• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X0216
審判 一部申立て  登録を維持 X0216
審判 一部申立て  登録を維持 X0216
審判 一部申立て  登録を維持 X0216
審判 一部申立て  登録を維持 X0216
管理番号 1258411 
異議申立番号 異議2012-900067 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-03-26 
確定日 2012-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5458211号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5458211号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5458211号商標(以下「本件商標」という。)は、「サクラ・ラボラトリー」の文字を標準文字で表してなり、平成23年6月28日に登録出願、第1類「化学品,香料の製造用化学品,塗装用パテ」、第2類「染料,顔料,塗料,印刷インキ,絵の具,食品用色素,飲料用色素,植物性天然色素,動物性天然色素,合成色素」、第3類「香料類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,香水類」、第16類「文房具類,インキ,墨,墨汁」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」を指定商品として、同年11月21日に登録査定、同年12月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、別掲1ないし7に示すとおりの商標並びに各商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とする登録第464603号商標(引用商標1)、同第542443号商標(引用商標2)、同第542444号商標(引用商標3)、同第542446号商標(引用商標4)、同第2539444号商標(引用商標5)、同第4033620号商標(引用商標6)、同第5255208号商標(引用商標7)、同第5268517号商標(引用商標8)、同第5313432号商標(引用商標9)、同第5313433号商標(引用商標10)、同第5318610号商標(引用商標11)、同第5333470号商標(引用商標12)であり、いずれも有効に存続しているものである(以下これらをまとめて「引用各商標」という場合がある。)。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第146号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「サクラ」の片仮名、「・」(中点)及び「ラボラトリー」の片仮名を書してなる。
そのうち、「・」(中点)は、当該語が2語からなることを認識させるために表示する符号である。該中点の後の「ラボラトリー」の片仮名は、「研究(室)・製作室」等を意味する英語「laboratory」の音を片仮名で表記したものであって、当該英語は、初級英語で学ぶ平易な英単語で、文房具等の取引者・需要者にとって、容易にその意味を認識する。また、何らかの研究・開発をしている企業の多くは、「ラボラトリー」の語を商号に表示しており、さらに、製造企業の殆どは研究・開発部門を有し、その部門に「ラボラトリー」又は「laboratory」と表示している。このことは、申立人の従業員の名刺(甲第14号証)から明らかである。本件商標中の「ラボラトリー」の部分は、一般に商品が開発される部門の普通名称を表示したにすぎないから、自他商品識別機能は生じない。
これに対して、語頭の「サクラ」は、「桜花」を意味する語であって、本件商標の指定商品とは何らの関係のない語であり、本件商標を全体としてみるときには、自他商品識別機能を生ずる部分は、語頭の「サクラ」の部分にあるといえる。
また、本件商標では、語頭が日本語(桜)であり、「・」(中点)を境にして、その後が英語(laboratoryの音)であって、言語が異なっているから、両語の間で段落が生じ、簡易迅速を尊ぶ取引業界においては、本件商標の語頭である「サクラ」の部分をもって簡略称呼して取引に供されるといえる。
したがって、本件商標から、「サクラ」の称呼が生じ、「桜花」の観念が生じ、引用各商標から、「サクラ」の称呼及び「桜花」の観念が生ずる。
以上より、本件商標と引用各商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。また、本件商標の指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標の商標権者は、申立人である。引用商標中「サクラ」及び「SAKURA」の商標は、数多くの種類の文房具類について使用され、申立人の商標として著名である。
申立人は、文房具類の製造・販売業者として、我が国の有力企業であり、かつ、新製品開発のために研究所を有し、幾多の発明をして新製品を開発して、企業が発展してきた。その新製品開発の拠点となる部門を「LABORATORY」(ラボラトリー)と表示している。
本件商標は、語頭に、申立人の著名な商標「サクラ」と申立人の新規商品の開発部門の表示である「ラボラトリー」を「・」(中点)で明確に区分して表示しているから、本件商標が文房具類等に使用された場合、申立人との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信(広義の混同)されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第8号について
申立人は、その名称を「株式会社サクラクレパス」とし、そのうち「クレパス」は、描画材料の販売名(商標)である。そして、申立人の名称は、その要部を一貫して「桜」又は「サクラ」とし、主力製品をその後に付して企業の名称としてきた。ところが、近年、業務範囲が拡大し、文房具類を中心とした事務関連用品全般に取り扱う商品の範囲が拡張し、「クレパス」の売上高が僅かなものとなってきている。この状況下で企業名を「サクラクレパス」としていては、企業の業務内容を誤解されるおそれがあるところから、「サクラ」と略称するのが常態となってきた。それ故、企業の標章である社章は、桜の図形の下に「SAKURA」と表示したものを定め、従業員の名刺、広告等で会社名を表示するときには、その頭部に会社名よりも大きく社章を表示することとしてきた。
その結果、当該社章は、日本国における有名商標となり、この社章のみを見ただけで、申立人が認識されるようになっている。
また、申立人の商品には、甲第106号証ないし甲第108号証のカタログに示すとおり、その名称の主要部である「サクラ」及び「SAKURA」を商品に表示し、その表示は、申立人の名称の主要部と同一であり、商号商標ともいうべきである。
この結果、「サクラ」といえば、申立人の略称として認識され、申立人商品は、地域的及び人的広がりをもって流通するものであるから、申立人の名称の略称は、その取扱商品に表示された「サクラ」、「SAKURA」の商号商標と相俟って、文房具類に止まらず、一般人に広く認識され、かつ、全国的に著名となっている。
