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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2930
審判 全部申立て  登録を維持 X2930
管理番号 1250053 
異議申立番号 異議2011-900136 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-04-14 
確定日 2012-01-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5383539号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5383539号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5383539号商標(以下「本件商標」という。)は、「CORDON ROUGE」の欧文字を横書きしてなり、平成22年8月10日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),加工野菜及び加工果実,加工卵,乳製品,肉類を主材とする惣菜,魚介類を主材とする惣菜,野菜を主材とする惣菜,果実を主材とする惣菜,卵を主材とする惣菜」及び第30類「コーヒー及びココア,ウーロン茶,紅茶,麦茶,緑茶,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,食酢,酢の素,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料,オートフレーク,オートミール,乾燥飯,コーンフレーク,めん類(スパゲッティのめん,バーミセリのめんを含む。),春雨,パン粉,ビーフン,マカロニ,菓子用ペースト,穀物調整品,穀粉製生地,穀粉加工品,炒ったとうもろこし,パスタ,ペストリー(生地),リボンバーミセリ,菓子及びパン,ゼリーのもと,ドーナツのもと,プリンのもと,ホットケーキのもと」を指定商品として、同年12月28日に登録査定、同23年1月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第67号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標について
ア 本件商標は、前記1のとおり、「CORDON ROUGE」の欧文字を横書きしてなり、その構成全体から「コルドンルージュ」の称呼が生じ、また、フランス語で「CORDON」は「リボン」、「ROUGE」は「赤い」を意味し、その構成全体から「赤いリボン」の観念が生ずる。
イ 他方、申立人が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「CORDON ROUGE」の欧文字を横書きしてなり、1875年、申立人がパーティーの招待客に敬意を表し、フランスの最高勲章であるレジオン・ドヌールをモチーフにしたリボンでボトルを飾った「フランス国シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒」(以下「シャンパン」という。)を製造したことが始まりである。その後、引用商標は、1876年の発売開始より、申立人の名称の略称であり、かつ、主要ブランドである「Mumm」を代表するシャンパンとなり、申立人が積極的に海外に輸出を行った結果、日本を含め世界中で申立人の商品として広く知られているものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、日本を含む世界中で、商品「シャンパン」について使用された結果、申立人の商標として周知・著名となっており(甲第20号証ないし甲第62号証)、この引用商標と同一の文字から構成される本件商標が、その指定商品に使用された場合には、これに接する需要者・取引者は、周知・著名な引用商標を連想し、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、日本を含む世界中で、商品「シャンパン」について使用された結果、申立人の商標として周知・著名となっており(甲第20号証ないし甲第62号証)、また、引用商標は独創性の高い商標であることから、本件商標は、申立人の著名な引用商標を不正の目的をもって使用するものと推認される。また、本件商標は、引用商標に化体した高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願した商標というべきであり、引用商標の出所表示機能を稀釈化し、その名声を毀損させるおそれのある商標である。
(4)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の構成文字について
本件商標及び引用商標は、前記1及び2のとおり、いずれも「CORDON ROUGE」の欧文字からなるところ、「ロワイヤル仏和中辞典」(株式会社旺文社発行)の「cordon」を見出し語とする箇所に「1 紐(ひも)・・・/?s d'un chapeau 帽子のリボン・・・ 2 綬(じゅ);綬を持つ人 grand?de la Legion d'honneur レジオンドヌール最高勲章の綬/?bleu[聖霊騎士団の]青綬/?rouge[聖ルイ騎士団の]紅綬・・・12 『紋』[高位聖職者の盾につける]リボン(組紐)模様」などの記載、同じく、「rouge」を見出し語とする箇所に「1 赤い・・・」などの記載がされており、申立人が述べるように、前半の「CORDON」が「リボン」との意味、後半の「ROUGE」が「赤い」との意味を有することは認めることができる。
また、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)には、「コルドン」を見出し語とするものはないが、「ルージュ」を見出し語とする箇所には「【rougeフランス】(「赤」の意)1 口紅。頬紅。2 ベンガラのこと。」との掲載がされている。
してみると、本件商標に接する我が国の一般需要者が、その綴りからフランス語であると認識し、「コルドンルージュ」との称呼をもって取引に資する場合があるとしても、我が国でのフランス語の普及度からして、必ずしもその構成全体から「赤いリボン」の観念が生じるともいい難いものである。
なお、上記フランス語の辞書における「?rouge[聖ルイ騎士団の]紅綬」との記載からすれば、両商標の構成文字が少なくとも既成のフランス語であるということはできる。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、引用商標は日本を含む世界中で、商品「シャンパン」について使用された結果、申立人の商標として周知・著名となっている旨主張している(甲第20号証ないし甲第62号証)。
ア そこで、該甲各号証についてみるに、甲第20号証、甲第21号証及び甲第21号証の2には、多数の写真、漫画などの切り貼り又は抜粋が収集されており、これらには「CORDON ROUGE」や「MUMM」の文字、ラベルに赤のリボン(綬)が表示されたボトル及び西暦年などが掲載されている。
