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審決分類 審判 一部取消 商標の同一性 無効としない X09202428
管理番号 1249996 
審判番号 取消2010-300780 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-14 
確定日 2012-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2099177号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2099177号商標(以下「本件商標」という。)は、「アップルシード」の片仮名を横書きにしてなり、昭和61年10月20日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同63年12月19日に設定登録され、その後、平成11年1月26日及び同20年12月24日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年4月8日に指定商品を別掲に記載のとおりのものとする書換登録がされているものである。
なお、本件審判の予告登録は、平成22年7月30日にされたものである。

第2 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器」、第24類「ビリヤードクロス」及び第28類「おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器」、第24類「ビリヤードクロス」及び第28類「おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
(1)株式会社ヴィジットの発売に係る商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」について
ア 被請求人は、平成6年頃、株式会社ヴィジット(以下「ヴィジット社」という。)に対して、家庭用テレビゲームおもちゃであるスーパーファミコン用ソフトについて、通常使用権者として本件商標を使用することを許諾した旨主張するが、被請求人とヴィジット社との関係を立証する証拠は何ら提出されておらず、両者の法律関係が明らかにされていない。
イ 被請求人は、上記アにいうソフトが現在に至るまで市場において流通しており、広告されている旨主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているが、提出に係る各号証は、いずれもインターネットのホームページを紙出力したものであるところ、その出力日は、本件商標の審判の請求の予告登録日後であり、また、それらの内容について見ても、出品者が所有する主に「中古品」をネット上に展示し、希望購買者との間を仲介する役務である、いわゆる「通販サイト」又は「オンラインショップ」に係るものであって、それらにおける「アップルシード」の記載や包装形態の表示は、通常の「広告」として記載・掲載されたものではなく、出品商品を特定したにすぎないこと明らかであり、被請求人又はその使用権者が行った「広告」とは異なるものである。
(2)株式会社セガの発売に係る商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」について
ア 被請求人は、通常使用権者である株式会社セガ(以下「セガ社」という。)が、要証期間内である平成19年(2007年)10月31日に、インターネット上のウェブサイトで、「家庭用テレビゲームおもちゃ」について本件商標を使用した旨主張し、乙第4号証ないし乙第9号証を提出しているが、乙第4号証及び乙第5号証からは、被請求人が、ミコット・エンド・バサラ株式会社(以下「ミコット社」という。)に対して、第三者に対する再使用許諾する権利を認める7年間の通常使用権契約を許諾したこと及びミコット社が、セガ社に対して、本件商標を使用することを許諾する旨の契約を平成16年(2004年)3月31日にしたことがうかがえるにすぎず、これらから、ミコット社による本件商標に関する直接の使用は何ら見当たらず、また、後者の契約についても、契約期間に関する条文が塗りつぶされているため、セガ社が3年半後においても通常使用権者であったかを確認することができない。
イ 被請求人は、乙第7号証をもって、平成19年(2007年)10月31日に、本件商標の使用に係る広告を電磁的方法で提供した旨主張するが、同号証に表示された日付は、アーカイブ業社が、アーカイブにアップロードした日付であって、該業社がいつ頃同社のデータに取り込んだものか明確でなく、セガ社が何時掲載したのか、また、何時まで掲載していたのかを確認できない。
そして、上記のような日付は、ダウンロード後、自己のコンピュータで書き換えが可能なことは周知の事実でもある。
また、同号証の記事中に要証期間前の「発売日 2007年2月15日」の日付も見当たるが、その他に「2007年公開予定の『EX MACHINA』との連動要素も」、「※仕様は予告なく変更になる場合があります。」等の記載も存在するため、何時掲載されたのか特定できないものの、同発売日以前にインターネット上のウェブサイトに予告として掲載された可能性が強く、さらには、現実に発売されたか否かでさえ何ら立証されていない。
4 口頭審理における陳述
(1)被請求人は、2007年(平成19年)7月28日から2010年(平成22年)7月27日の3年間に本件商標を使用した事実を証明するとして、乙第1号証ないし乙第3号証、乙第7号証及び乙第9号証を提出している。
