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審決分類 |
審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効としない X43 |
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管理番号 | 1258157 |
審判番号 | 取消2010-300743 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-07-06 |
確定日 | 2012-05-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5198979号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5198979号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンテローザカフェ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成19年7月20日に登録出願、第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,会議のための施設の提供」を指定役務として、同21年1月23日に設定登録されたものである。 そして、本件商標の商標権については、商標登録の無効審判が請求され、平成23年1月28日に指定役務中「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供」についての登録を無効にすべき旨の審決がされ、同24年2月21日にその確定登録がなされている。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第51条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 被請求人の本件商標の使用の実態 (1)ホームページ上での使用状態 被請求人が作成したインターネット上のホームページでは、自らが営業している役務としての飲食業の店名表示に、「モンテローザ」(以下「使用標章1」という。)又は「MONTEROZE」(以下「使用標章2」という。)(審決注:「Monteroza」とあるが、甲第2号証の表示のとおり大文字の「MONTEROZA]とした。以下同じ。)及び別掲(1)のとおりの「MONTEROZA」の表示(以下「使用標章3」という。)を始め、「Monteroza Cafe Rome」の表示を直線的に表示(以下「使用標章4」という。)したり、別掲(2)のとおりの猫とワイングラスを表示した円形図形の上部に円弧状に表示(以下「使用標章5」という。)して、もっぱら「Monteroza」の表示を顕著に強調した表示を行っている(甲第2号証)。 (2)実際の店名表示の実態 被請求人は、インターネットのホームページ上に示す、千葉県船橋市本町4-41-25 ステージ船橋地下1階に飲食店を開業し、「Monteroza」の表示を主とし、別掲(3)のとおりの「Monteroza」と「Cafe Rome」の文字とを上下二段に表した標章(以下「使用標章6」という。)、又は「Monteroza Cafe Rome」等と表示して広く飲食業を営んでいる事実がある。 そして、この店名表示は、ビルの外壁に取り付けられる立看板、及びビルの入口に設けられる案内看板として広く多くの通行人に注視できる状態で宣伝広告しているものと認められる(甲第3号証)。 2 本件商標の不正な使用 (1)本件商標は、指定役務「飲食物の提供」に関し、拒絶査定不服の審判の審決(甲第4号証)に明記してあるとおりの「モンテローザカフェ」を商標の構成であるにもかかわらず、実際の使用において、前記したとおりモンテローザの英文字「MONTEROZA」を単独に切り離し、一連に表示すべき「カフェ」又は「Cafe」を分離し、さらに「Rome」を分離して組み合わせて使用している。 このことは、明らかに本件商標の登録要件とみなされる「モンテローザカフェ」という「モンテローザ」と「カフェ」との一連の表記を欠除するものであり、なおかつ、「Rome」を結びつけているものであることは明白である。 (2)請求人は、本件商標の登録出願に先立ち、「MONTE ROSA」「モンテローザ」の商標の構成に対し、「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務とする登録第3112183号商標(以下「請求人登録商標1」という。)、登録第3112184号商標(以下「請求人登録商標2」という。)及び登録第3112185号商標(以下「請求人登録商標3」という。)を所有している(甲第5号証)。 しかも、請求人は、請求人登録商標1ないし3に関し、指定役務について登録出願前から今日に至るまで、永年に亘り、広く使用しており、数多くの顧客と社会的信頼を受けており、被請求人のかかる営業行為に対して到底容認できないものである。 本件商標が「モンテローザカフェ」であるにもかかわらず、「モンテローザ」又は「MONTEROZA」をもっぱら主として表示し、これに分離して「Cafe」及び「Rome」を一連書きにした商標の表示使用は、明らかに本件商標の権利を論拠として故意に他人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為と認められ、明らかな本件商標に係る不正使用であるといわざるを得ない。 3 答弁に対する弁駁 (1)使用標章1ないし6が、本件商標「モンテローザカフェ」(標準文字)とは非類似であり、使用ではないとする理由 ア 被請求人は、使用標章1ないし6は本件商標とは非類似であり、本件商標の使用ではないと反論している。 