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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X03
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X03
管理番号 1253723 
異議申立番号 異議2011-900010 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-01-13 
確定日 2012-02-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5364807号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5364807号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年7月16日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、平成22年10月6日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、「24h」、「24時間」の文字から「24時間」の観念を直感させるものである。
そして、化粧水、ボディ用ミルク等の本件指定商品にあっては、「24時間肌しっとり」等のように「24時間」の語が普通に使用されているとともに、該語が「24時間(1日)効果が持続する商品」を意味する語として、使用され、理解されているものである(甲1ないし甲5)。
すなわち、本件商標は、これをその指定商品中、「24時間効果が持続する商品」に使用するときは、単に商品の効能、品質等を直感させる標章にすぎないものであって、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、上記以外の商品に使用するときは、あたかもその商品が「24時間効果を持続する商品」であるかのごとく直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審が通知した取消理由
1 本件商標は、上段に「24h」、下段に「24時間」と書してなるものである。そして、「時間(hour)」を「h」と略して表示することが普通に行われていることから、上段の「24h」も24時間を意味するものである。
そして、上段の「24h」は、文字の大きさの異同が有り、ややデザインされた書体ではあるが、文字をデザインして表すことが一般に行われていることからして、本件商標は、普通に用いられる方法で表示するものと認められる。
2 ところで、化粧品を取り扱う業界においては、化粧品の効果の持続性を商品の特徴とする商品があり、その特徴について、例えば、「長時間(効果が)持続」や「○○時間△△(△△には「しっとり」などの効果を表示する文字)」などのように広告・宣伝することが行われており、効果が24時間持続することについても以下のように、広告、宣伝が行われている(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)。
ア 楽天市場の「COSMEDNFAL」のウェブサイトに「マックスファクター イリューム 24時間肌しっとりセット」の商品広告がある(甲3)。
イ ジュジュ化粧品株式会社の「ジュジュ アクアモイスト」の広告に「素肌にうるおい。24時間。」の記載がある(甲4)。
ウ NIVEAスキンミルクのしっとりタイプの商品に「一日続く しっとり肌」のシールが貼られ、正面に「24h」及び「しっとりした肌に」の記載があり、さっぱりタイプの商品に「一日続く、うるおい肌」のシールが貼られ、正面に「24h」及び「うるおった肌に」の記載がある(甲5)。
エ 「クオレ WEB SHOP」のウェブサイトに、K-パレットの「リアルラスティング・アイライナー24h」の商品広告があり、「24時間眼力キープ」「耐水性高分子ポリマーの優れた密着効果で、付けたままの仕上がりを一日中キープ。」の記載がある(http://50900.jp/shop/shopping/kp_5.html)。
オ 「ロレアル パリ」のウェブサイトに、「スーパーライナー 24H ジェルアイライナー」の商品広告があり、「汗・涙・水に強いウォータープルーフで、仕上がり24時間持続。」の記載がある(http://www.lorealparisjapan.jp/make_up/eye/super_liner_24h/)。
カ 「【楽天市場】コスメランド」のウェブサイトに、ロクシタンの「ロクシタン シアリッチフェイスクリーム 24H」の商品説明に「24時間しっとり感をキープしながら、乾燥に立ち向かう“うるおい力”をつけていきます。」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/cosmeland/236419/)。
キ 「Rakuten GLOBAL MARKET」のウェブサイトに、「コレス ワイルドローズ 24h モイスチャライジングクリーム」の商品広告があり、「24時間 保湿くすみがちな肌の乾燥を防ぎます」「24時間保湿モイスチャライザー」の記載がある(http://global.rakuten.com/ja/store/aimere/item/f0070004/)。
ク 「@COSME」のウェブサイトに、「ロレアル パリ イドラ 24H アイ」の商品広告があり、「生き生きとした輝きがよみがえり、24時間しっとりとした状態を守ります。」の記載がある(http://www.cosme.net/product/product_id/311040/top)。
