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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
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管理番号 1255337 
異議申立番号 異議2011-900395 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-28 
確定日 2012-04-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5429319号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5429319号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5429319号商標(以下「本件商標」という。)は、「美養生活」の文字を横書きしてなり、平成23年2月15日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、同年6月17日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)引用商標
ア 申立人が本件商標の指定商品に係る商品について使用する「美養生活」からなる商標(甲第2号証)(以下「引用商標1」という。)。
イ 登録第4830257号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成16年5月26日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同17年1月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
ウ 登録第5351871号商標(以下「引用商標3」という。)は、「美養膳」の文字を標準文字で表してなり、平成22年2月12日に登録出願、第3類「化粧品」ほか、第29類、第30類、第31類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)具体的理由
ア 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人は、平成15年11月27日に設立された会社で、総会員数が本年9月末時点で、301,488名、売上高は19億円、「せっけん類、歯磨き、化粧品、香料類」を取り扱っており、本件商標の出願時より前に製造・販売を開始しており、引用商標1を、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品に関する広告、価格表若しくは取引書類等に付して頒布していた(甲第2号証及び甲第5号証ないし甲第12号証)。
「美養生活」という言葉は、申立人の会社名にちなんだ造語であり、「美養」と語頭につける言葉は申立人の商標と認識されており、また、甲第3号証及び甲第4号証で示すように、「美養品」及び「美養膳」については、本件商標出願前から、申立人の登録商標となっている。また、現在有効に存続する登録商標で、商標構成中に「美養」を有するものは、本件商標以外には申立人の登録商標3件(引用商標1及び2、登録第5232509号「あきゅらいず美養品」)のみである。
以上から、「美養生活」(引用商標1)が申立人の商標として、広く知られていたと言え、本件商標は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」に該当し、また、本件商標が指定商品に使用されると、申立人の商品と出所の混同を生ずるおそれがあるため、上記条項に該当しない場合でも「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものであるから、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第11号について
引用商標2は、図形に「美養品」の文字を有する商標であり、称呼として「ビヨーヒン」を生じ、一方、本件商標の「美養生活」からは「ビヨー、ビヨーセイカツ」という称呼が生じると考えられるため、両者は類似する。さらに、外観として文字部分の字体が酷似しており、需要者が店頭で目にした時、両者が同じ若しくは同じブランドのシリーズものと誤認されるおそれがある。
引用商標3は、「美養膳」の標準文字の商標であり、称呼として「ビヨーゼン」を生じ、一方、本件商標の「美養生活」からは「ビヨー、ビヨーセイカツ」という称呼が生じると考えられるため、両者は類似する。さらに、外観として文字部分の字体が酷似しており、需要者が店頭で目にした時、両者が同じ若しくは同じブランドのシリーズものと誤認される恐れがある。
よって、本件商標は、引用商標2及び3の存在により、「先願先登録商標に同一又は類似の商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品又は役務に使用するもの」であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
上述したように、「美養生活」の商標は、申立人の商標として広く知られており、また、「美養品」、「美養膳」が同社の登録商標として登録されており、これらの事情を、自然食品やサプリメントを扱っていて化粧品等の分野でも商標出願を開始した本件商標権者が認識していたことは明らかである。
したがって、本件商標を指定商品に使用することは道義上好ましくないと考えられるものであり、すでに化粧品等の分野で知られていた申立人の商標にフリーライドする目的をもって使用するものと推認することもできるものであるから、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
ア 申立人は、引用商標1を、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品に関する広告、価格表若しくは取引書類等に付して頒布していたと述べ、その事実を証するものとして甲各号証を提出しているので、以下検討する。
(ア)2006年(平成18年)7月22日発行とするチラシ(甲第2号証)には、その上部に「屋づろよ 活生養美」(右横書き)の文字が、左右が一部突出した長方形内に顕著に表されている。しかしながら、当該表示はその構成文字全体として一連の標章として認識されるとみるのが相当であり、構成文字中の「美養生活」の文字部分のみが、自他商品の識別標識として機能し、特定商品の商標として取引に資されているものとは認め難いばかりでなく、該チラシからは、商品の販売者が申立人であると理解できる表示は見当たらない。
(イ)「あきゅ新聞 第41号2010年3月号」(甲第8号証)には、「発酵美養生活のススメ」との見出しや「皆様も発酵美養生活始めてみませんか?」との記述はされているものの、これが自他商品の識別標識として機能し、特定商品の商標として取引に資されているものとは認め難い。
(ウ)2006年(平成18年)5月発行の「美養生活新聞 創刊号」(甲第10号証)及び同7月発行の「美養生活新聞 第2号」(甲第11号証)においても、「美養生活」の文字部分は新聞の題号の一部として理解される以上に、特定商品の商標として取引に資されているものとは認め難い。
