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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X05
管理番号 1261592 
審判番号 不服2011-7337 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-07 
確定日 2012-08-06 
事件の表示 商願2009-72969拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「エアケア」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成21年9月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『エアケア』の文字を標準文字で表してなるところ、『エア』は『空気(air)』を、『ケア』は『世話、保護する。(care)』を意味する語であるが、『空気環境をケアする』との意味合いを認識させる語として、『エアケアブランド』、『エアケア製品市場』及び『エアケア商品』の如く『エアケア』が使用されている事実があることからすると、全体としては『空気環境をケアする』との意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定商品中、前記意味合いに相応する商品、例えば『空気用芳香消臭剤』に使用しても、単に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
当審において、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成24年1月23日付け証拠調べ通知書により、別掲に示す内容を開示し、意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
証拠調べにより示された証拠の記載は、本願出願日後の使用例であり、あるいは使用されてわずかな期間しか経過してないものであり、しかも特殊なサイトに掲載されていたりしており、これらをもって本願商標が取引者・需要者間で普通に使用されていたと認定し、商品の品質を表わす語と判断することには誤りがある。
また、「AIR CARE」の文字を含む過去の登録例の指定商品には、「香料類」が含まれているにもかかわらず、登録されているものであるから、本願商標もこれら同様に登録されるべきである。

5 当審の判断
本願商標は、「エアケア」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「エア」の文字は「空気」の意味を有するものであって、例えば、「エアクリーナー」や「エアコンディショニング」のように、他の語の上に付いて複合語を形成し易いものであり、同じく「ケア」の文字は「世話。手入れ。」の意味を有するものである(別掲の1参照)。
また、「エアケア」の文字は、別掲の2ないし4に示す内容に照らせば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「室内や車内等の空気に対し消臭や芳香付けによる手入れを行うこと。」程の意味合いを有する語として、一般に使用されていることが認められる。
そうとすれば、「エアケア」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、例えば「薬剤」の範囲に属する「室内や車内等の空気用防臭剤」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から容易に「室内や車内等の空気に対し防臭による手入れを行うこと。」程の意味合いを看取、把握し、商品の品質を表示してなるものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標をその指定商品中、「室内や車内等の空気用防臭剤」に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、上記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、本願出願日後の使用例等をもって、「エアケア」の文字が商品の品質を表す語と判断することは誤りである旨主張し、かつ、既登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきとするが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号等に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品及び指定役務の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、「エアケア」の文字からなる本願商標についてみれば、上記のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情に照らし、本件審判の審決時において、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質を表示してなるものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、請求人が挙げる既登録例は、本願と商標の構成態様及び指定商品を異にするものであって、事案を異にするものであるから、その判断が本件についての上記判断を左右するものとはいえず、この点についての請求人の主張は、採用することができない。
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知において示した内容

1 辞書類における記載
(1)「広辞苑 第六版」
ア 「エア【air】」の項に、「空気。大気。空中。」の記載がある。
イ 「ケア【care】」の項に、「世話。手入れ。」の記載がある。
(2)「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(三省堂、2010年発行)
ア 「エア[air]」の項に、「空気,大気.『空気の,航空の,放送の』などの意味で複合語をつくる。」の記載がある。
イ 「ケア[care]」の項に、「世話.手当て.」の記載がある。

2 新聞記事における記載
1990年10月26日付けの流通サービス新聞(1頁)に、「木製玩具の売行き好調-ママ世代も見直し。“人工離れ”着実に進行」の見出しの下、「《化粧品も香りを抑え始めた》」の項に、「たとえばトイレタリー製品。七〇年代はまだクレゾールや樟(しょう)脳の時代で、八〇年代になってやっとエアケア製品、つまり人工的なにおいを空気に乗せる商品が出回り、一大市場を作るまでになった。」の記載がある。

