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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) X05 |
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管理番号 | 1250077 |
異議申立番号 | 異議2010-900341 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-10-29 |
確定日 | 2012-01-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5341686号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5341686号商標の指定商品中、第5類「蚊取線香,殺虫剤,防虫剤」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5341686号商標(以下「本件商標」という。)は、「お外」の文字を標準文字で表してなり、平成21年5月1日に登録出願、同22年4月19日に登録査定され、第5類「薬剤,乳糖,乳幼児用粉乳」を指定商品として、同年7月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 本件商標は、「空間的範囲の内側でない部分」を表す「外」の語に、接頭語の「お」を付して「お外」と記載してなり、「お外」は、薬剤の分野において普通に使用されているから、本件商標をその指定商品に使用するときは、「屋外で使用する商品」あるいは「屋外に持ち出せる商品」程度の意味合いしかなく、単に商品の効能、用途、使用の方法等を表す標章に過ぎないものであるから商標法第3条第1項各号の規定に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。 2 薬剤の分野においては、「おそとでノーマット」なる商品が多種類存在し、その商品と権利者との関係が不明であるが、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品を製造、販売する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 本件商標に対する取消理由 当審において、平成23年7月6日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。 1 申立人の提出した甲第2号証及び甲第3号証、申立人の主張並びに職権による調査によれば、「お外」、「おそと」及び「外」の語について、以下の記述を認められる。 (1)「そと【外】」とは、「1.(平安時代までは普通「と」といった)一定の空間的範囲があるとき、その内側でない部分。外方。区域外。」、「2.屋外または屋敷の外部。戸外。」、「3.自分の属する側または身近なものを『内』というのに対して、その反対のもの。ほか。」、「4.表に現れた部分。表面。外面。」及び「5.〔哲〕意識の外部にある世界。外界。客観的世界。客体性。超越的世界。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版) (2)おそとでノーマットV130 家庭用殺虫剤\効能効果 蚊成虫の駆除又は忌避\屋外で携帯して使用する。\-使用場所-キャンプアウトドアに・ハイキングに・釣りに・ゴルフに・花火に・菜園に (http://www.earth-chem.co.jp/top01/mushiyoke/osotode_nomatv/osotode_nomatv.html) (3)おそとでノーマットV シナモロール\「おそとでノーマットV シナモロール」は、火もコンセントも不要の電池式虫よけ器です。悪い虫からお子さまを守ります。キャンプなどのアウトドア、ハイキング、釣り、花火などに。 (http://www.kenko.com/product/item/itm_6900280572.html) (4)お外のしつけ マーキングお断り 濃縮スプレー\●よその家のペットや、自分のペットにお家の周りでおしっこやうんちをさせないようにしつけます。\【使用場所】・お家の周りでマーキングされる箇所に(玄関、塀、電柱、駐車場、路端)・お家の周りが散歩道の場合はより続けてください。 (http://www.bidders.co.jp/dap/sv/nor1?id=122167806&p=y%23body) (5)KINCHO キンチョウ コンバットお外用 【お外に置いて お外でゴキブリ退治!】\◆外から入るゴキブリを防ぐ◆お外でエサを食べて効く[1]お外に置いて、お外でゴキブリ退治!家の外に置いて、外で餌を食べたゴキブリに効き、巣に戻って巣のゴキブリにも効く! (http://shop.kusurinofukutaro.jp/bno4987115350304000/) (6)携帯用蚊取り線香お外セット\キャンプやガーデニング、室外での作業にフック付きの蚊取り線香です。 (http://kakaku.ecnavi.jp/item_info/21052221513371.html) (7)お外にいるときは蚊に刺されたくない!イヤな虫解決ナビ (http://www.kincho.co.jp/seihin/iyanamusi_navi/ka/index.html) (8)虫コナーズの通販\お外でイヤな虫をよせつけない&屋内への侵入も防ぐ (http://www.soukai.com/B38200/li.html) 2 以上の事実に見られるように、「お外」の語は、「屋外または屋敷の外部。戸外。」を意味する「外」(そと)の文字に、丁寧の気持ちを表す「お」を冠した「お外」の文字よりなるものであるところ、「外」(そと)は、上記のとおり、「屋外または屋敷の外部。戸外。」を意味する語であることからすれば、これに丁寧の気持ちを表す「お」を冠して「お外」と表してみても、その構成全体をして、該意味の範囲を脱しないものというべきものである。 そうすると、本件商標は、「屋外で使用する商品」あるいは「屋外に持ち出せる商品」程度の意昧合いを認識させるに過ぎないものである。 また、上記インターネットの情報によれば、用途が「屋外用・屋外使用に適した」殺虫剤等の薬剤に「お外」の語が、多数使用されている事実を認めることができるものである。 そうとすると、「お外」の語は、殺虫剤等の薬剤を取り扱う分野においては、商品の効能・用途を表示する語として普通に使用されていたというべきである。 したがって、本件商標をその指定商品中、第5類「蚊取線香,殺虫剤,防虫剤」に使用するときは、商品の効能・用途を表すにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 第4 商標権者の意見 前記第3の取消理由に対して、商標権者は、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。 1 本件商標は、一般的に使用される商標ではない。 取消理由通知に挙げた事例は、実質的に2社の使用であるから、多数の使用とはいえない。 また、同事例は、「お外用」及び「お外で」であり、本件商標とは異なるから、使用の事実とはいえない。 2 本件商標は、独占適用性を欠く商標ではない。 「建物の外」で使用するものであることを表示するためには、「屋外」、「戸外」、「アウトドア」等の語を用いるのが適切であるから、「お外」の語は、「取引に際し必要適切な表示」には当たらない。 3 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものではない。 第5 当審の判断 1 本件商標についてした前記第3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、その指定商品中、第5類「蚊取線香,殺虫剤,防虫剤」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないものである。 2 商標権者の意見に対して (1)取消理由通知に挙げた事例は、本件商標とは異なる「お外用」及び「お外で」であり、かつ、多数の使用とはいえないから、一般的に使用される商標ではない旨主張している。 しかしながら、前記第3の取消理由で認定したとおり、本件商標を構成する「お外」の語は、丁寧の気持ちを表す「お」の文字と、「屋外」、「外部」、「戸外」等の意の「外」の文字とを続けてなるものと理解されるものであり、その容易な構成からしても、それらの意味するところの「屋外」、「外部」、「戸外」等の意味以外を、想起するとはいい難いものである。 そして、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」であるから、たとえ、「お外」の文字が、商品の品質等を表示するものとして使用されている事実が存在しない、あるいは、多数ではないとしても、本件商標がその商品の品質等を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。 よって、請求人のこの主張は採用することができない。 (2)「お外」の語は、「建物の外」で使用するものであることを表示する語として適切でない旨主張している。 しかしながら、「建物の外」で使用するものであることを表示するために適切な語が、「屋外」、「戸外」、「アウトドア」等であるとしても、容易な構成からなる「お外」の語が商品に使用された場合に、「屋外用の商品」、「戸外の商品」等の意味を需要者、取引者が想起しないというべき理由は、見当たらないものである。 よって、請求人のこの主張も採用することができない。 3 まとめ したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第5類「蚊取線香,殺虫剤,防虫剤」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消す理由がないから、同第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-11-21 |
出願番号 | 商願2009-33340(T2009-33340) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
ZC
(X05)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 田中 敬規 |
登録日 | 2010-07-30 |
登録番号 | 商標登録第5341686号(T5341686) |
権利者 | ロート製薬株式会社 |
商標の称呼 | オソト、ソト |
代理人 | 五味 飛鳥 |