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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20107007 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
管理番号 1255324 
異議申立番号 異議2011-900404 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-11-14 
確定日 2012-04-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5432484号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5432484号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5432484号商標(以下、「本件商標」という。)は、「角館町宿」の漢字を標準文字で表してなり、平成23年2月3日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」を指定役務として、同年7月11日に登録査定、同年8月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する登録第5463828号商標(以下、「引用商標」という。)は、「町宿」の漢字を標準文字で表してなり、平成22年11月22日に登録出願(商願2010-94712)、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を指定役務として、同24年1月20日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
「町宿」の語は、以前から「町家を利用した宿」を計画していた申立人が独自に考案した造語であって、平成22年9月頃からその使用を開始しており、雑誌「ぱーぷる」(2010.11)にも紹介されている(甲3)。
本件商標の前半の「角館」の文字は、商標権者の所在地である秋田県仙北市の「角館」を指称する地名を表してなるものと容易に認識されるところ、地名は一般に自己の取扱いに係る役務の提供の場所(地域)を表すものとして随時採択使用されているものであるから、その地名自体自他役務の識別力が無いというのが相当である。
したがって、本件商標の前半の「角館」の文字と後半の「町宿」の文字とは、その構成文字全体をもって特定の意味合いを有する一連の語句として認識されるという格段の事情が存在しないため、本件商標に接する取引者、需要者は、「角館」の文字部分を単に役務の提供の場所(地域)を表したものと認識し、それに続く「町宿」の文字に自他役務の識別標識としての機能を見いだし、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合が多いと認められる。
そうとすると、本件商標からは、「町宿」の文字部分に相応して引用商標と同一の「マチヤド」の称呼を生ずると共に、引用商標と同一の「町家を利用した宿」等の観念が生ずるものといえる。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似する商標であり、かつ、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一の役務であるから、引用商標が登録されることにより、商標法第8条第1項の規定に該当する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に該当するものであるから、その登録は、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第8条第1項該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「角館町宿」の漢字を同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって外観上まとまりよく一体的に表現されており、構成文字全体に相応して生じる「カクノダテマチヤド」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中、前半の「角館」の文字は、秋田県仙北市の地名を表すものであるから、自他役務の識別標識としての機能は無いか又は弱いものである。
一方、本件商標の構成中、後半の「町宿」の文字は、それ自体特定の意味を有する成語とは認められないものの、「町」の文字が「商店の建ち並んだ繁華な土地。市街」等(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の意味を有し、また、「宿」の文字も「一時泊まる所。宿屋。旅館。」等(前出「広辞苑第六版」)の意味を有する語として、それぞれ一般に知られている平易な語であるから、「町宿」の文字部分からは、「市街にある宿屋」ほどの意味合いを容易に認識、把握させるとみるのが相当である。
しかして、かかる「町宿」の文字は、本件商標の指定役務「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」との関係において、役務の提供を受ける者の利用に供する物を表すものとみられるものであるから、該「町宿」の文字も自他役務の識別標識としての機能は弱いものである。
以上によれば、本件商標は、外観上一体的に表現され、その称呼も特段冗長ではないから、一連一体にみられるものであり、これを「角館」と「町宿」の各文字部分に分離してみた場合においても、いずれの文字も役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
したがって、本件商標は、その構成中の「町宿」の文字部分だけを、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「カクノダテマチヤド」の一連の称呼のみを生じ、「角館の市街にある宿屋」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「町宿」の漢字を標準文字で表してなるところ、各文字は同じ書体、大きさ及び等間隔でまとまりよく一体的に表現されているとしても、「町」と「宿」の2語からなるものと容易に認識されるものであり、本件商標の場合と同様に、その構成文字に相応して「マチヤド」の称呼を生じ、「市街にある宿屋」ほどの観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)外観
本件商標と引用商標とは、前記1及び2のとおりの構成からなり、「町宿」の文字を共通にするが、冒頭部分において「角館」の有無の顕著な差異を有するから、時と所を異にして観察しても外観上互いに相紛れるおそれがなく十分区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標は、前記アのとおり、「カクノダテマチヤド」の称呼を生ずるものであり、引用商標は、前記イのとおり、「マチヤド」の称呼を生ずるものであるから、両称呼は、「マチヤド」の称呼を共通にするが、称呼における識別上重要な冒頭部分において「カクノダテ」の音の有無の顕著な差異を有するから、称呼上互いに相紛れるおそれがなく十分聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標は、前記アのとおり、「角館の市街にある宿屋」の観念を生ずるものであり、引用商標は、前記イのとおり、「市街にある宿屋」の観念を生ずるものであるから、観念については、区別し得るものである。
(エ)取引の実情
本件商標と引用商標とは、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとみるべき取引の実情を見いだせない。
(オ)小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても何ら相紛れるおそれはなく、これらを同一又は類似の役務に使用したとしても、その役務の出所の混同を生ずるおそれがあるとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-03-27 
出願番号 商願2011-10802(T2011-10802) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X43)
T 1 651・ 263- Y (X43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 末武 久佳
田中 亨子
登録日 2011-08-19 
登録番号 商標登録第5432484号(T5432484) 
権利者 特定非営利活動法人せんぼくロングステイ協会
商標の称呼 カクノダテマチヤド、カクノダテチョーシュク、マチヤド、チョーシュク 
代理人 足立 彰 

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