• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X09
管理番号 1251656 
審判番号 不服2011-2399 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-02 
確定日 2012-01-20 
事件の表示 商願2009-59541拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「EDX-GP」の欧文字及び符号を標準文字で表してなり、第9類「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」を指定商品として、平成21年8月5日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『EDX-GP』の文字を標準文字を用いて表してなるところ、その構成中の『EDX』の文字は、指定商品との関係からみれば、X線を被測定物に照射した際に発生する原子特有の波長を有する蛍光X線の強度から原子量を測定する『蛍光X線分析計』の方式の一である『エネルギー分散型X線分光法(Energy dispersive x-rey spectroscopy)』の省略形として使用され、本願の指定商品である『エネルギー分散型蛍光X線分析装置』を指称する略語として使用されているものであって、これに商品の型番や種別を表す記号・符号として類型的に使用されているアルファベット2文字の一類型といえる『GP』の文字をハイフンで結合してなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者をして、例えば『型式がGPのエネルギー分散型蛍光X線分析装置』程の意味合いを理解させるにとどまるもので、これが何人かの業務にかかる商品であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)本願商標は、前記第1のとおり、「EDX-GP」の欧文字及び符号を標準文字で表してなるところ、その構成中の「EDX」の欧文字は、本願指定商品との関係においては、該商品「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」を指称する略語として一般に用いられているものであり、このことは、別掲1に示す内容に照らしても明らかである。
(2)ところで、製造業界においては、自己の製造、販売に係る各種製品について、その製品の管理又は取引の便宜性等の事情から、欧文字の1字ないし2字と他の文字(数字を含む。)とを適宜組み合わせたものを、商品の型式又は規格等を表示するための記号、符号として、取引上普通に採択、使用しているというのが実情であるところ、別掲2に示す内容に照らせば、本願に係る指定商品を含む各種分析装置等の科学機器を取り扱う業界においても同様の状況にあるというのが相当である。
そして、請求人の提出に係る本願商標を付した商品「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」に関する2008年(平成20年)10月20日付けのプレスリリース(参考資料1及び2)において、「島津製作所は、国内外で多くの納入実績がある従来機EDX-720の検出能力はそのままに、RoHS/ELV指令で規制された有害元素のスクリーニング分析に必要な機能をすべて搭載し、この分析手順の自動化を図るなど、使い易さを追及したエネルギー分散型蛍光X線分析装置EDX-GPを2008年10月20日より発売します。」との記載があることに加え、請求人が、自己の製造、販売に係る商品「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」について、「EDX-GP」のほか、「EDX-LE」、「EDX-720」、「EDX-800HS」及び「EDX-900HS」という機種展開を図っていること(参考資料12及び13)、並びに、請求人のウェブサイト中の「分析計測機器 型式頭文字からの機種名確認」(http://www.an.shimadzu.co.jp/products/general/list2.htm)の項目中に示された表において、型式頭文字「EDX-」に係る「一般名称および別名,島津の商品群名,型式例など」として、「EDX,EDXRF,エネルギー分散型蛍光X線分析装置, 型式例:EDX-LE,EDX-GP,EDX-720/800HS」の記載があることを併せ考えれば、請求人も、自己の製造、販売に係る商品「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」について、一連の商品群を構成するに当たり、該商品を指称する「EDX」の略語と欧文字2字ないしそれと数字を組み合わせたものとを「-」(ハイフン)で結合してなるものを商品の種類及び型式の一を表示するものとして採択、使用しているとみるのが相当である。
(3)そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」であることを表す略語の「EDX」の欧文字と商品の型式等を表す記号、符号の一類型である欧文字2字の「GP」とをハイフンで結合したものであって、その構成全体をもって、「型式がGPのエネルギー分散型蛍光X線分析装置」程の意味合いを表したものとして理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわなければならない。
2 本願商標の使用による周知性について
請求人は、当審において、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている旨主張し、参考資料1ないし24を提出しているので、以下検討する。
(1)請求人の提出に係る参考資料によれば、本願商標を使用した商品「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」(以下「本件商品」という。)は、2008(平成20年)10月20日に発売され、その後、2011年(平成23年)1月末までは販売されており(参考資料1ないし5及び24)、また、その発売に先立つ2008年(平成20年)9月ないし2011年(平成23年)1月までの間、複数回に分けて本件商品に係るカタログを合計27,500部(和文によるもの21,500部及び英文によるもの6,000部)作成したこと(参考資料18ないし23)はうかがい知ることができるものの、該カタログの具体的な配布時期、配布先、配布方法等は明らかでない。
(2)請求人は、2008年(平成20年)11月26日ないし28日に開催された全日本科学機器展in2008を口切りに、多くの展示会に本件商品を出展している旨述べ、参考資料6を提出しているが、該資料は、上記カタログ作成に係る日付、金額、部数等が記載された参考資料18と実質的に同一の内容からなるものであり、本件商品の展示会出展の事実を何ら見いだすことはできない。
(3)請求人は、本件商品に関するセミナーを定期的に開催している旨述べ、参考資料7を提出しているが、該資料からは、「島津東京支社」又は「島津関西支社」と称する者が、2008年(平成20年)11月から2010年(平成22年)9月の間、3回の「有害物質セミナー」及び6回の「島津EDXユーザーズセミナー」を開催したことをうかがい知ることができるにとどまり、これらのセミナーにおける本件商品の使用事実を何ら見いだすことはできない。
