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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X30 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30 |
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管理番号 | 1253663 |
審判番号 | 不服2011-1560 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-01-21 |
確定日 | 2012-03-07 |
事件の表示 | 商願2009- 55515拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「つゆ付きの即席そばのめん,即席そばのめん,そばのめん,そば粉,脱穀済みのそば,むきそば,そば茶,そばを用いた菓子及びパン,そば用の調味料,そばを使用した香辛料,そばを用いたべんとう,調理済そば」を指定商品として、平成21年7月22日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、その構成全体からは『山形県寒河江市産のそば』の意味合いが生じるから、これをその指定商品中『山形県寒河江市産のそばのめん』等に使用しても、単にその商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、別掲のとおり「山形のさがえそば」の文字からなり、その構成文字は商標全体を筆文字風に表し、「山形の」の文字は他の文字より小さく斜め右下がりに、また「そば」の文字は変体仮名で表してなるものである。 そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、商標の構成文字を筆文字風に表したり変体仮名で表すことや一部の文字の大きさを変えたり斜めに表すことは普通に行われていることからすれば、本願商標は、その構成自体にさほど特徴があるものとはいえず、普通に用いられる方法の範囲内で表されているものというのが相当である。 ところで、山形県寒河江市(以下「寒河江市」という。)においては、原審で提示したとおり、寒河江市観光協会が寒河江市内の蕎麦屋を紹介したパンフレット「寒河江そばの散歩道」を作成・配布するなど寒河江のそば振興に取り組んでいる(http://www.sagae-kanko.com/sightseeing/pamphlet.html)ほか、寒河江市においては、例えば、同市のイメージキャラクターのマフラーを「寒河江のそば」としたり(http://www.city.sagae.yamagata.jp/docs/2011070100031/)、上記観光協会はそのホームページでも「寒河江の物産」として寒河江のそば(乾麺)を紹介している(http://www.sagae-kanko.com/sightseeing/documents/sagaepanhuB.pdf)。 さらに、社団法人山形県観光物産協会においても、そのホームページに上記「寒河江そばの散歩道」を紹介している(http://www.yamagatakanko.com/yodf/04/03/8057.html)。 これらのことからすれば、寒河江市においては、寒河江市、寒河江市観光協会をはじめとして、地域全体で「寒河江のそば」を物産品及び観光資源として活用し、広く宣伝・広報していることが認められる。 そうとすれば、そばのめんの取引者やそばに関心のある者は、寒河江市において「そば(のめん)」が物産品及び観光資源となっていることを認識しているものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者がこれを「寒河江市で製造されたそば(のめん)」、「寒河江市で製造されたそばを原材料とする商品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料を表示したものと認識するにすぎないものといわなければならない。 なお、請求人は、本願商標の構成中の「さがえ」の文字は、寒河江市が著名な地名ではないため「寒河江市」よりも、姓氏としての「寒河江」を理解させる旨主張している。 しかしながら、それを裏付ける具体的な証左がないばかりでなく、「寒河江」の姓氏は、例えば「日本の苗字七千傑」と題するウェブページ(http://www.myj7000.jp-biz.net/index.htm)によれば、その順位は2435位であり、また、「広辞苑 第六版」の「さがえ【寒河江】」の項には、山形県の地名である旨の記載があるが、「姓氏」である旨は記載されていないし、他に「さがえ」の項は掲載されていないから、「さがえ」の文字が姓氏を理解させるとは考え難く、むしろ「寒河江市」を認識するというのが相当であるから、請求人の主張は採用できない。 また、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであって、上述の事情からすれば前記のとおり判断するのが相当であるから、この点における請求人の主張も採用することができない。 さらに、請求人は、本願商標は、長年、請求人によって使用された結果、請求人の業務に係る商品を表示する商標として認識することができる旨主張し、その証拠として参考資料1・2及び甲第1号証ないし第7号証を提出している。 しかしながら、提出された証拠によっては、請求人が実際に使用している商標を明確に確認することができず、また、本願の指定商品中「そば(のめん)」以外の商品について本願商標と同一視できる商標を使用していることが確認できないから、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「寒河江市で製造されたそば(のめん)」又は「寒河江市で製造されたそばを原材料とする商品」について使用するときは、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるをえず、また、上記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「寒河江市で製造されたそば(のめん)」又は「寒河江市で製造されたそばを原材料とする商品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条1項16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標)![]() |
審理終結日 | 2011-11-21 |
結審通知日 | 2011-12-16 |
審決日 | 2011-12-27 |
出願番号 | 商願2009-55515(T2009-55515) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X30)
T 1 8・ 272- Z (X30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄、内藤 隆仁、小田 明 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
高野 和行 小畑 恵一 |
商標の称呼 | ヤマガタノサガエソバ、サガエソバ、ヤマガタソバ |
代理人 | 黒沼 吉行 |