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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X2931
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X2931
管理番号 1256508 
審判番号 不服2011-20168 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-30 
確定日 2012-05-02 
事件の表示 商願2010- 60809拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「もち米牛」の文字を横書きしてなり、第29類「牛肉,牛肉製品,牛脂」及び第31類「牛」を指定商品として、平成22年8月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『もち米牛』の文字を書してなり、その指定商品との関係において『もち米を飼料に配合して育てた牛』程の意味合いを看取させるから、これをその指定商品中前記文字に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を表示したにすぎず自他商品識別機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「もち米牛」の文字からなるものである。
ところで、畜産業界においては、肉質の改善を図るために工夫した飼料を家畜に与え、与える飼料の原料名を冠にして「オリーブ牛」「米豚」「いもぶた」などと称している事実がある。そして、原審で示したとおり、もち米を使った飼料を与えて牛を飼育することが行われており、そのように飼育した牛を「もち米牛」と称している事実もある。これらのことは、別掲の新聞記事やインターネットの記事からも裏付けられる。
また、家畜の銘柄(ブランド)は、肥育された家畜ばかりでなく、その食肉及びその食肉を原材料とする商品(肉製品)について、その品質などを表すものとして使用されている実情がある。
そうとすれば、「もち米牛」の文字(語)は、本願指定商品との関係において、その取引者、需要者が「もち米を使った飼料を与えて育てた牛」「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉」又は「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉を原材料とする商品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであって、上述のとおりの取引の実情からすれば、前記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
してみれば、「もち米牛」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「もち米を使った飼料を与えて育てた牛」「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉」及び「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉を原材料とする商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は該文字を「もち米を使った飼料を与えて育てた牛」などの前記商品であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならず、また、前記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「もち米を使った飼料を与えて育てた牛」「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉」又は「もち米を使った飼料を与えて育てた牛の肉を原材料とする商品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 与える飼料の原料を冠にした牛、豚に関する記事
(1)「讃岐三畜銘柄化推進協議会」のホームページにおいて、「SANUKI オリーブ牛 瀬戸内の温かな風土とオリーブに育まれた『讃岐牛』」の見出しの下、「県木・オリーブ絞り果実を与え育てあげた讃岐牛、それが『オリーブ牛』です。」と記載されている。(http://www.sanchiku.gr.jp/whats/olive/)
(2)2011年(平成23年)4月9日付け静岡新聞に、「飼料に米を配合 米豚いかが 袋井で発表会」の見出しの下、「米配合の飼料で育てた『米豚』の商品発表会が8日、袋井市浅岡のどんどこあさばで開かれ、関係者が新しい味覚の誕生を祝った。」と記載されている。
(3)2010年(平成22年)3月13日付け日本農業新聞に、「『米豚』販売始まる きょうから 土佐の大おきゃく出店/高知・JA四万十」の見出しの下、「米豚は、同JA管内のブランド米『仁井田米』を餌にして育てた豚。」の記載がある。
(4)千葉県のホームページにおいて、「しごと・産業」の項に、「千葉県産いもぶた」の見出しの下、「特徴 いも類50%の飼料でじっくり育てました。臭みの少ない甘くて美味しい豚肉。」の記載がある。(http://www.pref.chiba.lg.jp/chikusan/chibazapo-ku/chibakensanimobuta.html)
2 もち米を使った飼料で飼育される牛に関する記事
(1)2009年(平成21年)12月17日付け日本農業新聞に、「もち米給与牛 うま味成分豊富/山形・JAみちのく村山 地元品種など活用」の見出しの下、「もち米給与牛は、JA尾花沢営農センター管内で生産されたもち米を1年間与え飼育した。」の記載がある。
(2)2011年(平成23年)6月24日付け日本農業新聞に、「消費者ニーズに応えるみやぎ登米産「仙台牛」を生産/JAみやぎ登米」の見出しの下、「同支部では『もち米給与牛』の生産に取り組んでおり、柔らかく甘味がある肉質は、消費者からの評価も高い。」の記載がある。
(3)「岩手中央農業協同組合」のホームページにおいて、「特産品の紹介」「おにく」の項に、「肉のうまみとやわらかさが逸品/もちもち牛」の見出しの下、「もち米産地である地の利を活かし、もち米を中心とした地元産の飼料を与えて育てた『もちもち牛』。」の記載がある。(http://www.ja-iwatechuoh.jp/index.html)
3 「もち米牛」に関する記事
(1)2011年(平成23年)12月1日付け日本農業新聞に、「水田を活用した飼料生産と耕畜連携を考える/山形県村山総合支庁が事例発表会」の見出しの下、「管轄するそれぞれの農業技術普及課の担当者が、(1)・・・(2)JAさがえ西村山における『もち米牛』の取り組み(3)・・・--を報告した。」の記載がある。
(2)山形県のホームページにおいて、「H23第2次プロジェクト計画(村山地域)」の見出しの下、「V 環境保全・資源循環型」の項に「朝日町『さがえ西村山、耕畜連携で“もち米牛”1000頭出荷プロジェクト』(さがえ西村山畜産振興協議会)」と掲載されている。(http://www.pref.yamagata.jp/ou/norinsuisan/140001/soui-kufu-project/h23no2project-murayama.html)また、その計画書の中では、もち米を与えた牛に関するプロジェクトが記載されている。(http://www.pref.yamagata.jp/ou/norinsuisan/140001/soui-kufu-project/h23no2murayama-project-folder/sagaenisimurayamatikusan.pdf)


審理終結日 2012-02-17 
結審通知日 2012-02-24 
審決日 2012-03-08 
出願番号 商願2010-60809(T2010-60809) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X2931)
T 1 8・ 272- Z (X2931)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
高野 和行
商標の称呼 モチゴメギュー、モチコメギュー、モチゴメ、モチコメ 
代理人 佐々木 實 

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