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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 124 |
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管理番号 | 1256367 |
審判番号 | 取消2011-300099 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-02-01 |
確定日 | 2012-04-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2136006号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2136006号商標(以下「本件商標」という。)は、「綾美」の文字を縦書きしてなり、昭和62年4月1日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録され、その後、同21年4月8日に指定商品を第24類「布製身の回り品」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服(但し、和服を除く。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べている。 本件商標は、その指定商品中、第25類「被服(但し、和服を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標の使用状況について 被請求人は、被請求人の現在事項全部証明書(乙第3号証)に掲載のとおり「1 繊維製品の卸販売 2 前項に附帯関連する一切の業務」を事業目的として「昭和31年5月18日」の株式会社成立以来該事業を営んでおり、当該事業活動において、本件審判請求の登録(平成23年2月16日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の商品「スリップ」及び「エプロン」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している。 2 使用の事実を証明する証拠について (1)商品「スリップ」 ア 「写真A」は被請求人が販売している商品「スリップ」を、「写真B」は当該商品が収納されている包装袋の表面を、「写真C」は当該包装袋の裏面を、それぞれ撮影したものである(乙第4号証の1ないし3)。 イ 被請求人は、「040046」の数字及び「silmie5シルミーファイブ」の文字によって特定される「写真A」の商品「スリップ」(以下「使用商品1」という。)を、「写真B」及び「写真C」のとおりの「綾美」なる文字が示された包装形態にて本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において販売している。 具体例を挙げると、被請求人は、平成22年12月13日に兵庫県宍粟市所在の「呉服とくさや」に使用商品1を「写真B」及び「写真C」の包装形態にて販売している(乙第5号証1ないし3)。 (2)商品「エプロン」 ア 「写真E」は被請求人が販売している商品「エプロン」を、「写真F」は当該商品が収納されている包装袋の表面を、「写真G」は当該包装袋の裏面を、それぞれ撮影したものである(乙第6号証の1ないし3)。 イ 被請求人は、「472881」の数字及び「絞り・草木染めエプロン」の文字によって特定される写真Eに示す商品「エプロン」(以下「使用商品2」という。)を、「写真F」及び「写真G」のとおりの「綾美」なる文字が示された包装形態にて本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において販売している。 具体例を挙げると、被請求人は、平成22年6月2日に沖縄県浦添市所在の「桜華」に使用商品2を「写真F」及び「写真G」のとおりの包装形態にて販売している(乙第7号証の1ないし3)。 なお、被請求人は、販売した商品の代金を銀行振り込みによって受領する場合には領収書を発行していない。 (3)包装袋 ア 被請求人は、「写真E」「写真F」及び「写真G」に示された包装袋と同種の「包装袋」(乙第8号証)を平成20年7月9日に京都市下京区所在の旭パッケージ株式会社から購入し、使用商品2に使用している(乙第9号証1ないし3)。 (4)小括 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、乙第4号証の1ないし3及び乙第5号証の1ないし3により、被請求人が、使用商品1(スリップ)を、また、乙第6号証の1ないし3、乙第7号証の1ないし3、第8号証及び乙第9号証の1ないし3により、被請求人が、使用商品2(エプロン)をそれぞれの裏面に「綾美」なる文字が表示された包装袋に収納して販売していた事実を証明できたものと確信している。 3 本件商標と使用商標について (1)「写真C」(乙第4号証の3)及び「写真G」(乙第6号証の3)に示された包装袋の裏面に表示されている「綾美」の文字が、いずれも商標法上の商標であることは明白と思料する。 (2)上記各包装袋の各裏面に表示されている「綾美」の文字、換言すれば「綾美」なる商標(以下「使用商標」という。)の構成は、漢字「綾美」を丸ゴチック体にて横書きしてなるものである。 (3)本件商標の構成は、漢字「綾美」を楷書体にて縦書きしてなるものであるから、使用商標の構成と本件商標の構成とは一致していない。 しかし、使用商標の構成から生ずる称呼及び観念と本件商標の構成から生ずる称呼及び観念とは同一であるから、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明白と思料する。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録(平成23年2月16日)前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)が請求に係る指定商品中の「スリップ」及び「エプロン」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していた事実を、上記乙各号証によって証明した。 よって、本件審判の請求は成り立たない。 第4 当審の判断 1 被請求人提出の証拠について 被請求人提出に係る証拠によれば次のとおりである。 (1)乙第4号証の1ないし4は、「スリップ」、包装袋に収納されているスリップの表面と裏面及びそれに添付された商品ラベルの写真である。その包装袋の裏面には「綾美 和装品」の文字が表示(以下「使用商標1」という。)されている。また、商品ラベルは2種類あり、一方には、「品質表示」「No.040046」、他方には「Silmie5」「シルミーファイブ」の文字がそれぞれ表示されている。 (2)乙第5号証の1及び2は、商標権者の発行に係る兵庫県宍粟市在の「呉服 とくさや」あての「売上伝票」及び「得意先元帳」の写しである。 「売上伝票」には、上部に「平成22年12月13日」「No. 07654」と記載され、品番欄に「04-0046」、品名欄に「シルミー5 スリップ(M・L)」、数量欄に「6」、単価欄に「3,800」、金額欄に「22,800」と記載されている。 「得意先元帳」の1枚目には、上部に「平成22年度」「(締日:20日)」と記載され、12月13日分には、伝票No.欄に「7654」、品番欄に「04-0046」、品名欄に「シルミー5 スリップ(M・L)」、数量欄に「6」、単価欄に「3800」、金額欄に「22800」と記載され、12月20日分には、残高欄に「202608」の記載がある。2枚目には、上部に「平成23年度」「(締日:20日)」と記載され、1月12日分には、品名欄に「(手形)」、伝票合計欄に「202608」の記載がある。 また、乙第5号証の3は、商標権者が「(株)とくさや」あてに発行した平成23年1月12日付けの「領収証」の写しであり、金額欄には「¥202608」の記載がある。 (3)乙第6号証の1ないし4は、「エプロン」、包装袋に収納されているエプロンの表面と裏面及びそれに添付された商品ラベルの写真である。その包装袋の裏面には「綾美 和装品」の文字が表示(以下「使用商標2」という。)されている。また、商品ラベルには「絞り・草木染め エプロン」の文字が表示され、「472881/THR」の文字が記載されたシールが貼られている。 (4)乙第7号証の1及び2は、商標権者の発行に係る沖縄県浦添市在の「桜華(金城美枝子)」あての「売上伝票」及び「得意先元帳」の写しである。「売上伝票」には、上部に「平成22年6月2日」「No. 03460」と記載され、品番欄に「47-2881」、品名欄に「絞りエプロン 新型」、数量欄に「10」、単価欄に「650」、金額欄に「6,500」と記載されている。 「得意先元帳」には、上部に「平成22年度」「(締日:20日)」と記載され、6月2日分には、伝票No.欄に「3460」、品番欄に「47-2881」、品名欄に「絞りエプロン 新型」、数量欄に「10」、単価欄に「650」、金額欄に「6500」と記載され、6月29日分には、品名欄に「(振込)」、伝票合計欄に「48300」の記載がある。 また、乙第7号証の3は、被請求人の銀行口座の「当座勘定照合表」の写しであり、平成22年6月28日分には、摘要(小切手番号)欄に「ワソウブテイツクオウカ」、ご入金額欄に「48300」と記載されている。 2 判断 (1)上記1からすれば、次の事実を認めることができる。 ア 乙第4号証の2及び4のラベルの番号と乙第5号証の1及び2の品番、乙第5号証の1と2の伝票番号(No.)、日付、品番、品名、数量、単価及び金額、乙第5号証の2の1枚目の12月20日の残高と2枚目の伝票合計と乙第5号証の3の金額がそれぞれ一致すると認められる(上記1(1)及び(2))から、商標権者は、平成22年12月13日に乙第4号証の「スリップ」(使用商品1)を兵庫県宍粟市在の「呉服 とくさや」に譲渡(商標法第2条第3項第2号)し、その代金を含む金額を同23年1月12日に受領(手形)したといえる。 イ 乙第6号証の2及び4のラベル番号と乙第7号証の1及び2の品番、乙第7号証の1と2の伝票番号(No.)、日付、品番、品名、数量、単価及び金額、乙第7号証の2の伝票合計と乙第7号証の3のご入金額がそれぞれ一致すると認められる(上記1(3)(4))から、商標権者は、平成22年6月2日に乙第6号証の「エプロン」(使用商品2)を沖縄県浦添市在の「桜華(金城美枝子)」に譲渡(商標法第2条第3項第2号)し、その代金を含む金額を同年6月28日に受領(入金)したといえる。 (2)譲渡の時期 上記(1)ア及びイの譲渡の日「平成22年12月13日」及び「平成22年6月2日」は、いずれも本件審判請求の登録(平成23年2月16日)前3年以内である。 (3)使用商品1及び2について 本件請求に係る指定商品は、「被服(但し、和服を除く。)」であるから被服のうち、長着はもちろん、腰巻、じゅばんなど和服専用の下着類は除かれていると解釈すべきであり、使用商品1(スリップ)及び2(エプロン)の包装袋には「和装品」の文字が表示されている。 しかしながら、使用商品1及び2は、その商品の形状からみて、和服専用のものというより、一般のスリップやエプロンと同様に身につけることができるものとみるのが自然である。 そうとすれば、使用商品1及び2は、いずれも本件審判請求に係る指定商品「被服(但し、和服を除く。)」の範ちゅうに属する商品ということができる。 (4)本件商標と使用商標1及び2について 本件商標は、上記第1のとおり「綾美」の文字を縦書きしてなるものである。 使用商標1及び2は、いずれも「綾美 和装品」の文字からなり、その構成中「和装品」の文字部分は商品の品質を表示したものとみるのが自然であるから、「綾美」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。 そして、該「綾美」の文字と本件商標とは、横書きと縦書きの差異を有するものの、いずれも「綾美」の文字からなるものであるから、両者は社会通念上同一と認められるものである。 してみれば、使用商標1及び2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。 (5)そうとすれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品第25類「被服(但し、和服を除く。)」の範ちゅうに属する商品「スリップ」及び「エプロン」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したというべきである。 3 請求人は、上記3の被請求人の答弁に対し、何等弁駁するところがない。 4 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品第25類「被服(但し、和服を除く。)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品第25類「被服(但し、和服を除く。)」について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-16 |
結審通知日 | 2012-02-20 |
審決日 | 2012-03-02 |
出願番号 | 商願昭62-36399 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(124)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 1989-04-28 |
登録番号 | 商標登録第2136006号(T2136006) |
商標の称呼 | アヤミ、アヤビ、リョービ |
代理人 | 安藤 順一 |
代理人 | 上村 喜永 |