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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0305
管理番号 1255199 
審判番号 不服2010-1614 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-26 
確定日 2012-03-21 
事件の表示 商願2007- 86712拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ECOPOUCH」の欧文字と「エコパウチ」の片仮名を上下二段に書してなり、第3類及び第5類に属する出願時の願書に記載のとおりの商品を指定商品として平成19年8月7日に登録出願され、その後、第5類の指定商品については、平成20年3月6日付け手続補正書をもって、第5類「衛生消毒剤・防臭剤(身体用のものを除く。)・殺菌剤・殺虫剤・防虫剤・芳香消臭剤(工業用のもの及び身体用のものを除く。)及びその他の薬剤」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『環境に配慮した小袋』の意味を有し、詰め替え用の容器を指称するものとして使用されている『ECOPOUCH』『エコパウチ』の文字を二段に書してなるので、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、環境に配慮した詰め替え用の容器入りの商品と認識するというのが相当であるから、単に商品の品質を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審において通知した証拠調
当審において、請求人に対し、平成23年1月25日付けで別掲1のとおりの証拠調べ通知書を送付した。

第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見
上記第3の証拠調べ通知書に対して、請求人は、要旨次のように意見を述べている。
1 証拠調べ通知書において提示された事実から、「ECOPOUCH」、「エコパウチ」の文字よりは容易に「環境に配慮した小袋」を認識するといえるわけではなく、論理に飛躍があり過ぎる。
2 本願商標は「ECO」、「エコ」、「POUCH」、「パウチ」という比較的ありふれた語の組み合わせからなるが、あくまでも造語であり、「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」からは「環境に良く袋詰めした」程の漠然とした意味しか認識せず、「環境に配慮した小袋」というような具体的意味は認識しない。
3 「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」の語は辞書への掲載は一切なく、インターネットでの使用例も多くは1社の製品に関するものである。このような実情から、競合他社が「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」の語の使用を欲している訳ではなく、本願商標を登録して独占権を付与したとしても、競合他社に不当な不利益を与えることはなく、独占適応性の観点からも、本願商標の登録を認めることに不都合はない。
4 以上より、本願商標は商標法第3条第1項第3号には該当しない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり「ECOPOUCH」と「エコパウチ」の文字を上下二段に書してなるものである。
そして、上記第3の証拠調べ通知書で明示したとおり、本願商標の構成中「ECO」「エコ」「POUCH」「パウチ」の文字(語)に「環境」「小袋」等の意味があること、それらの文字(語)が本願指定商品を取り扱う業界において使用されていること、近年環境保護に関する意識が高まる中、洗剤等の商品についても環境に配慮したものが販売されていること、及び本願指定商品以外の商品ではあるが、環境に配慮した包装容器を「エコパウチ」と称していることから、「ECOPOUCH」「エコパウチ」の文字は、「環境に配慮した容器(例えば、プラスチック製の袋)入りの商品」を認識させるものというのが相当である。
してみれば、「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該文字を環境に配慮した容器(例えば、プラスチック製の袋)入りの商品であることを表示したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものといわなければならない。
なお、請求人は、「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」の語は、辞書への掲載は一切なく、インターネットでの使用例の多くは1社の製品に関するものであるから、競合他社が「ECOPOUCH」及び「エコパウチ」の語の使用を欲している訳ではなく、本願商標を登録して独占権を付与したとしても、競合他社に不当な不利益を与えることはなく、独占適応性の観点からも、本願商標の登録を認めることに不都合はない旨主張している。
