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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0305
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0305
管理番号 1255300 
審判番号 不服2011-11380 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-31 
確定日 2012-04-04 
事件の表示 商願2009- 97348拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「湯元『七栗の湯』」の文字及び記号を縦書きし、その「七栗」の漢字の右側に小さく「ななくり」の平仮名を書してなり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月24日に登録出願、指定商品については、原審における同22年7月28日付けの手続補正書により、第3類「温泉水を原料に使用したせっけん類,温泉水を原料に使用した歯磨き,温泉水を原料に使用した化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛 」及び第5類「温泉水を原料に使用した浴剤,その他の温泉水を原料に使用した薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,温泉水を原料に使用した包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用おしめ,乳糖,乳幼児用粉乳」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『湯元「七栗の湯」』(「七栗」の右横に小さく「ななくり」の文字が付されている。)」の文字を普通に用いられる方法で縦書きしてなるところ、該構成中の「湯元」の文字は「温泉の湧き出る土地」を意味する語として、また、「七栗の湯」の文字は「三重県津市榊原町にある榊原温泉」を称する語としてそれぞれ知られていることから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、単にその商品が七栗の湯(榊原温泉)の地で製造、販売され、あるいは同湯の温泉水を使用してなるもの、すなわち、商品の産地、販売地、品質、原材料を表示したものと理解させるにとどまるものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記内容の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「湯元『七栗の湯』」の文字及び記号を縦書きし、その「七栗」の漢字の右側に小さく「ななくり」の平仮名を振ってなるところ、その構成中「湯元」の文字は、「温泉の湧き出る土地。温泉の湧き出るおおもと。」の意味を有し、温泉地においては、普通に使用され、一般に知られている語である(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)。
そして、「七栗(ななくり)の湯」については、三重県津市のホームページにおいて、同市に所在する「榊原温泉(さかきばらおんせん)」が紹介され、同温泉について、「その昔、『七栗郷(ななくりのさと)』とよばれていた頃、清少納言の『枕草子』に『湯は七栗の湯、有馬の湯、玉造の湯』とうたわれたほどの名湯なんだ。」旨記載されているように、榊原温泉の別名として紹介されているものである(http://www.info.city.tsu.mie.jp/modules/kohokochoka/article.php?articleid=70)。
また、「榊原温泉振興協会」のホームページにおいては、「榊原温泉 ななくりの湯」と表示され、「榊原温泉の由来」の項で、「古くは万葉の時代、お伊勢さんの”湯ごりの湯”として利用されてきた榊原温泉。平安時代には、清少納言が『枕草子』にて『湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯』と謳っており、当時は『ななくりの湯』として呼ばれていました。」と紹介されている(http://www.sakakibaraonsen.gr.jp/sakakibaranoyu.html)。
さらに、上記ホームページに加え、他にも多数のインターネット情報や新聞記事において、榊原温泉の別名として、「七栗(ななくり)の湯」が紹介され、該文字が使用されているところである。
そうとすれば、「七栗(ななくり)の湯」の文字は、三重県津市にある「榊原温泉」の別名として理解され、一般に知られているものということができる。
そうしてみると、該「七栗(ななくり)の湯」の文字は、温泉の名称として理解されるものであるから、これは、温泉地の土産物などに使用され、産地、販売地表示として理解され得るものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、例えば、第3類の「七栗の湯の所在する地域において、製造、販売された温泉水を原料に使用したせっけん類,七栗の湯の所在する地域において、製造、販売された温泉水を原料に使用した歯磨き,七栗の湯の所在する地域において、製造、販売された温泉水を原料に使用した化粧品」及び第5類の「七栗の湯の所在する地域において、製造、販売された温泉水を原料に使用した浴剤,その他の七栗の湯の所在する地域において、製造、販売された温泉水を原料に使用した薬剤」等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「七栗の湯の所在する地域において、製造、販売される商品」であるという程のものとして理解、認識するにとどまるというのが相当であるから、単に、商品の産地、販売地を表示するにすぎないものである。
また、本願商標は、上記商品を提供するに際し、必要適切な表示と認められるものであって、何人もその使用を欲するものであるから、特定の一個人に独占的に使用を認めるべきものではないというのが相当であって、請求人のみにその独占使用を認めるのは適当でないといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について
請求人は、「地元榊原温泉組合の関係者も、湯元ななくりの湯を現在使用しているとは言っていない。また、地元の人々では、『榊原温泉』は『榊原温泉』であり『七栗の湯』とは呼ばれていない。・・・このように、江戸時代の頃から『榊原温泉』は、『榊原』と称しており、『七栗』とは称していないことが分かる。以上のように、『榊原温泉』=『七栗の湯』であることは、史実と異なるものである。」旨主張している。
しかしながら、三重県津市や複数の旅館で構成する榊原温泉振興協会のホームページにおいて、「榊原温泉」の別名として「七栗(ななくり)の湯」の文字を使用しているものであって、請求人の主張とは相反するものである。
また、江戸時代に該文字(温泉名称)が使用されていないとしても、上記(1)で記載したとおり、現在は使用されており、榊原温泉の別名として知られているものである。
よって、請求人の主張は採用することができない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)




審理終結日 2012-02-01 
結審通知日 2012-02-06 
審決日 2012-02-17 
出願番号 商願2009-97348(T2009-97348) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0305)
T 1 8・ 272- Z (X0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古森 美和中束 としえ蛭川 一治 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 高橋 謙司
井出 英一郎
商標の称呼 ユモトナナクリノユ、ユモトシチクリノユ、ナナクリノユ、シチクリノユ、ナナクリ、シチクリ 
代理人 長谷川 好道 
代理人 杉山 浩康 

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