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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X19
管理番号 1261451 
審判番号 不服2011-9800 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-10 
確定日 2012-07-13 
事件の表示 商願2009-8493拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ユニット」の文字を標準文字で表してなり、第19類「建築用の樹脂製合成木材,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,木材」を指定商品として、平成21年2月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『単位,部分』等を意味するカタカナ語として親しまれ、建築、機械、家具等の業界において全体を構成する一部分という意味で普通に使用されている『ユニット』の文字よりなるものであり、本願指定商品との関係でも、例えば、『窓ユニット』『天井ユニット』『内装壁ユニット』『内装床ユニット』『玄関ユニット』等と、ユニット化された住宅資材の1単位を表す言葉(語)として普通に使用されているものであるから、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋及びそれに対する請求人の対応
当審において、請求人に対し、平成24年1月30日付けで、別掲1ないし3のとおりの内容を示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の審尋をし、期間を指定して、これに対する意見を求めた。しかし、請求人は、所定の期間を経過するも、何らの応答もしなかった。

4 当審の判断
本願商標は、「ユニット」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「規格化された部品」等の意味を有する語として知られており、本願指定商品を取り扱う業界においては、建造される建物の量産効果を上げるためにプレファブ化することや、数種の部品を一体化するシステムのことを「ユニット化」と称していることが認められる(別掲1参照)。
また、昭和50年代頃よりプレファブリケーションの工業的導入による部品のシステム化が進み(別掲2参照)、現在では、同一又は複数の形状の部材を用いて規格化し、施工を容易にするなどした天井、床、壁などに用いるユニット化(規格化)された製品が一般に製造、販売されており、ユニット床材、ユニット式タイル、内装床ユニット、内装壁ユニット、天井ユニット等と称して取引されている(別掲3参照)。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「規格化されたもの」であることを表したものと理解し、商品の品質、用途を表示するものとして認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、原査定においては、商標法第3条第1項に係る拒絶の理由について、本願商標が同項第6号に該当するとして本願を拒絶したものであるが、本願商標は、上記のとおり、その指定商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標であり、この認定において原査定と実質的に相違するものではないから、結局、本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
審尋の内容
1 「ユニット」の文字について
(1)「コンサイスカタカナ語辞典第3版」(株式会社三省堂発行)において、「ユニット」の見出しの下、「規格化された部品.」の記載がある。
(2)「建築大辞典第2版<普及版>」(株式会社彰国社発行)において、「ユニットか[-化]」の見出しの下、「建物または家具の量産効果を上げるためにプレファブ化したり,数種の部品を一体化するシステム.」の記載がある。
(3)「建築用語辞典(第二版)」(技報堂出版株式会社発行)において、「ユニットか -化」の見出しの下、「建築物のある基準単位をプレファブ化すること.ユニット バスのように空間単位のものや,鉄骨やカーテン ウォールのように単に部材を大型化するもの等がある.」の記載がある。

2 建築の部品化について
(1)「第2版 建築学便覧 II構造」(丸善株式会社発行、636頁)において、「10・9・1概説 A.部品・構造材の成立 2)部品化の歩み」の見出しの下、「こうした背景のもとに,建築の部品化が進んできたのであるが,その流れを総括すると,昭和20年代の材料工業化の時代,30年代の部品化への発想の時代,40年代は部品の定着,部品大型化の時代,50年代は部品を中心にしたシステム化の時代と見ることができるのである.こうした歩みは,建築生産方式の変化,すなわち,プレファブリケーションの工業的導入によって支えられてきたのである.そして,それは具体的にはパネル部品・ユニット部品・システム部品と,複合化・大型化・多機能化が進められ,壁パネル・床パネル・屋根パネル・収納ユニット・設備ユニット・システム天井・可動間仕切システム・住宅内装システムと,建物の様々な部分が部品化されたのである.」の記載がある。

