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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X053244
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X053244
管理番号 1253613 
審判番号 不服2010-16164 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-01 
確定日 2012-02-29 
事件の表示 商願2009-54740拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「超ミネラル」の文字を標準文字で表してなり、第5類「滋養強壮変質剤」、第32類「清涼飲料」及び第42類「医業,医療情報の提供,栄養の指導」を指定商品及び指定役務として、平成21年7月7日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『超ミネラル』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『超』の文字は、『程度一杯をさらに超える意を表す。』等の意味(広辞苑)を有する語として広く知られているものある。そして、本願指定商品中『清涼飲料』を扱う分野においては、ミネラル分を豊富に含んでいるものを『超ミネラル』と称している実情もある(例えば、『〔超ミネラル〕とは天然の岩石から液化抽出したミネラル液で、 生命体の維持に必要な25種類以上のミネラルを含んでいます。(http://www.nakijin.org/nakijin_web/html/text/suika.htm)』、『栃木県内の業者が製造・販売する、花こう岩などから抽出したミネラル分を豊富に含む〔超ミネラル水〕に着目。同水を道名水100選になっている藻琴山の〔銀嶺水〕で希釈した清涼飲料水〔超ミネラル健康飲料水 天の一滴(ひとしずく)〕(中略)の製造を計画した。(2001.12.19北海道新聞)』)。そうすると、本願商標に接する需要者、取引者は、『豊富なミネラル分を含んだ商品』程の意味合いを認識するにとどまるものであるから、これを本願指定商品中、前記に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。
1 「超」について
(1)「超」の見出しの下、「(1)(接頭語的に)程度一杯をさらに超える意を表す。(2)俗に、その語の内容をはるかに超えていること。」との記載(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。
(2)「超」の見出しの下、「名詞に付いて、程度が特に普通以上であること、また、普通をはるかにこえたものであることを表す。」との記載(「大辞泉増補・新装版」株式会社小学館 1998年12月1日発行)。

2 「ミネラル」について
(1)「ミネラル」の見出しの下、「(1)鉱物。無機物。(2)栄養素として生理作用に必要な無機物。ふつう無機塩類の形で摂取される。カルシウム・鉄・亜鉛・コバルト・マンガンの類。」との記載(前出「広辞苑第六版」)。
(2)「ミネラル」の見出しの下、「(1)鉱物。無機物。(2)栄養素としての無機質。カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・燐・硫黄・鉄などの無機塩類。ごく少量で生理機能に重要な作用をする。」との記載(前出「大辞泉増補・新装版」)。

3 「超ミネラル」について
(1)「◆超ミネラルとは」の見出しの下、「必要なミネラルのうち、体重1gあたり1万分の1g以下の割合で存在するミネラルを『微量ミネラル』といい、100万分の1g以下で存在するミネラルを『超微量ミネラル』といいます。超ミネラルとはこれらの『超微量ミネラル』までを含んだミネラルのことです。」との記載(http://ainoaru.shop-pro.jp/?mode=f1)。
他のウェブページ(http://item.rakuten.co.jp/aoidou/okijin/)にも、上記と同様の記載がある。
(2)「超ミネラルとは何ですか?」の見出しの下、「特許取得者、嶋西浅男先生が開発した、超微量ミネラル原液を使いそれを90倍に希釈精製したものです。」との記載(http://members2.jcom.home.ne.jp/si-zu-ku/page089.html)。
(3)「超ミネラルとは」の見出しの下、「では、超ミネラルとは一体? これは、『水には溶けない金属元素を黒雲母から特殊な方法で取り出し、イオン化したもの』だそうです。通常のミネラルは水に溶けてしまうそうですが、超ミネラルはミネラルの欠点を克服し、前述した方法によって、『身体に有害な物質が含まれず、しかも、吸収されやすい形で摂取できる』というのです。ミネラルを『超えた』栄養成分だから、『超ミネラル』なのですね。なかなかいいネーミングです。」との記載(http://blog.livedoor.jp/mikasa11/archives/798819.html)。