3 以上のとおり、本件商標は、「24時間」という時間を意味するにすぎないものであること、そして、本件商標の指定商品中、化粧品について、効果の持続性を商品の特徴とし、24時間効果が持続することを宣伝広告している商品が多くあることからすると、これがその指定商品中、化粧品について使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、「24時間効果が持続する商品」であることを理解するにすぎず、単に商品の品質、効能を表示したものと理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

第4 商標権者の意見
1 品質を表示するものでないことについて
(1)取消理由通知に掲げられているネット記事情報において、効果が24時間持続することが広告宣伝されている事実は認められるものの、「24h/24時間」の文字列が「効果が24時間持続する」ことを表示するものとして使用されている例は皆無である。
また、商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、当該表示が具体的な意味を認識させることが必要であるところ、化粧品の宣伝広告においては、「24時間落とさなくてもよい」という上記と異なる品質をうたうものもある。「24時間」という語は化粧品の品質との関係において多義的に用いられているものであって、具体性がない。
(2)ネット記事について
取消理由通知に掲げられた記事ア(「24時間肌しっとりセット」)、記事イ(「素肌にうるおい。24時間」)、記事ウ(「24h」「一日続くしっとり肌」「一日続くうるおい肌」)、記事エ(24時間眼力キープ」)はいずれも「24時間」又は「24h」が他の語句と結合または並記されているために、例えば、記事イの事例であれば、「24時間」は「素肌にうるおい」と並記されているために「24時間肌に潤いを与える」という品質が理解できるのであり、「24時間」や「24h」が単独では具体的な意味を理解することができない。
また、記事オ(「スーパーライナー24Hジェルライナー」)、記事カ(「シアリッチフェイスクリーム24H」)、記事キ(「コレス ワイルドローズ24H」)、記事ク(「イドラ24Hアイ」)は、これらの記述からは商品の具体的な品質を理解することができないのであり、例えば、記事オの説明文中の「仕上がりが24時間持続」などの、説明文を読んで初めて品質を理解することができるにすぎないものである。
そして、これらの記事アないし記事クには「24h/24時間」の表示はない。
(3)「24時間の」の他の用法
上記取消理由における指摘はすべて「24時間効果が持続する」という程度の意味合いであるが、「24時間メイクを落とさなくてもよい」化粧品がブームとなっている。すなわち、化粧品との関係において「24時間」という言葉は、「24時間効果が持続する」という文脈で使用されることも、「24時間メイクを落とさなくてもよい」という文脈で使用されることもある。両者の意味合いは、化粧品の品質として全く異なる。
「24時間」単独では何ら具体的な意味を認識させることはない。
例えば、「1日24時間つけっぱなしOKの落とさなくてもいい化粧品」(乙1)、「メークしたままで24時間過ごせるなんて本当?」(乙2)のように記載、紹介されているものであり、そして、乙第2号証は、「メイクしたまま寝てもOKのコスメがあるんです!その名もズバリ『24hコスメ』」と紹介しているが、「24時間メイクを落とさなくてもよい」化粧品の仕掛け人は本件商標権者の関連会社である、「ナチュラピュリファイ研究所」である。
2 デザインの特異性
(1)本件商標は、ありふれた活字体ではなく、古典的な手書き風の書体で、まとまりよく一体的に表されているものであって、「普通に用いられる方法」というべきものではない。通常用いられることのない古典的な手書き風の書体を用い、数字と文字とをバランス良く配置した本件商標は、一体の表現として視認性が高く、そのまとまりは、需要者の注意を引くに十分である。
文字をデザインして表示することが広く行われている実情があるとしても本件商標のデザインは、普通に行われている「読ませるための文字を単に強調する」目的のデザインの範囲を超えている。「読ませるための文字を単に強調する」目的のデザインは、せいぜい甲第3号証の商品パッケージのヘッダーに表された態様程度のものであって、本件商標と需要者の注意を喚起する力の差は明らかである。
本件商標から一体感が看取される根拠としての構成は「2」の横線を上向きにカーブさせ、カーブで得られた空隙に「4」の斜めの線の下部を組み入れている点である。
(2)審判決例との関係
不服2004-12217、不服2008-11473、不服2008-20951及び不服2007-31369の審決は、いずれも「文字列」それ自体が商品の品質を表示するものと認定されつつ、「普通に用いられる方法」といえないものとして登録されているものであるが、これらの商標と比較して本件商標のデザイン性が低いというべき理由はない。
3 むすび
以上のとおり、(1)「24h/24時間」の語(文字列)が、化粧品の具体的な品質を表示するものとして使用されている例はなく、(2)本件商標はまとまりよくデザインされており、その文字のまとまり自体の特異性により、需要者の注意を引くものであり、識別力を有するものである。
よって、本件商標の登録は維持されなければならない。

第5 当審の判断
1 本件商標は、前記第3の取消理由に記載のとおり、その指定商品中、「化粧品」について商標法第3条第1項第3号に該当するものと判断する。
