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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 X42
管理番号 1255105 
審判番号 不服2011-18632 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-29 
確定日 2012-04-09 
事件の表示 商願2010-23650拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の標章は,登録第5058826号商標の防護標章として登録をすべきものとする。
理由 1 本願標章
本願標章は,別掲1のとおりの構成からなり,第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」を指定役務とし,登録第5058826号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章として,平成22年3月26日に登録出願されたものである。

2 原登録商標
原登録商標は,別掲2のとおりの構成からなり,平成18年10月17日に登録出願,第29類「ビタミン・ミネラル・大豆・ハーブ・植物ステロール・グルコサミン・コンドロイチン・メチルサルフォニルメタン・リノール酸又は魚油を主原料とした錠剤状・カプセル状・粉末状・液状の加工食品」を指定商品として,同19年6月29日に設定登録されたものであり,権利者を大塚製薬株式会社として,現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願標章は,他人がこれを本願指定役務に使用しても,役務の出所について誤認を生じさせるほどに需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって,本願標章は,商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
前記1及び2(別掲1及び2)のとおり,本願標章は,原登録商標と同一のものである。
また,原登録商標の権利者は,前記2のとおり,請求人(出願人:大塚製薬株式会社)であり,該商標権は,現に有効に存続しているものである。
そして,請求人の主張,請求人から提出された証拠及び職権調査によれば,以下のとおりの事実が認められる。
(1)使用商標・使用商品
請求人は,2002年8月,商品ラベルのデザインが,2002年11月頃に変更される旨周知を図っているところ,変更後のデザインにおいては,原登録商標と同一と認められる商標が使用されていることが確認できる(甲142)。
ここで,変更される前の商品ラベルのデザインにおいては,焦げ茶と思われる色を用いて表された「Nature Made」の文字から構成されている商標(以下「変更前の商標」という。)が使用されているところ,これらの文字は,原登録商標の構成中,主たる部分を占める「Nature Made」の文字と共通しており,さらに,その文字態様についても,全体がやや斜体で表されている点,「r」の文字の一部が直後の「e」の文字の上を覆うようにデザイン化されている点,「M」の文字の左側の縦線が,ややカーブされて表されている点が共通していることなどから,変更前の商標と,原登録商標とは,一般人の認識において同一性を有するといえる。
また,原登録商標が使用されている商品ラベルには,「マルチビタミン」「11種類のビタミン」「TABLETS」との記載があり(甲142),同号証には,「・・・サプリメント需要が高まりつつある中,・・・新製品を追加・・・することが,消費者の更なる健康維持・増進の一助となるものと確信致しております。これを機会に,ネイチャーメイドブランドへのより一層のお力添えを・・・お願い申し上げます。」と記載されているから,当該商標が使用されている商品は,ネイチャーメイドブランドの一環,すなわち,サプリメント(栄養補助食品)の1つであって,ビタミンを主原料としたタブレット状のものであることが認められる(以下,「ビタミンを主原料としたタブレット状のサプリメント(栄養補助食品)」を,「ビタミンを主原料としたサプリメント」という。)。
(2)使用開始時期・使用期間
請求人は,1993年6月から,変更前の商標が使用された,ビタミンを主原料としたサプリメントを全国で新発売していることがうかがえる(請求人の主張及び甲2,甲5など)。
変更前の商標は,ビタミンを主原料としたサプリメントをはじめ,各種サプリメントについて統一的に使用され(甲144の1),2002年8月に,原登録商標と同一と認められる商標が広告として使用され(甲142),2003年1月には,同商標が,サプリメントについて統一的に使用されていることが確認できる(甲144の270)。
その後,請求人からの証拠によれば,継続的に同商標が使用されていることがうかがわれ,2012年3月現在においても,ビタミンを主原料としたサプリメントをはじめ,各種サプリメントについて統一的に使用されていることが確認できる(http://www.otsuka.co.jp/product/naturemade/item_102/など)。
以上からすると,変更前の商標は,すでに検討したとおり,一般人の認識において,原登録商標と同一性を有するといえるから,原登録商標は,1993年6月から18年以上にわたって,ビタミンを主原料としたサプリメントをはじめ,各種サプリメントについて,統一的に,かつ,継続的に使用されていたことが認められる(以下,原登録商標と同一と認められる商標は,単に「原登録商標」という。変更前の商標についても,「原登録商標」という。)。
(3)発売直後の状況
上記(2)のとおり,原登録商標が使用された,ビタミンを主原料としたサプリメントが発売されたのは1993年6月であることがうかがえるところ,そのわずか1年後には,サプリメントについて,「最も売れている商品は・・・大塚製薬のネイチャーメイド」と新聞記事で紹介され(甲34),1996年には「市場拡大の起爆剤となったのはいうまでもなく大塚製薬の『ネイチャーメイド』(18品目)である。」と新聞記事で紹介(甲32)されるなど,原登録商標は,サプリメントの需要者の間に,請求人に係るサプリメントを表示するものとして,相当程度認識されていたことがうかがえ,2006年には,「『ネイチャーメイド』は,・・・ドラッグストアチャネルで最も売上高が大きい人気サプリメントとして定着している。」ことが確認できる(甲36)。
(4)販売額・シェア
「Nature Made」商品の販売金額は,1994年で13億円であり,その後,ほぼ順調に増加し続け,2005年には100億円を突破(117億円),その後2010年までは100億円を超え続け,2011年は97億円となっていることがうかがえる(甲35)。
また,「Nature Made」商品のうち,ビタミンを主原料としたサプリメントについては,2010年で市場シェアの43.2%を占めるものもあり(甲46),「ネイチャーメイドはドラッグストアのサプリメントでNo.1である。」(甲40。2008年1月「流通ジャーナル」の記事)ことがうかがえる。
(5)使用地域
原登録商標を使用した,ビタミンを主原料としたサプリメントは,前記(1)のとおり,1993年6月から全国で新発売していることがうかがえ,その後も,「『ネイチャーメイド マルチビタミン(100粒)』発売(大塚製薬)」の見出しで,「大塚製薬(東京都千代田区,03・3293・3116)は,栄養補助食品『ネイチャーメイド』にファミリーサイズ4アイテムを追加,10月1日から全国で発売した。『ネイチャーメイド』は,日常生活で不足しがちな栄養素を補うサプリメント。ファミリーサイズは,家族で利用できる大きいサイズで手ごろな価格の商品。・・・種類は〈マルチビタミン(100粒)〉など4品。」との記事(2002.10.23 日本食糧新聞)からすれば,全国的に発売されていることがうかがえる。
また,ビタミンを主原料としたサプリメントをはじめ,各種サプリメントを紹介する冊子(「サプリメントガイド」甲130)は,原登録商標が使用されているところ,2009年から2011年にかけて,全国47都道府県の範囲に配布されていることがうかがえる(甲132)。
こうしたことから,原登録商標の使用地域は,全国的であるということができる。
(6)広告
ビタミンを主原料としたサプリメントをはじめ,各種サプリメントについて,2000年から2008年にかけて,多数の種類の雑誌において,多数回,継続的に,原登録商標を使用した広告が行われており(甲59及び甲144枝番含む。),そのほとんどには,請求人の略称である「大塚製薬」も併せて記載されていることが認められる。また,これらの雑誌の購読者層は,一般的な者であるといえる。
さらに,テレビコマーシャルも,1999年から2009年にかけて継続的に,ビタミンを主原料としたサプリメントを中心に,原登録商標を使用して行われていることが認められ,その合計時間は長時間にわたる(甲52ないし58及び請求人の主張)。2012年3月現在でも,原登録商標を使用したテレビコマーシャルを行っていることが確認できる(http://www.otsuka.co.jp/nmd/ad/)。
(7)新聞等における記事
以上のほか,請求人の「Nature Made」商品は,ビタミンを主原料としたサプリメントを中心として,多数の種類の新聞等において,多数回,継続的に記事として採用され,請求人の略称が併せて記載されているほか,原登録商標が使用された商品の容器の写真が掲載されているものも多い(甲60ないし129)。