(2)乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも中古品販売業者のインターネット通信販売サイトであり、「ROMカセット」を販売するに当たり、いかなる商品であるか、1994年当時の商品を特定するために「アップルシード」の名称が使用されているにすぎず、これを掲示した行為者は、中古品販売業者であり、被請求人又はその使用権者が行った「広告」とは異なるものである。
(3)また、乙第7号証及び乙第9号証の「アーカイブ」の掲載された日が2007年(平成19年)10月31日で、要証期間内のものと主張するが、同日付は、アーカイブ開設業社(ブリュースター・ケール社・乙第8号証)が勝手に掲示したにすぎないものである。
同各号証の取り込まれたサイト自体には、「発売日 2007年2月15日」と記載されており、また、「使用は予告なく変更になる場合があります」の記載もあり、どの程度前の時期に行われた予告広告か特定できないが、少なくとも要証期間前の2007年2月15日以前の予告広告であることは明らかである。
上記のような広告が商標法第2条第3項第8号の「広告」に該当するには、商品自体が発売されて初めて使用がさかのぼって認められると考慮すべきであり、その立証なしに、単なる不使用取消審判対策のような予告行為のみが現実の使用と認められるはずはない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した乙各号証は、商標権者又はその使用権者が本件商標を「使用」していた証拠とはなり得ないから、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品のいずれについても本件商標を使用しているとはいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び口頭審理における陳述において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人ないし通常使用権者ヴィジット社による商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」についての本件商標の使用について
ア 被請求人は、平成6年頃、ヴィジット社に対して、「家庭用テレビゲームおもちゃ」であるスーパーファミコン用ソフトについて、本件商標を使用することを許諾した。
通常使用権者であるヴィジット社は、平成6年8月26日頃、スーパーファミコン用ソフト「アップルシード」を発売し、その後、該ソフトは、現在に至るまで、市場において流通しており、広告されている(甲第1号証ないし甲第3号証)。
ウ したがって、被請求人ないし被請求人から許諾を受けた通常使用権者は、本件商標を本件審判の請求の予告登録の日より3年以前までの間、「家庭用テレビゲームおもちゃ」の商品を表す商標として使用してきた。
(2)通常使用権者セガ社による商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」についての本件商標の使用について
ア 被請求人は、平成16年2月2日、ミコット社に対し、期間を7年として、本件商標についての通常使用権及び第三者に対して再使用許諾する権利を許諾した(乙第4号証、第1条)。
イ ミコット社は、セガ社に対し、平成16年(2004年)3月31日、本件商標をプレイステーション2用ゲームソフトウェアについて使用することを許諾した(乙第5号証及び乙第6号証)。
ウ セガ社は、要証期間内である平成19年(2007年)10月31日に、インターネット上のウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)にて、家庭用テレビゲームおもちゃに関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した(乙第7号証)。
なお、乙第7号証のウェブサイト「waybackmachine」は、過去のウェブサイトの状態を保存しているアーカイブであり、海外では、裁判上も証拠力を認められている(乙第8号証)。
乙第7号証は、waybackmachine内のウェブサイト(http://web.archive.org/web/20071031105821/http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)を印刷したものである。その冒頭部分の「10 31 2007」の数字及び、インターネットアドレス内の「20071031」の数字は、2007年(平成19年)10月31日のセガ社のウェブサイトを保存したものであることを示している。
エ セガ社は、要証期間内である平成19年(2007年)10月15日に、インターネット上のウェブサイト(http://appleseed.sega.jp/product/)にて、家庭用テレビゲームおもちゃに関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した(乙第9号証)。
乙第9号証は、waybackmachine内のウェブサイト(http://web.archive.org/web/20071015041321/http://appleseed.sega.jp/product/)を印刷したものである。その冒頭部分の「10 15 2007」の数字及び、インターネットアドレス内の「20071015」の数字は、2007年(平成19年)10月31日のセガ社のウェブサイトを保存したものであることを示している。
オ 乙第10号証のミコット社・セガ社間のライセンス契約書の第17条2項によれば、本契約製品の製造販売期間は、販売開始日から2年間とされている。そして、本契約製品であるプレイステーション2用ゲームソフトウェアの販売開始日は、乙第7号証の2頁及び乙第9号証の記載から明らかなとおり、2007年2月15日である。よって、少なくともその2年後の2009年2月15日までは、セガ社は、本件商標の通常使用権者であったといえる。
