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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1261481 
審判番号 不服2011-13986 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-30 
確定日 2012-07-18 
事件の表示 商願2010-42447拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「だしあじ旨口」の文字を標準文字で表してなり、第30類「みそ」を指定商品として、平成22年5月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「食料品の分野において、『だしの味』ほどの意味合いが理解される『だし味』に通ずる『だしあじ』の文字と、『旨味のあること』ほどの意味合いが理解される『旨口』の文字とを、『だしあじ旨口』と標準文字で表してなることより、本願商標からは、全体としても、『だしの味がして、旨味がある』程度の意味合いが把握される。そうすると、本願商標を指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、だしの味がして、旨味がある商品であること程度を認識するにとどまるので、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記品質を有する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「だしあじ旨口」の文字よりなるところ、その前半部は「だしあじ」の平仮名よりなるものであるが、食品分野では、「味」の文字について、例えば、「塩味」を「塩あじ」、「味噌味」を「味噌あじ」、「甘味」を「あまあじ」のように「味」の文字部分を平仮名で表すことは一般に行われているものであるから、「だしあじ」の文字部分は、「だし味」の文字の「味」を平仮名で表したものであると理解、認識されるものである。
そして、「だし味」の文字は、食品分野では、以下のように使用されている事実が確認できる。

「だし味」の文字の使用例(下線は当合議体で付与した。)
ア 「キッコーマン(株)」のウェブサイトにおいて、「ホームクッキング レシピ」の見出しのもと、「だし味しっかりカレー鍋」の記載がある。また、「レシピで使用している商品のご紹介」の欄の説明文に、「キッコーマン本つゆ かつおと昆布の合わせだしに、特選丸大豆しょうゆと万上本みりんを絶妙な味のバランスで合わせました。」の記載がある。
(http://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe.php?numb=00004771)
イ 「(株)かねとく」のウェブサイトにおいて、「レシピ紹介」の見出しのもと、「『関西風だし味とびっこ』のお料理レシピ」の記載があり、説明文(抜粋)に「鰹だしと昆布だしの旨みがタップリ、しかも関西風のうす味です。そこで、関西風だし味とびっこを使ったプロの料理人直伝。」の記載がある。(http://www.kanetoku.co.jp/recipe/)
ウ 「(株)あいち研醸社」のウェブサイトにおいて、「大豆加工品」の見出しのもと、「だし味うの花(サクラえび入り)」の記載があり、説明文に「国産大豆の白肌のおからにしっとり、だし味のきいたうの花です。」の記載がある。(http://www.aiken-net.com/yuba/dasiaji_unohana.html)

また、商品「みそ」においては、各種のだしで味付けした「だし入りのみそ」が販売されている実情がある。
してみれば、「だしあじ」の文字は、「だしの味(だし味)」の意味合いを認識させるものである。

(2)次に、本願商標の後半部の「旨口」の文字部分は、商品「みそ」について、例えば「辛口」、「甘口」のように「商品の口当り」を表すものとして、以下のように使用されている事実が確認できる。

「旨口」の文字の使用例(下線は当合議体で付与した。)
ア(有)井上糀店のウェブサイトにおいて、「海風(うみかぜ)1kg詰」の見出しのもと、説明文(抜粋)「大地と海の恵みがたっぷりと詰まった当店最高峰の旨口味噌」の記載がある。
(http://www.komemiso.com/SHOP/M-010.html)
イ 「(株)大場善次郎商店」のウェブサイトにおいて、「米こうじたっぷり 旨口の味噌【madein東北】 米こうじ味噌5kg」の記載がある。
( http://store.shopping.yahoo.co.jp/obasaketen/5780.html)
ウ 「(株)コメリ」が運営する通信販売サイトである「コメリ産直市場」のウェブサイトにおいて、「新潟米仕込『延齢』3kg朱樽【新潟県新潟市産】の欄の商品説明に「せっかくだからおいしく調理を…。味噌汁、みそ料理を引き立てる旨口みそです。新米のみそおにぎりは何よりのおやつです。」の記載がある。(http://www.sancyoku.jp/main?ctc=0301)

そうとすれば、「旨口」の文字は、商品「みそ」の「口当り」を指称するものであるといえるものであって、該文字に接する需要者は、「商品の口当りが旨口であること」程の意味合いを認識させるものであるから、商品の品質を表したものといえるものである。
(3)上記(1)及び(2)の実情からすれば、本願商標は、「だし味」を理解させる「だしあじ」の文字と「口当りが旨口であること」を理解させる「旨口」の文字とを一連に表したものであり、全体としても個々の文字が有する意味合いを合わせて認識する以上の別異の意味合いを生じさせるものでないから、本願商標は全体として「だし味が効いて旨口である。」の意味合いを認識させるにすぎない。
そうすると、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)請求人は、本願商標の「だしあじ」の文字部分については、辞書に掲載されていない俗語であって「だし味」ではない旨主張している。
しかしながら、「だしあじ」の文字が「だし味」に通じるものとみるべきことは上記(1)のとおりである。
また、請求人は、本願商標の「旨口」の文字部分が「旨み」を意味するものではなく、「甘みがある」という意味であって、該「旨口」の文字の使用例が数件程度であるとすると普通に用いられているとはいえない旨主張している。
しかしながら、「旨口」の文字は、食品分野において、口当たりを表す品質を表す用語として普通に使用されているものであり、また、「みそ」についても同様であるから、「旨口」の文字は上記(2)のとおり品質を表すものと認識されるとみるべきである。
そして、請求人は、過去の裁判例及び審決例をあげ本願商標が登録されるべきであると主張するが、請求人の主張している裁判例及び審決例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張はいずれも採用することはできない。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-05-14 
結審通知日 2012-05-18 
審決日 2012-05-29 
出願番号 商願2010-42447(T2010-42447) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 梶原 良子
小俣 克巳
商標の称呼 ダシアジウマクチ 
代理人 伊藤 捷雄 

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