(エ)してみれば、上記のチラシほかの甲各号証が新聞形式で商品のコマーシャルや情報提供を行うものであるとしても、「美養生活」の文字自体が商標として、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品に関する広告、価格表若しくは取引書類等に付して頒布していたとの具体的な事実は認められず、そもそも提出された証拠は、2006年(平成18年)7月発行のチラシ、2006年5月、7月及び2010年3月発行の商品のコマーシャル用の新聞形式の印刷物のみであり、他に雑誌、新聞、テレビCMなどに引用商標1を使用して、商品の広告宣伝を継続的に行った等の事実は見いだせない。
なお、「森の食堂ごはん新聞2011年9月号」(甲第6号証)は、本件商標の出願日及び登録査定日より後に発行されたものである。
そうすると、申立人提出に係る証拠によっては、引用商標1が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っていた商標と認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標1が同一の構成文字「美養生活」からなり、同一又は類似する商品に使用されるものであるとしても、引用商標1は、上記のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標ではなく、また、本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということもできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり「美養生活」の文字よりなるところ、これを構成する各文字は、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生ずる「ビヨーセイカツ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものあり、その他、本件商標を一体のものとして観察することが取引上不自然であるといった格別の事情は見出せない。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものと認識されるとみるべきであるから、その構成文字に相応して、「ビヨーセイカツ」の称呼のみを生ずるものである。
他方、引用商標2は、別掲に示したとおり、概円形状図形と「美養品」の文字より構成されてなり、それぞれの部分が独立しても識別標識として機能するということができるところ、該文字の構成は、同じ書体、同じ大きさの文字をもって外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「ビヨーヒン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、「美養」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないものであるから、引用商標2は、「ビヨーヒン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じさせない一連の造語というべきである。
また、引用商標3は、前記2のとおり「美養膳」の文字よりなるところ、その構成は、標準文字により、外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「ビヨーゼン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、「美養」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、引用商標3は、「ビヨーゼン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じさせない一連の造語というべきである。
そこで、本件商標と引用商標2及び3とを比較するに、両商標は、外観構成において明らかに相違しており、外観上相紛れるおそれはない。また、称呼においては、本件商標の称呼が「ビヨーセイカツ」であるのに対し、引用商標2が「ビヨーヒン」、引用商標3が「ビヨーゼン」であるから、それらは、その構成音あるいは構成音数において明らかな差異があり、これらを一連に称呼した場合には、全体としての音感が異なり、十分に聴別し得るものである。さらに、両商標は、観念について比較することができないものであるから、観念上相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標2及び3とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
引用商標1が日本国内における需要者の間に広く認識されている商標とは認められないこと、前記(1)のとおりであり、まして、外国において需要者の間に広く認識されている商標であると認めることはできないものである。
また、仮に商標権者が引用商標2及び3の存在を認識していたとしても、本件商標と引用商標2及び3とは、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であること前記(2)のとおりである。
そして、申立人は、本件商標を指定商品に使用することは道義上好ましくないと考えられるとし、すでに化粧品等の分野で知られていた申立人の商標にフリーライドする目的をもって使用するものと推認することもできる旨主張している。
しかして、申立人の上記主張を首肯し得る証拠は提出されておらず、本件商標権者が引用商標1ないし3に化体した名声・信用・評価等にただ乗りし、不正の利益を得るために使用する目的で本件商標を出願し、登録を受けたものということはできないものであるから、かかる行為が直ちに信義則に反するものともいえない。その他不正な意図をもって出願されたものとして、出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものがあるいうこともできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反してされたものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号、及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)


異議決定日 2012-04-05 
出願番号 商願2011-9772(T2011-9772) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X03)
T 1 651・ 22- Y (X03)
T 1 651・ 25- Y (X03)
T 1 651・ 271- Y (X03)
T 1 651・ 222- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2011-07-29 
登録番号 商標登録第5429319号(T5429319) 
権利者 株式会社スカイ・フード
商標の称呼 ビヨーセーカツ、ミヨーセーカツ 
代理人 伊藤 夏香 

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