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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1256378 
審判番号 取消2011-300374 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-04-14 
確定日 2012-04-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5013717号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5013717号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年5月8日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」のほか、第3類、第6類、第11類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中、第5類「薬剤」についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求人が調査した限りにおいては、その指定商品中、第5類「薬剤」については、商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されている事実を発見することはできなかった。
また、商標登録原簿をみても専用使用権者及び通常使用権者は設定登録されておらず、許諾を受けた通常使用権者等による使用の事実ない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、第5類「薬剤」については、その登録を取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商品総合カタログについて
被請求人が、乙第1号証として提出する商品総合カタログにおいては、被請求人の製造・販売に係る商品である「消臭タブレット」、「ストップスメル」、「ヌメリ防止リング」、「ヌメリストップ」の4つの商品(以下「被請求人商品」という。)を確認することができ、乙第2号証の1ないし3によって当該カタログが現実に流通していることがわかる。
しかしながら、乙第3号証及び乙第8号証として提出されている被請求人商品である「消臭タブレット」及び「ヌメリ防止リング」の商標となる部分はあくまで「qucca\cute color kitchen series」「Stop!smell」「キュッカ」「消臭タブレット」「ヌメリ防止リング」の文字部分であり、本件商標が付されている部分は自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものである。
(2)被請求人商品における商標について
被請求人が、乙第4号証、乙第6号証及び乙第9号証として提出する被請求人商品の納品書を検討すると、本件商標の文字は全く見当たらず、単に「消臭タブレット」、「ストップスメル」、「ヌメリ防止リング」、「ヌメリストップ」との商品名が記載されているのみである。これは、被請求人商品がその商品名である「消臭タブレット」、「ストップスメル」、「ヌメリ防止リング」、「ヌメリストップ」として需要者又は取引者に認識、把握及び識別されていることを指し示すものである。
さらに、乙第3号証及び乙第8号証として提出されている被請求人商品の現物を検討すると、その商品名である「消臭タブレット」又は「ヌメリ防止リング」が記載されている他、表面に「qucca\cute color kitchen series」「Stop!smell」、裏面に「qucca\cute color kitchen series」、「キュッカ ストップスメル」の文字が表されている。このことは、現実の取引においては、被請求人商品のことを「キュッカの消臭タブレット」、「キュッカのストップスメル」、「キュッカのヌメリ防止リング」、「キユッカのヌメリストップ」と称されていることを指し示すものである。そのため、被請求人商品には本件商標が表示されているものの、この部分からは自他商品識別機能が発揮されていない。したがって、被請求人は、本件商標をその指定商品に「使用」したものとはいえず、被請求人の主張は失当である。
(3)被請求人商品について
被請求人は、「前記『消臭タブレット』は容器内に消臭剤が収容され、この消臭剤により台所の流し台において消臭するカートリッジ方式の『容器付き台所消臭剤』である。また、『ヌメリ防止リング』はリング状の容器内に除菌剤が収容され、この除菌剤により台所の流し台でのヌメリをとるカートリッジ方式の『容器付き台所用除菌剤』である。かかる商品は、防臭剤(身体用のものを除く。)、殺菌剤と同様に第5類の指定商品『薬剤』に属することは明らかである。」旨を述べている。
