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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X1719
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X1719
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X1719
管理番号 1255330 
異議申立番号 異議2011-900060 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-02-18 
確定日 2012-03-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5369882号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5369882号商標の指定商品中、第17類については、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手以外の商品」及び第19類については、「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材以外の商品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係る指定商品中、第17類「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」及び第19類「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材」についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
登録第5369882号商標(以下「本件商標」という。)は、「耐火DVα」の文字を書してなり、平成22年6月3日に登録出願、第17類「管継ぎ手(金属のものを除く。),電気絶縁材料,プラスチック製管,その他のプラスチック製基礎製品」及び第19類「プラスチック製排水管,その他のプラスチック製建築専用材料」を指定商品として、同年11月8日に登録査定、同年11月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要旨
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、一般的に「耐火性」の意味する「耐火」の文字と、JIS規格において「排水用ビニール製」を意味する「DV」、併せて一般に商品の品番、規格、型番等の表示に一般的に使用されるギリシア文字の「α」を普通に用いられる方法で書してなるにすぎない。とりわけ、排水管等にかかる本件指定商品においては「アルファ」「α」を記号や商品の一類型として用いる場合が多く、現に広く使用されている。このように「プラスチック管」をはじめとする本件指定商品においては、商品規格や材質が最も重要で、JIS規格等を表す記号や素材の性質を標章として広く採択使用する傾向にあり、「排水管」に関連する商品においては「耐火」「DV」「α」のそれぞれが広く使用されていることからすれば、本件商標をかかる指定商品中「管継ぎ手(金属製のものを除く)」「プラスチック製管」「プラスチック製排水管」等に使用しても、「耐火性を有するDV継手」の一類型と単に商品の性質、品質、特徴や機能を表したものとして認識されるにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。
また、当該商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、その指定商品との関係において、商品の品質表示と認められる「耐火」の文字と、排水用ビニル製管のJIS規格記号として普通に使用されている「DV」と単なるギリシア文字1文字「α」を一連に普通に書してなるものであるから、本件商標を係る指定商品に使用しても需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由
1 本件指定商品を取り扱う業界における「耐火」及び「DV」の語の使用事実について
(1)本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第2号証は、「英和 プラスチック工業辞典」(株式会社 工業調査会:1992年5月25日 5版第2刷発行)であるところ、「fire resistance 耐火性」の見出しのもと「燃えにくく非常に高温まで耐える性質」の記載がある。
イ 甲第3号証は、「JISハンドブック6-2配管II(製品)」(財団法人日本規格協会:2009年1月30日 第1版第1冊発行)であるところ、573頁の「解説表4-管及び継手の対応」において、「管」に対応する記号として「DV」の記載があり、1380頁には、「K6739:2007」の記載があり、1381頁の「表1-種類及び記号」において、「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」に対応する記号として「DV」の記載がある。
ウ 甲第4号証は、「SHASE-S 010-2007/空気調和・衛生設備工事標準仕様書/Standard Specification for Air-Conditioning and Plumbing Works/空気調和・衛生工学会規格」(社団法人 空気調和・衛生工学会発行)であるところ、「プラスチック管」に属する「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の備考欄には「DV」の記載がある。
エ 甲第5号証は、2010年11月4日に印刷された「東栄管機株式会社」のウェブサイトであるところ、「DV継手」「※排水用硬質塩化ビニル管継手(JIS K 6739)/JIS表示認定番号:474042」の記載がある。
オ 甲第6号証は、2010年11月4日に印刷された「クボタシーアイ株式会社」のウェブサイトであるところ、「透明DV継手」「DV継手を透明にすることにより、接合部を目視で確認でき、接着剤の塗り忘れや、挿入不足を防止します。」の記載がある。
カ 甲第8号証は、2010年11月4日に印刷された「旭有機材工業株式会社」のウェブサイトであるところ、「DV継手」「JIS K6739 排水用硬質塩化ビニル管継手(VP管用)」の記載がある。
キ 甲第9号証は、2010年11月4日に印刷された「楽天市場」のウェブサイトであるところ、「排水用 塩ビDV継手」の記載がある。
ク 甲第10号証は、2010年11月4日に印刷された申立人のウェブサイトであるところ、「耐火DV継手」「パイプ同士をつなぐ耐火DV継手にも独自の燃焼遅延配合を採用しています。建築物の防火区画の貫通部分に耐火VPパイプと耐火DV継手を組み合わせて使用することにより、耐火被覆処理などを施さなくてもプラスチック管のみで火災時の延焼を防ぐ画期的な塩ビ管材です。」の記載がある。
ケ 甲第11号証は、「現金問屋オートミ」のウェブサイトであるところ、「価格はすべて作成2005年8月18日の価格です。」及び「耐火継手DV」等の記載がある。
コ 甲第14号証は、「耐火二層管協会」のウェブサイトであるところ、「性能特性」の項には、TEST2として「試験日 平成3年7月」、試験結果の表の管材欄には、「DV-A 100A」、名称欄には、「排水用硬質塩化ビニールライニング鋼管」の記載がある。
サ 甲第15号証は、「教えて!goo」のウェブサイトであるところ、「HI、HT、TS、DV継手 これって何の略か分かりますか?」「投稿日時:2005/03/15」という質問に対し、「回答日時:2005/03/15」「DV継ぎ手 塩ビ排水管用の継ぎ手です、普通灰色ですが、最近は透明な製品もあります、・・・」の回答がある。
(2)以上の事実を総合すれば、本件商標の登録査定前より、本件指定商品を取り扱う業界において、本件商標構成中の「耐火」の語が、「燃えにくく非常に高温まで耐える性質」を意味し、「DV」の語が、「硬質ポリ塩化ビニル管継手」に対応する記号を意味する語として使用されているものであるから、「耐火DV」の語は、全体として「燃えにくく非常に高温まで耐える硬質ポリ塩化ビニル管継手」を意味する語として認識されるものである。そして、実際に「耐火DV継手」「耐火継手DV」のように使用されていることが認められる。
2 商標法第4条第1項第16号について
以上によれば、本件商標は、その構成中の「耐火DV」の文字部分が、本件指定商品を取り扱う業界において、「燃えにくく非常に高温まで耐える硬質ポリ塩化ビニル管継手」を意味する語として理解され使用されている語であるから、これをその指定商品中、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、登録異議申立てに係る商品中の「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」以外の指定商品について、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

