• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2011890110 審決 商標
異議2011900234 審決 商標
無効2011890049 審決 商標
無効2012890081 審決 商標
無効2011890064 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X081221
管理番号 1256521 
審判番号 無効2011-890082 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-09-26 
確定日 2012-05-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5410184号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5410184号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5410184号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年12月7日に登録出願され、第8類「手動利器,手動工具」、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」及び第21類「清掃用具及び洗濯用具,栓抜,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。)」を指定商品として同23年4月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証を提出した。
1 無効事由
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号の規定に該当し、同法第46条第1項により無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)請求人に係る商標について
請求人が代表取締役を務める会社である「Super B Precision Tools Co., Ltd.」(以下「Super B社」という。旧社名:Booz Allen)の業務に係る商品を表示する商標(以下「引用商標」という。)は、請求人が真の所有者であることを証明する(甲1及び甲2)。
ア 甲第1号証は、台湾における商標登録証であり、これにより、請求人が台湾における登録第01048728号の商標権者であることが認められる。
イ 甲第2号証は、米国における商標登録証であり、これにより、請求人が米国における登録第3362847号の商標権者であることが認められる。
上記甲第1号証及び甲第2号証、並びに後述する甲第3号証ないし甲第35号証に示すように、引用商標は、白を黒色又は青色で縁取った「SUPER」と、灰色又は水色を黒色又は青色で縁取った「B」と、「B」の左上から「UP」及び「ER」に向かって太くなる2本の曲線から構成されるものである(別掲2参照)。
(2)本件商標と引用商標との対比
両商標を対比すると、外観上の顕著な特徴が酷似し、称呼及び観念が同一であることから、両商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
また、本件商標の指定商品のうち第8類「手動利器,手動工具」と「Super B社」の業務に係る商品とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲などが一致しているので、類似する商品である。
そして、本件商標の指定商品のうち第12類に属する商品と「Super B社」の業務に係る商品とは、以下に述べるように、引用商標の周知性に鑑み、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する者をして「Super B社」と何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれがある。
(3)引用商標の状況
請求人は、引用商標について、平成22年12月28日に、第8類「手持工具(手動式のもの),レンチ(手持工具),スパナー(手持工具),切削工具類(手持ち工具に当たるものに限る。),ねじ回し,ナイフ,ビット(手持工具の部品),やっとこ,つめ車(手持工具),のこぎり(手持ち工具に当たるものに限る。),はさみ,かなてこ,ドリル,丸のみ(手持工具),ハンマー」を指定商品として、日本国特許庁に登録出願(商願2010-100830号)をしたところ、平成23年5月19日付けで、本件商標を引用した商標法第4条第1項第11号の規定に基づく拒絶理由通知を受けている。
(4)引用商標の周知性について
ア 引用商標が「Super B社」の業務に係る商品を表示する商標として日本国内において周知であることを証明する証拠を以下に示す(甲1ないし甲7)。
(ア)甲第3号証及び甲第4号証は、商標権者である「ジーアールケー株式会社」(被請求人)の関連会社である「リンエイ株式会社」(以下「リンエイ社」という。)が、2009年に東京で行われた展示会の際等に日本国内で発行したカタログである。
