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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X03
管理番号 1261519 
審判番号 不服2011-22381 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-17 
確定日 2012-07-25 
事件の表示 商願2010- 95221拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「みんなにやさしい」の文字を標準文字で書してなり、第3類「せっけん類」を指定商品として、平成22年12月8日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『みんなにやさしい』の文字を標準文字で表してなるものであるが、本願指定商品であるせっけん類は、使用後に洗い流した水の環境への影響や、使用者の年齢や肌の状況等により、使用者の皮膚へ与える影響に注目され、低公害、低刺激の品質が求められることの多い商品群である。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接した需要者は、本願商標の構成文字より生ずる『全てに対して優しい』の意味合いから、その商品が、環境又は使用する者の肌の状況を問わず優しい(汚染、刺激が少ない)ものであることを強調する標語、キャッチフレーズの一種と認識するにすぎず、結局、何人の業務にかかる商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、「みんなにやさしい」の文字からなるところ、「全部。すべてのもの。すべての人。」等を意味する「みんな」の語と、「おだやかである。悪い影響を及ぼさない。簡単である。」等を意味する「やさしい」の語とを、助詞「に」で結合してなるものであり、全体として「すべてのものに(対して)おだやかである。」「すべての人に(対して)悪い影響を及ぼさない。」程の意味合いを認識させるものである。
そうすると、該「みんなにやさしい」の文字は、その指定商品である「せっけん類」との関係においては、「すべての人に対して悪い影響を及ぼさない石けん」であるという程の意味合いを理解させるというのが相当である。
そして、例えば、大人、子供、赤ん坊、老人といった誰もが使えるように配慮されたせっけん、すなわち、肌などへの刺激が少ない等の効能を有するせっけんを指して、「みんなにやさしい石けん」であるとしている実情は、別掲に示すインターネット情報及び新聞記事情報によって、窺い知ることができるものである。
加えて、昨今、本願の指定商品を取り扱う業界のみならず、他の業界においても、「地球に対する負荷が少ないこと」や「環境に対する配慮をしていること」等を謳って、自社や製品のイメージを向上させる標語、キャッチフレーズとしている実情が見受けられるところ、その際に、「地球にやさしい」「環境にやさしい」「人にやさしい」等を総じて「みんなにやさしい」のように表現されている実情も窺い知ることができるものである。
そうとすると、上記の実情をも考慮すれば、該「みんなにやさしい」の文字は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「老若男女すべてを問わず、刺激が少ないおだやかな効能の商品」又は「地球環境に配慮し、使う人間に悪い影響を及ぼさない商品」という程の意味合いを理解させるものであって、商品の販売促進を図る際の宣伝文句(キャッチフレーズ)の一種として理解、把握させるに止まるものというべきである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

2 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標『みんなにやさしい』の語は、本願に係る指定商品の直接的かつ具体的な品質表示としてのみ機能するものではない。『みんな』や『やさしい』の語が各需要者にとって一義的でないことからも、本願商標は、その指定商品についてあくまで抽象的・暗示的な意味合いを有する標章として感得されるものであるから、『ミンナニヤサシイ』の称呼を生ずる『造語』として自他商品識別力を有するものと解される。」旨主張する。
しかしながら、前記1のとおり、「みんなにやさしい」の文字が、「すべてのものに(対して)おだやかである。」「すべての人に(対して)悪い影響を及ぼさない。」という意味合いを理解させることからすれば、本願の指定商品に係る業界との関係においては、「老若男女のすべてを問わず、刺激が少ないおだやかな効能の商品」「地球環境に配慮し、使う人間に悪い影響を及ぼさない商品」であるということを想起させるものであって、宣伝・広告のための一種の標語、キャッチフレーズとして認識されるものというのが相当である。
そうすると、請求人が主張するように、本願商標が、具体的な品質表示としてのみ機能するものではないとしても、その指定商品について、一種の宣伝文句として認識されるものであるから、自他商品の識別力を有するものということはできない。