しかしながら、被請求人によるこのような主張は、妥当性を欠くものといわざるを得ない。なぜならば、被請求人商品「消臭タブレット」及び「ヌメリ防止リング」は、各々「容器付き台所消臭剤」及び「容器付き台所用除菌剤」ではないからである。
被請求人は、1954年9月に三栄水栓製作所が創業されたことに端を発し、以来水栓等の水道用品やシャワー用品を継続的に製造及び販売しているものである。このことは、甲第3号証として提出する「三栄水栓製作所webサイト」に係る「会社概要」の「事業内容」の欄に「水栓金具、単水栓、温水混合栓、シャワー、止水栓バルブ、各種接手、配管部品、トイレ部品、ボールタップ、排水器具、バス用部品、浴室・トイレアクセサリー、散水器具類等の製造販売」との記載から容易に理解可能なものである。言い換えれば、被請求人は、伝統的に水道用品やシャワー用品の製造・販売を業とする事業会社ではあるものの、「消臭剤」や「除菌剤」の製造・販売を業とするものではない。
さらに、被請求人商品が「容器付き台所消臭剤」及び「容器付き台所用除菌剤」に該当するものではないことは、乙第1号証によっても明らかである。事実、乙第1号証中の203ページの目次欄には、被請求人商品である「消臭タブレット」及び「ヌメリ防止リング」が掲載されている211ページを、「流し排水栓部品」として指し示している。すなわち、被請求人商品は、「容器付き台所消臭剤」及び「容器付き台所用除菌剤」などではなく、あえていうならば、「消臭効果を有する流し排水栓部品」及び「除菌効果を有する流し排水栓部品」である。これらの商品は、第11類に属するものである。
したがって、被請求人は、本件商標をその第5類「薬剤」に使用したものとはいえず、被請求人の主張は失当である。
3 まとめ
以上により、被請求人が主張する答弁の理由及び提出された乙第1号証ないし乙第15号証のいずれからも、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品中第5類「薬剤」に使用している事実を確認することはできない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
本件商標の商標権者は、乙第1号証ないし乙第15号証により明らかなように、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品「薬剤」について、本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)商品総合カタログについて
乙第1号証は、本件商標が使用された「薬剤」について、商標権者が遅くとも2011年4月に頒布した商品総合カタログである。371ページには商標権者の名称「株式会社三栄水栓製作所」及び住所が記載され、324ページには「2011年4月」が記載されている。また、211ページ下段には、商品「消臭タブレット」(品番PM75-2S)、商品「ストップスメル」(品番PH690-7S)、商品「ヌメリ防止リング」(品番PM76-2-LY)及び商品「ヌメリストップ」(品番PH6532F-7S)が記載されている。
乙第2号証の1及び2は、上記カタログが2011年4月に販売業者に配布された旨の証明書、乙第2号証の3は、2011年4月1日に印刷業者から商標権者に上記カタログが納品されたことを示す納品書の写しである。
(2)商品「消臭タブレット」(品番PM75-2S)について
乙第3号証は、本件商標が使用された商品「消臭タブレット」(品番PM75-2S)の現物である。乙第1号証の211ページ下段からは本件商標が表示されているか必ずしも明瞭ではないが(小さくは印刷されている。)、乙第3号証には本件商標が明瞭に表示されている。この現物、乙第1号証211ページの写真、双方の品番PM75-2Sを対比することにより、上記カタログ記載の「消臭タブレット」と、乙第3号証の本件商標が使用された商品「消臭タブレット」とが同一であることは明らかである。なお、この現物の包装用プラスチック板の裏面には「消臭タブレットは無機系の消臭剤で・・」と記載されている。
乙第4号証の1ないし6は、商標権者が2010年9、10月、2011年2、4月に販売業者に上記商品「消臭タブレット」の販売をした事実を示す納品書の写しである。
乙第5号証は、上記商品「消臭タブレット」を平成23年4月に販売した旨の販売業者の証明書である。
(3)商品「ストップスメル」(品番PH690-7S)について
「ストップスメル」(品番PH690-7S)は、販売時において上記「消臭タブレット」が予め装着されている商品であり(乙第7号証参照、「消臭タブレット付き」という表示がある。)、「消臭タブレット」の消臭効果が消失する度に新たな「消臭タブレット」に適宜交換する。