したがって、本件商標は、その語頭部分に、他人の著名な略称「サクラ」を含んでおり、商標法第4条第1項第8号の規定に反する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「サクラ・ラボラトリー」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「サクラ」の文字と「ラボラトリー」の文字との間に中点「・」が配されていたとしても、全体の構成は、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、また、その構成全体から生ずる「サクララボラトリー」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本願商標の構成中の「ラボラトリー」の文字は、「研究所(室)・製作室」等を意味するものとしても、かかる構成においては、そのいずれかの文字部分が看者の注意を強く引くことはなく、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識されるというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成全体に相応する「サクララボラトリー」の称呼のみを生ずるものである。
イ 引用各商標
引用商標1ないし12は、それぞれ別掲のとおり、「SAKURA」、「サクラ」(縦書き又は横書き)、「さくら」(標準文字又は縦書き)又は「櫻」の文字を書してなるものであるから、これより、いずれも「サクラ」の称呼及び「(花木の)桜」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用各商標との対比
(ア)外観
本件商標は、「サクラ・ラボラトリー」の文字を標準文字で表してなるのに対し、引用各商標は、それぞれ「SAKURA」、「サクラ」(縦書き又は横書き)、「さくら」(標準文字又は縦書き)又は「櫻」の文字を書してなるものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標から生ずる「サクララボラトリー」の称呼と引用各商標から生ずる「サクラ」の称呼とは、前者の後半部において「ラボラトリー」の音が存することに顕著な差異を有するものであるから、該差異音の有無が両称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。 (ウ)観念
本件商標は、特定の観念を生ずることのない一連一体の造語からなるものであり、引用各商標は、いずれも「(花木の)桜」の観念を生ずるものであるから、観念上、比較することができない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用各商標とは、観念においては、比較することができないとしても、外観、称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用各商標とは、上記(1)のとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、申立人の提出に係る証拠をみると、「SAKURA」の文字が、申立人の業務に係る商品について使用されているとしても、それらは、ほとんどが社章(桜花用の図形の下に「SAKURA」を配したもの)の右横に「株式会社サクラクレパス」と表示し、前記社章と会社名と共に「SAKURA」の文字を付して文房具等の広告をしていること、新聞記事には、「サクラクレパス」とともに「サクラ」と表示されているものであって、「SAKURA」、「サクラ」の文字のみの使用は見いだせないことから、引用各商標が本件商標の登録出願時に既に需要者の間に広く認識されていたとはいい難いものである。
そして、上記のとおり本件商標と引用各商標とは類似しない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人は、「サクラ」の片仮名が、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、申立人の著名な略称として知られており、本件商標は著名な略称を含む商標である旨主張するが、商標法第4条第1項第8号の趣旨は、他人の人格権を保護するものであり、同号が、他人の名称について著名性を要件としていないのに対し、他人の略称についてはこれを要件としているのは、略称については、これを使用する者がある程度恣意的に選択する余地があること、そして、著名な略称であって初めて名称と同様に特定人を指し示すことが明らかとなり、氏名と同様に略称が保護されるべきことによるものと解される(東京高裁平成13年(行ケ)第387号参照)ところ、申立人の名称が「株式会社サクラクレパス」であって、その略称は、会社の種類を表す「株式会社」の文字部分を捨象した「サクラクレパス」の文字部分というのが相当であることに加え、「サクラ」の文字は、看者をして、容易に「(花木の)桜」を片仮名で表したものとして認識され得るものであり、また、上記(2)において述べたとおり、申立人の提出に係る証拠において、「サクラ」の片仮名が申立人の略称として取引者、需要者に広く認
識されていると認めることができないものであることからすれば、本件商標の構成中の「さくら」の文字が商標法第4条第1項第8号にいう「著名な他人の略称」に該当するとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標1(登録第464603号商標)


2 引用商標2(登録第542443号商標)


3 引用商標3(登録第542444号商標)


4 引用商標4(登録第542446号商標)


5 引用商標5及び6
(登録第2539444号商標及び登録第4033620号商標)


6 引用商標7、8、10及び12
(登録第5255208号商標、登録第5268517号商標、登録第5 313433号商標及び登録第5333470号商標


7 引用商標9及び11
(登録第5313432号商標及び登録第5318610号商標)



異議決定日 2012-06-14 
出願番号 商願2011-44858(T2011-44858) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (X0216)
T 1 652・ 271- Y (X0216)
T 1 652・ 23- Y (X0216)
T 1 652・ 261- Y (X0216)
T 1 652・ 262- Y (X0216)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 堀内 仁子
山田 和彦
登録日 2011-12-16 
登録番号 商標登録第5458211号(T5458211) 
権利者 学校法人光産業創成大学院大学
商標の称呼 サクララボラトリー、サクラ、ラボラトリー 
代理人 藤田 隆 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