このとき、被請求人と「Super B社」とは取引関係があり、「Super B社」の商標と商品がそのカタログに掲載されている。
甲第4号証のカタログの最終頁に被請求人と「リンエイ社」とが関連会社であることが記載されている。
(イ)甲第5号証及び甲第6号証は、過去に東京の展示会で「リンエイ社」又は「ZETT株式会社」(被請求人とは別の「Super B社」との取引者である。ブランド名:CEEPO)が、「Super B社」の商品を出展した時の写真である。
(ウ)甲第7号証は、雑誌「Cycle Press」の日本版、2008年11月号であり、その33頁で、「Super B社」(旧社名:Booz Allen)の商品が紹介されているところ、その商品には、引用商標が付されている。
上記甲第3号証ないし甲第7号証に示されるように、引用商標は本件商標の出願日である平成22年12月7日よりも前から、日本国内における需要者の間に周知であり、その周知性は登録査定時も継続していたことが認められる。
イ 「Super B社」の業務に係る商品を表示する引用商標が、台湾、中国、欧州など、世界各国において周知であることを証明する証拠を以下に示す(甲8ないし甲35)。
(ア)甲第8号証は、台湾の台北で2010年に行われた「Taipei International Cycle Show」の出展者一覧である。
B-112頁及び88頁に、「Super B社」が出展者として掲載されている。また、「Super B社」が作製した「しおり」に引用商標が記載されている。
(イ)甲第9号証は、台湾で2010年5月に発行された雑誌「単車運動 Cycle Sports」第9巻であり、その33頁で、「Super B社」が台湾での自転車レースのスポンサーをしたことが紹介されるとともに、自転車レースに使用されたニュートラルカーに引用商標が表示されている。
また、この自転車レースの際、「Super B社」は、レースに参加した全チームに自転車修理用工具を提供した。
(ウ)甲第10号証ないし甲第12号証は、中国で2010年7月、同年9月及び同年11月に発行された雑誌「CYCLING」であり、これらにおいて、「Super B社」の中国の代理店が、「Super B社」の工具やワークステーションについて引用商標を付して宣伝している。
(エ)甲第13号証ないし甲第15号証は、台湾で2010年1月、同年3月及び同年9月に発行された雑誌「単車身活」であり、これらにおいて、「Super B社」の台湾の代理店が、やはり「Super B社」の工具やワークステーションについて引用商標を付して宣伝している。
また、甲第15号証において、「Super B社」の製品が台北及び上海の展示会に出品されることが紹介されている。
(オ)甲第16号証及び甲第19号証は、台湾で2010年3月17日?同月20日及び2009年3月17日?同月20日に開催された「Taipei International Cycle Show」のプレビューマニュアル又は公式新聞「OFFICIAL DAILY」であり、これらにおいて、「Super B社」が引用商標を使用し、工具や同社のブースの宣伝をしている。
(カ)甲第17号証及び甲第18号証は、ドイツで2008年1月及び同年9月に発行された雑誌「bike」であり、これらにおいて、引用商標を使用して「Super B社」の工具が宣伝又は紹介されている。
(キ)甲第20号証ないし甲第28及び甲第35号証は、台湾、中国及び日本で発行された「Cycle Press」誌の2011年4月-5月号、2010年8-9月号、同年5-6月号、同年3-4月号、2009年8-9月号、同年6-7月号、同年4-5月号、同年2-3月号及び同年1月号であり、これらにおいて、「Super B社」が引用商標を使用し、工具の宣伝や中国国際自転車フェアに出展する展示ブースの宣伝等をしているほか、「Super B社」が日本で長期に渡ってその商標を使用し、工具の宣伝をしてきたことが紹介されている。
なお、甲第24号証の15頁の「Angus Huang」氏は、請求人「黄 鴻振」の英語名である。
(ク)甲第29号証及び甲第30号証は、ドイツを中心に欧州各国で2010年9月1日及び同月3日に発行された雑誌「SHOW DAILY」であり、これらにおいて、「Super B社」が引用商標を使用し、工具の宣伝をしている。
(ケ)甲第31号証ないし甲第34号証は、ドイツを中心に欧州各国で2010年8月8日、同年1月2日、2009年2月2日及び同年8月8日に発行された雑誌「BIKE Europe」であり、これらにおいて、「Super B社」が引用商標を使用し、工具の宣伝をしている。
(コ)上記甲第8号証ないし甲第35号証に示されるように、「Super B社」は、引用商標を永年にわたり、台湾、中国、欧州など、世界各国で宣伝してきたものである。
「Super B社」は、引用商標を世界各国で使用し、自転車業界及び工具業界で周知性を獲得していることから、引用商標は、商標法第4条第1項第19号によって守られるに値する商標としての資格を有するものである。
したがって、「Super B社」の引用商標は、本件商標の出願日である平成22年12月7日よりも前から、外国における需要者の間に周知であり、その周知性は登録査定時も継続していたことが認められる。
(5)不正の目的について