第4 取消理由の通知に対する商標権者の意見
本取消理由通知書の中で「本件商標は、その構成中の「耐火DV」の文字部分が、本件指定商品を取り扱う業界において、「燃えにくく非常に高温まで耐える硬質ポリ塩化ビニル管継手」を意味する語として理解され使用されている語であるから、これをその指定商品中、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある」と指摘している。
ここで、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」は、商品及び役務の区分第17類に属すると商品であると理解している。
しかしながら、当該取消理由通知書で示された「耐火DV」の文字部分が、本件指定商品を取り扱う業界において、「燃えにくく非常に高温まで耐える硬質ポリ塩化ビニル管継手」を意味する語として理解され使用されている語」と認定した趣旨、同日付けで発送された異議2011-900061の取消理由通知書の内容、及び本件商標の異議申立書に添付された甲第10号証の「建築物の防火区画の貫通部分に耐火VPパイプと耐火DV継手を組み合わせて使用することにより・・・」との記載がある点、甲第11号証の右上に「建築設備・資材」との記載がある点、甲15号証の質問に対する回答欄に「工事現場では火災の危険がある為、・・・」との記載がある点、甲第16号証のマンション管理向け勉強会資料で建築用の排水管材として記載されている点等を考慮すると、耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手が、建築用途で使用されることは明らかである。
したがって、本件商標の指定商品に商品及び役務の区分第19類のプラスチック製建築専用材料として「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の排水管用管継ぎ手」と「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の建築専用管継ぎ手」を含めても、商品の品質について誤認を生じるさせるおそれはない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、前記第1のとおり「耐火DVα」の文字を書してなるところ、本件商標の登録査定前より、本件指定商品を取り扱う業界において、本件商標構成中の「耐火」の語が、「燃えにくく非常に高温まで耐える性質」を意味し、「DV」の語が、「硬質ポリ塩化ビニル管」に対応する記号を意味する語として使用されているものであり、また、「α」の文字が記号、符号等として理解される場合があるとしても、本件商標を構成する「耐火DVα」の文字は、同書、同大、等間隔にまとまりよく表されており、その構成文字に軽重の差はなく、その一体的な構成からして、該文字は、一連の不可分の造語として看取されるものであって、その指定商品との関係において、商品の特定の性質、品質、特徴や機能等を具体的かつ直接的に表示するものとして理解できるものともいい難いところである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第16号について
(1)商標権者は、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の排水管用管継ぎ手」についても、取消理由がない旨述べている。
しかしながら、「管継ぎ手(金属製のものを除く。)」は、商標法施行規則別表において、第17類に例示されている商品であることから、「金属製以外の管継ぎ手」は、たとえ、排水管用のものであっても、原則として、第17類に属する商品である。
そうすると、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の排水管用管継ぎ手」は、第19類に属する商品ではなく、第17類「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」に含まれる商品ということになる。
したがって、本件商標をその指定商品中、第17類については、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとした上記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
(2)商標権者は、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の建築専用管継ぎ手」についても、取消理由がない旨述べている。
甲第10号証は、2010年11月4日に印刷された申立人のウェブサイトであるところ、「耐火DV継手」「パイプ同士をつなぐ耐火DV継手にも独自の燃焼遅延配合を採用しています。建築物の防火区画の貫通部分に耐火VPパイプと耐火DV継手を組み合わせて使用することにより、耐火被覆処理などを施さなくてもプラスチック管のみで火災時の延焼を防ぐ画期的な塩ビ管材です。」の記載がある。
甲第11号証は、「現金問屋オートミ」のウェブサイトであるところ、「建築設備・建築資材」「価格はすべて作成2005年8月18日の価格です。」及び「耐火継手DV」等の記載がある。
以上によれば、「耐火DV継手」又は「耐火継手DV」の文字が用いられている上記商品は、第19類「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材」としても使用されているということができる。
してみれば、本件商標をその指定商品中、第19類については、「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
(3)上記(1)及び(2)のとおり、本件商標の指定商品中、第17類については、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手以外の商品」及び第19類については、「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材以外の商品」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、前記第1のとおり「耐火DVα」の文字を書してなるところ、上記1のとおり、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語を表したものとして看取されるものというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第17類については、「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手以外の商品」及び第19類については、「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材以外の商品」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反し登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
ただし、本件商標の指定商品中、第17類「耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継ぎ手」及び第19類「建築専用耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の管継手材」についての登録は、取り消すべき理由がないから同法第43条の3第4項の規定によりその登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-02-14 
出願番号 商願2010-44068(T2010-44068) 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (X1719)
T 1 651・ 16- ZC (X1719)
T 1 651・ 272- ZC (X1719)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 吉田 静子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2010-11-19 
登録番号 商標登録第5369882号(T5369882) 
権利者 三菱樹脂株式会社
商標の称呼 タイカデイブイアルファ、タイカデイブイ、デイブイアルファ、アルファ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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