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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X04
管理番号 1258403 
異議申立番号 異議2010-900406 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-16 
確定日 2012-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5354813号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5354813号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5354813号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダイヤカット」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年3月17日に登録出願、第4類「研磨油,切削油,工業用油,工業用油脂」を指定商品として、同年7月30日に登録査定、同年9月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下申立人という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
(1)申立人の引用する商標
申立人の引用する商標は、「ダイヤカット」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)であり、「切削油,研磨油,工業用油,工業用油脂」について使用しているものである。
(2)本件商標は、申立人が長期間にわたって継続して使用した結果、本件商標の出願及び査定時には、既に需要者・取引者間において申立人の製造販売する商品を表示するものとして周知となっていた引用商標と同一であり、また、指定商品も引用商標を使用している商品と同一である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品「切削油,研磨油,工業用油,工業用油脂」について使用する商標として需要者間に広く認識されているものである旨主張し、証拠方法として甲各号証を提出しているので、以下検討する。
ア 申立人は、昭和3年創業、昭和16年に創立された会社であって、主要製品として「防錆油、金属加工油、洗浄剤、コンクリート剥離剤」を製造しており、「金属加工油」である「不水溶性切削油」(以下「使用商品」という。)について、遅くとも昭和51年(1976年)8月ころから現在に至るまで、引用商標を使用していることが認められる(甲13ないし甲15)。
イ しかしながら、申立人の取扱いに係る商品の銘柄として引用商標が長年にわたり掲載されてきた「潤滑剤(油)銘柄便覧」(甲6ないし甲11)は、国内で販売されている全油種・銘柄をもれなく紹介することを主眼として編集され、生産・販売・輸入業者のすべてを対象に収載しているもの(甲11)であることからすれば、掲載されていることをもって直ちに需要者、取引者に広く認識されているということはできず、同様に、「全工油二十年のあゆみ」(甲15) に申立人会社が掲載され、或いは申立人会社から役員を出していることが掲載されているとしても、これらが引用商標の周知性の認定に影響を及ぼすものではない。また、「潤滑剤銘柄便覧2010」(甲11)の掲載メーカー(同業他社)の所在が全国各地にまたがっているとしても、それが引用商標或いは申立人の周知度の広がりを証明するものということはできない。なお、前記「銘柄便覧」や「潤滑油産業名鑑」「潤滑油銘柄対照表」及び「潤滑剤(油)銘柄便覧」(甲6ないし甲14)については発行部数等も明らかではない。
使用商品の出荷量は、平成元年度から平成20年度における各年度の平均月間出荷量が約27.9kL(キロリットル)(平成5年)ないし約45.8kL(平成17年)の間で推移しているものであり(甲16)、該期間の平均月間出荷量は約35.8kL、平均年間出荷量は約429kLとなっており、平成17年度から平成20年度までの月間出荷量は平均より高く40kLを超えていたと認められるものの、平成21年度の売上数量は、月平均28.6kL(年度計342.9kL)と減少しているものであって(甲20)、これが同業他社と比べどの程度の規模に当たるかは明らかではなく、一概に取引量が多いと認めることはできない。
そして、取引先についても130社程度であって、しかもその中には年間18リットル缶で1缶(16社)や2缶(8社)の小口取引者も含まれており(甲20)、さらには使用商品の販売地域は、そのほとんどが兵庫県であって、それ以外には京都、高知、静岡、長野、滋賀、熊本、大阪(2社)、愛知、長崎、群馬及び三重の各府県において販売されているものの、大阪が2社である他はいずれも各府県1社のみの販売にとどまっているものである(甲21)。
さらに、甲第26号証及び甲第27号証に掲げるパンフレット等については、その掲載内容が不明であり、また、配布地域も明らかではない。
その他、引用商標が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品に使用する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足る証拠はない。
ウ してみると、提出された甲各号証によっては、引用商標が申立人の使用商品「不水溶性切削油」に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、要件の一として引用商標が他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間において広く認識されていることが必要であるところ、上述したとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そうすると、本件商標は、商標において引用商標と類似し、引用商標が使用されている商品と類似の商品を指定商品とするものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反してされたと認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-05-31 
出願番号 商願2010-20566(T2010-20566) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X04)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一渡辺 航平 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2010-09-17 
登録番号 商標登録第5354813号(T5354813) 
権利者 八千代マイクロサイエンス株式会社
商標の称呼 ダイヤカット、ダイヤ 
代理人 川角 栄二 
代理人 福島 三雄 
代理人 高崎 真行 
代理人 向江 正幸 

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