しかしながら、「モンテローザカフェ」の一連に書した文字を、使用態様とする本件商標であるにもかかわらず、その使用がないとする被請求人自ら認めるものとしても、請求人登録商標1ないし3の登録商標と同一又は類似する商標の使用であることは明らかである。 イ また、被請求人は本件商標を使用している実態はない旨、反論しているが、甲第2号証の(2)、(3)及び甲第3号証の(1)、(2)に示す一連の「Monteroza Cafe Rome」(使用標章4及び5)並びに甲第3号証の(3)ないし(5)に示す上下二段書きの「Monteroza cafe Rome」(使用標章6)を見る限り明らかに本件商標の「モンテローザカフェ」を故意に「モンテローザ」と「カフェ」を分離し、これに「ローマ」を加えて、全体として英文字で、「Monteroza Cafe Rome」の一連書き、及び「Monteroza」と「Cafe Rome」の上下二段書きで、広く宣伝広告をしている事実は明らかである。 すなわち、本件商標「モンテローザカフェ」を二分割して、英文字の「Monteroza」を商標の要部として使用していることは明らかである。 しかも、本件商標には有しない「Rome」を語尾に追加していることは、明らかに故意に付記変更した登録商標の使用に相当する。 ウ 以上のとおり、被請求人は、「モンテローザ」の登録商標を所有する請求人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為に相当し、明らかな本件商標に係る不正使用であると認められる。 (2)使用標章1ないし6の正当な使用の論拠の理由について ア 被請求人は、自らの不正使用を正当化するために、(a)商標法附則(平成3年法律第65号。以下省略する。)第3条又は商標法第32条規定の権利に基づく使用、(b)商標法第26条第1項第1号及び同項第4号に基づく使用の規定を挙げ、種々答弁をしているが、本件商標、すなわち、「飲食物の提供、飲食物の提供に関する提案・助言・情報の提供、会議のための施設の提供」を役務とする商標の構成「モンテローザカフェ」(標準文字)に関する限り、何等法適用の恩恵を受けるものとはなりえない。 イ いずれにしても、被請求人は、本件商標の不正使用の本件審判請求に対し、明らかな本件商標とは異なる付記、変更した態様で使用している事実を全く認めることはなく、自らの正当性を主張していることしか想定できない。 (3)本件審判請求事件において、被請求人は、次元を異にする一方的な視点の下に本件商標の使用の正当性を主張しているもので、到底認められるものではない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人の使用標章(1)ないし(6)の使用は商標法第51条第1項の規定に該当するから、本件商標の登録は取り消されるべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求人が主張する使用標章 請求人は、被請求人の使用標章1ないし6の使用は、本件商標「モンテローザカフェ」の不正使用にあたると主張している。 しかしながら、被請求人の使用標章1ないし6の使用は、商標法第51条第1項が規定する不正使用にあたらず、本件審判請求は成り立たない。 2 使用標章1ないし6と本件商標の類否 商標法第51条第1項が規定する不正使用は「使用商標が登録商標と同一又は類似であること」が要件であるところ、使用標章1ないし6と本件商標とは非類似の商標である。 (1)使用標章1ないし3と本件商標との類否 使用標章1及び2は、「モンテローザ」又は「MONTEROZA」の文字からなる商標であり、「モンテローザ」のみの称呼を生ずるのに対して、本件商標は「モンテローザカフェ」の文字からなる一連一語の商標であり、「モンテローザカフェ」のみの称呼を生じ、両称呼は明らかに非類似である。 よって、使用標章1及び2と本件商標とは非類似である。 なお、使用標章1及び2と本件商標とが非類似であることは、請求人が提出した甲第4号証の審決からも明らかである。 (2)使用標章4及び5と本件商標との類否 使用標章4及び5は「Monteroza Cafe Rome」の文字からなる一連一語の商標であり、「モンテローザカフェローマ」の称呼も無理なく一連に生じるものである。 請求人は「Monteroza」と「Cafe」の間、及び「Cafe」と「Rome」の間にスペースがあることに着目して、「Monteroza」と「Cafe」と「Rome」に分離した商標である旨主張するが、「各単語間にスペースを設けること」はアルファベットを用いる外国語表記では普通の表示形態であり、スペースの存在のみにより、各単語に分離した商標ということはできない。 よって、使用標章4及び5の称呼「モンテローザカフェローマ」と本件商標の称呼「モンテローザカフェ」とは、非類似であり、使用標章4及び5と本件商標とは非類似である。 (3)使用標章6と本件商標との類否 使用標章6は、「Monteroza」と「Cafe Rome」を二段書きに表示しており、請求人の主張のようにもっぱら「Monteroza」の表示を主とするものである。 そのため、使用標章6は、「Monteroza」の文字から生ずる称呼を主とし「Cafe Rome」の文字から生じる称呼を省略して単に「モンテローザ」のみの称呼を生ずる。 してみると、使用標章6は、「モンテローザ」の称呼を生ずるのに対して、本件商標は「モンテローザカフェ」の称呼を生じ、両称呼は明らかに非類似である。 よって、使用標章6と本件商標とは非類似である。 3 被請求人の使用標章1ないし6の正当な使用 商標法第51条第1項が規定する不正使用は「故意による使用」と「使用の結果、他人の業務に係る役務との混同が生ずること」が要件であるが、被請求人の使用標章1ないし6の使用は、以下のように上記両要件を満たさない。 (1)商標法附則第3条又は商標法第32条規定の権利に基づく使用 商標法附則第3条には、「法律施行日(平成4年4月1日)から6月を経過する前(平成4年9月30日より前)から国内で不正競争の目的なく登録商標と同一又は類似する商標を同一又は類似の役務に使用していた者は業務の範囲内で使用を継続できる」旨規定されている。 被請求人は、平成4年9月30日よりも前に請求人の登録商標(甲第5号証)と同一又は類似の「モンテローザ」又は「MONTEROZA」からなる商標を飲食業に関する役務に使用していた事実がある。 この点に関しては、乙第1号証から明らかなように、被請求人「株式会社モンテローザ」の創業者でもある代表者が1975年(昭和50年)にパブレストラン「モンテローザ」を開店しており、その業務は被請求人「株式会社モンテローザ」が正当に承継しているのは明らかである。また、平成4年9月30日時点で少なくとも数十店の居酒屋を中心とする店舗を「モンテローザ」又は「MONTEROZA」の店として全国展開していた事実がある。 したがって、被請求人の使用標章1ないし3の「モンテローザ」の称呼を有する商標の使用は、上記商標法附則第3条規定の権利に基づく使用であり、請求人が主張するような「故意に請求人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為」ではない。 また、上述のように、被請求人は、平成4年9月30日よりも前に相当数の居酒屋店を全国展開しており、「モンテローザ」又は「MONTEROZA」からなる商標は周知性を有し、被請求人は当該「モンテローザ」又は「MONTEROZA」からなる商標に関して、上記商標法附則第3条に規定の権利のみならず、商標法第32条規定の権利をも有している。 したがって、この点からも、被請求人が「故意に請求人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為」を行っていないことは明白である。 (2)被請求人の商標法第26条に基づく使用 ア 商標法第26条第1項第1号に基づく使用 被請求人は、乙第1号証に示すように、全国に居酒屋を中心とした店舗を1500店以上展開し、居酒屋業界において、他の追随を許さずトップの地位にある企業であり、飲食業界全体においても有数の売上を誇るマンモス企業である。 また、テレビや新聞等のマスメディアにも度々取り上げられ、被請求人の法人名「株式会社モンテローザ」又は「Monteroza co.,ltd.」の略称「モンテローザ」又は「MONTEROZA」は著名性を有している。 他方、請求人は同じ飲食業界ではあるが、居酒屋業界とは関連性の低い洋菓子店や喫茶店を営んでいる。 そのため、被請求人は、請求人とは何ら競争関係になく、ましてや請求人に対する不正競争の目的で商標「モンテローザ」又は「MONTEROZA」を使用することは思考だにしていない。 上記のとおり、被請求人の使用標章1ないし6の使用は、請求人の商標権の効力が及ばない範囲(商標法第26条第1項第1号)での使用であることは明らかであり、被請求人は「故意に請求人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為」を行っていない。 イ 商標法第26条第1項第4号に基づく使用 請求人の商標権のうち、「モンテローザ」の文字からなる請求人登録商標2及び3は、既に希釈化されており、飲食店における慣用商標となっている。 乙第2号証は、請求人の店舗(乙第3号証)を一部含むがその余は全国で請求人と異なる者が「モンテローザ」を店名として飲食店を営んでいる事実をインターネットにより検索した結果である。これらの証拠によると、全国いたる所で「モンテローザ」を店名とする飲食店が存在することは明らかである。 したがって、少なくとも被請求人の使用標章1の使用は、請求人の商標権の効力が及ばない範囲(商標法第26条第1項第4号)での使用であることは明らかであり、被請求人は「故意に請求人の業務に係る役務と混同を生じさせる行為」を行っていない。 (3)請求人の業務に係る役務との混同について 上記(1)、(2)に示すように、被請求人は、請求人の業務に係る役務に対して故意に混同を生じさせる使用を行っているものではない。 また、実際の被請求人の店舗においても、「需要者が請求人の店舗と混同して入店すること」や「需要者から請求人の店舗との関連性を問われること」等の混同を生じた事実は一切ない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人の使用標章1ないし6の使用は、商標法第51条第1項が規定する不正使用に当たらず、本件審判請求は成り立たない。 なお、請求人による本件審判請求は、自己の商標権の効力範囲を顧みず行われており、本件審判は商標権行使の濫用又は審判請求の濫用と評価されるべき事案である。 第4 当審の判断 1 本件審判について 商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。 本件商標は、上記第1のとおり商標登録の無効の審判により、その指定役務中「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供」についての登録を無効とする旨の審決が確定している。 そして、商標法第46条の2第1項は、「商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、商標権は初めから存在しなかったものとみなす」と規定している。 そうすると、本件審判は、本件商標の指定役務中無効とされていない役務「会議のための施設の提供」について商標法第51条第1項の要件に該当するか否かを判断すべきものである。 