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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1261432 
審判番号 取消2011-300482 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-05-24 
確定日 2012-07-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4812991号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4812991号商標(以下「本件商標」という。)は,「ステファン」及び「STEPHAN」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成16年4月2日に登録出願され,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成16年10月22日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成23年6月8日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べている。
請求人の調査したところでは,本件商標は,その指定商品について,本件審判請求前3年以内に国内において商標権者によって使用されている事実は見当たらない。
また,専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため,使用権者による使用も考えられず,この点からも,本件商標は不使用の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出している。
1 被請求人の商標の使用について
(1)被請求人の使用に係る商標は,髪型の図形の下方に「STEPHAN」の欧文字を横書きに形成したもの(以下「使用商標A」という。別掲1参照。)及び,斜め筆記体風の「Stephan」の欧文字を横書きに形成したもの(以下「使用商標B」という。別掲2参照。)であり,使用商標A又はBを表示した2種類のタグ(バックネームや下げ札)は,少なくとも平成17年から現在までメイワ株式会社(以下「メイワ社」という。)が製作して被請求人に継続して納入している(乙第1号証の1及び2)。
また,上記使用商標A又はBを表示した2種類のタグ(バックネームや下げ札)は,平成23年から株式会社アイ・コーポレーション(以下「アイコーポレーション社」という。)も製作して被請求人に継続して納入している(乙第2号証の1及び2)。
(2)被請求人は,卸売業者で小売販売を行っていないため,顧客の一人である有限会社ブティック「ハーフ」(以下「ブティックハーフ社」という。)の店舗を外側から撮影した写真(乙第3号証の1及び2),及び同店舗の内部を写した写真(乙第3号証の3及び4)を提出する。
ブティックハーフ社は,同店舗において各種婦人服などを取り扱っており,被請求人から卸し購入を受けた商品,例えば,ワンピース,ブラウス,Tシャツ,チュニックなどの婦人服の販売を行っている。
ここで,使用商標Aを付した商品「各種婦人服」を店内に陳列展示している状態を示す写真と,同商品に付した使用商標Aのタグ(バックネームと下げ札)を拡大した状態の写真とを対にして提出する(乙第3号証の5及び6)。
また,使用商標Aを付した商品「各種婦人服」を店内に陳列展示している状態を示す写真と,同商品に付した使用商標Aのタグ(バックネームと下げ札の裏面部)の拡大写真を対にして提出する(乙第3号証の7ないし10)。ここで,タグ(下げ札)の裏面部には,被請求人の名前が印刷されており,被請求人から該商品を購入したことが理解できる。このタグ(下げ札)の表面部は,乙第3号証の6に示したものと同じである。
さらに,使用商標Bを付した商品「各種婦人服」を店内に陳列展示した状態の写真と,同商品に付した使用商標Bのタグ(バックネームと下げ札)の拡大写真とを対にして提出する(乙第3号証の11及び12)。また,使用商標Bを付した商品「各種婦人服」を店内に陳列展示した状態の写真と,同商品に付したタグ(バックネームと下げ札の裏面図)の拡大写真をそれぞれ提出する(乙第3号証の13ないし16)。さらに,使用商標Bを付した商品「婦人セーター」のタグ(バックネームと下げ札)を拡大した写真を提出する(乙第3号証の17)。
乙第3号証の14及び16に示したタグ(下げ札)の表面部は,乙第3号証の17と同一である。
(3)ブティックハーフ社は,使用商標A又はBを付した商品「婦人服」を,少なくとも平成17年から現在まで,被請求人から継続して購入し,該商標を付した商品を継続して販売している(乙第4号証の1及び2)。
(4)婦人服店「manierra」は,使用商標A又はBを付した商品「婦人服」を,少なくとも平成20年から現在まで被請求人から継続して購入し,該商標を付した商品を継続して販売している(乙第5号証の1及び2)。