(4)「『あたためやの超ミネラルドリンク(900ml \3,150-)』」の見出しの下、「沖縄で3億年前に地殻構成されたといわれるミネラル成分が、豊富にバランスよく含まれた天然石を液体化したものです。ミネラルは体内で作ることが出来ません。しかも現代社会においては、化学肥料を多用する現代農法の落とし穴で、食品中のミネラル不足を招き、摂取が困難な状況になっています。そこで効率的に補えるのが、ミネラルをバランスよく豊富(24種類以上)に含む『あたためやの超ミネラルドリンク』です。液体なので吸収が良く効率的に生命にとって必要なミネラル栄養素を摂取できます。」との記載(http://shinjuku.jugem.jp/?eid=290)。
(5)「超ミネラル水とは」の見出しの下、「超ミネラル水の成分 数億年ものあいだ千メートルもの深海に埋まっていたミネラルの非常に豊富な岩石である花崗岩(黒雲母Virmiculite)から濃硫酸抽出法により多種類の金属元素を液状に抽出したミネラル水溶液です。含まれる多種類の微量ミネラルはとても吸収の良いイオン化ミネラルの状態になっており、そのうち22種類の金属元素が確認されています。」との記載(http://www.1mineral.com/cyouminetoha.html)。
(6)「超ミネラル水は一般的なミネラル水と何処が違うのか?」の見出しの下、「一般的なミネラル水に含まれているミネラルはカリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムが中心となります。これに対して、超ミネラル水は多種多量のミネラルを含む特別な岩石を探し出し、この岩石を細かく粉砕し、これを濃硫酸中で加熱・撹拌してその岩石中に含まれているミネラルを酸の働きによって強制的に溶出させたものです。従って、上記の全ての金属に限らず、他の多くの金属が含まれています。」との記載(http://mineracool.com/donna1.html)。
(7)「原始海水の超ミネラルイオン水『月のしずく』『神秘の水・夢』」の見出しの下、「高野山麓から湧き出る『金水』と『銀水』から生まれた天然の超ミネラルウォーターです。」との記載(http://www.rakuten.co.jp/uzumasa/779433/726839/)。
(8)「商品番号03:超ミネラルドリンク」の見出しの下、「鉄・カルシウム他22種類の元素が入っている。(900ml入り・15日?30日分・税込3,150円・6本セット税込18,900円)」との記載(http://kaihigenkyo.org/index.php?option=com_content&task=view&id=31&Itemid=33)。
(9)「■超ミネラル水とは?」の見出しの下、「天然鉱石(花崗班岩)から多種類の金属元素を液状に抽出した濃縮ミネラル水溶液で、豊富な微量ミネラルがバランスよく含まれ、体内に吸収しやすいようイオン化(溶解)されています。・・・現代の食生活で不足しがちな、ミネラルを総合的に補給する飲料です。」との記載(http://www.arealink.org/water/super.html)。
(10)「超ミネラル 吟天寿」の見出しの下、「『吟天寿』は福島県の阿武隈山系より産出する雲母の変性物(腐食花崗岩)に、数十種類のミネラルがバランスよく含有している事から、ミネラルの全てを生物が吸収しやすいように、無機酸でミネラル分を溶解抽出して、特殊製法で作られた超ミネラル水(濃縮液)です。『超ミネラル 』という名称で販売されているメーカー商品は多数存在しますが、元祖の開発者である嶋西淺男氏の開発した超ミネラル原液から希釈して製造された、本物の『超ミネラル水』がミネラル濃縮液『吟天寿』です。特許取得者、嶋西浅男先生が開発した超微量ミネラル原液を使い,現在癌治療などに使われ、『超ミネラル』として口コミで広がっているものです。」との記載(http://members2.jcom.home.ne.jp/si-zu-ku/page085.html)。
(11)「超ミネラル水『泉力』2000ml」の見出しの下、「1本:10,500円(税込)・・・健康の為にお飲みになる方は、目安として体重の0.5を掛けたccを朝と晩に分けてお飲みください」との記載(http://j-smc.co.jp/HP2/news/pdf/DM080225_02.pdf)。
(12)「【1本から送料&代引手数料無料!】超ミネラル水『観音』2リットル入り」の見出しの下、「超ミネラル水とは、微量ミネラル含有の清涼飲料水です。」との記載(http://daiwahealth.com/SHOP/33010.html)。
(13)「超ミネラル濃縮液 Exmineral(エクスミネラル)100ml」の見出しの下、「『Exmineral(エクスミネラル)』は、何万年も汚染されずにいた天然の花崗岩からミネラル成分を特殊な製法で抽出し製品化しました。私たちの体は地球の元素で出来ています。ミネラルは全ての活動の源。エクスミネラルは不足しがちな30種類のミネラルをバランス良く含有しています。」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/kenjoy/4580219922004.html)。