(2)また、請求人は、「本願商標の構成からなる語『みんなにやさしい』が、本願指定商品について我が国市場において商標として一般に広く使用される事実は皆無であり、例えば、該語についてインターネット検索を実施したところ、せっけん類の品質を直接具体的に表すものとして普通に使用されている事実は存しない。」旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「みんなにやさしい」の文字は、指定商品との関係において品質等を直接、具体的に表すものではないとしても、商品の販売促進を図る際の宣伝文句(キャッチフレーズ)として理解されるに止まるものというのが相当であって、該文字が採択されている実情については、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報からも窺い知ることができるものである。
なお、平成13年(行ケ)第45号(東京高裁 平成13年6月28日判決言渡)において、「本件において問題となるのは,この語句に接した取引者・需要者が,これを自他役務の識別標識として認識するのか,それとも,これをキャッチフレーズとして理解するのかということである。このことは,この語句がキャッチフレーズとして現に一般に使用されているか否かのみによって決せられるものではない。」と判示されている。
(3)さらに、請求人は、「過去の登録例において、商品の品質や販売促進のためのキャッチフレーズの一類型と把握される可能性があるものであっても、商標全体としては、直接かつ具体的にその指定商品の品質を表示するものとはいえない商標は登録されるべきものとするのが特許庁審査実務であると解される。したがって、その指定商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものでない以上、全体をもって造語と認識され、自他商品識別標識としての機能を果たしうるものとして登録されるべきであり、過去の登録例と同様の判断がなされるべきである。」旨主張する。
しかしながら、本願商標は、前記1のとおり、自他商品の識別力を有するものとは認められないものであり、また、過去の登録例については、登録出願に係る商標が、商標登録の要件を具備しているか否かは当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
(4)したがって、請求人の上記(1)ないし(3)の主張は、いずれも採用することができない。

3 まとめ
以上によれば、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 別掲(インターネット情報及び新聞記事情報)
(1)楽天株式会社が運営するインターネットショッピングモール「楽天市場」内の「株式会社インフォビッツ」のショッピングサイトにおいて、「ボクにもワタシにもみんなにやさしい無添加せっけん液体シリーズ!/ペリカン無添加ボディソープ」として、「香料、着色料、防腐剤の添加物を加えずに出来た植物油脂由来の無添加石けんボディソープです。気になるニオイも少なく、お子様から敏感なお肌の方にもお使いいただける、人にも環境にもやさしいボディソープです。」の記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/very2-shop/ps_046/)
(2)「organic valeo-propolis」のウェブサイトにおいて、「ニュージーランド発オーガニックソープ 4US Facial Sope」として、「自然の中で、シンプルにできました。赤ちゃんにも、お年寄りにも、ペットにも、、、みんなにやさしい石けんです。」の記載がある。(http://www.valeopropolis.com/4us-facial-soap.html)
(3)「かしこいモノ選び情報 モノガイド」のウェブサイトにおいて、「松山油脂 石鹸」の項目のもと、「使った人が選んだおすすめ商品」として、「特長 無添加でみんなにやさしい石けん」の記載がある。(http://www.monoguide.com/mono/4hom/4clemyy.html)
(4)「大地を守る会」のウェブサイトにおいて、「石けん」の項目のもと、「じぶんにも、家族にも、環境にも。みんなにやさしい石けんを選ぼう。」の記載があり、さらに、「環境と人に優しい大地を守る会オリジナルの石けん類」として、「大地を守る会では、植物油を原料にした石けんを主に取り扱っています。また、有機認証を受けたエッセンシャルオイルやホホバオイルを加えたシャンプー・リンスなど、大地を守る会オリジナルの石けん類も販売しています。環境にも人にも優しい石けんを選ぶあなたの暮らし方が、地球を変える一歩になります。」の記載がある。(http://www.daichi.or.jp/corporate/item/zakka/03/)(http://www.daichi.or.jp/corporate/item/zakka/03/02.html)
(5)「@cosme」のウェブサイトにおいて、「フェリシモ/みんなにやさしい ナチュラルシャンプー」の記載がある。(http://www.cosme.net/product/product_id/287964/top)
(6)「ミネラル工房」のウェブサイトにおいて、「ナチュラルコスメ」の項目のもと、「にがり石鹸」として、「家族みんなに優しい。天然にがりと有機栽培ハーブのオーガニック石鹸/アトピーや敏感肌・乾燥肌でお困りの方に・・・肌に負担をかけることはなく、汚れや余分な皮脂を落としてくれます。安心の有機栽培ハーブを使用し天然にがりも加わった 赤ちゃんにもおススメのお肌に優しい石鹸」の記載がある。(http://www.shiroi-diya.com/seihin2/)