乙第6号証の1ないし6は、上記商品「ストップスメル」を商標権者が2010年8、9、12月、2011年1、3、4月に販売業者に販売をした事実を示す納品書の写しである。
乙第7号証は、上記商品「ストップスメル」を平成23年4月に販売した旨の販売業者の証明書である。
上記により、台所用流し台の排水口を覆って用いられる商品「ストップスメル」及びこの「ストップスメル」に対し補充、交換される「消臭タブレット」(容器付き台所用消臭剤)が遅くとも2011年4月には販売されていたことが明らかである。
(4)商品「ヌメリ防止リング」(品番PM76-2-LY)について
乙第8号証は、本件商標が使用された商品「ヌメリ防止リング」(品番PM76-2-LY)の現物である。乙第1号証の211ページ下段からは本件商標が表示されているか必ずしも明瞭ではないが(小さくは印刷されている。)、乙第8号証には本件商標が明瞭に表示されている。この現物、乙第1号証211ページの写真、双方の品番PM76-2-LYを対比することにより、上記カタログ記載の「ヌメリ防止リング」と、乙第8号証の本件商標が使用された商品「ヌメリ防止リング」とが同一であることは明らかである。なお、この現物の包装用プラスチック板の裏面には「用途:台所排水口の洗浄除菌」と記載されている。
乙第9号証の1及び2は、商標権者が2011年4月及び同5月6日に販売業者に上記商品「ヌメリ防止リング」の販売をした事実を示す納品書の写しである。
乙第10号証は、上記商品「ヌメリ防止リング」を平成23年4月に販売した旨の販売業者の証明書である。
(5)商品「ヌメリストップ」(品番PH6532F-7S)について
「ヌメリストップ」(品番PH6532F-7S)は、販売時において「ヌメリ防止リング」(品番PM76-2-LY)が予め装着されている商品であり、「ヌメリ防止リング」の効果が消失する度に新たな「ヌメリ防止リング」に適宜交換する。
前記乙第9号証の1及び2には、上記商品「ヌメリストップ」を商標権者が2011年4月及び同5月6日に販売業者に販売をした事実も示している。
上記により、台所用流し台の排水口にかぶせて用いられる商品「ヌメリストップ」及びこの「ヌメリストップ」に対し補充、交換される「ヌメリ防止リング」(容器付き台所用除菌剤)が遅くとも2011年4月には販売されていたことが明らかである。
(6)なお、被請求人の本件商標シリーズの商品は、乙第11号証ないし乙第13号証にも示すとおり、2006年から連綿と製造・販売されてきたが、2011年度から大々的に販売するため、商品総合カタログ(乙第1号証)にはじめて掲載したものである(本来の水栓製造業とはやや分野を異にするため、これまで商品総合カタログには掲載しなかった、という経緯もある。)。
(7)前記「消臭タブレット」は、容器内に消臭剤が収容され、この消臭剤により台所の流し台において消臭するカートリッジ方式の「容器付き台所用消臭剤」である。また、「ヌメリ防止リング」は、リング状の容器内に除菌剤が収容され、この除菌剤により台所の流し台でのヌメリをとるカートリッジ方式の「容器付き台所用除菌剤」である。かかる商品は、防臭剤(身体用のものを除く。)、殺菌剤と同様に第5類の指定商品「薬剤」に属することは明らかである(乙第14号証も参照)。
(8)本件商標と使用に係る商標が同一であることについて
本件商標は、一つには権判者の名称に由来し、三栄→さんえい→a・a・a→本件商標となったもので、上段にデザイン化した「a3」(審判注:「3」の文字は「a」の左上に小さく表されている。以下同じ。)を、下段に「a・cube」(aの3乗の英訳語)を配したものであって、この「a3」と「a・cube」との組み合わせが本件商標の重要特徴部分であり、「エーノサンジョウ、エーキューブ」の称呼及び「aの3乗」の観念を生じるものである。
一方で、使用に係る商標は、上段に本件商標におけると全く同じにデザイン化した「a3」を、下段に「a・cube」を配したもので、「エーノサンジョウ、エーキューブ」の称呼及び「aの3乗」の観念を生じ、かつ外観上も実質上同一である。
よって、上記使用に係る商標は、本件商標と同一であるというべきであり、そうすることがパリ条約5条C(2)及び取引の実情にも沿うことになる。
(9)追加
なお、乙第15号証は、遅くとも2011年4月30日には、乙第3号証の商品(消臭タブレット)及び乙第8号証の商品(ヌメリ防止リング)が株式会社アリキを介し、インターネット販売されていたことを示す資料である。
3 まとめ