(14)「59種類のミネラルが摂取できる 超ミネラル水」の見出しの下、「天然鉱石である花崗岩(黒雲母)から特殊製法により抽出され59種類もの微量ミネラルをバランスよく含む、ミネラル水溶液です。・・・超ミネラル水とは微量ミネラル含有の清涼飲料水です。」との記載(http://www.i-rock.co.jp/SHOP/33009.html)。
(15)「奇跡の超ミネラル水 霊奇くすび」の見出しの下、「この『霊奇(くすび)』は、腐食花崗岩(黒雲母)から硫酸抽出法により数十種類の金属元素を液状にしたミネラル水溶液で、人間が体内でつくることのできない鉱物元素であるミネラルをバランスよく含んでいます。」との記載(http://www.brain-crew.co.jp/index.html)。
(16)「超ミネラル『ミネラクール』」の見出しの下、「『ミネラクール』は特殊な花崗岩から抽出されたミネラル水(超ミネラル水)の素晴らしい効果を広く知っていただくために商品化したものです。」との記載(http://www.netsea.jp/shop/46023/LVN-2003)。
(17)「超ミネラル水(神源水)」の見出しの下、「花崗岩抽出液、超ミネラル水(神源水)は、天然鉱石である雲母の変性物(腐食花崗岩)に数十種類以上ものミネラルがバランスよく含有している事から、含有するミネラルの全てを生物が吸収しやすいように、硫酸抽出法で溶解抽出して液状にしたイオン化された健康飲料水です。・・・今現在、超ミネラル水と称して販売されている製品は色々ありますから、選択される時にはさぞ迷われることと思います。」との記載(http://supermineral.net/#advice)。
(18)「★自然療法研究会推薦!超ミネラル水(イオンミネラル溶液)神乃泉って何?」の見出しの下、「超ミネラル水(イオンミネラル溶液)は、吸収性が低く食事からの補給が難しいミネラルを、効率的にするマルチミネラル補給飲料です。超ミネラル水(イオンミネラル溶液)神乃泉の原液には、何と!83種類もの豊富な微量ミネラルがバランスよく含まれています!ミネラル不足の現代人に、ぜひお薦めしたいマルチミネラル補給飲料(サプリメント飲料)です。」との記載(http://chomineral.com/)。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
1 「超ミネラル」について
超ミネラルの「超」は、正に「普通の程度をはるかに超えている」意味で使ってあり、出願人が普通のミネラルではなく、この世で最初に、「超ミネラル」に「超」という接頭語を用いて、普通のミネラルと異なるものとして、命名し、薬理効果を提示し、普通微量元素の代用ミネラルでその効果が発揮されるところの超ミネラルの用語を流通させた。

2 前記第3の3(1)、(5)、(9)?(15)、(17)、(18)について
上記証拠に係る販売店は、請求人(出願人)の医療顧問管理下に販売していたが、今は管理下にはない。

3 前記第3の3(6)、(16)について
上記証拠(6)及び(16)に係る商品は、農業や水産業向けのミネラル水の販売であり、いずれも医療用のものではない。また、(7)にある清涼飲料水は、医療用に用いられた形跡はない。

4 1999年以前には、「超ミネラル」は、この世に存在していない。前記第3の3の証拠は、いずれも「超ミネラル」が有名になった後に出現したものである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性
商標法第3条第1項第3号が「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〔判例時報927号233頁〕参照)。この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質、用途等を表すものとして審決時に取引者、需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、取引者、需要者にその商品の品質、用途等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である(知財高裁平成18年(行ケ)第10545号、平成19年6月28日判決)。
そして、商標法第3条第1項第3号で規定する「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、指定商品に関する取引者、需要者が当該商標に接した場合、これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから、同号該当性を判断するにあたっては、必ずしも登録出願された商標が、その出願時あるいはその前において、請求人によって使用されたか否かにかかわらず、その判断時(査定時又は拒絶査定不服の審判においては審決時)に、その指定商品の取引者、需要者が商品の品質を表したものと認識するのであれば、その商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するといえる。