(7)「ESILE エシーレ」のウェブサイトにおいて、「ソープ」の項目のもと、「セレーネハーバルソープ」として、「厳選された5種類の天然ハーブとその泡が証明するパワーソープ/しっとり肌へ ムラサキの根から抽出されることから名付けられたシコンや甘草の植物成分が、しっとりうるおい肌に。/やわらか肌へ 古来よりスキンケアオイルの王様と称えられるローズヒップ油やブドウ種子油、ティーツリー油が、お肌をふんわりやわらかに。/ボディも顔も 赤ちゃんにも 天然由来原料ベースの無添加石鹸だからみんなにやさしい。」の記載がある。(http://www.esile.jp/category/soap.html)
(8)「アウルライフファクトリー」のウェブサイトにおいて、「昔ながらの石けんのような優しい使い心地です。EM配合で、環境にも優しいです。EM効果で、みんなに優しい・・・EM効果で環境にやさしい/EM(有用微生物)には、汚染物質や廃棄物のほとんどのものをクリーンにするという作用があるのです。ほんものやEM石けんを使用後の排水に含まれる抗酸化物質が、環境を浄化することが期待されています。/無添加(石けん素地100%)だから身体にやさしい/科学物質の中にはアレルギーの原因になるものもあり、それが肌から浸透し、身体に悪い影響を与える場合もあるのです。だからこそ、私たちは無添加にこだわるのです。」の記載がある。(http://www.owl-life.com/pages/product/em-sekken.html)
(9)「Posh Pet Club」のウェブサイトにおいて、「犬用品」の項目のもと、「ネイチャーエイド低刺激シャンプー敏感肌200ml」として、「天然成分にこだわった商品です!洗浄力だけではなく、保湿・保水力も兼ね備えた被毛+肌へのお手入れに♪・・・自然から生まれたシャンプー&リンス!人・動物・地球、みんなに優しいペットケア・・・アレルギーがある肌、敏感肌にぴったりのシャンプーです。肌をなだめるアロエをふんだんに使用した、低刺激でやさしいシャンプーです。」の記載がある。(http://www.poshpet.jp/detail/detail00003486_000.html)
(10)「オカモトコンドームズ」のウェブサイトにおいて、「やさしい石けん」の項目のもと、「やさしい浴用石けん」として、「家族みんなで使える、肌にやさしい石けん。赤ちゃんやお肌が弱い方にも最適です。・・・添加物を使用していませんので、お肌にやさしく、排水は1日で水と炭酸ガスに分解され、人と環境にやさしい石けんです。」の記載がある。(http://shop.okamoto-condoms.com/shopdetail/005000000011/order/)
(11)「雑貨レイジー」のウェブサイトにおいて、「みんなにやさしい石鹸を/まるは油脂化学株式会社/七色せっけん」として、「創業昭和7年。石けん一筋 まるは油脂化学/『七色せっけん】は福岡県久留米市、筑後川を望む田畑にかこまれたのどかな田舎町で、自然の優しい無添加石鹸とハーブを使い丹誠こめて造られています。創業昭和7年・・・現在77年(!!)もの歴史を持つ、せっけん一筋の石鹸屋さんです。『人と、自然に、やさしい石けんを。』天然素材にこだわり、『釜だき』『自然乾燥』という昔ながらの枠練り製法で造られ、完成までに90日かかります。」の記載がある。(http://www.zakka-lazy.com/cms/nanairo/)
(12)「牛乳石鹸共進社株式会社」のウェブサイトにおいて、「会社情報」の項目のもと、「社長メッセージ」として、「創業100周年目の平成21年より基本理念を新しく『ずっと変わらぬ やさしさを。』に定め、安心安全な品質を確保することはもとより、お客様の肌に、こころに、そして環境にもやさしい製品をネクスト100年にお届けすることに尽力する所存です。」の記載がある。(http://www.cow-soap.co.jp/web/corporate-info/president-message/)
(13)「(百年企業@福岡)シャボン玉石けん せっけん製造 エコの先駆け /九州・共通」の見出しのもと、「人にも環境にも優しい『無添加』へのこだわりで、大手メーカーとの競争に立ち向かう。・・・光徳氏は、無添加せっけんで湿疹が治った経験を信じて『無添加』に突き進む。『人の体や環境にも優しい』と考えた決心だった。・・・広島大学などと共同開発し、新型インフルエンザ対策用のハンドソープも発売した。水の使用を抑えるせっけん系の消火剤を全国の消防局に納めたり、海外市場をにらむ大規模な林野火災用の消火剤を開発したり。『人と環境に優しいせっけん製品』の幅を広げている。」の記載がある。(平成22年4月16日 朝日新聞 西部地方版/地方総合 20頁 西部共通)
(14)「[学ぶ・教わる・知る]遊子小新聞=愛媛」の見出しのもと、「EM石けんの成分は、1日で二酸化炭素(にさんかたんそ)と水に分解され、魚や貝が食べても死んだりせず海を汚したりしません。EM菌の働きで、ヘドロがきれいになり海草が育ちます。トイレやお風呂の排水口(はいすいこう)がきれいになり、においも消えます。EM石けんは体にとてもやさしいのです。」の記載がある。(平成23年6月16日 読売新聞 大阪朝刊 31頁)



審理終結日 2012-05-15 
結審通知日 2012-05-17 
審決日 2012-06-04 
出願番号 商願2010-95221(T2010-95221) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
高橋 謙司
商標の称呼 ミンナニヤサシイ、ミンナニヤサシー 
代理人 須田 孝一郎 
代理人 須田 元也 

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