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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
管理番号 1261427 
審判番号 不服2011-17649 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-15 
確定日 2012-07-11 
事件の表示 商願2010-59731拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第3類「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成22年7月29日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品中『化粧品』との関係では、マスク状の化粧品の右側半分を描いてなるものである。そして、該マスク状の化粧品には、その流通にあたって、半分に又はそれ以上に畳んだ状態で包装されいる商品も存在してる状況である。そうとすれば、本願商標をその指定商品中『マスク状の化粧品』に使用した場合には、これに接した需要者は、商品が縦半分に畳んで包装されているものと、その商品の形状、包装の状態、すなわち商品の品質を表示するものと認識するにすぎず、自他商品の識別標識としての商標とは認識し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、細線で描かれた上下2つの図形よりなり、構成全体としては、左側部分を直線とする半円様に描かれてなるものである。そして、上部の図形は、その中央付近に横長の楕円を描き、底部の左から1/4程の地点から、やや左上方向に前記楕円の左端方向に向かって線を描き、さらに底部は上記細線の左側部分がその右側部分よりややへこんで描かれてなるものである。また、下部の図形は、左から1/4程の地点から左端の直線部に向かって横長に広がる半楕円形状を描いてなるものである。
ところで、本願指定商品は、各種の化粧品成分をしみこませ顔を覆うように使用するマスク状の化粧品(以下「マスク状化粧品」という。)を含むものであり、マスク状化粧品は、目や口等の部分を切り抜き、さらに、立体的な顔の形状に沿うように、鼻の左右やマスクの端部に切り込みを入れてなるものや顔の上部部分と下部部分用にセパレートにしたものが以下の様に販売されている(なお、以下のインターネット情報及び雑誌掲載の商品のパッケージや広告にその商品の形状(顔面状の半面で示す場合もある。)が表されている。)。
ア 「花王株式会社」のウェブサイトの商品「ホワイトニングクロスシナジーマスク」(http://www.kao.co.jp/est/products/skincare/special03.html 別掲2)。
イ 「ロート製薬株式会社」のウェブサイトの商品「エピステーム コンセントレイトマスク」(http://www.episteme-net.jp/lineup/skincare/34mask.html 別掲3)。
ウ 「株式会社 産経デジタル」の「イザ iza」なるウェブサイトの商品「ディープモイスト3Dマスク」(http://jyoshi-bu.iza.ne.jp/jyoshi-bu/osyare/1012/1210.html 別掲4)。
エ 「セーレン株式会社」のウェブサイトの商品「まゆフェイスパック」(http://www.comoace.com/other/face-pack.html 別掲5)。
オ 「株式会社シャンティ」のウェブサイトの商品「アストレア ヴィルゴ/ラッピングスキンパックシート」(http://www.chantilly.co.jp/products/detail/193.html 別掲6)。
カ 「株式会社ディーエイチシー」のウェブサイトの商品「DHC PAナノコロイドマスク」(http://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=3824 別掲7)。
キ 「COSME ALPHA WEB」なるウェブサイトの商品「透明ラップマスク」(http://www.cosme-prouse.com/cosmetics/biyoumask/lapmask.html 別掲8)。
ク 「株式会社 集英社」発行の雑誌「MORE 2011年1月号 261頁」における商品が「ピッタリ密着!ウワサの3Dマスクでプルリ弾み肌へ」のタイトルの下、掲載されている(別掲9)。
ケ 「MISSHA」のウェブサイトの商品「ミシャ ニアビューティ トータルゲルマスク」(http://www.misshajp.com/goods/details.php?goods_id=1889 別掲10)。

そして、マスク状化粧品は、通常、左右対称であり、本願商標の態様の上記特徴は、マスク状化粧品の上記特徴と一致しているものである。
そうとすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者が、指定商品「マスク状化粧品」との関係において、その右側半分のみを表したものと容易に認識するといい得るものであるから、本願商標は、前記商品の形状の一形態を表したものとみるのが相当である。

(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、全体として、略扇状図形と、丸みを帯びた台形状図形とを上下に配してなるところ、これが、顔全面に貼付するため通常は円状である「フェイスマスク」であることを容易に認識することはできない旨、述べている。
しかしながら、前記(1)に記載したインターネット等の情報によれば、「マスク状化粧品」について、その形状の反面を表示して宣伝、広告がなされ、また、左右半分に折り畳み、その形状が見えるように包装し、販売している実情が見受けられるところ、本願商標の態様の上記特徴は、需要者等においてよく知られている「マスク状化粧品」の特徴を十分に備えているものと認められるものであるから、本願商標の構成全体が円状でないとはいえ、需要者等は、本願商標の構成態様から、前記商品を容易に認識できるといえるものである。
また、請求人は、本願商標について、下方が膨れたボリュームのある印象を与える点、極めて単純な線で描かれている点を挙げ、需要者等が目や口や鼻に相当する部分にあたる切れ込みとは直接的に理解できないから、本願商標を「マスク状化粧品」であると理解することはできない旨、述べている。 しかしながら、前記(1)に記載したインターネット等の情報によれば、「マスク状化粧品」における下部の横幅が、実際の人面の輪郭よりも広い印象を与えるような形状の商品も多く見受けられるものであり、また、人面の立体的な形状に沿うように入れられた切り込みが、線のように見えるものであり、また、それを図示することが普通に行われていることから、当該商品が「マスク状化粧品」であることを容易に理解させる以上に顕著なものとはいい難いものである。そして、該商品について、形状に機能上の観点から特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われている実情があるところ、請求人の主張する本願商標の形状の特徴は、商品の機能的な観点から効果をもたせる(例えば、頬の側面まで広く覆うことができる機能等。)ための範囲のものというべきものであって、当該特徴をもって本願商標が自他商品を識別する標識としての機能を有するものとはいえない。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も識別力を有する旨も述べているが、請求人が主張する登録例に係る商標は、本願商標とは、その構成等が相違するものであって、本願とは事案を異にするものであり、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
以上のとおり、請求人のいずれの主張も採用することができない。

(3)まとめ
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「マスク状化粧品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は該商品の形状を表示したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならず、また、前記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「マスク状化粧品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標



別掲2


別掲3


別掲4


別掲5


別掲6


別掲7


別掲8


別掲9



別掲10




審理終結日 2012-05-11 
結審通知日 2012-05-14 
審決日 2012-05-29 
出願番号 商願2010-59731(T2010-59731) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X03)
T 1 8・ 13- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 堀内 仁子
豊瀬 京太郎
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 小暮 君平 
代理人 工藤 莞司 

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