ア 2009年4月1日から2010年6月頃まで被請求人と「Super B社」とが取引関係にあったこと、被請求人が台湾訪問時に「Super B社」の「TINA許」氏及び「EMILY蔡」氏と会議をしたこと、及び被請求人が不正の目的をもって商標登録出願したことをそれぞれ示す証拠を以下に示す(甲36ないし甲57)。
(ア)甲第36号証は、2009年4月1日に、被請求人(メールでは「EVERICH」と表示されている。)が慶林實業股【分】(にんべんに「分」)有限公司(以下「慶林」という。)を通じて、日本で「Super B社」の商品を販売するため、「Super B社」に見積りの依頼をしたメールである。
(イ)甲第37号証ないし甲第40号証及び甲第42号証は、2009年4月9日、同月20日、同年5月17日、同年6月9日、同月12日、同年7月29日に、被請求人(EVERICH)と「Super B社」との間で交わされたメールである。
これらには、日本における商品の宣伝方法、新商品に関する見積依頼、日本の市場における販売量等について質問及び回答、商品の注文等が記載されている。
なお、甲第38号証の2009年4月20日付メールに続く2009年4月15日のメールは、「慶林」から「Super B社」に対する回答であって、サンプルを受領したことと、それを直ちに被請求人に転送することの連絡であり、2009年4月14日のメールは、「Super B社」が「慶林」に対し、サンプルの発送をしたことを伝えたものである。
また、甲第42号証の4枚目は、2009年7月31日に「慶林」が被請求人の注文を「No.980731」として「Super B社」に正式に行った注文書(納品期日は2009年8月31日)である。
(ウ)甲第41号証及び甲第44号証は、2010年1月5日又は2009年12月5日に、「慶林公司」が被請求人からの文書を「Super B社」に転送したメールである。
これらには、配送中に商品が損傷していたこと、今後の包装方法の提案及び商品(商品番号1105及び1106)の再出荷の依頼について記載されている。
(エ)甲第43、45、46、48ないし51、53及び54号証は、2010年1月13日付、同年3月9日付、同年4月13日付、同年5月28日付、同月29日付、同年6月17日付、同年9月21日付又は同年10月6日付で、「慶林」が被請求人の注文を受けて「Super B社」に送った注文書や連絡文書、「Super B社」からの再送伝票、請求書等である。
(オ)甲第47号証及び甲第52号証は、2010年3月10日又は同年8月6日に、「慶林」が「Super B社」に対して送付したメールであるところ、注文「No.990309」の配送方法等について記載(甲47)されている。
(カ)甲第55号証は、2010年6月9日に、被請求人から「慶林」を通じて「Super B社」に送られた苦情メールである。
(キ)甲第56号証は、被請求人が台湾を訪問した時に、「Super B社」の「TINA許」氏及び「EMILY蔡」氏との会議の議事録である。「慶林」が議事録を作成し、2010年11月12日に被請求人の従業員である「王」氏と、「Super B社」の上記2名に送付したものである(甲57は、甲56の翻訳文)。
(ク)甲第58号証は、2011年7月28日に被請求人から請求人に送られたメールであり、被請求人の社長「八代」氏及び被請求人の従業員の「王」氏の両意見が述べられている(甲59は、甲58の翻訳文)。
イ 上記甲第36号証ないし甲第55号証に示されるように被請求人と「Super B社」とは、2009年4月1日以降、取引関係にあった。
しかし、甲第56号証及びその翻訳文(甲57)に示されるように、被請求人と「Super B社」とは、正式な代理店契約を締結しておらず、契約条件に合意できないことを理由に、2010年6月には、その取引は中止されていた。
上記甲第56号証及びその翻訳文(甲57)において、被請求人は、「Super B社がGRKへの販売期限を延ばすことができないならば、Super B社は、期限満了後の2010年7月1日以降、GRKが自己でLOGO方式を取り、継続的にSuper B社の工具を販売することについて真剣に検討することを認めなければなりません。」という趣旨の意見を述べている。
このことから、被請求人は、2010年7月1日以降である2010年12月7日に、請求人の引用商標が日本で登録されていないことを奇貨として、引用商標を先取り的に出願したものと認められる。
これに対し、「Super B社」が被請求人の出願を承諾した事実関係は見当たらないし、承諾する理由もない。
また、被請求人は、「この法案の実行が可能であることが確定すれば、GRKも販売期限の満了前に早くGRKの自己のLOGOを変えることを検討します。」という趣旨の意見を述べている。
このことから、被請求人は、引用商標に化体した「Super B社」の業務上の信用、名声、顧客吸引力等を毀損させ、又はそれに便乗して不当な利益を得る目的のもとに出願し、権利を取得したものであることが認められる。
その後、甲第58号証及びその翻訳文(甲59)において、被請求人は、「弊社が日本でSuper B社の商標権を獲得したのは事実であり、このことは、去年11月に突然Super B社の出荷停止を提出したことに対して取った対抗策であって、自衛手段として当然のことです。」という趣旨の意見を述べている。