3 インターネットのホームページにおける記載
(1)「共同通信PRワイヤー」のウェブサイトにおいて、「◎『働きがいのあるグローバル企業』で初の10位 SCジョンソン」の見出しの下、「▽SCジョンソンについて」の項に、「同社は米国を本拠とし、家庭用クリーニング製品、家庭収納製品、エアケア、害虫駆除の世界的な有力メーカーの一つである。」の記載がある(http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=201110280252)。
(2)「日本貿易振興機構(ジェトロ)」のウェブサイトにおいて、「引き合い案件データベース(TTPP)」の見出しの下、「案件番号 1108755」の項に、「<<内容>> 洗剤や柔軟剤などの家庭用品の販売代理店を募集します。商品カテゴリ:-ランドリー用品(柔軟剤、酸素漂白剤、液体洗剤)-ボディケア用品(ボディソープ)-デンタルケア製品(歯磨き粉)-台所用品(食器用洗剤)-エアケア用品(消臭剤)-その他家庭用品(芳香剤など)」の記載がある(http://www.jetro.go.jp/ttppoas/anken/0001108000/1108755_j.html)。
(3)「P&G」のウェブサイトにおいて、「製品一覧」の見出しの下、「エアケア」、「ファブリーズ」の記載がある(http://jp.pg.com/products/index.htm)。
(4)「富士経済」のウェブサイトにおいて、「トイレタリーグッヅマーケティング戦略 2004」の見出しの下、「新カテゴリー別商品動向」の項に、「A. ハウスホールド」の一つとして「6. エアケア」の記載がある(https://www.fuji-keizai.co.jp/report/index/110406863.html)。
(5)「株式会社グローバルインフォメーション」のウェブサイトにおいて、「市場調査レポート」の見出しの下、「日本におけるエアケア(芳香消臭剤)製品市場」の記載がある(http://www.gii.co.jp/report/eo83897-air-care-japan.htmll)。
(6)「株式会社あらた」のウェブサイトにおいて、「あらたマンスリー」の見出しの下、「2011年秋の新製品カテゴリー動向」として、「芳香・消臭」の項に、「節電の影響もあり、電気を使わずエアケアする習慣が増加する可能性があります。」の記載がある(http://www.arata-gr.jp/about/pdf/monthly/monthly089.pdf)。
(7)「高砂香料工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「先輩からのメッセージ 営業(フレグランス)」の見出しの下、「私が担当している職務はエアケア製品(芳香消臭剤)に使用されるフレグランス香料の販売です。」の記載がある(http://www.takasago-i.co.jp/recruit/message/message_02.html)。
(8)「株式会社週刊粧業」のウェブサイトにおいて、「DAILY COSMETICS NEWS 化粧品業界人必読!日刊コスメ通信」の見出しの下、「2010.08.05 小川香料、トイレタリーで香りの重要性実感、規制を遵守した新たな香り提案を」の項に、「小川香料では、 香りを訴求した柔軟剤やエアケア製品のヒットなどを踏まえ、 近年、 日本人の香りに対する許容範囲が広がりつつあるとみている。」の記載がある(http://www.syogyo.jp/news/2010/08/post_000044.php)。
(9)「株式会社サーチナ」のウェブサイトにおいて、「高砂香料工業(4914)10年1月に大手企業からコアサプライヤー認定、中長期の期待が高まる 【経済ニュース】 2010/03/10(水)」の見出しの下、「これまではエアケア(芳香消臭剤向け香料)のみの取引であったが、10年1月にフレーバーなどでもコンペに参加資格のあるコアサプライヤーに認定された。」の記載がある(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0310&f=business_0310_195.shtml)。
(10)「レキットベンキーザー・ジャパン株式会社」のウェブサイトにおいて、「会社概要」の見出しの下、「事業目的」として「1.石鹸、合成洗剤、漂白剤、磨き用剤、つや出し剤、洗浄剤、硬水軟化剤、繊維柔軟剤、フットケア製品、レッグケア製品、履き物、芳香剤などのエアケア製品及びしみ抜き剤の製造、輸出入及び販売」の記載がある(http://drscholls.jp/corporate/)。

4 特許公報及び公開特許公報における記載について
(1)特許第4749028号「【発明の名称】抄造成形体、その製造方法及び発熱成形体」の「【発明の詳細な説明】」の見出しの下、「【0060】本実施形態の発熱成形体は、超薄型カイロとしての用途のほか、その発熱機能や水蒸気発生機能と各種機能剤とを組み合わせることで、種々の用途に適用することができる。例えば、洗浄・除菌、ワックス徐放、芳香、消臭等の諸機能と組み合わせたホットシートとして、フローリング、畳、レンジ周り、換気扇等のハウスケア用途、空間を快適にするエアケア用途、?、首、肩、腰、手、足等に巻いたり貼ったりして使用する痛みや生活痛の緩和等のヘルスケア用途に適用することができる。」の記載がある。
(2)特開2006-45571「【発明の名称】香料香質保持剤およびそれを含有する香料組成物」の「【要約】」の見出しの下、「【課題】エアケア製品を含むハウスホールド用品中に使用可能であり、一定期間にわたって、香質の変動が少ない芳香発散性を維持する香料香質保持剤を提供すること。」、及び「【発明の詳細な説明】」の見出しの下、「【0003】また、人が生活する空間を芳香で満たし、審美的な雰囲気や環境をもたらすためにも、例えば、ロウソク、ゲル、デオドラント、膜エアケア装置、場合によりファンが取り付けられている電動エアケア装置などのいわゆるエアケア製品が広く用いられており、それらエアケア製品に添加・配合される香料についてもいろいろと研究がなされている。」の記載がある。

審理終結日 2012-06-13 
結審通知日 2012-06-14 
審決日 2012-06-26 
出願番号 商願2009-72969(T2009-72969) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X05)
T 1 8・ 272- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子田中 幸一 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
大塚 順子
商標の称呼 エアケア 
代理人 松田 省躬 

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