これを本件についてみるに、本願商標は、「超ミネラル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、「超」の漢字と「ミネラル」の片仮名からなるものと外観上、容易に認識されるものである。
そして、該「超」の漢字は、「程度が特に普通以上であること、普通をはるかに超えたものであることを表す。」などの意味を有するものとして一般に知られている平易な語であり、また、該「ミネラル」の片仮名も、「無機物」などの意味を有するものとして一般に知られている平易な語であるから、本願商標は、その構成文字全体から「普通をはるかに超えたミネラル」ほどの意味合いを容易に認識、把握させるものである。
しかして、「超ミネラル」の文字あるいは該文字に「みず、液体状のもの」等(前出「大辞泉 増補・新装版」)の意味を有し、清涼飲料の名称の末尾にしばしば付加される「水」の文字を付した「超ミネラル水」の文字については、前記第3の3によれば、「体重1gあたり…100万分の1g以下で存在するミネラルを『超微量ミネラル』といいます。超ミネラルとはこれらの『超微量ミネラル』までを含んだミネラルのことです。」、「ミネラルを『超えた』栄養成分だから、『超ミネラル』」、「ミネラルをバランスよく豊富(24種類以上)に含む…」、「一般的なミネラル水に含まれているミネラルはカリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムが中心となります。これに対して、超ミネラル水は多種多様のミネラルを含む特別な岩石を探し出し、この岩石を細かく粉砕し、…。従って、上記の全ての金属に限らず、他の多くの金属が含まれています。」、「豊富な微量ミネラルがバランス良く含まれ…」、「超ミネラル水とは微量ミネラル含有の清涼飲料水です。」、「…59種類もの微量ミネラルをバランスよく含む、ミネラル水溶液です。」、「超ミネラル水(イオンミネラル溶液)は、吸収性が低く食事からの補給が難しいミネラルを、効率的にするマルチミネラル補給飲料です。超ミネラル水(イオンミネラル溶液)神乃泉の原液には、何と!83種類もの豊富な微量ミネラルがバランスよく含まれています」などと記載されていることが認められる。
以上によれば、「超ミネラル」の文字は、「普通をはるかに超えた(豊富な)ミネラル」ほどの意味合いをもって使用され、これに接する取引者、需要者もかかる意味合いを認識、把握するというのが相当である。
そうすると、「超ミネラル」の文字は、清涼飲料に係る分野において、「普通をはるかに超えた(豊富な)ミネラル」を意味するものとして取引上普通に使用されているといわざるを得ないものであるから、本願商標をその指定商品中、「ミネラルを含む清涼飲料」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを認識、把握するものといわなければならず、これが自他商品の識別標識としての機能を果たしている商標とは認識しないというべきである。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中、第32類「ミネラルを含む清涼飲料」に使用するときは、商品の品質を表示するにとどまるものとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
これに対して、請求人は、本願商標は、普通のミネラルと異なるものとして命名し、「超ミネラル」の用語を流通させたものであり、前記第3の3の証拠は、いずれも「超ミネラル」が有名になった後に出現したものである旨主張する。
しかし、商標法第3条第1項第3号は、商標の登録に関する積極的要件ないし一般的登録要件に関する規定であって、その要件がないものについては、商標登録を拒絶すべき旨を定めたものであるから、このような要件の存否の判断は、行政処分一般の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合と同じく、特別の規定のない限り、行政処分時、すなわち、拒絶査定不服の審判においては、審決時を基準として判断されるべきである(東京高裁平成11年(行ケ)第442号、平成12年8月29日判決)。
そして、「超ミネラル」の文字は、上記のとおり、本審決時において、請求人と関係を有しない多数の事業者によって使用されているのであり、前記第3の3(10)及び(17)には、「『超ミネラル』という名称で販売されているメーカー商品は多数存在します」、「今現在、超ミネラル水と称して販売されている製品は色々あります」と記載されていることをも勘案すると、本願の指定商品中、「清涼飲料」に係る取引者、需要者が、本願商標と請求人とを結びつけて、本願商標が同人の取扱いに係る商品に使用される識別標識として認識するとはいえない。