2 取消理由に対する商標権者の意見について
(1)商標権者は、「24h」及び「24時間」は、単独では(品質としての)意味が理解できないものであり、他の語と共に使用されたことにより、一体としての意味合いの品質を理解できるにすぎないものである旨主張し、また、前記第3の取消理由の2オないしクの用例について、商品名中に「24H」の記述の存在があるものの、この記述からは、商品の具体的な品質を理解することができないのであって、その商品の説明文などにより品質を理解することができるにすぎない旨主張している。
しかしながら、本件商標を構成する「24h」「24時間」の語は、時間を表す語として日常的に使用されているものである。そして、化粧品を取り扱う業界では、化粧品の効果の持続性を商品の特徴として、宣伝広告され、「24h」、「24時間」、「24H」についても、取消理由通知で示したように使用されていることからすると、本件商標は、その構成文字が直接有する意味は「24時間」であるとしても、その時間の意味合いを認識するだけでなく、その商品との関係で「24時間効果が持続する」という商品の特徴を容易に認識するというべきである。
(2)商標権者は、「化粧品」との関係において、「24時間」は、化粧品の品質として全く異なる、「24時間効果が持続する」という文脈で使用されることも、「24時間メイクを落とさなくてもよい」という文脈で使用されることもあるものであり、多義的に用いられているものであって、具体性がないものである旨主張している。
しかしながら、前記のとおり、本件商標に接する取引者や需要者が、単に「24時間」という意味合いにとどまるものではなく、「24時間効果が持続する」の意味合いを認識する者が多くいるものといえるから、本件商標は、自他商品の識別機能を有するとはいえないし、その需要者の中には、商標権者の述べるように「24時間メイクを落とさなくてもよい」の意味合いを想起する場合もあったとしても、その場合であっても、本件商標に接する需要者は、単に「24時間」の時間を示す直接の意味合いにとどまらず「24時間メイクを落とさなくてもよい」の意味合い、若しくは同時に「24時間効果が持続する」の意味合いを認識する場合が多いというべきであるから、結局、本件商標が、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいうことができない。
(3)商標権者は、「24h/24時間」の使用例はなく、したがって、「効果が「24時間持続する」ことを表示するものとして使用されている例は皆無であると主張している。
しかしながら、本件商標は、いずれも「24時間」であることを表す「24h」と「24時間」からなるものであるから、「24h」と「24時間」を組み合わせて使用されることはないとしても、それをもって、本件商標が自他商品の識別標識としての機能を有するとはいうことができない。
(4)商標権者は、本件商標は、通常用いられることのない古典的な手書き風の書体を用い、数字と文字とをバランスよく配置してなるものであり、一体の表現として視認され、需要者の注意を引き、識別力を有するものである旨主張している。
しかしながら、本件商標は、全体がまとまりよく一体的に書かれてなるとしても、上段の「24h」と下段の「24時間」が瞬時に認識されるものであるばかりでなく、手書き風の書体で「4」の左端部分が「2」と上下にやや重なるよう描かれ、さらに数字の端部を丸く収束する書体などのデザイン上の特徴はあるものの、その特徴がそれほどは特異とはいえないし、本件商標が、そのデザインにより、自他商品の識別力を有するとまではいうことができない。なお、商標権者は、登録審決例を示し、これらの商標と比較して本件商標のデザイン性が低いとはいえないと主張しているが、それらの事例は、本件商標とは、その構成文字や指定商品が相違し、取引の実情も当然に相違するものであるから、それらの審決例の存在をもって、本件商標の登録の是非を判断することは適切でなく、本件商標については上記のとおり判断するのが相当である。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「化粧品」については、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
また、その余の指定商品については、取り消すべき理由がないから同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持するものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標


異議決定日 2012-01-10 
出願番号 商願2009-54153(T2009-54153) 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (X03)
T 1 651・ 272- ZC (X03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 前山 るり子田中 幸一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
山田 啓之
登録日 2010-10-29 
登録番号 商標登録第5364807号(T5364807) 
権利者 株式会社FAJA
商標の称呼 ニジューヨジカン、ニヨンジカン、ニジューヨンエッチ、ニジューヨンエイチ、ニヨンエッチ、ニヨンエイチ 
代理人 峯 唯夫 

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