このことから、被請求人は、本件商標を、外国の権利者の国内参入を阻止する目的のもとに出願し、権利を取得したものであることが認められる。
さらに、被請求人は、「もし貴社が弊社と長期契約を締結するのであれば、弊社もSuper B社の商標権を黄社長に譲渡することを考えます。(但し、商標権獲得費用につきましては貴社負担をお願いします。)貴社との業務関係に不都合が生じた場合、黄社長に対してもなんら利益もありませんし、現在、三船さんはZETT社に対して圧力をかけていません。ZETT社も11月以降、弊社を通して、SUPER B社の商品を購入すると話されていました。このような状況で、黄社長も商売人として、互いに摩擦が生じた場合、良いことはありませんし、この点は充分ご理解頂けると思います。」という趣旨の意見を述べている。
このことから、被請求人は、本件商標を、外国の権利者の国内参入を阻止し、又は代理店契約締結を強制する目的、或いは、その商標に化体した「Super B社」の業務上の信用、名声、顧客吸引力等を毀損させ、又はそれに便乗して不当な利益を得る目的のもとに出願し、権利を取得したものであることは明らかである。
被請求人のこのような行為は、多年に亘って企業が努力を積み重ね、多大な宣伝広告費を掛けることにより、需要者及び取引者間において、高い名声、信用、評判を獲得するに至った外国周知標章の保護の観点から許されるべきものではない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に周知な商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的、その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)請求人の提出に係る証拠(甲3ないし甲35)によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第3号証は、「リンエイ社」の作成に係る「リンエイ総合カタログ」(vol.5 2009)と題する商品カタログの抜粋写しであるところ、その001頁ないし010頁に自転車用工具が掲載されており、その内の各奇数頁左上には、本件商標と略同一の構成態様からなる商標(引用商標)が大きく顕著に表され、その直下に「Expeirence & Performance」の文字が小さく併記されている。また、各頁に掲載された工具の多くには、本件商標と色彩が異なっている点を除き略同一の構成態様からなる商標が付されている。
イ 甲第4号証は、同じく「リンエイ社」の「AVENUE」と題する商品カタログの抜粋写しであるところ、その09頁ないし12頁に、上記甲第3号証のカタログと同様の引用商標及び自転車用工具が掲載されている。そして、09頁上方には、「スーパー・ビー」の見出し及び引用商標と共に、「『SUPER B』は台湾の工具メーカーとして自転車専用工具を展開しており、某メーカーのOEM商品を手掛けるなど、信頼、実績も十分です。・・・」と記載されている。
また、上記カタログの裏表紙下方には、「リンエイ社」の名称及び住所(岐阜県羽島郡・・・)等と共に、「関連会社」として「ジーアールケー株式会社(輸出入、製造業)」の名称及び住所(岐阜県羽島郡・・・)等が表示されている。
ウ 甲第5号証及び甲第6号証は、いずれも自転車及びその工具の展示会を撮影した写真と認められるところ、不鮮明ながら、工具の展示場所に引用商標が表示されている。
エ 甲第7号証は、「株式会社インタープレス」発行の雑誌「CyclePress/JAPAN」(サイクルプレスジャパン)の平成20年11月号の抜粋写しであるところ、その33頁には、「保忠精密工具(Booz-Allen)」の項の下に、「プロが認める工具『SUPER B』」の見出しと共に「PROFESSIONAL BICYCLE TOOLBOX-38PCS」等として、上記甲第3号証及び甲第4号証の商品カタログに掲載された工具と同様の工具の写真が掲載されている。
オ 甲第9号証は、台湾で発行の雑誌「TAIWAN/単車運動/CYCLE SPORTS」の2010年5月/6月号の抜粋写しと認められるところ、その33頁に自転車の車輪を屋根に搭載した車の写真が掲載されており、その車体には、引用商標を付したプレートが写っている。
カ 甲第10号証ないし甲第12号証は、中国で発行の雑誌「CYCLING」の2010年7月号、同年9月号及び同年11月号の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも、全1頁を用いて自転車用工具の広告が掲載されており、該頁の右上隅には本件商標と略同一の構成からなる引用商標が大きく顕著に表示されている。
また、掲載された工具にも引用商標と同様の商標が付されている。
キ 甲第13号証ないし甲第15号証は、台湾で発行の雑誌「単車身活」の2010年1月/2月号、同年3月/4月号及び同年9月/10月号の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも上記カ同様、全1頁を用いて自転車用工具の広告が掲載されているほか、該頁の右上隅又は頁中央には、本件商標と略同一の構成からなる引用商標が大きく顕著に表示されている。また、掲載された工具にも引用商標と同様の商標が付されている。