以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の商標権者が審判請求に係る指定商品「薬剤」について本件商標を使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証は、その324ページ及び371ページの記載から、商標権者の2011年4月現在の価格による2011年から2012年の商品総合カタログと認められるものであり、211ページの3段目左側の枠内には、4色の商品写真とともに「ストップスメル」「PH690-7S」について、「キッチン排水口のぬめり、臭いを抑えます。」「流しに水を溜めるとき排水栓の口におくだけで水溜が可能。」「消臭タブレット(別売PM75-2S)の効果は約2ヶ月」の記載がある。そして、右側の枠内には商品及び包装された商品の写真とともに、「消臭タブレット」「PM75-7S」「PH690-7S用のカートリッジ。」の記載がある(以下、両商品を併せて「ストップスメル商品」という。)。
(2)また、同ページの最下段の左側の枠内には、4色の商品写真とともに「ヌメリストップ」「PH6532F-7S」について、「キッチン排水口のぬめり、臭いを抑えます。」「交換用カートリッジ(別売(PM76-2-LY)の効果は約2ヶ月」の記載がある。そして、右側の枠内には商品及び包装された商品の写真とともに、「ヌメリ防止リング」「PH6532F-7S用カートリッジ」の記載がある(以下、両商品を併せて「ヌメリストップ商品」という。)。
(3)乙第3号証は、「消臭タブレット」と表示された包装(袋)に詰められたタブレット状の商品2個(以下「使用商品1」という。)であり、その包装の表面には、青色で「a3」と「a・cube」の文字を二段に表した構成からなる商標(以下「使用商標」という。)とともに「つけかえ用」「約2ヶ月の消臭効果」の記載がある。また、裏面には「キュッカ ストップスメル/消臭タブレット」「『消臭タブレット』は無機系の消臭剤で、生活空間に存在する様々な悪臭に対して優れた消臭効果を示します。」の説明及び商標権者の名称と住所の記載があるほか、「SAN-EI PM75-2S」「消臭タブレット」と記載がされたシールが貼られている。なお、シールの貼られた部分には裏側から「PM75-2S」の文字がうかがえる。
(4)乙第4号証の1ないし6は、商標権者が東京都杉並区在の「株式会社 タマカネ」にあてた2010年9月13日付け、同月30日付け、同年10月15日付け、2011年2月7日付け、同年4月25日付け及び同月11日付けの「納品書(控)」の写しであり、いずれにも「商品名コード 商品名/品番・呼び」の欄に「消臭タブレット/PM75-2S」の記載があり、さらに、乙第4号証の2及び4には、「ストップスメル(ピンク)/PH690-7S」と記載され、いずれにも数量、単価及び金額の記載がある。
(5)乙第5号証及び乙第7号証は、いずれも平成23年6月3日付けの「添付写真等に示す使用商標を付した容器入り台所消臭剤を平成23年4月に仕入れて販売した。」旨記載された「株式会社 タマカネ」の証明書であって、乙第5号証には使用商品1の写真が添付され、乙第7号証には包装(袋)に入った「ストップスメル」の写真が添付されている。
(6)乙第8号証は、「ヌメリ防止リング」と表示された包装(袋)に詰められたリング状の商品(以下「使用商品2」という。)であり、その包装の表面には、使用商標とともに「つけかえ用」「お酢の成分入り効果約2ヶ月」の記載がある。また、裏面には「キュッカ ヌメリストップ/ヌメリ防止リング」「ヌメリストップの専用カートリッジです。/(他社製品には使用できません)」「用途:台所排水口の洗浄除菌」の説明及び商標権者の名称と住所の記載があるほか、バーコードの下に「PM76-2-LY」との記載がされている。
(7)乙第9号証の1及び2は、商標権者が東京都杉並区在の「株式会社 タマカネ」にあてた2011年4月5日付け及び同年5月6日付けの「納品書(控)」の写しであり、いずれにも「商品名コード 商品名/品番・呼び」の欄に「ヌメリ防止リング/PM76-2 LY」「ヌメリストップ(グリーン)/PH6532F-7S」と記載されているほか、数量、単価及び金額の記載がある。
(8)乙第10号証は、平成23年6月3日付けの「株式会社 タマカネ」の証明書であって、「添付写真等に示す使用商標を付した容器入り台所用除菌剤を平成23年4月に仕入れて販売した。」旨の記載があり、使用商品2の写真が添付されている。
2 判断
上記1を総合すれば、次のとおり認めることができる。
(1)乙第3号証(使用商品1)と乙第4号証の「消臭タブレット」「PM75-2S」の記載が一致し、また、乙第8号証(使用商品2)と乙第9号証の「ヌメリ防止リング」「PM76-2 LY」の記載が一致すると認められるから、商標権者は、2010(平成22年)年9月13日、同月30日、同年10月15日、2011年2月7日、同年4月11日及び同月25日に「消臭タブレット/PM75-2S」(使用商品1)を、2011(平成23年)年4月5日及び同年5月6日に「ヌメリ防止リング/PM76-2-LY」(使用商品2)をそれぞれ「株式会社 タマカネ」に、販売(譲渡)したと認めることができる(上記、1(3)、(4)、(6)及び(8))。
(2)使用商品1及び2について
