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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1258413 
異議申立番号 異議2011-685011 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-04-18 
確定日 2011-12-07 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1037974号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1037974号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1037974号商標(以下「本件商標」という。)は、「KINECT」の欧文字を書してなり、2009年10月29日に南アフリカ共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2010年(平成22年)4月29日に国際商標登録出願され、第9類「Computer software,computer hardware,and computer peripherals.」を指定商品として、同年9月15日に登録査定、平成23年1月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
国際登録第1025034号商標(以下「引用商標」という。)は、「SOFTKINETIC」の欧文字を書してなり、2008年6月24日にベネルクス知的財産庁においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年(平成20年)11月21日に国際商標登録出願され、第9類、第28類、第38類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年5月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標は、「KINECT」の欧文字を横一連に書して構成されてなり、これに対し、引用商標は、「SOFTKINETIC」の欧文字を横一連に書して構成されてなるものである。このような構成態様において、引用商標について考察すると、その構成文字中の「SOFT」の文字は、「コンピュータソフトウェア」の略称として容易に認識させるものであり、その指定商品中の「コンピュータソフトウェア」及びこれらに類似する商品との関係にあっては、「SOFT」の文字以外の「KINETIC」の文字が看者の注意を引き、該文字部分が強い印象を与える部分、すなわち、引用商標の要部として認識されるものである。
そこで、本件商標を構成する「KINECT」と引用商標の要部たる「KINETIC」の文字とを比較すると、両者は「KINE」の文字を同じくし、語尾部において、「CT」と「TIC」の文字の差異を有するにすぎないものである。加えて、「CT」の文字は「select」「collect」等のように、「TIC」の文字も「romantic」「athletic」等のように、語尾部を構成する文字として日本で親しまれていることを考慮すると、「KINECT」と「KINETIC」の各語に共通する前半部分「KINE」が、特に強く看者の注意を引く部分として認識され、該部分に重きを置いて称呼されることは明らかである。
このような状況にかんがみると、本件商標は引用商標との関係において、外観、称呼が類似する商標であり、両者は、外観上、称呼上相紛れるおそれのある類似する商標であると言い得るものである。
これに加えて、本件商標権者は、米国における同商標「KINECT」(第85023473号)のオフィスアクションに対する応答書類において、「出願人は継続して有名なハウスマークXBOXを、製品ライン向けのマークKINECTのすぐ近くに使用している(例えば、「Kinect for Xbox 360」)、出願人商標は象徴的なMICROSOFTブランドとXBOXブランドと密接不可分であると看者に認識させ、需要者に混同を生じさせない独立した特徴のある商取引上の印象を与える。」旨主張し、引用商標と非類似であると主張しているが(甲3)、個人のウェブサイトにおいて「Microsoft Kinect」なる記載や、「Softkinect」なる記載が確認され、これらのウェブサイトの中には、登録異議申立人(以下「申立人」という。)会社の製品「Softkinetic」について「Softkinect」と誤って表示しているものの存在も確認することができ(甲4?甲6)、このことは、本件商標は引用商標と相紛らわしいがゆえに、その出所について混同を生じ得る状況にあることを物語るにほかならないものである。
上述の諸点を総合すると、本件商標と引用商標と外観上、称呼上相紛れるおそれのある類似の商標であり、また、本件商標に係る第9類に指定商品は、引用商標に係る第9類の指定商品と同一または類似の商品であるので、本件商標はこれと類似する先願先登録に係る引用商標が存在するにもかかわらず登録されたものであり、ゆえに、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号違反について
申立人は、2003年ころからコンピュータハードウェアやコンピュータソフトウェアの研究開発を行い、インタラクティブデジタルエンターテイメント、家庭用電化製品、ヘルスケア等の分野において、引用商標は申立人会社のいわゆるハウスマークとして使用されているものである(甲7)。
一方、申立人と本件商標権者との間においては、2008年4月23日付けで秘密保持契約が締結されており、また、2008年5月には、本件商標権者が申立人の3Dカメラの技術について、申立人の最高経営責任者及び最高戦略責任者と対談をしていることから(甲8、甲9)、本件商標権者は本件商標に係る国際商標登録出願の基礎となる米国出願日の2010年4月26日以前より、申立人会社が存在すること、その商号が「Softkinetic」であること、及び同社製品の優秀性を認識していたと言い得るものである。
