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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1251775 
異議申立番号 異議2011-900289 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-08-10 
確定日 2012-02-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5411216号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5411216号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5411216号商標(以下「本件商標」という。)は、「Veil Bijou」の欧文字を横書きしてなり、平成22年8月6日に登録出願、第25類「下着,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」を指定商品として、同23年3月24日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして引用する登録第2635014号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成1年1月12日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同6年3月31日に設定登録され、その後、同15年11月25日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年1月5日に指定商品を第25類「フランス製被服」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の構成
本件商標は、「Veil」と「Bijou」との間に約1字分の間隔が設けられており、また、「Veil Bijou」と親しまれた熟語的意味合いを想起させるものではなく、本件商標を外観的にも観念的にもこれらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできず、また、必ずしもこれらを常にー連に称呼しなければならない特段の事情があるということはできないから、その構成文字部分中、強い印象を与える文字部分のみを捉えて称呼し、この部分の称呼をもって取引に資するということも決して少なくないと判断するのが相当である。
この点につき、本件商標中の「Veil」は、ユダヤ系フランス人の姓を表す単語(甲3?甲5)であることから「ヴェイユ家」といった観念が生じる識別力のある語であるのに対し、「Bijou」の語は、「宝石」を意味するフランス語(甲6)であり、本件商標の指定商品に係るファッション業界においては一般的に使用され、比較的よく知られた言葉である(甲25?甲29)。また、「Bijou」すなわち「宝石」が本件商標の指定商品である「洋服等」に装飾として用いられていることもファッション業界においては一般的なことである(甲30、甲31)。
これらの事実にかんがみると、本件商標の後半部分の「Bijou」の文字部分からは「(被服に)宝石を装飾に使用した、宝石を散りばめた」程の意味合いしか生じず、本件指定商品との関係でみた場合には、自他商品を識別する機能は極めて低いものといわざるをえない。したがって、本件商標の構成中「Bijou」の文字部分からは、自他商品識別標識としての独立した称呼や観念は生じないと考えるべきであり、本件商標に接した取引者・需要者にあっては、おのずと、前半部分の「Veil」の部分が強く記憶に残り、「Veil」の文字部分が本件商標の構成中要部として他の部分との類否判断の対象となるというべきである。
したがって、本件商標の欧文字部分は、「Veil」と「Bijou」の2語を結合したものであるが、各語の意味合いや性格を考えればその結合は自然とはいえず、商標の要部として機能するのは「Veil」部分であることから、当該「Veil」の部分より、「ヴェイユ」という称呼が生じ、「ヴェイユ家」といった観念を生じるというべきである。
イ 引用商標の構成
引用商標は、欧文字「WEILL」とその下に「馬車のシルエット」及び「paris」の文字を配し、それらを四角の枠で囲った構成よりなるところ、引用商標の構成中「WEILL」の文字に対し、「馬車のシルエット」及び「paris」の部分は小さく表示されているため、外観上より顕著な印象を与える部分は「WEILL」の部分であり、当該部分より「ヴェイユ」の称呼及び「ヴェイユ家」の観念が生じる。また、「WEILL」部分は、申立人が事業展開する上でのメインブランド名として、申立人の業務に係る商品について、ブランドを創設した1892年以降120年以上にわたって使用され続けている商標である。したがって、引用商標は、「WEILL」の文字部分が強く需要者・取引者の注意を引く要部であって、申立人の取扱いに係る著名な「WEILL」ブランドを観念させるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標との類否において、本件商標の要部である「Veil」と引用商標の「WEILL」を対比すると、本件商標と引用商標とは、同じ「ヴェイユ」の称呼及び「ヴェイユ家」の観念が生じるものであるから、両商標は類似するというべきである。
したがって、本件商標は、引用商標の要部から生じる称呼及び観念が同一であるため、商標全体として対比した場合にも、引用商標に類似するものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標の要部から生じる称呼及び観念が同一である類似商標である。また、本件指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の取扱いに係る被服等に使用されて、日本を含む世界各国で多大な注目を集め、高い人気を博している「WEILL」ブランドに使用される商標として、高い周知著名性を確立している(甲7?甲24)。
そして、本件商標は、「Veil」の文字部分を要部とするものであり、引用商標と非常に相紛らわしく、類似性の程度の極めて高い商標である。また、本件商標の指定商品と引用商標の使用する商品は、同一又は類似の商品であり、非常に高い関連性を有している。
そうすると、本件商標が使用された本件指定商品に接した取引者・需要者は、本件商標の構成中の「Veil」(ヴェイユ)の文字部分に着目し、申立人の周知著名なブランド「WEILL」(ヴェイユ)を想起、連想し、あたかも申立人の関連会社の商標又は著名な「WEILL」(ヴェイユ)ブランドの「宝石を散りばめた」セカンドラインであるかの印象を抱くというべきであり、商品の出所について需要者等が誤認混同する可能性が極めて高い。
以上の要素を総合的に勘案すれば、本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、これが、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 むすび
以上に述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「Veil Bijou」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「Veil」と「Bijou」の各文字は、1文字程度の空白をもって表されているとしても、同じ書体、同じ大きさで表されており、前半の「Veil」の文字部分が後半の「Bijou」の文字部分より格別目立つように表現されているものではないから、外観上一体的に看取されるものである。
そして、本件商標の構成中、「Veil」の欧文字は、「ベール(普通は女性が装飾的に用いる薄地のかぶり物)」等(「研究社新英和大辞典第6版」株式会社研究社 2002年3月発行)の意味を有する語として一般に知られているものであり、その構成中、「Bijou」の欧文字は、「宝玉,装飾物」等(前出「研究社新英和大辞典第6版」)の意味を有するものであるから、本件商標の構成文字全体からは「ベールビジュー」の称呼を生ずるものであるが、この称呼にしても格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、当審における職権調査によれば、本件商標の構成中、「Veil」の欧文字又はその読みを片仮名で表した「ベール」の文字は、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、別掲2のように、上記「ベール(普通は女性が装飾的に用いる薄地のかぶり物)」の意味をもって取引上普通に使用されているといい得るものであり、これに対して、本件商標の構成中、「Bijou」の欧文字は、商品の品質等を表すものとして取引上普通に使用されているとみるべき特段の取引の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「Veil」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえないから、該「Veil」の文字部分だけを、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないというべきである。
以上によれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ベールビジュー」の称呼のみを生ずるものであり、構成全体をもって親しまれた事物、事象を表すとみるべき特段の事情を見いだせないものであるから、特定の観念を有さないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲1のとおり、四角形内の上部に「WEILL」の欧文字を大きく表し、中央に馬車馬と馬車の図形を小さく表し、その下に「paris」の欧文字を小さく表した構成からなるところ、その構成中の「WEILL」の文字部分は、該図形及び「paris」の文字部分より顕著に表されているものであるから、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるものである。
しかして、該「WEILL」の欧文字は、「ヴェイユ」の読みを生ずるユダヤ系フランス人の姓の一つを意味する(甲3?甲5)としても、本件商標の指定商品を取り扱う業界において一般に知られているとはいい難いものであるから、特定の意味を有しない造語とみるのが自然である。
そうすると、引用商標は、上記のとおり、「ヴェイユ」の称呼を生ずる余地があるものの、造語として認識、把握されるものであるから、我が国において親しまれた外国語である英語風読みの「ウエイル」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
したがって、引用商標は、その構成中の「WEILL」の文字に相応して「ヴェイユ」又は「ウエイル」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を有さないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、上記(1)及び(2)のとおり、外観において明らかな差異を有するものであるから、外観については十分に区別し得るものである。
また、本件商標は、上記(1)のとおり、「ベールビジュー」の称呼を生ずるものであるのに対して、引用商標は、上記(2)のとおり、「ヴェイユ」又は「ウエイル」の称呼を生ずるものであり、両称呼は、その構成音数及び構成音において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも観念を有さないものであるから、観念をもって類似するということができない。
ほかに、本件商標と引用商標とは、これらを同一又は類似の商品に使用した場合に、その商品の出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき取引の実情を見いだせない。
(4)小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出した証拠によれば、我が国において被服等に「WEILL」の文字が使用されていることが認められる(甲12?甲15)としても、いずれも本件商標の登録出願後のものであり、その余の証拠にしても、外国で発行された雑誌における広告あるいは本件商標の登録査定後の英文によるウェブサイトの写しなどであるから、これらの証拠をもってしては、引用商標又は「WEILL」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国の需要者の間に広く認識されていると認めることができない。
しかも、本件商標は、前記1と同様の理由により、引用商標又は「WEILL」の文字とは、何ら相紛れるおそれのない別異のものであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標


