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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1255283 
審判番号 取消2011-300033 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-01-11 
確定日 2012-04-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4889791号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4889791号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4889791号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成17年1月14日に登録出願、第25類「ジャケット,ズボン,帽子,靴,ベルト」を指定商品として、同年8月26日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 商標の態様について
(ア)本件商標
本件商標は、黒と赤を地色とした略長方形内に、白抜きで「BLACKHAWK!」の文字及び記号の輪郭線を描いた構成であり、白抜き輪郭線の内部が、黒と赤塗りの「BLACKHAWK!」の文字及び記号となっている。また、黒と赤塗りの部分は、その構成から、暗闇に燃え上がる炎のごとく看取される。
よって、本件商標は「BLACKHAWK!」の文字及び記号並びに暗闇に燃え上がる炎のような図形が一体となって自他商品識別機能を発揮するものであり、その文字部分に相応して「ブラックホーク」の称呼を生ずるものである。
(イ)使用商標
一方、使用に係る商標は、欧文字「BLACKHAWK」のみから構成される商標(乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証。以下「使用商標1」という。)及び片仮名「ブラックホーク」のみから構成される商標(乙第3号証。以下「使用商標2」という。)であり、その文字部分に相応して「ブラックホーク」の称呼を生ずるものである。
(ウ)本件商標と使用商標との非同一性
a 使用商標1について
(a)本件商標はその構成中に記号「!」を含むが、使用商標1はこれを含まず、また、本件商標は暗闇に燃え上がる炎のごとく看取される黒と赤の図形と「BLACKHAWK!」の文字及び記号が一体となって、印象的な態様であるのに対し、使用商標1は単に欧文字「BLACKHAWK」のみで書されており、両商標は外観上顕著な差異がある。
(b)上記の外観上の態様から、本件商標は暗闇に燃え上がる炎を想起させるのに対し、使用商標1は暗闇に燃え上がる炎を全く想起させず、両商標は観念上も顕著な差異がある。
b 使用商標2について
上記aと同様の理由に加え、本件商標中の文字部分は欧文字「BLACKHAWK」であるのに対し、使用商標2は片仮名「ブラックホーク」であることから、使用商標1にも増して両商標は外観上顕著な差異がある。
(エ)以上のように、本件商標と使用商標1及び使用商標2とは、外観上及び観念上の顕著な差異があるため、使用商標1及び使用商標2の使用は、商標法第50条括弧書きにいう社会通念上同一と認められる商標の使用に該当しない。
イ 使用に係る商品について
(ア)請求に係る指定商品
請求に係る指定商品は、第25類「ジャケット、ズボン、帽子、靴、ベルト」である。
(イ)使用に係る商品
一方、使用に係る商品は、乙第1号証ないし乙第8号証によれば、「中国警察3段伸縮特殊警棒」「中国警察装備ナイフ」「中国警察ベルト装備システム」(以上、乙第1号証)、「ピストルベルト」(乙第2号証)、「ディフェンスグローブ」(乙第3号証)及び「ガンベルト」(乙第4号証)である。
(ウ)請求に係る指定商品と使用に係る商品の非同一性
使用に係る商品のうち、「中国警察ベルト装備システム」(乙第1号証)、「ピストルベルト」(乙第2号証)及び「ガンベルト」(乙第4号証)は、それ自体の表示及び乙各号証における説明文から、日常使用される被服用のものではなく、拳銃用のものであることが明らかであり、第25類「ベルト」に該当するものではなく、第13類に属する商品である。
また、上記「中国警察ベルト装備システム」「ピストルベルト」「ガンベルト」のほか、いずれの商品をみても、請求に係る指定商品に該当する商品はないことは明らかである。
ウ 乙第1号証ないし乙第8号証について
(ア)乙第1号証ないし乙第4号証
前記のとおり、本件商標の使用の事実を証明するものではないことは明らかである。
また、当該カタログは、数十分もあれば誰でもパソコンで作成できる程度のものであり、また、当該カタログが実際に配布されたことを示す第三者(取引者又は需要者)による客観性のある証拠が全く提出されていない。
よって、当該証拠は、実際には存在しなかったカタログをあたかも実際に存在し、配布していたような外形を作出したものと考えざるを得ない。不使用商標の整理との本件審判の趣旨に照らせば、このような客観性及び信憑性の低い証拠をもって商標法第50条にいう商標の使用と認定することはできないというべきである。
(イ)乙第5号証ないし乙第8号証