(5)メイワ社は,使用商標A又はBを表したタグ(バックネームや下げ札)を製造して被請求人に納入する(乙第1号証の1及び2)とともに,商標「STEPHAN」や「ステファン」を付した商品「婦人服」を平成17年から現在まで継続して製造し被請求人に納入している(乙第1号証の3)。
(6)アイコーポレーション社は,使用商標A又はBを表したタグ(バックネームや下げ札)を製造して被請求人に納入する(乙第2号証拠の1及び2)とともに,商標「STEPHAN」や「ステファン」を付した商品「婦人服」を平成23(2011)年4月以前から現在まで継続して製造し被請求人に納入している(乙第2号証の3)。
(7)乙第6号証の1ないし4,7,23,25,30,31及び33は,メイワ社がブランド「STEPHAN」を付した商品「婦人服」を被請求人に納品したことを示す2009年8月20日付,同年9月9日付,同年9月15日付,同年10月15日付,2010年11月2日付,同年11月19日付,2011年3月10日付,同年3月11日付,同年4月18日付の各納品書の写しである。
乙第6号証の8ないし13,18ないし22,24及び32は,メイワ社がブランド「ステファン」を付した商品「婦人服」を被請求人に納品したことを示す2010年3月24日付,同年3月29日付,同年4月13日付,同年4月20日付,同年8月19日付,同年9月14日付,同年10月23日付,同年11月2日付,2011年3月22日付の各納品書の写しである。
乙第6号証の5,6,14ないし17,26ないし29,34及び35は上記各納品書に記載された商品の品番などの内容を示した資料の写しである。
2 商標の同一性について
(1)本件商標は,片仮名「ステファン」と欧文字「STEPHAN」を2段に構成したものであるのに対し,使用商標Aは髪型の図の下方にゴシック体風の欧文字「STEPHAN」を横書きしたもの(乙第1号証の1及び乙第2号証の1)であり,使用商標Bは筆記体風の欧文字「Stephan」を横書きしたもの(乙第1号証の2及び乙第2号証の2)である。
この欧文字「STEPHAN」は,通常の独和辞書に「男名」,即ち男子の名前と記載されている(乙第7号証)。そして,この欧文字からの称呼をローマ字式に表記した片仮名「ステファン」は,男の名前として自然な称呼であり,その観念も同じである。
(2)社会通念上同一視できるか否かについて判断された審判決例,取消2004-30244号審判(乙第8号証)と平成14年(行ケ)第591号審決取消請求事件(乙第9号証)を提出する。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,乙第1号証ないし乙第6号証(枝番含む。)に示すように,第25類の商品「婦人服」について,被請求人が少なくとも平成23年4月以前から現在まで継続して使用していることが明らかである。
よって,本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 使用商標A及びBの使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証の1ないし3は,メイワ社が,平成17年から現在まで継続して,使用商標A又はBを表示した「タグ」及び「ステファン」又は「STEPHAN」の商標を付した商品「婦人服」を製造し被請求人に納入していることを証明する書面と認められる。
(イ)乙第2号証の1ないし3は,アイコーポレーション社が,平成23年4月以前から現在まで継続して,使用商標A又はBを表示した「タグ」及び「ステファン」又は「STEPHAN」の商標を付した商品「婦人服」を製造し被請求人に納入していることを証明する書面と認められる。
(ウ)乙第3号証の1ないし17は,ブティックハーフ社の店舗の店頭,店内における商品展示状態,タグ(下げ札)の使用状態等を撮影した写真と認められる。これらの写真によれば,ブティックハーフ社の店舗では,婦人服を着たマネキン人形が設置されているほか,各種婦人服が展示されており,それぞれの婦人服には,襟ネーム部分に使用商標A又はBと略同様の標章を表示した布片が付されると共に,使用商標A又はBを表示した下げ札が付されている。該下げ札の裏面には,商品NO.,サイズ,生地素材,価格等と共に「株式会社アバン」の文字が記載されている。
(エ)乙第4号証の1及び2は,ブティックハーフ社が,平成17年から現在まで継続して,使用商標A又はBを付した商品「婦人服」を被請求人から購入し販売していることを証明する書面と認められる。
(オ)乙第6号証の1ないし35は,2009年8月20日から2011年4月18日までの間に複数回に亘ってメイワ社が被請求人宛に発行した「製品納品書」の各写し,及び該「製品納品書」に記載された商品の品番に相当する商品の内容を示す一覧表の写しと認められる。
上記「製品納品書」には,左上隅の「ブランド」欄に「STEPHAN」又は「ステファン」の文字が記載されているほか,「営業品番」欄に「41093-20081」,「41093-20111」等の数字が記載され,「品名」欄に「ナンバー5長袖」,「ナンバー3半袖」等の文字が記載され,それぞれに応じた数量,単価,金額が記載されている。また,上記一覧表は,品番毎に整理され,それぞれ商品を描いた図形,サイズ,色番,数量,売単価等が記載されているほか,欄外に「STEPHAN」の文字が記載されている。
