量の約3割を占める民生部門(家庭用、業務用)のエネルギー消費は、産業部門と比較して高い伸びを示してきており、民生部門における抜本的な省エネルギー対策の推進が喫緊の課題となっている。こうした中、平成21年4月には、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律が施行され、これにより、民生部門の建築物におけるエネルギー管理がより一層強化されることとなった。このため、建築物の省エネルギーを一層推進するためには、個別機器やシステムの性能の向上だけでなく、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)等の活用による建築物の運用段階における省エネルギー対策の推進が大きな課題となっている。」と記載されている(上記法律は、「省エネ法」と略称されることがある。)。
また、同頁における1-2の「目的」の項には、「本事業では、建築物の2030年のネット・ゼロ・エネルギー化を目指すべく、その施策の一つとして、住宅・建築物に省エネルギー性の高い高効率エネルギーシステムを導入し、・・・建築物に対する省エネルギー意識を高揚させるとともに、建築物における省エネルギーを抜本的に進めることを目的とする。また、建築物の運用段階における省エネルギー対策としてBEMSを導入し、運転を最適化するとともに管理者に対する判断材料を提供することにより、民生部門におけるエネルギー原単位の管理意識を高め、適切に管理・制御することによって総合的な省エネルギーを進めることを目的とする。本事業におけるBEMSとは、業務用ビル等において、室内環境・エネルギー使用状況を把握し、かつ、室内環境に応じた機器又は設備等の運転管理によってエネルギー消費量の削減を図るためのシステムをいう。BEMSは計測・計量装置、制御装置、監視装置、データ保存・分析・診断装置などで構成される。」と記載されている。
エ 甲第12号証の162は、平成13年10月20日、初版第1刷発行の「社団法人 空気調和・衛生工学会」が編集・著作権者、かつ発行所である「環境・エネルギー性能の最適化のための/BEMS ビル管理システム」なるタイトルの書籍の写しであり、その目次中には、「2章 ビルシステムの保全管理とBEMSの与条件」、「3章 BEMSハードウェアと情報通信システム」、「5章 BEMSの設計と表記法」、「6章 性能検証とBEMS」、「7章 BEMSを用いた故障検知・診断とビル最適化」及び「8章 BEMSの運用」と記載されている。
オ 甲第15号証は、「財団法人省エネルギーセンター」による、「平成16年度 省エネルギー技術普及促進事業調査報告書」のネット情報であるところ、その「7.8 BEMSによるエネルギー利用管理技術/7.8.1 BEMSの定義と種類」の項によれば、定義として、「BEMSは、省エネ法では『ビル・エネルギー管理システム(Building and Energy Management System)』、・・・としている。」と記載されており、また、種類(分類)として、「・・・ビル内情報の監視および簡単な制御を行う基本BEMSに、防災防犯監視、調節制御、維持管理機能を追加した拡張BEMS、さらに防災制御、最適制御、経営管理機能を追加した高級BEMS、将来的にはITと組み合わせてビル一群を一括管理する統合化BEMSに発展すると予想される。」とそれぞれ記載されている。
カ 甲第16号証は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律/省エネ法の概要2010/2011」であるところ、その9頁における「1.専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等」の表中の「設備新設の措置」欄の(ク)には、「・・・ビルエネルギー管理システム(以下、『BEMS』という。)等の採用により、適切な空気調和の制御、運転分析ができるものとする。」と記載されている。
キ 甲第24号証は、平成21年6月1日付け国土交通省作成に係る「官庁施設における地球温暖化対策」なる見出しのネット情報(パワーポイント資料)であるところ、その3頁には、「霞ヶ関官庁におけるグリーン化」のタイトルの下、左下方の四角形吹き出し図形内に「特許庁総合庁舎/太陽光発電 30KW/複層ガラス/BEMS/雨水・排水再利用」と記載されている。
ク 当審による職権調査によれば、以下の事実を認めることができる。
経済産業省が平成20年3月5日に発表した「Cool Earth-エネルギー革新技術計画/(概要)」(パワーポイントによるネット情報)によれば、その3頁に「重点的に取り組むべきエネルギー革新技術」の21技術の一つに、「HEMS/BEMS/地域レベルEMS」が掲げられ、同16頁には、その内容として「<技術の現状>」の項目の下、「住宅やビル、さらには地域内でネットワークを介してエネルギー計測・管理を行う省エネ技術。」、また、「<開発すべき技術、実用化時期>」の項目の下、「通信ハードウエア、家庭内センサーネットワークといった技術の開発により、家庭・業務用ビル等における機器をネットワーク化して運転管理するシステムの確立を目指す。」、さらに、「<技術の効果>」の項目の下、「HEMS/BEMS更に地域レベルEMSにより、二酸化炭素排出量は10?15%削減可能。」とそれぞれ記載されている。
