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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z35
管理番号 1256514 
審判番号 取消2011-300371 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-04-13 
確定日 2012-05-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4493812号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4493812号商標(以下「本件商標」という。)は、「M I X」の文字を標準文字で表してなり、平成11年9月22日に登録出願、第35類「商品の製造又は販売に関する情報の提供,経営の診断及び指導に関する情報の提供,企業化に関する調査・計画又は企業経営ノウハウに関する情報の提供,その他経営に関する情報の提供,統計に関する情報の提供,商業に関する情報の提供,事業情報の提供,統計的情報の提供,広告情報の提供,職業のあっせんに関する情報の提供,事業の管理又は運営に関する情報の提供」を指定役務として、同13年7月27日に設定登録され、その後、同23年8月2日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成23年4月28日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求人の知る限り、本件商標の商標権者である被請求人は、継続して3年以上日本国内において、本件商標を指定役務に関して正当な理由なく使用していない。また、本件商標について専用使用権は設定されておらず、通常使用権の登録もない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
(1)乙第1号証は、被請求人の平成18年1月10日付けの履歴事項全部証明書の写しであり、第12頁の「吸収合併」の欄に「東京都新宿区四谷三丁目2番地1ダイヤモンドビジネスコンサルティング株式会社、東京都千代田区丸の内一丁目8番2号株式会社東京リサーチインターナショナルを合併」の記載があり、それらの登記が同年1月4日になされている。
したがって、一般承継により現商標権者(被請求人)は、「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社」である。
なお、最新の履歴事項全部証明書(乙第2号証)には、「吸収合併」の記載がないため、これを乙第1号証により証明する。
(2)乙第3号証ないし乙第8号証は、被請求人がインターネットを用いて実施する会員情報提供サービス「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」の運営形態を説明するものである。
「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社」が運営する「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」は、会員制の情報サイト(webサイト)であり、会員は、インターネットを介して、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」のホームページにアクセスし、必要な情報を入手する(有料)。
乙第3号証は、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」のホームページ上の入会に関する表示画面(一部)と、「会員規約内容」を記載したものである。会員規約には、対象となる会員は法人及び個人であること(第1条)、会員に、会員ID及びパスワードが付与されること(第5条)、会費の支払いに関すること(第6条)、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」が会員の利用履歴情報等の「会員情報」を保有していること及びその取り扱い(第13条)等が規定されている。
(3)会員は、先ず乙第4号証のログイン画面より、乙第3号証の会員規約により被請求人が付与するID・パスワードを入力し、「ログイン」をクリックすることで、乙第5号証の表示画面に遷移させる。
乙第5号証は、会員が情報検索するための表示画面であり、複数種の検索情報及びその内訳が表示され、さらに画面左上には、「MIX」の文字が大きくゴシック体で表示されている。
検索情報のうち「一週間の人気コンテンツTOP5」は、「公表相場データ」であり、このデータの会員への提供は、本指定役務の「商業に関する情報の提供」に相当する(乙第6号証)。
同様に、「カテゴリ別着信情報」の「経営・実務」及び「コラム・トレンド」は、本指定役務の「その他経営に関する情報の提供」に相当し、「経済・産業」、「海外」及び「ニュース」は、本指定役務の「統計に関する情報の提供、商業に関する情報の提供、事業情報の提供」に相当する。また、「マーケット」は、本指定役務の「統計的情報の提供」に相当する。
「ショートカットコーナー」は、本指定役務の「統計に関する情報の提供、商業に関する情報の提供、事業情報の提供、統計的情報の提供」に相当する。
このように、乙第5号証により、商標「MIX」を、指定役務「統計的情報の提供」等に使用していることは、明らかである。
(4)乙第6号証は、乙第5号証の「一週間の人気コンテンツTOP5」にリンクする表示画面であり、各国通貨の為替における「公表相場データ」ダウンロード画面であり、上記画面の上部「Exce1」ボタンを押すと乙第7号証のような指標が表示される。これにより、会員は「公表相場」の情報を得ることができる。
乙第8号証は、乙第5号証の「詳細検索はこちら」をクリックしたときの、遷移後の表示画面であり、キーワード、掲載日、カテゴリ等の条件設定により検索を行うための画面である。そして、乙第8号証により条件設定し、更に情報を絞り込むための下位層の表示画面が第9号証である。会員は、このように表示画面を下位層に遷移させながら、必要な情報を得るようになっている。
乙第10号証は、被請求人が上記会員規約の基に管理している「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」のユーザー別アクセス状況の一覧であり、乙第11号証はユーザーがアクセスした画面印刷である。
このアクセス状況には、会員番号・会員名・メンバーID・アクセス日などの記載があり、2010年12月1日に会員番号1829のメンバーがアクセスしたコンテンツタイトル「国際通貨研究所調査委託調査:?」及び「中国月報/?」の内容を表示したものがある(乙第11号証)。
上述のように、被請求人は、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」のwebサイト上で使用をしているが、テキスト情報として掲載されていないため、インターネット検索サイトなどでは、検索結果が表示されないと思われる。
(5)乙第12号証は、被請求人が運営している「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」を利用した会員(この場合は、法人)に対する請求書である。
上記請求書(乙第12号証)を見ると、「日付」の欄に「2010年10月08日」との請求の日付が記載されている。また、「利用の明細」として、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)サービス」と記載され、また、利用額が記載されている。