そして,上記「製品納品書」に記載された「41093-20081」等の数字は,上記一覧表に記載された品番と一致し,上記一覧表の記載に徴し,例えば,2009年8月20日付「製品納品書」の「営業品番」欄に記載された「41093-20081」は,長袖Tシャツであり,色番「C/#99」「C/#90」「C/#95」,売単価「¥2,250」であることが判る。同じく「41093-20111」は,半袖Tシャツであり,色番「C/#39」「C/#85」「C/#90」,売単価「¥2,100」である。
なお,上記一覧表に掲げられた商品のデザイン図の中には,胸部中央に使用商標Aと略同一の標章が表示されたTシャツ等が散見される。
(2)上記(1)の認定事実を総合勘案すると,被請求人は,本件審判請求の登録(平成23年6月8日)前3年以内である2009年8月20日から2011年4月18日までの間に複数回に亘って,メイワ社から同社製造に係る婦人服を仕入れ,それにメイワ社製造に係るタグ(下げ札)を付してブティックハーフ社に販売(卸売)していたものとみるのが自然である。なお,2011年からはアイコーポレーション社の製造に係る婦人服も被請求人によって取り扱われていたものと推認される。
他方,ブティックハーフ社は,被請求人から仕入れた上記下げ札付きの婦人服をその店舗で販売(小売)していたものと推認される。加えて,上記下げ札には被請求人の名称が表示されていることから,上記下げ札を付した婦人服は,被請求人の業務に係る商品であると認識し理解されるものといえる。
そして,上記下げ札には,使用商標A又はBが表示されていることが明らかである。
そうすると,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に商品「婦人服」について使用商標A及びBを使用していたものというべきである。
なお,上記「婦人服」は,本件商標の指定商品中の「被服」の範疇に属する商品と認められる。
2 商標の同一性について
本件商標は,上記第1のとおりの構成からなるところ,一般に仮名文字と欧文字とを併記した構成の商標において,その仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できる場合には,仮名文字部分から生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当であり,本件商標も「ステファン」の文字は「STEPHAN」の文字の読みを特定したものとして容易に認識されるというべきであるから,「ステファン」の称呼のみを生ずるものである。また,我が国におけるドイツ語の普及状態に鑑みれば,「STEPHAN」の文字からは直ちに親しまれた既成の観念を想起し得ず,むしろ一種の造語として認識し把握されるというべきである。
これに対し,使用商標Aは,別掲のとおり,長方形の輪郭内に長い髪の女性の横顔を描いた図形と「STEPHAN」の文字とを配した構成からなるところ,該図形と「STEPHAN」の文字とが常に不可分一体のものとしてのみ認識されるべき格別の理由は見いだし難く,それぞれが独立して自他商品識別標識としての要部になるというべきものである。そして,この「STEPHAN」の文字は,本件商標の欧文字部分と同一の綴りからなり,同一の称呼を生ずるものといえる。
そうすると,使用商標Aは,欧文字部分をもって本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
また,使用商標Bは,別掲のとおり,黒地に筆記体による「Stephan」の文字を白抜きした構成からなるところ,該文字と本件商標の欧文字部分とは,ゴシック体と筆記体の差,大文字と小文字の差を有するものの,綴りを同じくし,同一の称呼を生ずるものであるから,使用商標Aと同様,本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者が,本件指定商品中「被服」について,本件商標の使用をしたことを証明したものというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 <使用商標A:色彩の詳細は乙第3号証の6を参照されたい。>





別掲2 <使用商標B>




審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-17 
審決日 2012-03-01 
出願番号 商願2004-31544(T2004-31544) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
末武 久佳
登録日 2004-10-22 
登録番号 商標登録第4812991号(T4812991) 
商標の称呼 ステファン 
代理人 吉田 親司 
代理人 田代 和夫 
代理人 小出 俊實 
代理人 橋本 良樹 
代理人 潮崎 宗 
代理人 石川 義雄 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 幡 茂良 

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