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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X38 審判 全部申立て 登録を維持 X38 審判 全部申立て 登録を維持 X38 |
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管理番号 | 1250073 |
異議申立番号 | 異議2011-900099 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-03-18 |
確定日 | 2012-01-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5375641号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5375641号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5375641号商標(以下「本件商標」という。)は、「DYNAMIC DISCOVERY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年8月18日に登録出願、第38類「電気通信」を指定役務として、同年11月19日に登録査定、同年12月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 (1)登録異議申立人の引用する登録商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、下記のとおりの商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用各商標」という。)。 (ア)登録第4997839号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成17年5月20日に登録出願された商願2005-44436に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成18年9月21日に登録出願、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成18年10月20日に設定登録されたものである。 (イ)登録第3047009号商標(以下「引用商標2」という。)は、「THE DISCOVERY CHANNEL」の欧文字を書してなり、平成4年4月1日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成7年5月31日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (ウ)登録第3050017号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ディスカバリ-・チャンネル」の片仮名を書してなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成7年6月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (エ)登録第3105133号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成7年12月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (オ)登録第4088927号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成8年7月5日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成9年12月5日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (2)理由の要点 (ア)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「DYNAMIC DISCOVERY」の欧文字を標準文字で表した商標であるところ、「DYNAMIC」と「DISCOVERY」の両単語が一体となって特定の観念を生ずるものとして一般に知られているものではなく、また、「DYNAMIC」「ダイナミック」の語が、電気通信分野・放送分野において役務の品質をあらわすものと理解させるにとどまることから、本件商標において出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは欧文字「DISCOVERY」であるというべきであって、需要者・取引者は、該文字から生じる「ディスカバリー」の称呼のみをもって取引に当たる場面も多いと考えるのが相当である。 他方、引用商標1から生じる称呼は、「ディスカバリー」であり、また、引用商標2ないし5についても、「THE」が定冠詞で、「CHANNEL」が「電気通信や放送における特定の周波数ごとの区切り」を意味するものであることから、自他役務の識別力を有する部分は「ディスカバリー」「Discovery(DISCOVery)」であって、「ディスカバリー」の称呼を生じるものである。 そこで、本件商標から生じる称呼と、引用各商標から生じる称呼を比較するに、両者は同一である。また、両者からは「発見」という同一の観念が生じる。 そして、本件商標と引用各商標は、外観上の違いを有するとしても、称呼及び観念を共通にする商標であり、互いに類似するものである。 また、本件商標と引用各商標の指定役務は、互いに抵触するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録されるべきではない。 (イ)商標法第4条第1項第15号について 「DISCOVERY CHANNEL」は、申立人のドキュメンタリー専門のチャンネルを表示するものであって、広く認識されているものであり、チャンネル名としては「DISCOVERY CHANNEL」(ディスカバリーチャンネル)が使用されているが、「ディスカバリー」と省略することも見受けられ、少なくとも放送分野においては、「DISCOVERY」「ディスカバリー」だけでも十分に申立人の業務に係るものとして認知されている。さらに、申立人の属するDISCOVERY COMMUNICATIONS INC.のグループ全体のハウスマークである「DISCOVERY」は、申立人(又はDISCOVERY COMMUNICATIONS INC.及びその子会社)を表示するものとして、周知著名なものとなっている。 本件商標は、申立人の周知・著名な商標である「DISCOVERY」を含んでいると同時に、申立人の周知・著名な商標「DISCOVERY CHANNEL」の商標として識別上最も重要な要素となる「DISCOVERY」を含んでいる。 そのため、本件商標は、申立人の業務に係る役務、又は申立人と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同するおそれのある商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録されるべきではない。 (ウ)商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、申立人の周知・著名な商標である「DISCOVERY」を含んでいると同時に、申立人の周知・著名な商標「DISCOVERY CHANNEL」の商標として識別上最も重要な要素となる「DISCOVERY」を含んでいる。 商標権者が「DISCOVERY CHANNEL」及び「DISCOVERY」を知らなかったとは思料できず、商標権者がそれらのもつ顧客吸引力を利用しようという不正の目的をもって本件商標を出願したことは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、登録されるべきではない。 (エ)商標法第4条第1項第7号について 「DISCOVERY CHANNEL」及び「DISCOVERY」が周知・著名な商標であるにも関わらず、申立人とは何ら関係のない商標権者が、自己の業務にその評価を利用しようとして本件商標を登録した行為は、「DISCOVERY CHANNEL」及び「DISCOVERY」が世界的に周知・著名な商標であることを考慮すれば、国際信義に反し公の秩序を害するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、登録されるべきではない。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、前記のとおり「DYNAMIC DISCOVERY」の欧文字を書してなるところ、「DYNAMIC」と「DISCOVERY」との各欧文字部分の間に若干の間隔があるとはいえ、これらを構成する各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されており、全体として、外観上まとまりよく一体に構成されているものである。 