そして,以上にいう「ビタミンを主原料としたサプリメント」は,原登録商標の指定商品のうち,「ビタミンを主原料とした錠剤状の加工食品」に該当するものと認められる。
そうすると,以上の(1)ないし(7),請求人の主張及び提出された全証拠を踏まえれば,原登録商標は,請求人の業務に係る指定商品「ビタミンを主原料とした錠剤状の加工食品」を表示するものとして,全国的な一般の需要者の間に,極めて広く認識されているものと認めることができる。

次に,請求人の業務についてみると,請求人は,医薬品・医療機器・食料品・化粧品の製造販売などを行う者であり,医薬品事業部においては,医療用医薬品の研究も行っており(http://www.otsuka.co.jp/company/profile/overview/, http://www.otsuka.co.jp/company/profile/business/structure.html),商品「カロリーメイト」などにおいて,国民一般に親しまれているといえる。
また,請求人がグループの一として密接な関連がある大塚ホールディングスは,化学品の製造販売を事業とする「大塚化学株式会社」,食品の製造販売,ワインの輸入販売を事業とする「大塚食品株式会社」,紙器の製造販売を事業とする「大塚包装工業株式会社」,殺虫剤・トイレタリー製品関連を事業とする「アース製薬株式会社」を擁するなど,その事業範囲は広い(http://www.otsuka.com/jp/company/group/)。
以上のことからすると,原登録商標は,その指定商品中「ビタミンを主原料とした錠剤状の加工食品」について,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,全国的な一般の需要者の間に極めて広く認識されており,請求人及び請求人がグループの一として密接な関連がある大塚ホールディングスの事業範囲は広く,本願標章の指定役務は,その対象が「医薬品・化粧品又は食品」であり,いずれもサプリメントと関連した分野であることや,請求人が医療用医薬品の研究を行っていることも踏まえれば,本願標章を他人がその指定役務に使用した場合,これに接する需要者は,その役務が請求人又は請求人と密接な関連がある者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものというのが相当であるから,本願標章は,商標法第64条に規定する要件を具備するものと判断すべきである。
したがって,本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願標章)




別掲2(原登録商標)



(別掲1,2ともに,色彩については原本を参照されたい。)






審決日 2012-03-28 
出願番号 商願2010-23650(T2010-23650) 
審決分類 T 1 8・ 8- WY (X42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 恵美子海老名 友子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
守屋 友宏
商標の称呼 ネーチャーメード 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 黒川 朋也 
代理人 小暮 君平 

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