ア ストップスメル商品は、使用商品1が予め装着された台所の流し台の排水栓の口に置き、ぬめりや臭いを抑えるための消臭用の商品であって、使用商品1は、その交換用の商品であるから、「台所用のつめかえ用の消臭剤」とみるのが相当である。
イ ヌメリストップ商品は、使用商品2が予め装着された台所の流し台の排水栓の口に置き、ぬめりを抑えるための除菌用の商品であって、使用商品2は、その交換用の商品であるから、「台所用のつめかえ用の除菌剤」とみるのが相当である。
ウ ところで、「消臭剤」及び「除菌剤」については、商標法施行規則別表に例示されていないが、同別表に第5類「薬剤」の範ちゅうの商品として「殺菌剤」「防臭剤(身体用のものを除く。)」が例示されていることからすれば、「消臭剤」及び「除菌剤」は第5類「薬剤」の範ちゅうに含まれるものと判断するのが相当である。
(3)使用時期
上記(1)の譲渡の日付けは、いずれも本件審判請求の登録の日(平成23年5月9日)前3年以内である。
(4)本件商標と使用商標について
本件商標は、別掲のとおりの構成からなり、使用商標は、上記1(1)のとおり青色で「a3」と「a・cube」を二段に表した構成からなるものである。そして、本件商標と使用商標とは、四角形の枠の有無及び色彩が相違するものの、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部と認められる「a3」と「a・cube」の構成、態様を同一にするものであるから、使用商標は、本件商標と同一の商標と認められる。
(5)してみれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品第5類「薬剤」の範ちゅうに属する「台所用のつめかえ用の消臭剤」及び「台所用のつめかえ用の除菌剤」の包装に本件商標を付したものを譲渡した(商標法第2条第3項第2号)ものと認めることができる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「消臭タブレット(使用商品1)」及び「ヌメリ防止リング(使用商品2)」の商標となる部分はあくまで「qucca\cute color kitchen series」「Stop!smell」「キュッカ」「消臭タブレット」「ヌメリ防止リング」の文字部分であり、本件商標が付されている部分は自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものである旨主張している。
しかしながら、使用商標は、使用商品1及び2の包装(袋)の表面右上部に明瞭に表わされていることから、これが看者の注意を強く惹きつけるものであり、独立して自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものとみるのが自然である。
そうとすると、かかる請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、使用商品1及び2は、「容器付き台所消臭剤」及び「容器付き台所用除菌剤」などではなく、あえていうならば、「消臭効果を有する流し排水栓部品」及び「除菌効果を有する流し排水栓部品」であり、これらの商品は、第11類に属するものである旨主張している。
しかしながら、上記2(2)で述べたとおり、ストップスメル商品及びヌメリストップ商品は、台所の排水口の消臭用及び除菌用の商品であり、使用商品1及び2は、その交換用消臭剤及び除菌剤であるから、第5類「薬剤」の範ちゅうに属する商品というべきである。
そうとすれば、請求人の上記主張は、採用することができない。
4 以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が本件審判の請求に係る指定商品第5類「薬剤」の範ちゅうに属する「台所用のつめかえ用の消臭剤」及び「台所用のつめかえ用の除菌剤」について、本件商標を使用していることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品第5類「薬剤」について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2012-02-20 
結審通知日 2012-02-23 
審決日 2012-03-08 
出願番号 商願2006-41251(T2006-41251) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2006-12-22 
登録番号 商標登録第5013717号(T5013717) 
商標の称呼 エイサン、エイスリー、エイキューブ、キューブ、アキューブ、エイエイエイ 
代理人 橘 哲男 
代理人 藤本 英夫 

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