(3)「スマートBEMS」の語について
ア 商標権者(清水建設株式会社)による使用
(ア)甲第3号証の2(再掲)は、2011年4月25日付け「日本経済新聞」電子版であるところ、「スマートシティを支える半導体」の見出しの下、「ビルや自動車も通信網につながり管理」の項において、「住宅だけでなく、オフィスや工場、店舗などでもITによってエネルギー効率を高めるスマート化の動きがある。BEMS(Building Energy Manegement System)と呼ばれるシステムが、それである・・・その好例が、清水建設のビル制御システム『シミズ・スマートBEMS』だ。同社は『必要な人に、必要なものを、必要なときに、必要なところに、必要なだけ』提供するという考えでシステムを開発した。」と記載されている。
(イ)甲第8号証は、2011年10月25日付け「日本経済新聞」電子版であるところ、「清水建設、ピーク電力削減でBEMS活用 環境負荷はまだ減らせる」の見出しの下、「清水建設は、同社が開発した『シミズ・スマートBEMS』というBEMS(ビルエネルギー管理システム)の実証実験を、東京都江東区にある同社の技術研究所で2010年10月から実施している。・・」と記載されている。
(ウ)甲第12号証の52は、「日経BP社」の「ECO JAPAN」なるネット情報であるところ、2011年3月3日付け記事において、「CO2排出量を半減する次世代オフィス」の見出しのもと、「従来のオフィスに比べてCO2排出量を大幅に減らす『次世代オフィス』の開発が盛んだ。ゼネコン大手を中心に実証実験が進んでいる。」として、「清水建設」の欄には、「清水建設技術研究所で、マイクログリッド制御や個人認証を使う『シミズ・スマートBEMS』を検証。・・」と記載されている。
(エ)甲第12号証の128は、2011年2月24日に開催された「日本技術情報センター主催」の「急進展するスマートBEMS/オフィス・ビルの開発・技術動向と最新事例及び今後の展開」をテーマとするセミナー案内であるところ、そこには、「株式会社NTTファシリティーズ」、「清水建設株式会社」、「株式会社東芝」、「株式会社山武」の各社が発表するタイトルとして、いずれも上記テーマに各社名を冠し、例えば、「NTTファシリティーズにおけるスマートBEMS/オフィス・ビルの開発・技術動向と最新事例及び今後の展開」(他社発表タイトルも会社名部分が異なるのみ)と記載されている。
(オ)甲第12号証の131は、2011年2月14日付け、本件権利者のネット情報であるところ、これには、スマートグリッドを対象にした2011年3月2日?4日に開催される「第1回『国際スマートグリッドEXPO』展」に、本件権利者が「シミズ・スマートBEMS」を展示する旨記載されているものであって、「主な展示内容のご紹介」の「シミズ・スマートBEMS」の項には、「『シミズ・スマートBEMS』には3つの制御があります。太陽光発電などの分散型電源を制御する『マイクログリッド制御』、建物の使い方のリアルタイム情報に基づいて消費エネルギーの平準化を実現する『デマンドレスポンス制御』、および建物利用者一人ひとりにとって快適できめ細やかな設備制御を実現する『パーソナル環境制御』です。」と記載されている。
(カ)甲第19号証は、2010年10月27日付け「環境新聞」のネット情報記事であるところ、そこには、「清水建設は、技術研究所本館内に、CO2削減と快適性を追求した、スマートグリッド対応の次世代型超環境オフィスを完成した。エネルギー制御システム『シミズ・スマートBEMS』により、CO2の排出量を一般的なオフィス比で60%削減している。」と記載されている。
イ 他社による使用
前記ア(エ)のほか、以下のものがある。
(ア)「一般社団法人新エネルギー導入促進協議会」による使用
甲第20号証の3は、「一般社団法人新エネルギー導入促進協議会」による平成23年3月31日付け「次世代エネルギー・社会システム実証事業 採択審査結果について」のネット情報であるところ、その採択テーマの一覧表である「1(但し、ローマ数字)-1 エネルギーマネジメントシステムの構築」中の「(C)BEMS」欄には、「a,スマートBEMSの開発と実証」「b,スマート蓄熱・蓄電等により調整余力を備えることでエネルギー利用の全体最適化を目指したスマートBEMS導入実証事業」、及びその企業名として、「株式会社東芝」及び「大成建設株式会社」と記載されている(乙12の34も同一の表)。
(イ)「株式会社山武ビルシステムカンパニー」による使用
a 甲12号証の76は、「株式会社新社会システム総合研究所」が主催、「株式会社山武ビルシステムカンパニー」のマーケティング本部部長が講師を務める2010年12月14日開催の「次世代BEMS×smart『X』/?スマートシティで加速する様々な連携と標準化の全貌?」をテーマとするセミナー案内のネット情報であるところ、そこには、「本講演では、BEMSの様々な連携を『BEMS×smartX』としてご紹介するとともに、CO2の管理に不可欠な『算定』への対応を紹介しスマートBEMSの全貌を俯瞰いたします。」と記載されている(甲20の11、14及び17も実質的に同一内容)。