そして、本件商標より生ずると認められる「ダイナミックディスカバリー」の称呼も、よどみなく一気一連に称呼できるものである。 また、本件商標を構成する「DYNAMIC」の文字は、「活動的な、動的な」等を意味する語であり、「DISCOVERY」の文字は、「発見」を意味する語であって、いずれも一般的な語といえるものであり、また、前半の「DYNAMIC」が、本件指定役務との関係においてその役務の質を表すものとはいい難いものである。 そうすると、本件商標の構成文字全体をもって、一体不可分の一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、他に、構成中の「DISCOVERY」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。 そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ダイナミックディスカバリー」の称呼のみを生じ、また、特定の観念を生じさせないものというのが相当である。 他方、引用各商標については、引用商標1は、前記のとおり、図形と「Discovery」の文字よりなるものであるから、その文字部分に相応する「ディスカバリー」の称呼及び「発見」の観念を生ずるものと認められる。 引用商標2は、前記のとおり、「THE DISCOVERY CHANNEL」の文字よりなるものであるところ、当該構成中の「THE」は、英語の冠詞であり、自他商品の識別機能を有しないか、同機能が極めて弱いものである。そして、「DISCOVERY」は「発見」を意味する語であり、「CHANNEL」は、「電気通信や放送における特定の周波数ごとの区切り」を意味する語であって、いずれも我が国において一般的な語といえるものであり、また、後半の「CHANNEL」が、引用商標2の指定役務との関係においてその役務の質を表す場合があるとしても、引用商標2の構成文字全体又は「DISCOVERY CHANNEL」の文字をもって、一体不可分の一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、他に、構成中の「DISCOVERY」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。 そうとすれば、引用商標2は、その構成文字全体又は「DISCOVERY CHANNEL」の文字に相応して「ザディスカバリーチャンネル」及び「ディスカバリーチャンネル」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせないものである。 引用商標3は、前記のとおり、「ディスカバリー・チャンネル」の文字よりなるものであるところ、「ディスカバリー」、「チャンネル」共に、親しまれた語といえるものであって、「DISCOVERY」、「CHANNEL」に通ずるものと容易に理解させるものであるから、前記引用商標2と同様に「ディスカバリーチャンネル」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じさせないものである。 引用商標4は、前記のとおり、図形と「THE Discovery CHANNEL」の文字よりなるものであるところ、該文字部分を捉えて取引に資する場合も決して少なくないものと判断するのが相当であるから、前記引用商標2と同様に、その文字部分に相応する「ザディスカバリーチャンネル」及び「ディスカバリーチャンネル」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせないものである。 引用商標5は、前記のとおり、図形と「Discovery CHANNEL」の文字よりなるものであるところ、該文字部分を捉えて取引に資する場合も決して少なくないものと判断するのが相当であるから、前記引用商標2と同様の理由によりその文字部分に相応する「ディスカバリーチャンネル」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせないものである。 そこで、本件商標と引用商標1ないし5の類否についてみると、本件商標と引用各商標とは、外観上明らかに区別し得るものであり、本件商標から生ずる「ダイナミックディスカバリー」の称呼と、引用各商標から生ずる「ディスカバリー」、「ザディスカバリーチャンネル」、及び「ディスカバリーチャンネル」とは、その構成音数及び構成音の違いにより相紛れるおそれのないものである。 また、本件商標は、格別の観念を有しないものであるから、引用各商標とは観念上比較できないものである。 してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点から見ても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 前記(1)の認定のとおり、本件商標は、「DISCOVERY」及び「DISCOVERY CHANNEL」の商標とは、いずれも、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない別異の商標と認められるものである。 また、申立人提出の証拠によれば、申立人は、ケーブルテレビ等を通じてドキュメンタリー番組の放送を行っている企業であり、同放送は、ケーブルテレビ等の基本放送に採用され、2009年12月の視聴可能世帯数は、701万世帯であり(甲17?甲19)、放送番組のDVDが全国各地の書店で取り扱われている(甲22?甲24)ことが認められる。しかしながら、ドキュメンタリーに興味のある需要者の間では、相当程度の視聴があると推認できるとしても実際の放送の視聴者数は明らかではなく、また、DVDの販売量等も不明であって、広告も自社のホームページ上の広告(甲42)であることなどから、「DISCOVERY CHANNEL」の商標は、取引者及び需要者にある程度知られているということはできても、需要者の間に広く認識されているとまではいうことはできない。そして、申立人のホームページなどにおいて、上記放送を「ディスカバリー」と略称する場合があることが認められ、また同放送の番組名に「ディスカバリ-」の語が冠しているものがあることは認められるが、これらによっては、「DISCOVERY」が申立人の業務にかかる上記放送を表示するものとして、広く知られているものとは、いうことができない。また、証拠をみても、「DISCOVERY」が、申立人又はDISCOVERY COMMUNICATIONS INC.等を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとも認めることはできない。 加えて、「DISCOVERY」の語は、前記(1)のとおり、「発見」を意味する語として広く使用されているものであり、その独創性は高くない。 以上によれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして上記申立人の商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるいは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。 (3)商標法第4条第1項第19号及び同第7号について 上記のとおり、本件商標と申立人商標とは別異の商標と理解・認識されるものであるから、本件商標について不正の利益を得る目的をもって使用するものとはいえないし、商標権者によるその使用が国際信義に反するものとはいうことができない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に違反してされたものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) 別掲2(引用商標4) 別掲3(引用商標5) |
異議決定日 | 2012-01-10 |
出願番号 | 商願2010-64977(T2010-64977) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(X38)
T 1 651・ 261- Y (X38) T 1 651・ 262- Y (X38) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 平澤 芳行 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 板谷 玲子 |
登録日 | 2010-12-10 |
登録番号 | 商標登録第5375641号(T5375641) |
権利者 | ボインゴ ワイヤレス インコーポレイテッド |
商標の称呼 | ダイナミックディスカバリー、ダイナミック、ディスカバリー |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 前川 砂織 |
代理人 | 高原 千鶴子 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 岡野 光男 |
代理人 | 土屋 良弘 |