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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y36 |
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管理番号 | 1251611 |
審判番号 | 取消2010-300957 |
総通号数 | 147 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-03-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-09-03 |
確定日 | 2012-01-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4754518号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4754518号商標の指定役務中「資産運用に関する助言・指導及び情報の提供,金融に関する情報の提供,財務に関する情報の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 登録第4754518号商標(以下「本件商標」という。)は、「お金のお医者さん」の文字を標準文字で表してなり、平成15年7月29日に登録出願、第36類「資産運用に関する助言・指導及び情報の提供,金融に関する情報の提供,財務に関する情報の提供,税務に関する情報の提供」を指定役務として、同16年3月12日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定役務中「資産運用に関する助言・指導及び情報の提供,金融に関する情報の提供,財務に関する情報の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)弁駁の理由 被請求人は、登録商標の使用事実を証明するものとして、現在使用している名刺(乙第1号証)と看板(乙第2号証)の写しを提示しているが、これらは、何ら登録商標の使用事実を証明するものではない。 ア 使用事実の日が不明であることについて 本件の予告登録日は、平成22年9月29日であり(甲第2号証)、平成22年9月29日前3年以内に日本国内で本件商標が使用されていたことを証明しなければならない。。 被請求人は、本件答弁書を平成22年11月2日に差出して、その答弁書に、現在使用している名刺(乙第1号証)と看板(乙第2号証)の複写を提示している。 被請求人が主張している「現在」とは、日時があいまいであり、本件答弁書を差出した日の数日前と仮定しても、「平成22年9月29日前3年以内」であることの証明にはなっていない。 したがって、登録商標を使用した日が明確でない点で、被請求人の使用証明はなされていない。 イ 証拠方法としての「名刺」と「看板」について 商標法第2条第3項第1号ないし第8号には、商標を含む広い概念の標章についての使用が定義されている。特に、同法第2条第3項第8号には、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定されている。 被請求人が提示している「名刺」と「看板」は、上記した商標法第2条第3項第8号の広告的使用に該当するか否かが問題となる。 (ア)被請求人提示の「名刺」には、「お金のお医者さん.com」と記載されているだけであり、本件商標が単独で用いられているだけである。つまり、宣伝文句等の記載がない。ましてや、この「名刺」が本件指定役務の広告宣伝のために頒布とまでは言わないものの需要者等に手渡す等して使用されたものと認めるに足りる的確な証拠はないため、取消しを求められた指定役務中のいずれの役務について使用証明がなされているのかが不明である。 したがって、被請求人提示の「名刺」における本件商標の使用は、商標としての使用に該当しないものであり、使用証明の体をなしていない。 (イ)被請求人提示の「看板」は、複写されたものであり、横長四角形面の上段に「お金のお医者さん.com」と横書き表示され、下段に「KATO FINANCAL MANAGEMENT Co.,Ltd」と横書き表示されているものである。 このような証拠方法では、広告の一形態として使用されている「看板」と認めることはできず、デジタルカメラにより実際使用されている「看板」を周囲の風景も含めて写すことで、カラー写真として提示することは容易である。 しかも、先に述べた「名刺」と同様、取消しを求められた指定役務中のいずれの役務について使用証明がなされているのかが不明である。 したがって、被請求人提示の「看板」における本件商標の使用は、商標としての使用に該当しない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を「商標取得以降、現在まで継続して使用している事実がある」と述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 そして、被請求人は、本件商標の使用時期及び使用役務の証左を求める旨の平成23年5月11日付け審尋に対して、同年6月13日付け答弁書をもって、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(以下、それぞれ「乙第3号証」及び「乙第4号証」という。)を提出した。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出の乙各号証によれば、以下のとおりである。 