b 甲20号証の8は、同社のマーケティング本部部長が講師を務めた「電力不足で急加速するBEMSのスマート活用」をテーマとした2011年5月24日開催のセミナー案内のネット情報であるところ、そこには、「本講演では、BEMSによる賢い節電対策やBEMSの様々な連携を『BEMS×smartX』としてご紹介し、・・・将来を見据えたスマートBEMSの全貌を俯瞰いたします。」と記載されている。
c 甲第20号証の10は、同社のマーケティング本部部長が講師を務めた「スマートビルにおけるBEMSの導入と設計事例」をテーマとした2011年6月23日開催のセミナー案内のネット情報であるところ、そこには、セミナータイトルとして「スマートBEMSの導入のポイント」と記載されている。
(ウ)「株式会社東芝」による使用
甲20号証の27は、2011年4月1日付け株式会社東芝の「ニュースリリース」のネット情報であるところ、そこには、「地域・ビル・家庭のエネルギーマネジメントシステムの実証事業を受託」、「経済産業省『次世代エネルギー・社会システム実証事業』に採択」の見出しの下、「当社は、昨日、経済産業省が公募した『平成23年度次世代エネルギー・社会システム実証事業』において、環境に配慮した都市の実現に向け横浜市が推進している『横浜スマートシティプロジェクト・・・』の参加事業者として、地域・ビル・家庭のエネルギーマネジメントシステム(EMS)や蓄電池などの7つの事業について、2011年度分として採択を受けました。」と記載され、その添付資料「別紙:当社の受託内容と役割について」には、その一つに、「(5)スマートBEMSの開発と実証」(受託企業:株式会社東芝、大成建設株式会社)があげられ、その説明として、「事務所ビルのエネルギー消費の過半を占める空調設備と照明設備に対し、快適性の確保と省エネの両立が可能なエネルギーマネジメント機能を開発します。・・・」と記載されている。
(エ)「株式会社NTTファシリティーズ」による使用
a 甲第20号証の1は、「INPRESS BUSSINESS MEDIA CORPORATION」のネット情報であるところ、そこには、「NTTファシリティーズ、日本初のオフィスビルのスマート化に着手」の見出しの下、「NTTファシリティーズは2010年10月21日、ディ・エイチ・シー・東京(DHC東京)、エネットと連携し、NTT都市開発の協力を得ながら、東京都港区芝浦のグランパークエリアにおいて、スマートBEMSとその分析・評価アプリケーションの導入をはじめとするスマート化プロジェクトに着手し、低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めることを発表した。」と記載されている。
b 甲第20号証の4は、2010年10月21日付け「株式会社NTTファシリティーズ」の「ニュースリリース」のネット情報であるところ、そこにも前記(a)と同様の内容が記載されている。併せて、「スマートBEMSによるエネルギーの最適制御」の項には、「需要側と供給側のエネルギー需給情報を収集・分析・評価し、最適に制御/エネルギーの見える化」と記載されている。
c 甲第20号証の26は、平成22年10月21日付けの「日経産業新聞」のネット情報の記事であるところ、そこにも、前記(a)を内容とする記事内容が掲載されている。
d 甲第20号証の5は、2010年11月4日付け「株式会社NTTファシリティーズ」の「ニュースリリース」のネット情報であるところ、「3.今後の展開」の項には、「・・ビルにおけるエネルギー利用状況に応じた充電制御(スマートBEMSとの連携)機能の追加などを行っていき・・」と記載されている。
e 甲第20号証の16は、「ダイキン工業株式会社」の「建築設計業界向けIT関連Webサイト/設備設計ひろば」なるネット情報であるところ、その中における」2010年11月26日付けの記事においては、「スマートBEMS」の語を用いて、「株式会社NTTファシリティーズ」がオフィスビルのスマート化に着手した旨の記事が掲載されている。
f 甲第20号証の21は、2010年11月11日付け「日経BP社」の「建築・建材展/ケンプラッツニュース?日経BP社の最新業界ニュース」なるネット情報であるところ、「NTTファシリティーズが本社ビルをスマート化」の見出しの下、「スマートBEMS」の語を用いて、NTTファシリティーズがオフィスビルのスマート化に着手した旨の記事が掲載されている。
(オ)「株式会社明電舎」による使用
a 甲第20号証の2は、2010年11月29日付け「株式会社明電舎」の「NEWS RELEASE」なるネット情報であるところ、そこには、「当社は、12月9日から11日まで東京ビッグサイトで開催される『エコプロダクツ2010』に出展いたします。・・・メガソーラー(大規模な太陽光発電システム)、スマートBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)など、明電舎の代表的な取り組みを、パネル展示でご紹介します。」と記載されている。