しかしながら、これら個々の頒布状況(地域、期間、発行部数等)を裏付けるものは提出されておらず、その具体的ないし客観的に喧伝された事実は明らかでない。
また、映画のシーン(甲第22号証)や、Formula1世界選手権での優勝者に係る雑誌・新聞記事の抜粋又は切り抜き写真(甲第36号証ないし甲第56号証)において、ラベルに赤いリボン(綬)が表示されたシャンパンが使用されているとしても、該ボトルからは銘柄を確認することができないのみならず、各雑誌・新聞記事がそのボトルの銘柄について解説しているものでもない(なお、「世界の名酒事典2006年版」(甲第29号証)、「世界の名酒事典2010-11年版」(甲第30号証)及びインターネット通販サイト(甲第35号証)には、「マム・コルドン・ルージュ・ブリュット」以外にも、「マム・ドミ・セック」や「マム コルドン ミレジメ」などを商品名とするシャンパンに赤のリボン(綬)が表示されたラベルが貼付されている。)。
さらに、「世界の名酒事典」(株式会社講談社発行)ほか、我が国で発行された酒類に係る刊行物の抜粋(甲第23号証ないし甲第34号証)において、「マム・コルドン・ルージュ・ブリュット」などのメーカー(申立人)が「G.H.マム社」ないし「G.H.Mumm」として紹介されており、また、インターネット通販サイトにおいて「マム コルドン ルージュ」や「【F1公式シャンパン】/マム コルドン ルージュ ジェロボアム(3000ml)」との掲載(甲第35号証)があることなどは認められる。
しかしながら、これら刊行物が酒類やワインに関することを内容や情報とするものであり、例えば、「世界の名酒事典」の各版には1万点以上の商品が収録されており、ワインを嗜む程度の需要者が必ずしもこれらを読み通し、あるいは該ウェブページ情報にアクセスするとはいい難いものである。まして、一般需要者がこれら刊行物やウェブページに触れる機会は極めて少ないものであると推測される。
したがって、申立人の提出に係る証拠(甲第20号証ないし甲第56号証)によっては、本件商標の登録出願時において、引用商標が申立人の業務に係る商品「シャンパン」を表示するものとして、我が国の一般需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 請求人は、商品の販売額に関する資料(甲第62号証)とするものを提出し、日本での「CORDON ROUGE」の販売量として、2007-2008年度は130,469リットル、2008年-2009年度は134,605リットル、2009年-2010年は142,474リットル、2010年-2011年は、現在までのところ、133,452リットルである旨述べているが、例えば、2009年-2010年の142,474リットルを一本750mlとして割り算すれば、年間約19万本を販売したことになるところ、その数量からしては、我が国輸入ワインの全体に占める割合はごくわずかなものと推定でき、かかる数量をもって一般の酒屋やスーパーマーケットなどのワインを取り扱う店に恒常的に陳列、販売されるような商品とはいい難いものであって、自ずとその販売方法は限られた地域や期間においてのイベントやそこでの試飲販売、インターネット通販によるものなどと推認でき、該シャンパンの愛好家の存在を否定し得ないとしても、その販売実績をもってしては、需要者の間に広く認識されていたということはできない。
その他、ウェブページ情報の開示時期を含め、申立人提出の証拠によっては、該シャンパンに係る広告・宣伝などの量的、時間的又は地域的事情を具体的に把握することができないものであって、引用商標が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「シャンパン」を表示するものとして喧伝され、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ ところで、シャンパンを含む発泡性ぶどう酒が祝い事などの席などにおいて振る舞われることがあるとしても、我が国では未成年者の飲酒は禁じられているばかりでなく、そもそも酒類は嗜好性の強い商品であり、シャンパンを日常的に嗜むものは少数にとどまるといえるものである。また、商品「シャンパン」(フランス国シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒)が酒屋やスーパーなどの売り場において恒常的に販売されている様な取引事情も見いだせないものである。
してみれば、日常生活での必需品といえるものが包含される本件商標の指定商品と、産地が限定され、かつ、嗜好性の強い商品「シャンパン」とは、共に食品分野に係る商品であるとしても、その用途、目的、販売場所、需要者等が大きく異なり、その関連性は乏しいものであるというのが取引の実際に照らし相当である。
エ 以上を総合してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が申立人の業務に係る商品「シャンパン」(マム・コルドン・ルージュ・ブリュット、マム コルドン ルージュ ジェロボアムなど)を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記(1)及び(2)のとおり、「[聖ルイ騎士団の]紅綬」の意味を有する既成語としてフランス語の辞書に掲載されているものであり、また、引用商標の使用に係る「シャンパン」と本件商標の指定商品とは、その需要者の一部を共通にするとしても、その関連性が乏しい商品と認められるものである。
そして、本件商標は、申立人の提出に係る証拠のいずれを見ても、不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドするなどの不正の目的をもって使用をするものであることを認めるに足る事実は見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に違反して登録されたものということはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-12-22 
出願番号 商願2010-63288(T2010-63288) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X2930)
T 1 651・ 222- Y (X2930)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 彩紀子早川 真規子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2011-01-14 
登録番号 商標登録第5383539号(T5383539) 
権利者 ル コルドン ブルー インターナショナル ビーブイ
商標の称呼 コルドンルージュ、コルドン、ルージュ 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 廣中 健 
代理人 宮川 貞二 

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