ク 甲第8号証、甲第16号証及び甲第19号証は、2010年3月17?同月20日及び2009年3月17?同月20日に台北で開催された「Taipei International Cycle Show」の「出展者一覧」、「プレビューマニュアル」又は公式新聞「OFFCIAL DALIY」の各抜粋写と認められるところ、上記出展者一覧の88頁及びB-112頁に「SUPER B PRECISION TOOLS CO.,LTD.」の記載があり、上記プレビューマニュアル及び上記公式新聞には引用商標と略同一の構成からなる商標とともに、自転車用工具の広告が掲載されている。
ケ 甲第17号証及び甲第18号証は、ドイツで発行された雑誌「bike」の2008年9月及び同年1月号の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも、引用商標と略同一の商標を付した自転車用工具の写真と共に、引用商標又は「SUPER-B」の文字が表示された広告が掲載されている。
コ 甲第20号証ないし甲第28号証及び甲第35号証は、台湾、中国及び日本で発行された雑誌「Cycle Press」の2011年4月/5月号、2010年8月/9月号、同年5月/6月号、同年3月/4月号、2009年8月/9月号、同年6月/7月号、同年4月/5月号及び同年2月/3月号等の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも、自転車用工具の写真と共に引用商標が表示された広告が掲載されている。
サ 甲第29号証及び甲第30号証は、欧州各国で発行された新聞「SHOW DAILY」の2010年9月1日号及び同月3日号の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも、引用商標が表示された広告が掲載されている。
シ 甲第31号証ないし甲第34号証は、欧州各国で発行された新聞「BIKE europe」の2009年2月2日号、同年8月8日号、2010年1月2日号及び同年8月8日号の抜粋写しと認められるところ、これらのいずれにも、自転車用工具の写真と共に引用商標が表示された広告が掲載されている。
(2)上記(1)における認定事実及び答弁の全趣旨によれば、引用商標と本件商標とは、互いに区別することが困難な程に酷似した構成からなるものであって、いずれも、請求人が代表を務める「Super B社」の業務に係る商品「自転車用工具」に使用する商標として、台湾をはじめ、中国、欧州及び日本においても、本件商標の登録出願時には既にこの種業界の取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
2 不正の目的について
(1)請求人の提出に係る証拠(甲36ないし甲59)によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第36号証ないし甲第42号証は、いずれもインターネットによるメールの写しと認められるところ、これらに印刷された日付、発信者及び宛先からすると、2009年3月31日から2010年1月5日にかけて、「慶林」、「EVERICH」、「SuperB Tina」、「SuperB emily」等との間で交わされたものと認められる。
これらのうち、「EVERICH」から「慶林」宛ての2009年3月31付メール(甲36)には、「”Super B”社 販売価格について」との表題が付され、末尾に「リンエイ株式会社・・・」の記載があること、「EVERICH」から「SUPER B保忠・・・TINA」宛の2009年4月9付メール(甲37)には、「GRK公司・・・討論代理的事情」との表題が見られること、「慶林」から「tina」宛の2009年4月15日付メール(甲38)には、「SUPER B在日本・・・」の表題が見られること、「慶林」から「emily」氏宛ての2010年1月5日付のメール(甲41)には、訳文が付されており、それによると「GRKの・・・です。SUPER-B 商品個装袋入れの件です。・・・リンエイからの出荷の際に1個1個袋入れをしています。・・・ジーアールケー株式会社営業部・・・」との記載があること、「EVERICH」から「SUPER B保忠・・・TINA」宛の2009年7月29日付メール(甲42)に添付された書面には、冒頭に引用商標が表示され、工具の説明がされていること、などが認められる。
イ 甲第43号証ないし甲第55号証は、2009年8月31日から2010年10月6日にかけて、「慶林」、「Super B社」、被請求人との間で交わされた注文書、請求書等の取引書類又はメールの写しと認められる。これらのうち、訳文のあるものについてみると、「慶林」から「emily」宛に転送された被請求人のメール(甲44)には、「GRKの・・・です。SUPER-B 1105,1106,・・・に付属しているタイヤレバーを使用中に折れる不良が発生しました。GRK在庫分を使用テストしてみましたが、・・・」等と記載され、商品の写真が添付されていること、「慶林」から「emily」宛てのメール(甲52)には、「SUPER-Bに下記内容の確認をよろしくお願いします。1(○内に1)1090,1095はShimanoに対応していますか?・・・」等の記載があること、「慶林」から「emily」氏宛てに転送された2010年6月9日付の被請求人のメール(甲55)には、「GRKの・・・です。SUPER-B ・・・の商品で、付属の8mmソケットがサイズ間違いで10mmが付いているものが3pcs見つかりました。・・・」等と記載され、商品の写真が添付されていること、などが認められる。