しかしながら、本願の指定商品を取り扱う業界において、別掲2のとおり、環境に配慮した容器を「エコパウチ」と称している事実があるから、「エコパウチ(ECOPOUCH)」の語は、取引上何人もその使用を欲するものであって、独占適応性を欠くというのが相当であるから、請求人の主張を採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(証拠調べ通知書の内容)
1 本願商標の構成中の「ECO」、「エコ」の文字は、「(エコロジーの略)環境に配慮すること。『生態』『環境』『環境保護』を意味する接頭語。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語である。
2 本願商標の構成中の「POUCH」、「パウチ」の文字は、「小袋」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典第2版)、「(小袋の意)食品やカードを密閉保護するプラスチック製などの袋やシート。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語である。
3 近年、環境保護に対する意識が高まる中、洗剤等の商品についても環境に配慮したものが販売されており、例えば、廃棄物の減量に資するために、プラスチック製のボトル容器への詰替え用商品が袋に入れられて販売されている以下の事実がある。なお、下線は、審判の合議体で加えた。
(1)日刊工業新聞社2010年6月25日発行「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい包装の本」92頁には、「日用品の環境配慮包装」、「今や洗剤・トイレタリーは環境配慮容器が主流」の見出しのもと、「洗剤やトイレタリー用品(以下、洗剤等)の液体化にともない、これらの容器としてプラスチック製ボトル(以下、プラボトル)化が進みましたが、一方でボトルは廃棄物として目立ちやすいという欠点があります。・・・プラスチック容器への詰替え用として登場したのが、プラスチック袋で、軽くて持ちやすく、減容化でき、主に自立袋(スタンディングパウチ)が多く使われています。」との記載がある。
(2)2009年9月3日付け 日刊工業新聞 7頁には、「渋谷工業、詰め替え用洗剤の箱詰め装置を発売」の見出しのもと、「【金沢】渋谷工業は詰め替え用シャンプーや洗剤を段ボールに箱詰めする『スタンディングパウチ用ケーサ』を発売した。・・・エコ商品に対する意識が高まっており、詰め替え用商品の需要が増えている。」との記載がある。
(3)2000年8月25日付け 化学工業日報 4頁には、「コーセー、初の環境報告書まとめ、産廃20%減少など目標」の見出しのもと、「コーセーは環境報告書をまとめた。・・・初めての環境報告書では『環境指標』として次の通り具体的目標を示している。(1)二〇〇一年度中に容器包装材料へのポリ塩化ビニール使用の全廃(2)九八年発行の『ECO BOOK 商品企画・設計編』で設定した『容器包装形態エコ基準』に準じた新製品開発の促進・・・九九年度の活動も『環境指標』に沿ってシャンプーの脱リン化、詰め替え用としてスタンディングパウチの採用、流通用外箱のダンボールからティアテープへの切り替え、リサイクル原料の活用などを推進した。」との記載がある。
(4)1999年9月8日付け 産経新聞 大阪朝刊8頁には、「【エコプランわが社の現場】(10)台所用品 容器の軽量化に悩む」の見出しのもと、「スーパーなどで最近、詰め替え用のソフトな容器に入った洗剤やシャンプーなどをよく目にする。『スタンディングパウチ』と呼ばれる商品だ。・・・花王のスタンディングパウチは現在、衣料用洗剤やヘアケア製品など四十種類弱にのぼる。ライオンも平成四年から台所用洗剤『ナテラ』で採用。現在は約二十種類のパウチ商品がある。『環境問題の高まりを受けた試みで、利用者も好意的』と業界関係者。」との記載がある。
(5)パナソニック株式会社のホームページにおいて、「商品情報[個人]トップ>洗濯機/衣類乾燥機>全自動洗濯機用おすすめ洗剤(詰替用パウチタイプ)N-S8P3」の項目に、「Panasonic 全自動洗濯機おすすめ洗剤(詰替用パウチタイプ)」との記載がある。(http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=N-S8P3)
(6)「楽天市場」と称するホームページの「ザグザグ」において、「カテゴリトップ>日用品>洗濯洗剤>洗濯用洗剤」の項目に、「無添加洗剤![P&G]さらさ750g(詰替えパウチ)」、「エコな詰め替え用パウチです。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/zagzag/1701050002/)