乙第5号証ないし乙第8号証は、納品伝票の写しである。しかし、当該納品伝票は、「中国警察 ベルト装備」「ピストルベルト」「ガンベルト」なる商品が取引されたことを示すものであるが、前記のとおり、これら取引に係る商品はいずれも本件請求に係る指定商品と同一ではない。また、当該納品伝票には、本件商標が表示されていない。
よって、当該証拠は、請求に係る指定商品についての本件商標の使用の事実を証明するものではない。
エ まとめ
以上のとおり、被請求人提出の証拠は、本件審判の請求の登録前3年の本件商標の使用の事実を証明するものではない。

3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
本件商標は、添付証拠からかんがみて、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるものではない。

4 当審の判断
(1)乙第1号証ないし乙第8号証によれば、以下のとおりである。
ア 乙第1号証は、上段に「SETOカトラリー」「Jun/26/2008 No.138」と表示された書面であり、中段の「中国警察装備品 BLACKHAWKシリーズ」の項には、「GBB-NP01 BLACKHAWKバトン/中国警察3段伸縮特殊警棒/¥5,000」の文字と該商品の写真、「BK01 BLACKHAWKナイフ/中国警察装備ナイフ/¥19,000」の文字と該商品の写真、「SJD01 BLACKHAWKベルト/中国警察ベルト装備システム/クロス製/¥17,000」の文字と、ライトケース・手錠ケース・トランシーバーケース・警察マルチケース・警棒ケース・拳銃ケース・催涙ガスケース・拳銃弾ケース・斜掛ベルトが装着されたベルトの写真、「SJD02 BLACKHAWKベルト/中国警察ベルト装備システム/レザー製/¥22,000」の文字と、手錠ケース・ライトケース・トランシーバーケース・警察マルチケース・警察水筒及びペットボトルケース・警棒ケース・催涙ガスケース・拳銃ケース・斜掛ベルトが装着された中国警察バックル付きのベルトの写真が、それぞれ掲載されている。
イ 乙第2号証は、上段に「SETOカトラリー」「Jul/10/2008 No.144」と表示された書面であり、「LEAPERS/リーパーズ UTG BRANDS」項に、「PVC-B950 BLACKHAWK/ピストルベルト、2マグポーチ付/¥2,300」の文字と該商品の写真が掲載されている。
ウ 乙第3号証は、上段に「SETOカトラリー」「May/15/2009 No.180」と表示された書面であり、下段に「ブラックホークシリーズ」として「MT-SAP4-L/SAP4ディフェンスグローブ/¥7,700」、「MT-SAP3-L/SAP3ディフェンスグローブ/ハーフフィンガー/¥5,000」の文字と該商品の写真が掲載され、写真の下には「各グローブに240gの小さなスチールショットがナックル部分に縫い込まれている」と記載されている。
エ 乙第4号証は、上段に「SETOカトラリー」「Jul/24/2010 No.218」と表示された書面であり、中段に、「707/BLACKHAWKガンベルト/¥14,500」「708/BLACKHAWKガンベルト 2丁用/¥18,500」の文字と該商品の写真が掲載されている。
オ 乙第5号証ないし乙第8号証は、商標権者がその顧客に宛てた納品書(控)である。
(ア)乙第5号証は、2008年9月16日付け及び2008年12月15日付けのものであり、前者の「コード・商品名」欄に「SJD02 中国警察ベルト装備/BH レザー製」、「単価」欄に「11,000」、「備考」欄に「22,000」の記載があり、また、同各欄に「SJD01 中国警察ベルト装備/BH クロス製」「8,500」「17,000」の記載が、また、後者のそれぞれの欄には、「SJD02 中国警察ベルト装備/BH レザー製」「9,900」「22,000」及び「GBK01 中国警察装備ナイフ/BH」「8,550」「19,000」の記載がある。
(イ)乙第6号証は、2009年1月30日付け及び2008年8月12日付けのものであり、いずれの「コード・商品名」欄にも「PVC-B950 リーパーズ ピストルベルト/BH」の記載があり、前者の「単価」欄及び「備考」欄には「1,150」及び「2,300」、後者のそれには「1,900」「2,300」と記載されている。
(ウ)乙第7号証は、2009年5月22日付けのものであり、それぞれの欄に「MT-SAP3-L SAP3ディフェンスグローブ/BH L」「2,500」「5,000」の記載がある。
(エ)乙第8号証は、2011年2月11日付け及び2010年10月15日付けのものであり、いずれの「コード・商品名」欄にも「707 デニックス BHリボルバーガンベルト 126cm」の記載があり、前者の「単価」欄及び「備考」欄には「6,525」及び「14,500」、後者のそれには「6,162」「14,500」の記載がある。