(4)請求人は、本件商品に係る宣伝方法として、分析機器展に係る「分析機器総覧」(2009年及び2010年)及び全科展に係る「科学機器ガイド」(2010?2011)に本件商品が掲載されたこと並びに雑誌「WEDGE」(2009年3月)及び「X線分析討論会講演要旨集」(第45回及び第46回)に本件商品の広告が掲載されたことに言及し、参考資料9ないし15を提出しているが、「分析機器総覧」及び「科学機器ガイド」についてみれば、多数の分析機器や科学機器のうちの一として本件商品が掲載されているにすぎず、本件商品のみが注目されるとみるべき特段の事情は見いだせず、さらに、雑誌等における広告についてみても、わずかに3回行われたにすぎず、また、上記講演要旨集に係る宣伝においては、本件商品のみならず、請求人の製造、販売に係る他の蛍光X線分析装置(「EDX-720/800HS」、「μEDX-1200/1300」、「XRF-1800」等)をも併載されていることにかんがみれば、同様に本件商品のみが注目されるとはいい難い。
(5)その他、請求人の提出に係る参考資料を総合してみても、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっていることを認めるに足る事実を見いだすことはできない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとの原査定は、妥当なものであり、原査定を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「EDX」の文字が「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」を指称する略語として用いられている事例
(1)2010年(平成22年)7月29日付け「繊研新聞」(4面)に、「鉛含有量の新基準に対応 YKK 全世界で6億円以上投資」の表題の下、「YKKは、米国が11年に施行する消費者商品安全性改善法(CPSIA)の鉛含有量の新基準に対応するため、全世界で6億円以上を投資し、主要な生産国に鉛などの含有金属の検査機・EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)約50台を設置、ファスニング商品の本格受注、生産を開始した。」との記載がある。
(2)「ケイディーアイ株式会社」のウェブサイトに、「取扱製品としてはEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)、ICP(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)、AAS(原子吸光分析装置)、 GC(ガスクロマトグラフィー)およびLC(液体クロマトグラフィー)が有ります。」の記載がある(http://www.kdijpn.co.jp/SKYRAY/EDXpocketIII.htm)。
(3)サイバーナビ株式会社が提供する「試験・分析.com」のウェブサイトに、「エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX、EDXRF)とは 元素から発生する特性X線をエネルギー分散型の半導体検出器で分光分析する装置。試料に与えるダメージが比較的少ないこと、定性分析の速度が速い、などの特徴がある。 略称:EDX、EDXRF」の記載がある(http://lab.atengineer.com/souchi/so40061.htm)。

2 欧文字の1字ないし2字と他の文字(数字を含む。)とを適宜組み合わせたものが商品の型式等を表示するものとして用いられている事例
(1)「株式会社イーストコア」のウェブサイトの「DVSとは」の項目(http://www.eastcore.jp/product/dvs/)中に、「DVSは水分と固形物の相互作用を測定する基準として認められ、American USPやEuropean Pharmacopoesiaに掲載されています。このため世界中の学者の間では水蒸気吸着測定の事をDVS測定と呼んでいます。 DVS(Dynamic Vapour Sorption)=動的水蒸気吸着測定装置の利点」の記載があり、同じく、「カタログ」の項目(http://www.eastcore.jp/catalog/)中に、「DVS-IT Intrinsic DVS動的水蒸気吸着測定装置・・・DVS-HT High-throughput DVS動的水蒸気吸着測定装置」の記載がある。
(2)「板橋理化工業株式会社」のウェブサイトの「製品一覧」の項目中に、「環境試験機・・・耐塵試験機 SH型・・・耐塵試験機(除湿装置付き) SH-D型」の記載がある(http://www.itabashi-rika.co.jp/seihin.html)。
(3)「株式会社三菱化学アナリテック」のウェブサイトの「計測機器」の項目中に、「抵抗率計 低抵抗率計 ロレスタ-GP MCP-T610 ロレスタ-AX MCP-T370」の記載がある(http://www.mccat.co.jp/instrument/measurement/index.html)。
(4)「株式会社エー・アンド・デイ」のウェブサイトの「デジタルはかり」の項目中に、「HLシリーズ/HL-iシリーズ」及び「HL-WPシリーズ」、「SLシリーズ」及び「SL-WPシリーズ」並びに「SKシリーズ」及び「SK-WPシリーズ」の記載がある(http://www.aandd.co.jp/adhome/products/balance/bal-digital.html)。
(5)「京都電子工業株式会社」のウェブサイトの「カールフィッシャー水分計」の項目中に、「カールフィッシャー水分計 (容量法ツインビュレット方式)<MKA-610-TT>・・・カールフィッシャー水分計 (容量法シングルビュレット方式)<MKA-610-ST>・・・カールフィッシャー水分計 (電量滴定方式)<MKC-610-DT/MKC-610-NT>・・・カールフィッシャー水分計 (電量滴定方式)<MKC-520-D/MKC-520-N>・・・カールフィッシャー水分計 (電量滴定方式)<MKC-501-D/MKC-501-N>」の記載がある(http://www.kyoto-kem.com/ja/products/karl/index.html)。
(6)「株式会社サンコウ電子研究所」のウェブサイトの「建築・リフォーム関連機器」の項目中に、「鉄筋探査機3312シリーズ(「2」の数字はいわゆる上付き文字として表されている。)」に係る「モデル別機能一覧」の記載があり、その表中の型式欄に「モデルB(ベーシック)」、「モデルBH」、「モデルSH」及び「モデルTH」の記載がある(http://www.sanko-denshi.co.jp/items/index_br.html)。

審理終結日 2011-11-15 
結審通知日 2011-11-22 
審決日 2011-12-05 
出願番号 商願2009-59541(T2009-59541) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
山田 和彦
商標の称呼 イイデイエックスジイピイ、イイデイエックス 
代理人 喜多 俊文 
代理人 江口 裕之 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