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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X42
管理番号 1251771 
異議申立番号 異議2011-900148 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-04-26 
確定日 2012-01-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5386542号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5386542号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5386542号商標(以下「本件商標」という。)は、「Platform」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年5月14日に登録出願、第42類「コンピュータサーバの貸与,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、同年12月16日に登録査定され、平成23年1月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、電子計算機及びこれに関する分野において「基板となるシステム。コンピュータやシステムの基礎部分」等の意味合いを表し、自動車に関する分野において「シャーシ。車台」を意味する文字よりなり、これをその指定役務に使用するときには、その役務の質を表示するにすぎず、かつ、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものである。

3 当審で通知した取消理由
本件商標を構成する「Platform」の文字は、コンピュータ関連業界においては、「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」及び同趣旨の意味を有する語としてコンピュータ関連の用語辞典に記載されているものであり(甲3?甲8、甲10?甲13)、上記業界において普通に使用されていることが認められる(甲9、甲14?甲22)。
そして、NECのホームページの製品情報において、「個人向けのパソコンから、企業・官公庁・通信事業者向けのコンピュータプラットフォーム、ネットワーク製品、ソフトウェアなど、NECではお客様に確かな価値を提供してまいります。」と紹介され(甲17)、また、「クラウドコンピューティング」として、関連プログラム(OS等)が提供される(甲2)など、上記業界においては、プラットフォームに係る取引が行われていることが認められる
また、「Platform」の語は、自動車関連業界においては、「自動車のボディ設計の基本部分。『シャーシ』や『車台』とも呼ばれる。」を意味する語であり(甲13)、当該業界において普通に使用されていることが認められる(甲23?甲25)。
そうとすると、本件商標は、これをその指定役務中、「コンピュータサーバの貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」に使用するときは、「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」の意味合いを認識させるにすぎず、また、「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に使用するときは、その取り扱うものに応じて「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」あるいは「自動車のボディ設計の基本部分」の意味合いを認識させるにすぎないものであって、単に役務の質を表示したものと認識するにとどまるものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 商標権者の意見
(1)「Platform」の語は、「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」及び「自動車のボディ設計の基本部分」の意味を有するが、そのほかにも「(駅の)プラットフォーム」、「踏み台」、「土台」、「基盤」、「政治要綱」等の意味を有する多義語的な語である。
そして、商標が識別力を有するか否かは、その指定役務との関係において判断されるべきである。
(2)役務「コンピュータサーバの貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」に関しては、本件商標「Platform」は役務の質を表示するものではないと思料する。
すなわち、上述したとおり、そもそも「Platform」の語自体が多様な意味を有しており、直ちに「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」を需要者及び取引者が直感することはあり得ない。
また、「Platform」の語が「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」という意味を有しているとしても、役務「コンピュータサーバの貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」の分野においては、「Platform」のみでは役務の質を表すものであると需要者及び取引者に認識されるおそれはない。つまり、これらの役務の需要者及び取引者においては、通常「Platform」の具体的な内容、つまりWindows、Macintosh、Linux、FreeBSD、Android等が、役務の質を表示するものであるとの認識を有するものである。「Platform」の語がこれらの役務の関係で役務の質を表す語であるとしたならば、「当該ソフトはPlatformにて動作します、OSはPlatformです、動作環境はPlatformです」等の文脈において役務の質を表示するものとして意味を有する文脈になるはずであるが、実際にはこれらの文脈は意味をなしえない。このことからも「Platform」の語はこれらの役務との関係で役務の質を表示するものでないことを示していると思料する。
(3)役務「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に関しても本件商標「Platform」は役務の質を表示するものでないと思料する。
上述したとおり、そもそも「Platform」の語は多義的な語であることから一義的な役務の質を表示するものではあり得ない。このことは。取消理由が「コンピュータシステムの・・」あるいは「自動車の・・」としていることからも自明であると思料する。
よって、当該役務との関係では、本件商標に接する需要者は、本件商標から直ちに特定の役務の質を直感することはあり得ない。
(4)商標権者が調べた範囲においても「Platform」の語が登録異議の申立てに係る役務との関係で役務の質を表すものとして使用している事実を発見できない。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない。

5 当審の判断
(1)本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないものである。
(2)商標権者の意見に対して
ア 商標権者は、「Platform」の語は、多様な意味を有しているものであり、一義的な役務の質を表示するものではあり得ない、と主張している。
しかしながら、本来多様な意味を有する語であっても、取引者、需要者は、本件商標を使用する、その指定役務との関係で、その語の意味合いを認識するものというべきであり、本件指定役務中、「コンピュータサーバの貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」や「電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に使用するときは、その需要者は「Platform」の文字から容易に「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」の意味合いを理解するというべきであり、また、「自動車の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に使用するときは、その需要者は、容易に「自動車のボディ設計の基本部分」を認識するというべきであるから、上記主張は採用できない。
イ 商標権者は、前記電子計算機関連の役務の分野においては、「Platform」の具体的な内容、つまりWindows、Macintosh、Linux、FreeBSD、Android等が、役務の質を表示するものであるとの認識されるのであり、「Platform」のみでは役務の質を表すものであると需要者及び取引者に認識されるおそれはないと主張している。
しかしながら、「Platform」が「Windows」等のように基本的なユーザー操作環境を提供する、具体的なソフトウェアを意味するものでないとしても、「コンピュータシステムの基盤となるハードウェアやソフトウェア」の意味合いで広く使用されているものであるから、本件商標に接する上記需要者は、上記意味合いを認識し、本件商標は、自他役務の識別標識としての機能を有しないというべきである。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-12-05 
出願番号 商願2010-37647(T2010-37647) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (X42)
最終処分 取消  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小畑 恵一
小俣 克巳
登録日 2011-01-28 
登録番号 商標登録第5386542号(T5386542) 
権利者 さくらインターネット株式会社
商標の称呼 プラットフォーム 
代理人 森田 俊雄 
代理人 竹内 耕三 
代理人 向口 浩二 
代理人 ポレール特許業務法人 
代理人 深見 久郎 

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