ア 乙第1号証は、被請求人が現在使用しているとする名刺の写しであり、左上に「お金のお医者さん.com」(「ん」の右肩部に小さく、〇の中に「R」の記号が表示されている。)と記載され、その右側に円輪郭内の黒色円にM状の白抜きの図と「ほけんマルシェ」の文字、その下に「カトウ・ファイナンシャル・マネジメント有限会社」、「代表取締役/「加藤 剛」、「tsuyosi-kato@nifty.com」と記載されている。 イ 乙第2号証は、被請求人が現在使用しているとする看板の写しであり、「お金のお医者さん.com」及び「KATO FINANCAL MANAGEMENT Co.,Ltd」の記載がある。 ウ 乙第3号証は、「お金のお医者さん.comのご案内」と題するパンフレットの写しであり、「お金のお医者さん.com」、「資産運用・相続・事業承継のコンサルティング」、「カトウ・ファイナンシャル・マネジメント有限会社」及び「2011.4.23改定」の記載がある。 エ 乙第4号証は、「お金の学校」を表題とするニュースレターの写しであり、小規模企業共済制度についての説明とともに「発行:お金のお医者さん.com」「2011.3.5 文:加藤 剛」の記載がある。 (2)上記(1)を総合すれば、次のとおり認めることができる。 商標権者は、名刺、看板、パンフレット及びニュースレター(乙第1号証ないし乙第4号証)に記載されている「お金のお医者さん.com」の文字は、その構成中の「.com」が、インターネット上で使用されるトップレベルドメインであり、自他商品識別標識として機能を有しないから、「お金のお医者さん」の文字部分が独立して自他商品識別標識として機能を果たすものといえ、該「お金のお医者さん」の文字は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 そして、パンフレット及びニュースレター(乙第3号証、乙第4号証)から、商標権者が本件審判の請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる「資産運用に関するコンサルティング」などを行っていることを窺うことができるものの、名刺、看板、パンフレット及びニュースレター(乙第1号証ないし乙第4号証)からは、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを確認することができない。 (3)そこで、審判長は、被請求人に対し平成23年7月13日付けで期間を指定して別記の審尋を発したが、指定した期間を経過するも被請求人からは、何ら回答がない。 (4)そうとすれば、被請求人提出の証拠によっては、上記(2)のとおり、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていると認めることはできない。 その他、本件商標をその請求に係る指定役務に使用していると認めるに足る証拠の提出はない。 してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを証明したと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標を上記請求に係る指定役務について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 (5)したがって、本件商標は商標法第50条の規定により、取消請求に係る指定役務について、その登録の取消しを免れないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(別記) 1 平成23年6月13日付け答弁書で提出の証拠について 平成23年5月11日付け審尋に対し被請求人は、同年6月13日付け答弁書をもって、パンフレット(乙第1号証)及び「お金の学校」を表題とするニュースレター(乙第2号証)を提出しているが、前者には「2011.4.23改定」の、後者には「2011.3.5 文:加藤剛」の記載があることから、いずれの証拠も本件審判請求の登録後に作成されたものと認められるので、本件審判請求の登録前3年以内(平成19年9月29日から平成22年9月28日まで)に、本件商標を使用していたことを確認することができない。 2 審尋の内容 (1)被請求人は、上記期間内(平成19年9月29日から平成22年9月28日まで)に「資産運用に関する助言・指導及び情報の提供,金融に関する情報の提供,財務に関する情報の提供」のいずれかの役務について、本件商標を使用していたことが確認できる証左(上記期間内の日付、使用役務及び発行者等が記載されているもの)を提出されたい。 また、同期間内に作成されたパンフレットやニュースレターを提出するのであれば、それらの作成部数を確認できる証左(例えば、パンフレット印刷に係る領収書等)を提出するとともに、それらの頒布時期及び頒布方法について説明されたい。 |
審理終結日 | 2011-11-24 |
結審通知日 | 2011-11-28 |
審決日 | 2011-12-09 |
出願番号 | 商願2003-69202(T2003-69202) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y36)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石田 清 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 2004-03-12 |
登録番号 | 商標登録第4754518号(T4754518) |
商標の称呼 | オカネノオイシャサン、オカネノオイシャ、カネノオイシャサン、カネノオイシャ、オイシャサン、オイシャ、イシャ |
代理人 | 松尾 憲一郎 |