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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X09
審判 一部申立て  登録を維持 X09
審判 一部申立て  登録を維持 X09
審判 一部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1256573 
異議申立番号 異議2011-900363 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-11 
確定日 2012-04-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5423669号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5423669号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5423669号商標(以下「本件商標」という。)は、「スカイピア」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年4月23日に登録出願、第9類に属する「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品のほか、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同23年5月26日に登録査定、同年7月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5288500号商標(以下「引用商標」という。)は、「SKYPE」の文字を標準文字で表してなり、アメリカ合衆国における2005年4月7日の商標登録出願に基づきパリ条約による優先権を主張して平成17年4月15日に登録出願され、第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年12月18日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である第9類「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の商標として著名である「SKYPE」、「Skype」及び「スカイプ」の文字からなる商標(以下、一括して「申立人商標」という。)と類似するものであり、本件商標がその指定商品中、第9類「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について使用について使用された場合には、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中第9類「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断
(1)申立人商標の周知著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠(別件異議2011-900360について提出した証拠を援用)によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人(申立人を含む企業グループ、以下同じ。)によって開発された「スカイプソフトウェア」(以下、単に「スカイプ」ということがある。)は、ネットワーク上で対等な関係にある端末同士を中央サーバを経由せずに直接接続し、データの送受信ができるという通信技術「ピア・ツー・ピア(P2P)」を利用し、インターネット経由での双方向のリアルタイムでの音声通信を映像付きで可能にするというものであり、その特徴として、(a)スカイプをダウンロード・インストールし、インターネット通信に利用者登録するだけで双方向の映像付きリアルタイム音声通信を誰でも手軽に利用できること、(b)従来のインターネットによる双方向リアルタイム音声通信に比較し音質が優れており、通常の電話と遜色ないこと、(c)基本的に無料で利用できること、などが挙げられる(甲1ないし甲6)。
(イ)スカイプの利用者(利用登録数)は、平成15年(2003)のスカイプ提供開始以来、爆発的に増加し、平成15年の約203万人から本件商標の登録出願の前年である平成21年(2009)末には約5億6000万人に達し、平成23年(2011)11月末には約8億9000万人となっている。我が国では、平成15年の約9700人から平成21年には約1365万人に達し、平成23年11月末には約2706万人となっている(甲1)。
(ウ)コンピューターの周辺機器メーカー等によって、スカイプ用のヘッドセット、電話機、スピーカー、ウェブカメラ等の周辺機器が多数発売されると共に、スカイプ可能な携帯端末(WiFiフォン)、携帯用ゲーム機、スマートフォン、テレビ等も発売されており、申立人は他メーカーが開発した機器に品質テストを行い合格した商品にスカイプに対応している旨の認定も行っている(甲9ないし甲18)。
(エ)申立人商標は、スカイプをダウンロードする際に申立人のウェブサイトに常に表示されているほか、スカイプ起動時にも常に表示されている(甲20)。
(オ)スカイプについては、集英社発行「imidas2007」及び自由国民社発行「現代用語の基礎知識2009」に、「スカイプ(skype)」又は「スカイプ」の見出しで搭載され説明されているほか、新聞、雑誌、インターネットニュース、書籍等の各種メディアにより頻繁に紹介され、特に電話、電気通信業界に大きな衝撃を与え、電話事業の在り方を根本から覆しかねないとして大きく取り上げられたりしている(甲66ないし甲100(枝番を含む。))。
イ 上記アの認定事実によれば、申立人商標は、申立人の提供に係るソフトウェアであるスカイプないしは申立人を表示する商標として、本件商標の登録出願時はもとよりその登録査定時においても我が国内外で広く認識されていたものというべきである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「スカイピア」の片仮名よりなるところ、これは、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「スカイピア」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
引用商標は、「SKYPE」の欧文字よりなるところ、これも、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるが、上記(1)認定のとおり、ピア・ツー・ピアを利用したインターネット経由での双方向のリアルタイムでの音声通信を可能にする申立人企業グループの業務に係るソフトウェアを表示するものとして、「スカイプ」と称されて、我が国の需要者の間においても広く知られているところから、引用商標より生ずる自然の称呼は、「スカイプ」であるということができる。そして、引用商標からは、申立人企業グループないしその提供に係るソフトウェアの名称の観念が生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両商標の外観についてみると、本件商標は、片仮名よりなるのに対し、引用商標は、欧文字よりなるものであるから、両商標は、外観上明らかに相違するものである。
称呼においては、本件商標は「スカイピア」の、引用商標は「スカイプ」の各称呼を生ずるものである。
しかして、上記「スカイピア」の称呼と「スカイプ」の称呼とを対比すると、両者は構成音数が5音と4音とで異なるばかりでなく、末尾部分において「ピア」と「プ」の音の差異を有するものである。しかも、相違する「ピア」と「プ」の音は、前者が「ヒ」の半濁音であって無声子音(p)と母音(i)との結合した音節「ピ」と母音「ア」の2音からなるのに対し、後者は「フ」の半濁音であって無声子音(p)と母音(u)との結合した音節「プ」の1音であり、帯有する母音が異なるほか、明瞭音「ア」の有無という顕著な差異を有するものである。これらの差異がそれ程冗長ともいえない称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なり、彼此紛れることなく区別することができるものである。
また、本件商標は、前記認定のとおり、特定の観念を有しない商標であるから、引用商標とは、観念上比較することができない。むしろ、引用商標の著名性を考慮すれば、造語よりなる本件商標とは、観念上明確に区別され得るものといえる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人商標は、引用商標と同一の綴りよりなるか又はその片仮名表記よりなるものであり、実質的に引用商標と同一といえるものであるから、本件商標と申立人商標とは、類似するものとはいえず、別異の商標として看取されるものである。
そうすると、前示のとおり、申立人商標が申立人又は申立人の提供に係るスカイプを表示するものとして周知著名となっていること、本件申立てに係る指定商品第9類「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」と申立人の提供に係るスカイプとが密接な関連性を有すること、それぞれの需要者が共通すること、需要者の中には必ずしも商標の微細な差異に注意を払わない可能性のある一般人が含まれること、などを考慮したとしても、本件商標を上記指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が申立人商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件申立てに係る指定商品第9類「浴室用テレビ受像機,浴室用ラジオ受信機,音楽再生用プレーヤー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-04-16 
出願番号 商願2010-32756(T2010-32756) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (X09)
T 1 652・ 271- Y (X09)
T 1 652・ 261- Y (X09)
T 1 652・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-07-08 
登録番号 商標登録第5423669号(T5423669) 
権利者 株式会社ノーリツ
商標の称呼 スカイピア 
代理人 窪田 英一郎 

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