(7)「楽天市場」と称するホームページの「爽快ドラッグ」において、「カテゴリトップ>掃除・洗濯カテゴリー一覧>掃除・洗濯>食器用洗剤>食器用洗剤」、「カテゴリトップ>掃除・洗濯カテゴリー一覧>掃除・洗濯>エコ洗剤・環境洗剤」の項目に、「緑の魔女 キッチン パウチ入り(360mL)[緑の魔女]」、「【ブランド】緑の魔女」、「【発売元、製造元、輸入元又は販売元】ミマスクリーンケア」、「【緑の魔女 キッチン パウチ入りの商品詳細】・・・●環境に対する負荷の軽減にも貢献します。●詰め替え用。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/soukai/4902875020410/)
(8)「楽天市場」と称するホームページの「ツールエクスプレス」において、「カテゴリトップ>【数量・期間限定】特売・目玉品コーナー」、「カテゴリトップ>作業工具各種>車・バイク・自転車用>ケミカル品各種>洗浄剤>業務用手洗い洗剤各種」の項目に、「すっきりハンド 詰め替え用 2.5kg(パウチ)」、「頑固な油汚れに! ポンプの再利用ようにできました! エコにも配慮した すっきりハンド 詰め替え用」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/toolex/1454596/)
(9)「大阪府産業デザインセンター」の「インテリジェント・エコデザイン」と称するホームページにおいて、「大阪府エコデザイン研究会『ecoosaka』」の見出しのもと、「■第12回大阪府エコデザイン研究会報告」、「■プレゼン1:『進化した台所洗剤容器のプロダクツデザイン』・・・サラヤが推し進めている台所用洗剤の詰め替えパウチはゴミの減容とプラスチック容器の削減につながることから、3Rの中でリデュース(使用原料を少なくする)に該当する。詰め替えは、お客様に作業の負担を強いることから詰め替えやすさの工夫が欠かせない。弊社も近々、ハサミを必要としないパウチに変更する予定であるが、更なる改良を求めている。」との記載がある。(http://www.oidc.jp/ie/society/12th.html)
以上の事実より、「ECO」、「エコ」と「POUCH」、「パウチ」を組み合わせた「ECOPOUCH」、「エコパウチ」の文字よりは、容易に「環境に配慮した小袋」を認識するものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が詰め替え用の容器入りの商品など、環境に配慮した小袋入りの商品であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものというべきである。

別掲2(エコパウチの使用例)
(1)「RAFRA ONLINE SHOP(ラフラ)」と称するホームページの「ホーム>ヘアケア・ボディケア>オレンジソープ 300ml」の項目に、「オレンジソープ300ml」の見出しの下、「環境に配慮し、こだわりのエコパウチ使用」の記載(http://www.rafra.co.jp/index.php?dispatch=products.view&product_id=30)。
(2)「楽天市場」と称するホームページの「岡田薬局」において、「カテゴリトップ>化粧品>リスブラン化粧品>ボディケア」の項目に、「リスブランめどきシャンプー500ml【パウチ袋】」の見出しの下、「人気のシャンプーがエコパウチになりました★専用容器エコロポンプ(別売り)へセットしてお使い下さい。」の記載(http://item.rakuten.co.jp/okada-p/risuburan-medoki500/)。
(3)「ヘアートリートメントの通販 ヘアレスキュー」と称するホームページの「ヘアートリートメント通販TOP>シャンプー>ヘアレスキューシャンプー>ヘアレスキュープラチナムホームクリニックシャンプー500ml」の項目に、「ヘアレスキュープラチナムホームクリニックシャンプー500ml」の見出しの下、「こちらの商品は、エコパウチに入っていますので専用のディスペンサー(¥600)もしくはポンプをお求め下さい。」の記載(http://hair-rescue.net/SHOP/B22.html)。
(4)「サンスター株式会社」のホームページの「部門ごとの取り組み 開発」の項目に、「トニックの詰め替え用パッケージの減容化」の見出しの下、「現在は、去年開発したエコパウチの改良に取り組んでいます。」の記載(http://jp.sunstar.com/4.0_activ/4.1.5.4.5_activ_sale.html)。


審理終結日 2011-08-29 
結審通知日 2011-09-30 
審決日 2011-10-13 
出願番号 商願2007-86712(T2007-86712) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 照美深沢 美沙子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 瀧本 佐代子
高野 和行
商標の称呼 エコパウチ 
代理人 中村 仁 

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