b 甲第20号証の15は、2010年12月9日?11日に、東京ビックサイトで開催された日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2010」の主催者のネット情報であるところ、その出展社の出展内容の「株式会社明電舎」の欄に「スマートBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)」と記載されている。
c 甲第20号証の9は、2010年12月13日付け「Mainichi Communications Inc」の「マイコミジャーナル」のネット情報であるところ、そこには、「最近の明電舎の案件として2012年に運用開始が予定されている・・米倉山太陽光発電所、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)でのスマートBEMS、・・について大きく紹介されていた。」と記載されている。
d 甲第20号証の13は、平成22年11月2日付け「横浜市記者発表資料」における「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)デモストレーション展示」の実施に関するネット情報記事であるところ、企業名「明電舎」の欄に前記cと同様の内容が記載されている。

2 前記1で認定した事実によれば、「スマート」の語は、「賢い、洗練された」の意味の他、「コンピュータによる制御・処理能力を搭載した」の意味も有していることから、「情報通信技術(ICT)を駆使した?」程の意味合いを有し、また、「BEMS」の語は、「ビルエネルギー管理システム」を意味する「Building Energy Manegement System」(但し、「Building and Energy Manegement System」と表記する場合も存する)の略語であって、当該システムは、「業務用ビルや工場などの建物において、建物全体のエネルギー設備を統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム」を意味するものとして、エネルギー関連分野や建設・ICT関連分野の業界のみならず、様々な分野の業界において、本件商標の登録査定時(平成23(2011)年6月23日)には、既に普通に使用されていたものと認められる。
また、経済産業省が平成20年3月5日に発表した「Cool Earth-エネルギー革新技術計画/(概要)」における重点的に取り組むべきエネルギー革新技術の一つに、「BEMS」が挙げられていること等から、「BEMS」は、平成20年3月当時には、「ネットワークを介してエネルギー計測・管理を行う省エネ技術」として存在していたが、上記技術計画には、「通信ハードウエア、家庭内センサーネットワークといった技術の開発により、家庭・業務用ビル等における機器をネットワーク化して運転管理するシステムの確立を目指す」ことを目標に、更なる技術開発が求められていたこと、さらに、上記「スマート」の語と「BEMS」の語を結合した「スマートBEMS」の語が、「情報通信技術(ICT)を駆使し、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減等を効率的に行い、ビル環境、ひいては地球環境の最適化を実現するビルエネルギー管理システム」などの意味合いをもって、本件商標の登録査定時には、既に本件商標の商標権者はじめ、他企業においても使用されていたことを認めることができる。

3 以上よりすれば、「スマートBEMS」の文字よりなる本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、「(従来のBEMSに、より高度な情報通信技術(ICT)等を付加し、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減等を効率的に行い、)ビル環境、ひいては地球環境の最適化を実現するといった、技術向上を図るビルエネルギー管理システム」なる意味合いを認識させるにすぎないものであるから、単に商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわなければならない。




異議決定日 2012-05-28 
出願番号 商願2010-84640(T2010-84640) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (X093742)
最終処分 取消  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-07-29 
登録番号 商標登録第5428563号(T5428563) 
権利者 清水建設株式会社
商標の称呼 スマートビイイイエムエス、スマートベムス、スマート、ビイイイエムエス、ベムス、ベムズ 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 和田 阿佐子 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 高田 泰彦 
代理人 塩谷 信 
代理人 柏 延之 

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