(2)前記(1)よれば、乙第1号証ないし乙第4号証に記載された商品名と価格が乙第5号証ないし乙第8号証の「コード・商品名」「備考」の各欄の記載と一致すると認められるから、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、「BLACKHAWK」の欧文字からなる商標(使用商標1)を用いて乙第1号証の「中国警察装備ナイフ」「中国警察ベルト装備システム」、乙第2号証の「ピストルベルト」、乙第4号証の「BLACKHAWKガンベルト」を、及び「ブラックホーク」の片仮名からなる商標(使用商標2)を用いて乙第3号証の「SAP3ディフェンスグローブ」(以下、これらの商品をまとめて「使用商品」という。)を本件審判の請求の登録(平成23年1月31日)前3年以内に日本国内において譲渡したと推認することができる(なお、乙第8号証の2011年2月11日付け「納品書(控)」は、本件審判の請求の登録後のものである。)。
(3)そこで、まず、使用商標1及び使用商標2が本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するか否かについて検討する。
ア 本件商標は、別掲のとおり、白色で縁取りされた炎を表すかのような印象を与える「BLACKHAWK!」の文字及び記号を茶色の横長長方形内に表してなるものであり、「BLACKHAWK!」の文字及び記号は、その構成中の「BLACKHAWK」の文字部分から、「ブラックホーク」の称呼及び「黒い鷹」の観念を生じさせるものである。
イ これに対して、使用商標1及び使用商標2は、それぞれ「BLACKHAWK」及び「ブラックホーク」の文字からなり、いずれもその構成文字から「ブラックホーク」の称呼及び「黒い鷹」の観念を生じさせるものである。
ウ そうすると、本件商標と使用商標1及び使用商標2は、外観において相違するものの、「ブラックホーク」の称呼及び「黒い鷹」の観念を同じくするものであるから、使用商標1及び使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するものというのが相当である。
なお、本件商標は末尾に感嘆符「!」を有しているが、該感嘆符は付記的な表示と理解されるものであり、また、その有無の差異は、それによって本件商標の称呼及び観念が異なるものではないから、上記判断に影響を及ぼすものではない。
(4)次に、使用商品が本件請求に係る指定商品に含まれる商品であるか否かについて検討する。
ア 本件請求に係る指定商品は、第25類「ジャケット、ズボン、帽子、靴、ベルト」である。
イ ところで、商標法施行規則別表には、第25類の商品に「ジャケット」「ズボン」「帽子」を含む商品として「一 被服」、「靴」と同義と認められる「靴類」を含む商品として「三 履物」があり、これらと並列して「四 仮装用衣服」「五 運動用特殊衣服」及び「六 運動用特殊靴」が明示されている。
また、同別表には「ベルト」について、「ベルト」(第25類)、「重量挙げ用ベルト」(第28類)、また、「グローブ」及びこれと同義と認められる「手袋」について「(ボクシング用具としての)グローブ」(第28類)、「(野球用具としての)グローブ」(第28類)、「事故防護用手袋」(第9類)、「医療用手袋」(第10類)、「家事用手袋」(第21類)、「(被服に含まれる)手袋」(第25類)、「(ゴルフ用具としての)手袋」(第28類)などが明示されている。
これらのことからすれば、本件商標に係る「ジャケット、ズボン、帽子、靴、ベルト」は、日常生活で使用される商品であって、運動用特殊衣服などのように用途が限られた特殊なものは含まないものと解するのが相当である。
ウ これを本件についてみると、使用商品中の「中国警察装備ナイフ」及び「SAP3ディフェンスグローブ」は、本件請求に係る指定商品に含まれないことは明らかである。なお、「SAP3ディフェンスグローブ」は、ナックル部分に鋼鉄を縫い込んだものであって、日常生活で使用されるものでもない。
また、「中国警察ベルト装備システム」「ピストルベルト」「BLACKHAWKガンベルト」は、いずれも商品の名称や写真からみると、ピストルや手錠などを収納するためのベルトであって、日常生活で使用されるベルトということはできない。
してみれば、使用商品「中国警察装備ナイフ」「SAP3ディフェンスグローブ」「中国警察ベルト装備システム」「ピストルベルト」「BLACKHAWKガンベルト」は、いずれも本件請求に係る指定商品には含まれない商品といわなければならない。
その他、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に使用されていると認めるに足る証拠は見いだせない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできず、また、使用をしていないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(色彩については原本参照)





審理終結日 2012-02-02 
結審通知日 2012-02-07 
審決日 2012-02-20 
出願番号 商願2005-6225(T2005-6225) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2005-08-26 
登録番号 商標登録第4889791号(T4889791) 
商標の称呼 ブラックホーク、ホーク 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 竹内 耕三 
代理人 向口 浩二 

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