3 ユニット化(規格化)された製品の例
(1)1993年(平成5年)11月10日付け「日刊工業新聞」(35頁)に、「南海プライウッド、クローゼットのユニット分野に進出。優れた意匠の低価格品投入」の表題の下、「住宅天井板の専門メーカー、南海プライウッド(高松市松福町1の15の10、社長丸山修氏、電0878・25・3615)は、クローゼット(押し入れ)用のユニット建築建材分野へ進出する。建築現場での手間軽減、能率化に伴う建材のユニット化傾向に対応、意匠的に優れた低価格品を本格的に投入する予定。・・・ところが最近の建築現場では、プレカットして寸法を合わせた柱材など簡単に施工できるユニットタイプの建材が増えているという。そこでこれらを一体化するとともに、形や色、模様などの工夫を凝らした安価なユニット製品として新たに開発、販売に乗り出すことにした。」との記載がある。
(2)1995年(平成7年)2月17日付け「朝日新聞」(東京夕刊9頁)に、「プレハブ住宅 工場の中で9割がた完成(現場の風景・つくる)」の表題の下、「この工場でつくっているのは、ユニット式と呼ばれるタイプ。土を主原料にしたセラミックスの壁材を、ボックス型に組んだ鉄骨にはめ込んで台所などの各ユニットをつくり、建築現場で合体させる。」との記載がある。
(3)2002年(平成14年)8月9日付け「日刊工業新聞」(14頁)に、「三菱樹脂、天然木の質感実現の樹脂製床材を発売」の表題の下、「三菱樹脂は8日、天然木と同等の質感を実現した樹脂製のユニットフロア『NEWウッドリーテックス』を9日発売すると発表した。住宅のベランダやバルコニーに30センチメートル角のユニット床材製品を接合して、敷くだけで簡単に施工できる。」との記載がある。
(4)2003年(平成15年)4月15日付け「日刊工業新聞」(18頁)に、「ウッドワン、簡易施工型ウッドデッキを発売。部材ユニット化」の表題の下、「【広島】ウッドワンは、簡易施工型のウッドデッキ『楽ラクデッキ』を21日に発売する。木製エクステリアシリーズのウッドデッキの主要部材をユニット化したもので、簡単に組み立てられるため、現場での作業時間を半減できる。約3・6×約1・8メートルの施工が1日で済む。」との記載がある。
(5)2011年(平成23年)5月23日付け「読売新聞」(東京朝刊12頁)に、「[住]窓・ベランダで暑さ遮る ガラスやタイルに一工夫」の表題の下、「また、TOTO(北九州市)はユニット式タイル『バーセア』を販売。保水機能のある商品は、30センチ四方で1733円から。ベランダの床に手軽に設置できる。水をまけば窓辺の涼しさも感じられそうだ。」との記載がある。
(6)石川島建材工業株式会社のウェブサイトの「GRC防音壁・景観壁/鋼製防音壁/環境調和壁」の項目中に、「各種素材を用いた工場ユニット式防音壁(景観壁)。工場でユニット化して現地へ納入するので、現地工期の大幅な短縮が見込めます。」との記載がある(http://www.ikk.co.jp/grc_s.html)。
(7)株式会社タカショーのウェブサイトの「エバーエコウッドデッキ」の項目中に、「施工が容易なユニットタイプです。・・・ユニットは、間口1間から半間刻みに4間まで、出幅が3尺から12尺までの8種類で56タイプの広さと、床の高さがSタイプ(H=450mm)とLタイプ(H=650mm)の2種類で合計112種類があります。」との記載がある(http://www.takasho.co.jp/goods/everecowood/ecodeck.html)。
(8) 一般財団法人ベターリビングのウェブサイトの「BL部品をさがす」の項目中に、「内装床ユニット,内装壁ユニット,天井ユニット,断熱改修用内装パネル(壁・天井)ユニット」との記載がある(http://www.cbl.or.jp/bldb/)。
(9)株式会社LIXILのウェブサイトの「商品情報」の項目中に、「タイルフロアユニット セライージー 並べることで開放的な明るさを演出する、バルコニー用のユニットシリーズです。」との記載がある(http://iinavi.inax.lixil.co.jp/products2/tile/search/item.php?seriesid=225)。
(10)フリーAXEZ株式会社のウェブサイトの「製品・サービス情報」中の「フローリングユニット」の項目中に、「一般的な繊維系タイルカーペットと同じ500mm×500mm角のタイル状床材です。繊維系タイルカーペットと置き換えることができるので、古くなった繊維系タイルカーペットと入れ替えて全面フローリングにリフォームしたり、部分的なフローリングが簡単にできます。」との記載がある(http://www.freeaxez.jp/products_flooring.html)。

審理終結日 2012-05-07 
結審通知日 2012-05-11 
審決日 2012-05-23 
出願番号 商願2009-8493(T2009-8493) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦蛭川 一治 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
山田 和彦
商標の称呼 ユニット 
代理人 林 宏 
代理人 林 直生樹 

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