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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 130
管理番号 1259841 
審判番号 取消2011-300388 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-04-18 
確定日 2012-07-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第2208425号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2208425号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2208425号商標(以下「本件商標」という。)は、「扇港」の文字を横書きしてなり、昭和62年9月30日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録、同21年10月21日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
本件審判請求の登録日(予告登録日)は、平成23年5月17日である(甲第3号証)から、審判請求の登録前3年内、すなわち、平成20年(2008年)5月17日から同23年(2011年)5月16日までの期間(以下「要証期間」という。)における本件商標の使用が証明されなければならない。
しかしながら、乙各号証には、要証期間内の本件商標の使用を証明するものはない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証-1には日付の記載がない。乙第1号証-2及び3には、包装材に「賞味期限11.12.17」と印刷されているが、その商品は、答弁書によれば賞味期限が製造日から4か月なので、2011年8月17日ころ製造されたことになり、要証期間中の使用を証明するものではない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証の納品受領書の日付は、「2008.5.14」とあり、要証期間内のものではない。
なお、納品受領書の品名欄の「お好みあられ扇港」の表示は、当該表示が一体不可分として自他商品識別機能を果たしており、本件商標とは社会通念上同一とはいえない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証-1は、「4/24」「4/30」「5/14」の各項目にマーカーが引かれているが、答弁書によれば乙第2号証の日付などと整合するとのことなので、いずれも2008年の日付となり要証期間外のものである。
また、売掛元帳は被請求人の経理書類であって、取引書類ではないので、商標の使用を証明するものではない。乙第3号証-2も売掛元帳なので、商標の使用を証明するものではない。
(4)乙第4号証について
要証期間外のものであって、運送会社の運賃請求明細書なので、商標の使用を証明するものではない。
(5)乙第5号証について
乙第2号証に記載の法人、乙第4号証の発行人などに関するウェブページのプリントアウトなので、被請求人の商標の使用を証明するものではない。
(6)乙第6号証について
被請求人も認めるように要証期間以前のものである。被請求人が「扇港」に関連する包材を要証期間の始期より1年以上前に購入していることと、被請求人が要証期間内に本件商標をその指定商品「菓子及びパン」について使用していたということは、全く別の話であり、被請求人の要証期間内の本件商標の使用を証明するものではない。
(7)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を取消請求に係る指定商品に使用したことを証明していないので、本件商標は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び上申の内容を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
2 答弁の理由
被請求人(商標権者)は、審判請求の予告登録日である平成23年5月13日(審決注:正しくは平成23年5月17日である。)の前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品のうち少なくとも「菓子」について、本件商標の使用をしている。
(1)被請求人は、2008年(平成20年)5月14日に、本件商標を商品「おかき」の包装袋に付し(乙第1号証)、かつ、これを菓子の小売店である田中製菓株式会社(以下「田中製菓」という。)に販売した(乙第2号証ないし乙第5号証)。
ア 乙第1号証は、本件商標を付した商品の写真であり、被請求人の使用する商標は漢字「扇港」を毛筆体及びゴシック体のごとく表記してなり、「菓子(おかき)」に使用するものである。これら使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標である。
イ 乙第2号証は、被請求人が本件商標を付した商品を田中製菓に納品した際の納品受領書である。これに示すとおり、被請求人は、2008年5月14日に「109gお好みあられ扇港」(乙第1号証の商品。以下「本件商品」という。)12個を田中製菓に納品した。
ウ 乙第3号証ないし乙第5号証は、乙第2号証を補完する証拠である。乙第3号証は、被請求人の売掛元帳であり、「05/14 214038 31 田中製菓」との記録があり、乙第2号証の日付・伝票番号と整合する。
乙第4号証は、田中製菓に本件商品を納品した際の運賃請求明細書であり、2008年5月14日に、伝票番号214038の商品が田中製菓に運搬されている。これは、乙第2号証及び乙第3号証の日付・伝票番号と整合する。乙第5号証は田中製菓などの会社情報の写しである。
(2)また、被請求人は、2008年6月4日に、大阪ガス株式会社主催のガス器具展示会において本件商品を48個販売している(乙第3号証-2)。同展示会では、本件商品を被請求人の従業員がガス器具の展示品の脇で販売した。
なお、被請求人は現在も本件商品を定期的に製造している(乙第1号証-3の賞味期限参照)。
(3)証拠の日付は本件審判請求の予告登録日から3年以上経過しているが、本件商標が付された包装袋について、23,256枚を株式会社三宝に発注して2007年3月3日に納品を受け(乙第6号証)、同包装袋は現在も使用中である。