2 「Veil」又は「ベール」の使用について
(1)「ベール-Veil」の見出しの下、 「ウエディングドレス用のベールです!・・・パールと繊細な模様が素敵なベールです。」との記載(http://anniebridal.jp/item/item.php?itemid=20)。
(2)「ベール-veil」の見出しの下、「VITABELLAのドレス姿を美しく彩るウエディングベール、ドレスに合わせてマリアベール、ロングベールなどお作りしています。」との記載(http://www.vitabella.jp/akusesari/beru)。
(3)「Wedding Veil」の見出しの下、「アトリエで作ったオリジナルウェディングベールを全国の花嫁様にお届けします。」との記載(http://veil-mariee.net/)。
(4)「ウエディングドレス用ベール通販」との記載(http://www.pulire.tv/netshop/veil.html)。
(5)「ベール:つけ方次第でフェイスアップ用ベールにも、マリアベールにも、ショールにもアレンジができるように、コームのないマリアベールタイプを多くご用意いたしております。」との記載(http://www.wedding-cinderella.com/SHOP/60159/t02/list.html)。

異議決定日 2012-01-23 
出願番号 商願2010-65100(T2010-65100) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 手塚 義明佐々木 悠源 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 大塚 順子
末武 久佳
登録日 2011-05-13 
登録番号 商標登録第5411216号(T5411216) 
権利者 株式会社ブルーム・クラシック
商標の称呼 ベールビジュー、ベール、ビジュー 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 蔦田 正人 
代理人 廣中 健 
代理人 蔦田 璋子 

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