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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25 |
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管理番号 | 1253494 |
審判番号 | 取消2010-301258 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-11-26 |
確定日 | 2012-02-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5093073号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5093073号商標(以下「本件商標」という。)は、「マグナム」の片仮名と「MAGNUM」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成19年2月5日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同年11月22日に設定登録、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 なお、本件商標の商標登録原簿によれば、専用使用権者、通常使用権者の設定登録は、なされていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証及び乙第11号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出した。なお、乙第9号証及び乙第10号証は、証拠方法の一覧中にも表示されておらず、証拠の提出もない。 1 答弁の理由 (1)商標権者において使用している商品と商標の表示の態様 商標権者が使用している商品は、サーフィン用の「サーフパンツ」と「Tシャツ」及び「インナーパンツ」等の製品であり、その商標の使用形態は、サーフパンツ、及びインナーパンツには下げ札(乙第1号証)と、Tシャツに表示された「織ネーム」(乙第2号証)と「下げ札」(乙第1号証)である。これらの商品に使用している本件商標の表示は、全て英文字「MAGNUM」である。 ただし、これらの商品を商標権者「株式会社ヤマトヤ」と、取引会社間で取引商品について簡単に意思疎通をはかるため、及び伝票の管理する上で、品番と、使用商標を伝票に記載する際には「MAGNUM」又は「MAGNUM/マグナム」とを選択的に表示することがある。 (2)本件商標と使用商標との同一性 商標権者は、上述のように、本件商標の表示として「MAGNUM」を商品「サーフパンツ」「Tシャツ」「インナーパンツ」に使用している。 本件商標は、上段に片仮名にて「マグナム」と、下段に「MAGNUM」を二段標記してなる構成で表示してあるが、本件商標は、全体として一つにまとまった商標として認識でき、上段に片仮名にて「マグナム」と下段に英文字「MAGNUM」と表示した両者は、称呼上及び観念上、同一の称呼及び観念を生じるものであるから、商品に使用している商標「MAGNUM」の表示は、社会通念上は本件商標の表示である。 (3)指定商品と使用商品との関係 本件商標は、「被服」を指定商品としている。商標権者の当該商標を使用している商品は、「水着パンツ」「インナーパンツ」及び「Tシャツ」であって、これらの使用商品は、商標法上、第25類の指定商品「被服」に包含されるから、商標権者は、指定商品に使用している。 (4)本件商標は「株式会社しまむら」にて使用 (ア)「サーフパンツ」は、「株式会社しまむら」にて販売している。商標権者による仕様書を仲介者を通じて中国に発注している。 「ドラゴン柄のサーフパンツ」の仲介者は、株式会社コッカである。本件商標を所有する商標権者にて企画した模様毎の仕様書(乙第4号証及び乙第5号証)を株式会社コッカに発注する。仲介者である株式会社コッカは、商標権者の発注書を受けて、株式会社コッカにて生地を調達し、中国縫製工場に縫製させ、最終検品場所として日本相和流通加工株式会社を経由して前記製品としてのサーフパンツを株式会社しまむらの指定先に納品する。商品は、株式会社コッカにて下げ札を付け、日本相和流通加工株式会社に納品される。商標権者では、株式会社しまむらグループに配送する「ドラゴン柄のサーフパンツ」は、色、柄を異にする毎に品番2221-001及び品番2221-002を付して取引社間で統一的に管理している。前記の乙第4号証で示した仕様書には、2221-001が明記され、乙第5号証で示した仕様書には、2221-002が明記されている。商標権者で作成した模様毎の仕様書(乙第4号証及び乙第5号証)には、ブランド欄に「マグナム」を標記してある。 (イ)仲介者である株式会社コッカによる納品証明書(乙第6号証)には、下記のような表示がある。 「MAGNUM男児サーフ」について 品番 数量 出荷日 インボイスNo. 2221-001 4167 2010年4月28日 100802702ZB 2221-002 4788 2010年4月28日 100802702ZB 数量小計 8955 「MAGNUM男児サーフ」について 品番 数量 出荷日 インボイスNo. 2221-001 33 2010年5月6日 100802702ZD 2221-002 12 2010年5月6日 100802702ZD 数量小計 45 株式会社コッカによる納品証明書(乙第6号証)での商標標記は、「MAGNUM」となっている。 そして、上記の記載を裏付けるKOKKA TRADING CO.,LTDにおいて提出された2通のインボイス(INVOICE)がある。 (ウ)一方のインボイス(乙第7号証)には、APR.28.2010と日付が記載されている。このインボイスには、品番2221-001、2221-002と記載すべきところ、ハイフンを省略して2221001、2221002と記載されている。 (エ)もう一方のインボイス(乙第8号証)には、2010.05.06との日付が記載されている。このインボイスには、品番2221-001、2221-002と記載すべきところ、ハイフンを省略して「2221001、2221002」とその品番が記載されている。これら乙第7号証及び乙第8号証のインボイスと、株式会社コッカが提出した納品証明書(乙第6号証)は、これらの二通のインボイスの記載と、インボイスのNo.と数量の点において正確に一致しており、両者は、商標「MAGNUM」のサーフパンツであることは明らかで、かつ、これらの品番の商品は、株式会社しまむらグループに納品された「サーフパンツ」である。これらのサーフパンツは、日本国内の消費者に対して衣料の総合小売店舗である株式会社しまむらグループによって、株式会社しまむらの販売網によって日本国内の消費者に対して販売された。 なお、株式会社しまむらグループヘ配送した全ての商品は、買取制であり、配送商品の返品はゼロであることから、納品した商品は、全て消費者に販売したと推測している。 (5)本件商標は、被服について株式会社ロベルトにおいて使用された 商標権者で付したインナーパンツの品番は、5278-001である。 また、商標権者で付したインナーTシャツの品番は、5378-002である。 この品番5278-001及び5378-002の製品は、全て衣料小売量販店、株式会社ロベルトで販売している。念のため、株式会社ロベルトの店舗リスト(乙第13号証)を提出する。商標権者と株式会社ロベルトとの取引を証明するために、例えば、商標権者保存のインナーパンツの納品伝票(乙第11号証)及びインナーTシャツの納品伝票(乙第12号証)を提出する。この伝票の発行日は、平成22年、即ち、西暦表示を省略して西暦(20)10年8月3日、また、指定店着日が西暦(20)10年8月3日の記載がある。商標権者から仲介業者、澤村株式会社を経て小売店舗にいたる流通経路は、概略以下のとおりである。商標権者が澤村株式会社に発注すると、その発注を受けた澤村株式会社は、上海瑞高蔓国際貿易有限公司に縫製等の生産を指示し、上海瑞高蔓国際貿易有限公司より発注した全てが製品化できた段階で、発注者である商標権者を経て最終的に株式会社ロベルトに納品される。 上海瑞高蔓国際貿易有限公司のインボイス(乙第17号証)及び商標権者に対する納品報告書(乙第16号証)で、特に、乙第16号証には、商標「MAGNUM」を付したインナーパンツ及びインナーTシャツの、出荷日、数量、納品番号が記載してある。商標権者から株式会社ロベルトヘの納品した全ては、株式会社ロベルト社から、株式会社ロベルトの小売店舗リスト(乙第13号証)に振り分けられて販売される。商標権者で保存している納品書控(乙第11号証及び乙第12号証)には株式会社ロベルトにて販売する商品の品番5278-001、5378-002の表示がある。この品番の表示は、小林織ネームの資材納品実績証明(乙第14号証)の品番とも一致している。 なお、この品番5278-001、5378-002は、澤村株式会社備付けの仕入伝票(乙第18号証の1及び乙第18号証の2)の品番とも一致している。 (6)商標「MAGNUM」を表示した下げ札の作成 商標「MAGNUM」を表示した下げ札(乙第1号証)は、平成21年6月9日に小林織ネーム株式会社に発注し、工場に出荷指示している。商標権者が平成22年度に小林織ネーム株式会社に対して商標「MAGNUM」の下げ札の発注した枚数を小林織ネーム株式会社の「MAGNUM」資材納品実績証明(乙第14号証)及び納品書(乙第15号証)にて証明する。小林織ネーム株式会社で作成された下げ札は、株式会社ロベルトにおいて販売されるインナーパンツ及びインナーTシャツ用の下げ札(乙第1号証)としても使用される。 (7)株式会社ロベルトに納品する織ネームは澤村株式会社にて調達する 商標権者は、株式会社ロベルトに納品したインナーパンツの実物写真のコピー(乙第19号証の1)及び及びインナーTシャツ(乙第19号証の2)の実物写真のコピーを提出する。 2 まとめ 以上の説明によって、被請求人は、その指定商品「被服」に包含される「水着パンツ」「インナーパンツ」及び「Tシャツ」について、本件商標を正規に使用していたことを証明したものである。 第4 当審の判断 1 乙第1号証、乙第15号証及び乙第19号証の1によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は、商品の下げ札の印字イメージであるところ、その下げ札の表面に大きく「MAgNuM」の文字が白抜きで表示されており、裏面の右下に「株式会社ヤマトヤ/大阪市・・・/TEL・・・」の記載がある。 (2)乙第15証について 乙第15号証は、小林織ネーム株式會社から商標権者に宛てた下げ札の納品書であるところ、中央上部に「発行日21年6月9日」の記載があり、「商品名/ブランド名」の欄に「紙タグ/MAGNUM 下札(印字あり)」、「数量」の欄に「1265」、「単位」の欄に「枚」の記載がある。 (3)乙第19証の1について 乙第19証の1は、商品「インナーパンツ」の写真であるところ、その包装には、「3L」、「ニットボクサー」及び「サイズ/ウエスト・・・」の文字が記載されている。また、該商品には、「MAgNuM」の文字が白抜きで表示された乙第1号証と認められる下げ札が、取り付けられている。 2 以上の事実を総合すると、以下のとおりである。 (1)乙第1号証及び乙第19証の1の下げ札において、表面に白抜きで表示された商標「MAgNuM」は、本件商標とは「g」と「u」の文字において、大文字と小文字の差違はあるものの、本件商標とは文字の綴りを共通にし、同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、社会通念上同一の商標と認めることができる。また、該下げ札の裏面には、商標権者の名称、住所、電話番号等の記載がある(乙第1号証)。 そして、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内の平成21年6月9日に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「MAgNuM」を表示した下げ札を、小林織ネーム株式會社から納品されている(乙第15号証)。 また、乙第19号証の1の商品「インナーパンツ」の包装には、「ニットボクサー」の片仮名が記載されている。 そうとすると、該「インナーパンツ」は、ニット製のボクサーパンツということができるから、商標権者は、同年の秋頃には、該商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「MAgNuM」を表示した下げ札を付したものと推認できる。 してみれば、商標権者は、取消請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品「インナーパンツ」に、乙第1号証の下げ札を付している(乙第19号証の1)ものであるから、この行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。 (2)そして、請求人は、前記第3の商標権者の答弁に対し、何等弁駁するところがない。 (3)以上のとおりであるから、被請求人は、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を取消請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品「インナーパンツ」についての使用をしていたことを証明したものというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-09 |
結審通知日 | 2011-09-13 |
審決日 | 2011-09-30 |
出願番号 | 商願2007-14258(T2007-14258) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 久保田 正文、久我 敬史 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2007-11-22 |
登録番号 | 商標登録第5093073号(T5093073) |
商標の称呼 | マグナム |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 中島 正次 |
代理人 | 向口 浩二 |
代理人 | 森田 俊雄 |