そうすると、たとえ、請求人が「超ミネラル」の文字を商品「清涼飲料」に初めて採用したとしても、商標法第3条第1項第3号の判断時である本審決時においては、かかる「超ミネラル」の文字が専ら請求人の業務に係る商品「清涼飲料」に使用される商標として、我が国における取引者、需要者の間に認識されているということができず、むしろ、清涼飲料に係る取引者、需要者においては、上記のとおり、「普通をはるかにこえた(豊富な)ミネラル」ほどの意味合いを表すものとして容易に認識、把握されるというべきであるから、特定の者(請求人)の業務に係る商品の出所を表示するために使用される識別標識として認識されているということができないものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
また、請求人は、前記第3の3(6)、(16)に係る商品は、農業や水産業向けのミネラル水の販売であり、いずれも医療用のものではない旨主張する。
しかし、本願の指定商品中、第32類「清涼飲料」は、「喉の渇きをいやし、清涼感をおぼえさせる非アルコール性飲料の総称。清涼飲料水。」(前出「広辞苑第六版」)を意味する語であるから、その用途が医療用に限定されるものでないことは明らかである。
そして、上記(6)に係るウェブサイトには、「製品一覧/ご購入はこちら」の項に、「飲料用」の表示がされており、また、上記(16)に係るウェブサイトには、「〈使用方法〉」の項に、「飲料水として」と表示されているのであるから、清涼飲料としても取引されているとみるのが相当である。そうすると、前記第3の3(6)、(16)に係るウェブサイトに掲載された商品が農業や水産業向けのミネラル水である場合があるとしても、そのことが「清涼飲料」の範ちゅうに含まれる商品とみることの妨げになるものではない。
したがって、前記第3の3(6)、(16)に係る商品が医療用のものである否かは、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断に影響を与えるものではない。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

2 商標法第4条第1項第16号該当性
商品の品質又は役務の質(以下では、商品についてのみ述べる。)の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨規定されている(商標法第4条第1項第16号)。同趣旨に照らすならば、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定商品に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質と指定商品が有する品質とが異なるため、商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである(知財高裁平成20年(行ケ)第10086号、平成20年11月27日判決)。
これを本件についてみるに、本願商標は、前記1のとおり、「程度が特に普通以上であること、普通をはるかに超えたものであることを表す。」などの意味を有する語として一般に知られている平易な「超」の漢字と「無機物」などの意味を有する語として一般に知られている平易な「ミネラル」の片仮名とを組み合わせたものと容易に認識される「超ミネラル」の文字からなるものであり、本願の指定商品中、「清涼飲料」の取引分野において、ミネラルを含む清涼飲料はもとより、ミネラルを多く含むことをうたう清涼飲料が取引され、かつ、かかる取引において「超ミネラル」の文字が使用されている取引の実情の下においては、本願商標に接する取引者、需要者は、「普通をはるかに超えた(豊富な)ミネラル」ほどの意味合いを容易に認識、把握するものであるから、そのような品質を有しない清涼飲料に本願商標を使用するならば,当該商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、第32類「ミネラルを含む清涼飲料」以外の「清涼飲料」、すなわち「ミネラルを含まない清涼飲料」に使用するときは、あたかもその商品が「ミネラルを含む清涼飲料」であるかのように商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(3)むすび
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-09-02 
結審通知日 2011-09-09 
審決日 2011-09-26 
出願番号 商願2009-54740(T2009-54740) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X053244)
T 1 8・ 13- Z (X053244)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 健司薩摩 純一 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 吉野 晃弘
末武 久佳
商標の称呼 チョーミネラル 

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