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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X4144
審判 全部申立て  登録を維持 X4144
管理番号 1255316 
異議申立番号 異議2011-900331 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-09-09 
確定日 2012-04-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5417149号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5417149号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5417149号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年12月14日に登録出願、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同23年5月6日に登録査定、同年6月10日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由(要旨)
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人の引用する商標
申立人が引用する商標は、自己の製造販売に係るスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone」の正面のデザインからなる別掲(2)ないし(5)のとおりの商標(以下、これらを「引用商標1」ないし「引用商標4」といい、まとめていうときは「引用各商標」という。)である。
なお、別掲(2)の引用商標1は国際登録第1042026号として、平成24年1月27日に設定登録され、別掲(3)の引用商標2は商標登録第5215978号として、同21年3月19日に設定登録されている。
(2)引用各商標について
引用各商標は、申立人のスマートフォン「iPhone」のシンプルな特徴ある図形から構成されるものであり、申立人が、当該「iPhone」関連製品等の高い品質を審査のうえ保証する商標であって、また、極めて多くの第三者(以下「サードパーティ」という。)によって多数の製品に使用された結果、本件商標の出願時及び査定時において我が国で周知となっているものである(甲第5号証ないし甲第7号証、甲第9号証ないし甲第13号証、甲第16号証)。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の商標として周知の引用各商標と実質的に同一の図形を含み、また、構成全体としても申立人の業務との関連性を強く認識させるものである。
したがって、本件商標は、取引者、需要者に対し申立人の出所を強く想起させ、申立人の業務に係る商品及び役務と混同を生じさせるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の商標として世界的に広く知られている引用各商標と実質的に同一の図形を含み、引用各商標との出所の混同を生じるおそれのある類似の商標であり、その名声にただ乗りし、引用各商標のもつ識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化するものであって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用各商標の著名性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば次のとおりである。
(ア)申立人の製造に係るスマートフォン「iPhone」は2007年1月に発表され、2007年に米国で販売された。その後、「iPhone 3G」が2008年7月11日、「iPhone 3GS」が2009年6月19日、「iPhone 4」が2010年6月24日、「iPhone 4S」が2011年10月14日に発売された(以下、これらもあわせて「iPhone」という)。そして、iPhoneを真正面からみた形態は、iPhoneの全シリーズを通して、同一のデザインを採用している(甲第7号証)。
(イ)iPhoneは、2007年9月9日に、販売台数が100万台となり、2008年5月末現在、欧米など6カ国での販売台数は600万台に達した。2009年6月19日から米国などで販売を開始した「iPhone 3GS」は3日間で100万台を売り上げた。
日本においては、2008年7月11日に販売が開始され、2009年度の国内出荷台数はシェア4.9%で約169万台、累計台数は約230万台とされている(職権調査)。
(ウ)申立人は、サードパーティに対して、一定の性能基準を満たしている製品であること、申立人が運営するオンラインアプリケーションストアにおいて販売していること及びiPhoneと互換性のあるものであることを表示するために別掲(6)の各標章(以下「申立人各標章」という。)を使用することを契約により許可し(甲第10号証)、申立人各標章をウェブサイトやニュースリリース及び製品パッケージなどに表示している(甲第11号証ないし甲第13号証)。
(エ)申立人は、iPhoneについて、スポーツ用品メーカーであるナイキ社とのコラボレーション商品「Nike+iPod Sport Kit」を2006年10月28日から販売し、当該「Nike+iPod Sport Kit」の商品パッケージには、ジョギング中の女性の横姿のシルエットが表示されている(甲第14号証の1ないし5)。
イ 前記アによれば、申立人の製造販売に係るスマートフォンiPhoneは、本件商標の出願時はもとより現在においても申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。
しかしながら、引用商標1、3及び4は、別掲(6)に示す態様でいずれも「iPhone」又は「AppStore」の文字などとともに使用され、それらが単独では使用されていないこと、その構成がスマートフォンの形状の特徴を簡略に表したものであって格別特異な形状のものとして認識されるものとはいい難いこと、及び引用商標2は使用されている事実が見いだせないことからすれば、引用各商標は、本件商標の登録出願の日前はもとより登録査定時においても、我が国の需要者の間に広く認識されていたものということはできないと判断するのが相当である。
(2)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、角張ったS字状の線を描き、その内側に角丸正方形を上下それぞれに配し、上段の正方形内にはスマートフォンの図形を、下段の正方形内にはジョギング中の右向き女性のシルエットを白抜きで表した構成からなるものである。
そして、本件商標は、その構成中S字状の線、上段のスマートフォンの図形及び下段の女性のシルエット図形はいずれも主従の関係なく構成全体が一体のものとして認識される図形であって、特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。
さらに、本件商標のスマートフォンの図形部分は、スマートフォンの形状を簡略に表したものと認識されるとみるのが相当であるし、該図形部分が独立して自他商品識別標識として認識されるというべき事情も見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成全体が一体不可分のものとして認識され、特定の称呼、観念を生じないものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標は、上記(2)のとおり、構成全体が一体不可分のものであって特定の称呼及び観念は生じないものである。
他方、引用各商標は、別掲(2)ないし(5)のとおり、スマートフォンの図形からなるものである。
そして、引用各商標は、スマートフォンを図案化したものと認識されるとしても、特定の称呼及び観念は生じないものと判断するのが相当である。
そこで、本件商標と引用各商標を比較すると、両者は、外観上明らかに相違し、称呼及び観念においては、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 引用各商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願の日前はもとより登録査定時においても、申立人の業務に係る商品を表すものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものである。
ウ 上記のとおり、本件商標と引用各商標とは、明らかに区別し得る別異の商標というべきものであり、また、引用各商標が需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
また、「Nike+iPod Sport Kit」(甲第14号証)のパッケージに示された「ジョギング中の女性の横姿のシルエット」については、その商品がトレーニングに使用できるものという商品の品質、用途を認識させるものであるし、該商品に係る取引の実情を考慮しても、本件商標が申立人との関連性を想起させるとまでいうことはできない
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)のとおり、引用各商標は、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、本件商標と引用各商標とは、上記(3)アのとおり、非類似の商標である。
さらに、本件商標が、引用各商標の顧客吸引力にただ乗りすることを意図して出願されたものであるなど、不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足る証拠も提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


(4)引用商標3


(5)引用商標4


(6)申立人各標章




異議決定日 2012-03-28 
出願番号 商願2010-97029(T2010-97029) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X4144)
T 1 651・ 222- Y (X4144)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石戸 円和田 恵美 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2011-06-10 
登録番号 商標登録第5417149号(T5417149) 
権利者 株式会社コナミスポーツ&ライフ
商標の称呼 エス 
代理人 大島 厚 
代理人 柴田 泰子 

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