本件商品の賞味期間は製造日から4か月であり、田中製菓に納品された本件商品は、田中製菓の店頭で一定期間(約1ないし2か月程度)販売されている。必要があれば、田中製菓の店頭又は大阪ガス株式会社のガス器具展示会において本件商品が本件審判請求の予告登録前3年以内に販売されていたことの証明を補充する。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件商標を指定商品「菓子」に使用している。
3 上申の内容
被請求人は、平成24年4月11日付け上申書などで、被請求人及び同代理人は同年4月27日に行われる口頭審理に出席しない意向である旨及び口頭審理陳述要領書の提出は行わない意向である旨述べている。

第4 当審の判断
1 本件審判の請求の登録日について
被請求人は、本件審判の請求の登録日は平成23年5月13日と主張しているが、商標登録原簿によれば、該登録日は平成23年5月17日であることが認められる。
したがって、本件審判についての「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成20年5月17日から同23年5月16日まで(要証期間)である。
2 乙各号証について
(1) 乙第1号証は、商品の写真であり、その包装袋の表(乙第1号証-1)には、中央上部に毛筆書きで大きく「扇港」の漢字が、その右に小さく振り仮名「せんこう」が、右上部に「お好みあられ」の文字がそれぞれ縦書きされ、左上部には「植垣米菓」の文字が横書きされている。また、包装袋の下部には袋詰めされた商品と思われる「あられ」の写真が配されている。
包装袋の裏(乙第1号証-2及び3)には、右上部に毛筆書きの「扇港」の漢字とその振り仮名「せんこう」が、その右に「お好みあられ」の文字がそれぞれ縦書きされ、左上部には「賞味期限11.12.17」の文字が横書きされている。また、中央部には「お好みあられ 扇港」の文字が横書きされ、その下の表に「名称 米菓」「内容量 109g」の記載があり、製造者欄には商標権者の名称と住所が記載されている。
(2)乙第2号証は、商標権者が2008年5月14日付けで、「お得意先名」を「株式会社 サンエス北近畿」、「お届先名」を「田中製菓」として作成した「納品受領書」であり、そこには品名欄に「109gお好みあられ扇港」、内容欄に「12」、数量欄に「ケース 1」「バラ総数 12」などと記載されている。
なお、乙第2号証に記載されている商標権者の住所は、商標登録原簿の住所と異なるが、職権調査によれば、前者は商標権者のホームページの「会社概要」に記載された「本部」の住所と一致することが確認できた。
(3)乙第3号証は、商標権者の「売掛(金)元帳」であり、その5月14日の項には「田中製菓/109gお好みあられ扇港 12 1 12 215 2,580」などと記載され(乙第3号証-1)、平成20年6月30日作成のページ(乙第3号証-2)には、日付欄に「06/04」、商品名・摘要欄に「大阪ガス/109gお好みあられ扇港」、内容欄に「48」、ケース欄に「1」、バラ総数欄に「48」、単価・期日欄に「168」、売上金額欄に「8,064」などと記載されている。
しかしながら、平成20年6月4日に、商標権者がガス器具展示会において「109gお好みあられ扇港」(本件商品)を販売(譲渡)したことの証左はない。
(4)乙第6号証は、株式会社三宝が商標権者にあてた「07年3月20日締切分」とする請求書であり、その一覧表には、伝票日付欄に「07.3.3」、品番・品名欄に「1014-007 扇港」、数量欄に「23,256」、単価「12.50」、金額「290,700」などと記載されている。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、商標権者は、2008年(平成20年)5月14日に田中製菓に、自己の製造・販売する商品「109gお好みあられ扇港」(本件商品)1ケース、バラ総数12個を納品(引き渡し)した(上記2(1)及び(2))と認めることができる。
しかしながら、平成20年6月4日のガス器具展示会における販売については、商標権者作成の「売掛(金)元帳」にそれをうかがわせる記載があるとしても、本件商品を販売(譲渡)したことの証左はないから、かかる展示会において本件商品が販売されたと認めることはできない。
3 判断
(1)本件商品は、「米菓(あられ)」であり、本件審判の請求に係る指定商品「菓子及びパン」の範ちゅうに属する商品と認められ、また、本件商品(の包装)に表示されている漢字「扇港」は、本件商標「扇港」と、構成文字を共通にするものであるから、社会通念上同一の商標と認められる。
(2)そうとすれば、商標権者は、平成20年5月14日に、本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する「米菓(あられ)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したと認めることができる。
しかしながら、上記日付「平成20年5月14日」は、本件審判の請求の登録前3年以内(平成20年5月17日から平成23年5月16日まで)ではない。
(3)してみれば、被請求人提出の乙各号証によっては、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標の使用をしていたと認めることができない。
その他、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
(4)また、被請求人は、上記第3 3のとおり、平成24年4月27日に行われる口頭審理に出席しない意向である旨及び口頭審理陳述要領書の提出は行わない意向である旨述べ、証拠の補充や新たな主張・立証をしていない。
4 結論
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-05-07 
結審通知日 2012-05-09 
審決日 2012-05-22 
出願番号 商願昭62-110029 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (130)
最終処分 成立  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 堀内 仁子
梶原 良子
登録日 1990-01-30 
登録番号 商標登録第2208425号(T2208425) 
商標の称呼 センコウ、オオギミナト 
代理人 向井 尚子 
代理人 鳥巣 実 
代理人 中嶋 慎一 
代理人 中島 司朗 

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