ウ 甲第56号証ないし甲第59号証は、「慶林」、「EVERICH」、「SUPER B黄社長」との間に交わされたメール及びその訳文の各写しと認められる。これらの内容は、2010年11月12日に被請求人会社の社長と「Super B社」の担当者が会談した際の議事録、並びに「Super B社」の黄社長に対する被請求人社長及び被請求人の従業員による意見である。
これらによると、被請求人会社社長は、「GRKとSUPER B社とは正式に代理店契約が締結されていなくとも、双方の売買関係は係属中ですので、SUPER B社が告知せずに他者と契約を結ぶのはあり得ないことです。それに、2010年6月末でGRKはSUPER B社から製品の販売中止を受けました。このような行為は、GRK及び関連顧客の利益に損害を及ぼします。・・・」等と述べ、これに対し、「Super B社」は、「去年(2009年)の台北展示会の後、代理契約の基本条件について、王さんと相談をしていました。その際、SUPER B社は契約条件の修正(値下げ)をしましたが、王さんからGRKが条件に満足できないとの回答と告げられましたので、これ以上GRKとは正式に契約を締結できないと判断いたしました。・・・」等(いずれも甲57)と回答している。
また、2011年7月28日付けの被請求人から「Super B社」の黄社長に宛てた意見(メール)では、「現在、弊社が日本でSUPER B社の商標権を取得したのは事実であり、このことは、去年(2010年)11月に突然SUPER B社の出荷停止を提出したことに対して取った対抗策であって、自衛手段として当然のことです。・・・今年11月以降、もし貴社が弊社と長期契約を締結するのであれば、弊社もSUPER B社の商標権を黄社長に譲渡することを考えます。・・・」等(甲59)と述べている。
(2)上記(1)認定の事実及び答弁の全趣旨によれば、上記「慶林」は「慶林公司」を、上記「Super B Tina」及び「Super B emily」は「Super B社」の担当者を、上記「EVERICH」は被請求人を、それぞれ指すものと認められ、かつ、被請求人は、2009年3月頃から「慶林公司」を介して又は直接に「Super B社」の担当者と連絡をとっており、少なくとも2010年6月頃までは、「慶林公司」を介して「Super B社」と商品の取引を行っていたものと認められる。
加えて、上記1(1)ア及びイの事実によれば、2009年には被請求人の関連会社である「リンエイ社」が「Super B社」の商品を我が国において販売していたものと推認される。
そして、その後、代理店契約等を巡って交渉がまとまらなかったことから、被請求人は、「Super B社」及び請求人に無断で本件商標を登録出願し登録を受けたものといえる。このことは被請求人自身も自白している。
上記経緯に照らすと、被請求人は、「Super B社」及び引用商標の存在を熟知しながら、我が国において引用商標が登録出願されていないことを奇貨として、「Super B社」及び請求人に無断で先取り的に、引用商標と区別がつかない程に酷似する本件商標を出願し登録を受けたものというべきであり、被請求人には、「Super B社」の我が国参入を阻止し、代理店契約を強制するなどの不正の目的、ないしは、引用商標に化体した「Super B社」の業務上の信用、名声、顧客吸引力等を毀損させ、又はこれに便乗して不当な利益を得るなどの不正の目的があるものといわざるを得ない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、「Super B社」の業務に係る商品を表示する商標として、台湾、中国等の外国を始め我が国においても取引者、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一といえる程に類似するものであって、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は、原本参照)



別掲2(引用商標)(色彩は、原本参照)


審理終結日 2012-03-08 
結審通知日 2012-03-12 
審決日 2012-03-23 
出願番号 商願2010-95067(T2010-95067) 
審決分類 T 1 11・ 222- Z (X081221)
最終処分 成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-04-28 
登録番号 商標登録第5410184号(T5410184) 
商標の称呼 スーパービイ、スーパー、スパーブ、シュパーブ 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 
復代理人 臼井 孝尚 
代理人 服部 雅紀 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