そこで、かかる観点から被請求人(商標権者)による商標の使用が商標法第51条第1項に規定する要件に該当するか否かについて検討する。 2 商標法第51条第1項の各要件についての検討 (1)本件商標について 本件商標は、前記したとおり、「モンテローザカフェ」の文字を標準文字で表してなり、第43類「会議のための施設の提供」を指定役務とするものである。 (2)被請求人の使用に係る標章は、次のとおりである。以下、それらをまとめて「使用各標章」という。 ア 使用標章1 使用標章1は、甲第2号証の(1)及び(2)の宴会予約の項に表示されている「モンテローザ」の文字からなるものである。 イ 使用標章2 使用標章2は、2010年6月22日にプリントアウトされた被請求人のホームページ中、甲第2号証の(1)及び(2)の中段に表示されている「MONTEROZA」の文字からなるものである。 ウ 使用標章3 使用標章3は、甲第2号証の(1)、(2)及び(5)の左上に表示されている別掲(1)のとおりの「MONTEROZA」の文字からなるものである。 エ 使用標章4 使用標章4は、甲第2号証の(4)及び甲第3号証の(1)、(2)に表示されている「Monteroza Cafe Rome」の文字を直線表示してなるものである。 オ 使用標章5 使用標章5は、甲第2号証、甲第3号証に表示されている別掲(2)のとおりの猫とワイングラスを表示した円形図形内の上部に円弧状に表された「Monteroza Cafe Rome」の文字からなるものである。 カ 使用標章6 使用標章6は、甲第3号証の(3)ないし(5)に表示された別掲(3)のとおり「Monteroza」と「Cafe Rome」の文字を二段に表してなるものである。 (3)請求人の所有する関連登録商標 請求人登録商標1は別掲(4)のとおりの構成からなり、請求人登録商標2及び3は「モンテローザ」の片仮名を横書きしてなるものであって、いずれも指定役務を「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」とするものである(甲第5号証)。 (4)本件商標の指定役務と使用各標章が使用されている役務の類否 上記(2)の使用各標章は、甲第2号証、甲第3号証の記載内容及び当事者の主張によれば、「飲食物の提供」の役務について使用されていると認められる。 そして、この役務「飲食物の提供」と本件商標の指定役務「会議のための施設の提供」を比較すると、両者は同一役務でないこと明らかであり、また、両者の提供の目的、提供に関連する物品、需要者の範囲及び業種を異にするものであるから、両者は同一(又は類似)の商標を使用しても、同一の事業主の提供に係る役務と誤認されるおそれのない非類似の役務と判断するのが相当である。 また、他に両者が類似する役務であるというべき事情は見いだせない。 してみれば、本件商標の指定役務「会議のための施設の提供」と使用各標章が使用されている役務「飲食物の提供」とは、同一又は類似の役務ということはできない。 (5)他人(請求人)の業務に係る役務との混同について 上記(3)の請求人登録商標1ないし3が、その指定役務「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」など請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る事情は見いだせないし、また、該請求人登録商標及び使用各標章が「会議のための施設の提供」について使用されていることも確認することができない(これらについて、請求人からの証拠の提出はない。)。 そうとすれば、被請求人が使用各標章を本件商標の指定役務「会議のための施設の提供」に使用しても、これに接する取引者、需要者が請求人を連想、想起するようなことはなく、該役務が請求人又は請求人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標の指定役務「会議のための施設の提供」と使用各標章が使用されている役務「飲食物の提供」とは同一又は類似の役務とは認められず、かつ、被請求人による使用各標章の使用は、他人(請求人)の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものとはいえないから、他の要件について検討するまでもなく、被請求人による使用各標章の使用は、商標法第51条第1項の要件を欠くものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)使用標章3(甲第2号証の(1)、(2)、(5)) (2)使用標章5(甲第2号証、甲第3号証) (色彩は甲第2号証の(3)参照) (3)使用標章6(甲第3号証(3)ないし(5)) (4)登録第3112183号(甲第5号証の(1)) |
審理終結日 | 2012-03-09 |
結審通知日 | 2012-03-14 |
審決日 | 2012-03-28 |
出願番号 | 商願2007-81440(T2007-81440) |
審決分類 |
T
1
31・
3-
Y
(X43)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山根 まり子、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 瀧本 佐代子 |
登録日 | 2009-01-23 |
登録番号 | 商標登録第5198979号(T5198979) |
商標の称呼 | モンテローザカフェ、モンテローザ |
代理人 | 西尾 美良 |
代理人 | 丹羽 宏之 |
代理人 | 中畑 孝 |
代理人 | 市橋 俊一郎 |
代理人 | 西尾 美良 |
代理人 | 三田 大智 |
代理人 | 丹羽 宏之 |