この請求書は、会員が上記ログイン画面から、会員ID・パスワードを入力した後に、表示されている情報を得、これに対し、「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社」が発行したものである。
すなわち、商標「MIX」における指定役務「統計的情報の提供」等を受けた会員に対し、その代価として、被請求人が発行した請求書である。
(6)乙第13号証は、本件商標を付した平成22年12月1日付けの会員向けメールであり、乙第14号証はその受信履歴の画面である。被請求人は、会員に対し、「【MIX】新着情報のお知らせ」というタイトルで、メールを随時配信している。
この乙第13号証においても、乙第5号証と同様に、上部に「三菱UFJ情報クラブ-MIX-」と表示され、その下に「経営・実務」や「経済・産業」等のカテゴリ分けして、「統計に関する情報の提供,商業に関する情報の提供,事業情報の提供」等を可能としている。
なお、乙第14号証は、被請求人のコンピューターにおいて管理している「【MIX】新着情報のお知らせ」の受信履歴であるが、会員が使用するコンピューターにおいても同様の受信履歴が画面表示され、履歴の任意の行をクリックすることで、対応する日付の「【MIX】新着時報のお知らせ」を表示することができる。
(7)なお、乙第4号証、乙第5号証及び乙第8号証ないし乙第12号証に表されている商標「MIX」は、本件商標と同一性のあるものであり、少なくとも社会通念上同一と認められる表示形態である。

4 当審の判断
(1)被請求人が提出した証拠等によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標登録原簿の記載によれば、本件商標に係る権利者は、平成23年7月14日に「ダイヤモンドビジネスコンサルティング株式会社(東京都新宿区四谷3丁目2番1号)」から被請求人である「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社」へ商標権の移転がされているところ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの履歴事項全部照明書(乙第1号証)には、同社が「ダイヤモンドビジネスコンサルティング株式会社(東京都新宿区四谷三丁目2番地1)」及び「株式会社東京リサーチインターナショナル(東京都千代田区丸の内一丁目8番2号)」を吸収合併した旨の登記が同18年1月4日にされている。これによれば、本件商標に係る商標権については、同社が当該商標権を一般承継したものと認められる。
イ 「三菱UFJ情報クラブ(MIX)の会員規約(平成18年1月1日改訂)」(乙第3号証)によれば、被請求人は、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」と称する会員制の情報サービスを行っており、会員となった個人、法人には会員ID及びパスワードが付与される。
ウ 「MIXへようこそ」と表示するログイン画面(乙第4号証)には、ログイン用の入力窓の下部に「MIX」(「X」の交差部分が赤い菱形となっている。)が表示されている。そして、ログイン後の画面(乙第5号証)には、左上に上記同様の「MIX」が表示されており(乙第4号証及び乙第5号証に表示された「MIX」の標章を、以下「使用商標」という。)、画面には、検索対象のコンテンツとして、「一週間の人気コンテンツTOP5」として「1.公表相場データ2011年/公表相場(過去分)」等が表示されているほか、「経営・実務」、「経済・産業」等のカテゴリ別新着情報が用意されているのが認められる。
さらに、「公表相場データ」に入り、そのダウンロード画面で、「Exce1」ボタンを押すと指標データが表示され、会員は「公表相場」の情報を得ることができるようになっている(乙第6号証及び同第7号証)。
エ 「三菱UFJ情報クラブ(MIX)ユーザー別アクセス状況」(乙第10号証)によれば、2010(平成22)年12月1日に、会員である「TKC」(会計事務所)が、「国際通貨研究所委託調査:米国のデフレのリスク」、「中国月報/人民元レポート:」、「公表相場データ」、「データで読む:9月の最新トレンド?産業」ほかにアクセスしたことが表記されており、また、同日に、名称は不明ではあるが他の会員(法人)が「公表相場データ」ほかにアクセスしたことが表記されている。
オ 「請求書写し」(乙第12号証)によれば、2010(平成22)年10月8日付けで、被請求人から会員「株式会社TKC 東京本社」に対して、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)サービス」の利用料(22年下期分)について振込み請求がなされたことが認められる。そして、「株式会社TKC東京本社」は、上記エにおける「TKC」(会計事務所)と同一人であると認めて差し支えない。
カ 2010(平成22)年12月1日に、「三菱UFJ情報クラブ?MIX?」として、経営・実務や経済・産業に係る新着情報のお知らせ(メール)が、会員に配信されたことが認められる(乙第13号証及び同第14号証)。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、被請求人は、「三菱UFJ情報クラブ(MIX)」と称する会員制の情報サービスを提供しており、本件審判の請求の登録前3年以内である平成22年12月1日、その会員である「株式会社TKC東京本社」が、上記情報サービスの提供に係る「国際通貨研究所委託調査:米国のデフレのリスク」、「中国月報/人民元レポート:」、「公表相場データ」、「データで読む:9月の最新トレンド?産業」等の各種情報にアクセスしたことが推認される。また、その時期の利用について、被請求人から「株式会社TKC東京本社」に対し、「22年下期分」として利用料の支払請求がなされたと推認し得るものである。
本件商標は、前記1のとおり、「M I X」と標準文字で表してなるところ、上記の情報サービスを提供するに当たって使用されている使用商標は、「MIX」(「X」の交差部分が赤い菱形となっている。)であり、本件商標の構成文字と同一の綴りであって実質的に同視できるものであるから、当該使用商標の表示をもって、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたと認められるものである。
そして、使用商標は、「商業に関する情報の提供」、「統計に関する情報の提供」及び「統計的情報の提供」の役務について、映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に表示されたものであるから、取消請求に係る指定役務について使用されたと認めることができる。
また、使用商標が使用された上記の時期は、本件商標権の一般承継後とみることができるから、本件審判の請求の登録前3年以内の時期に被請求人である商標権者によって使用されたものと認められる。
(3)以上のとおり、本件商標は、その指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって使用されたと認められるものであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-17 
審決日 2012-03-19 
出願番号 商願平11-85033 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2001-07-27 
登録番号 商標登録第4493812号(T4493812) 
商標の称呼 ミックス、エムアイエックス 
代理人 落合 稔 

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