また、本件商標権者は、2010年6月15日から17日にかけて米国ロサンゼルスで開催された世界最大のコンピュータゲーム関連の見本市たる「Electronic Entertainment Expo(E3)」に先駆けて(甲10)、同年6月13日に米国ロサンゼルスのGalan Centerにて、家庭用ゲーム機用のモーションセンサーコントローラーのワールドプレミアを開催し、それ以前は、「Project Natal」というコードネームを用いていた商品について本件商標「KINECT」を正式名称として使用する旨を発表している(甲11)。
さらには、この「Project Natal」というコードネームを用いていた商品については、2009年に我が国で開催された東京ゲームショウにおいても、その名称で出展されており(甲12)、前記秘密保持契約書の締結日が2008年4月23日であることを考慮すると、前述のワールドプレミアが開催される以前から、本件商標権者は申立人会社たる「Softkinetic」の存在及びその事業内容を把握していたと考えられるものである。
そして、申立人は、3Dジェスチャー認識ミドルウェアに引用商標を使用している。当該商品は、事前に定義されたインターフェースとジェスチャーベースのパターンの豊富なセットを有するソフトウェア開発キットである(甲13)。これに対し、本件商標権者は、パソコンに直接接続して、本件商標権者のウェブサイトからソフトウェア開発キットをダウンロードし、パソコンに接続したハード専用ソフトウェアを自由に開発できる機能を有する商品にも本件商標を使用しており(甲14)、該商品は引用商標を使用した前記商品及び引用商標に係る指定商品と類似するものである。
上述の諸点を踏まえると、本件商標権者は申立人との間に前記秘密保持契約を締結し、申立人の商号の略称たる「SOFTKINETIC」、その事業内容、技術力、製品等について充分に認識しているにもかかわらず、申立人に何らの承諾を得ることなく、本件商標を我が国に出願したものであり、実際の商取引における使用の結果、需要者が申立人の商号の略称たる引用商標と誤認するような事態を招いているものである(甲4?甲6)。
したがって、このように登録された本件商標について、本件商標権者にその指定商品への使用を容認することは、商取引の秩序を乱し、取引の公正を害することになるのは火を見るより明らかである。ゆえに、本件商標は、「公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある商標」であるにもかかわらず、その登録がされたものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「KINECT」の文字を同書、同大、等間隔にまとまりよく一体的に表してなるものであるから、これより生ずる「キネクト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認められる。
一方、引用商標は、「SOFTKINETIC」の文字を書してなり、同書、同大、等間隔にまとまりよく一体的に表してなるものであるが、その構成中語頭部の「SOFT」の文字は、指定商品との関係においては、「ソフトウェア」の略語として、その商品の品質を表すものと看取される場合もあるといえるから、引用商標は、「ソフトキネティック」の称呼及び「キネティック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認められる。
そこで、本件商標と引用商標の類否を検討するに、まず、外観については、両者は、構成全体においては明らかに相違するものであり、また本件商標と引用商標の「KINETIC」の文字部分についてみても後半部に「CT」と「TIC」の差異があるから、区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる「キネクト」の称呼と引用商標から生ずる「ソフトキネティック」及び「キネティック」の文字とは、音数、音構成の差異により相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
申立人は、本件商標と引用商標は、「KINE」を共通にするものであり、両者の差異である「CT」と「TIC」が語尾部を構成する文字として親しまれていることからすると、両者に共通する「KINE」が、特に強く看者の注意を引く部分であるとして、両者が類似する商標であると主張しているが、上記、「CT」及び「TIC」の部分を省略して認識されるというような特段の事情はうかがえないから、その主張は採用できない。
また、申立人は、本件商標に係る商品について「Microsoft Kinect」などのように使用され、個人のウェブサイトの中には、申立人の業務に係る商品を「Softkinect」と誤って、表示しているものも存在していることを理由に、本件商標と引用商標は相紛らわしいものであると主張しているが、申立人主張の事例が仮にわずかにあったとしても、通常の需要者・取引者においては、本件商標は、その指定商品に使用された場合、引用商標とは異なる印象、記憶、連想等を取引者・需要者に与えるものと認められ、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれはないというべきであるから、その主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのない、別異の商標というべきである。
そうすると、仮に申立人の主張のとおり、商標権者が本件商標の出願前から、申立人会社の存在等について認識していたとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが、商取引の秩序を乱し取引の公正を害するおそれがあるということはできない。
してみれば、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であるとはいえず、したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-11-30 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X09)
T 1 651・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
大島 康浩
登録日 2010-04-29 
権利者 MICROSOFT CORPORATION
商標の称呼 キネクト 
代理人 岡部 譲 
代理人 本宮 照久 
代理人 岡部 正夫 

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