したがって、セガ社が、要証期間内である平成19年(2007年)10月31日に、インターネット上のウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)にて、及び、平成19年(2007年)10月15日に、インターネット上のウェブサイト(http://appleseed.sega.jp/product/)にて、本件審判の請求に係る指定商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」について、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)した時点において、本件商標の通常使用権者であったといえる。
2 口頭審理における陳述
(1)請求人は、被請求人がウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)にて本件商標を使用した日が10月31日であることは、乙第7号証では立証が不十分であるとする。
しかしながら、本件商標の通常使用権者であるセガ社は、要証期間内である平成19年(2007年)10月31日に、インターネット上のウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)にて、及び、平成19年(2007年)10月15日に、インターネット上のウェブサイト(http://appleseed.sega.jp/product/)にて、本件審判の請求に係る指定商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」について、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)した。
乙第8号証のとおり、乙第7号証のウェブサイト「waybackmachine」は、過去のウェブサイトの状態を第三者が保存したアーカイブであるから、セガ社のウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)が、平成19年(2007年)10月31日に、外部から閲覧可能であったことは、乙第7号証から明らかである。
(2)請求人は、被請求人がウェブサイト(http://www.sega.jp/ps2/appleseed/)に本件商標を使用した広告をアップロードした日を特定して主張立証すべきであるとする。
しかしながら、乙第7号証(及び乙第9号証)によって被請求人が主張する商標の使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」である。
ここで、商標法第50条第2項本文により、不使用取消審判の被請求人である商標権者が主張立証すべき事実は、審判の請求の登録前3年以内に、審判請求に係る指定商品等について、登録商標を一度でも使用した事実で足りる。
したがって、本件において被請求人が主張立証すべき事実は、乙第7号証(及び乙第9号証)等の少なくとも一時点において、本件商標を指定商品について広告として使用していた事実であって、その使用行為の開始時期を主張立証する必要はないものと考える。
(3)請求人は、被請求人が乙第7号証に記載の本件商標を使用したプレイステーション2用ゲームソフトウェアが実際に発売されたのか否かについて主張立証すべきであるとする。
しかしながら、乙第7号証に記載の本件商標を使用したプレイステーション2用ゲームソフトウェアは、2007年2月に発売されたものであり、その証拠としては、乙第7号証で十分であるものと考える。
(4)請求人は、乙第1号証の商品が中古品であるため、商品についての使用には当たらないとする。
しかしながら、商標法第50条にいう使用において、商品が中古品であるか新品であるかを区別する規定はなく、仮に商品が中古品であっても商標の使用に当たる。
また、仮に中古品であるか新品であるかが問題になるとしても、(i)乙第1号証の販売価格は定価であること(乙第2号証に定価が記載されている。)、(ii)出品者が個人ではなく業者であること、(iii)乙第1号証には、「こちらからも買えますよ 14点の新品/中古品を見る」、「中古品13点」との記載があることから、当該アップルシード1点は新品であるといえる。
(5)請求人は、乙第1号証では販売元が@タフコーポレーションと記載されているため、このような小売店による使用は、商標権者等の使用には当たらないとする。
しかしながら、小売店による広告等の使用行為も、第50条の商標権者等の使用に当たるとされている。本件においては、流通過程における広告としての使用は、通常使用権者による使用であるといえる。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第4号証は、平成16年2月2日付けの「覚書」の写しであり、「株式会社東北新社(以下甲という)とミコット・エンド・バサラ株式会社(以下乙という)とは甲所有のアップルシードの商標権に関し、以下の通り本覚書を締結する。」の記載の下、「第1条(許諾内容) 甲は、甲が所有するアップルシードに関連する商標権(商標登録第2099177号を含むがこれに限らない)につき、乙に対しその通常使用権を許諾し、乙が第三者に対して再使用許諾する権利を許諾するものとし、(中略)第3条(期間) 本覚書の契約期間は締結日より7年とする。(後略)」の記載がある。
(2)乙第10号証(乙第5号証の一部について、塗りつぶしをしていないもの。)は、2004年(平成16年)3月31日付けの「商品化権許諾契約書」の写しであり、「ミコット・エンド・バサラ株式会社(以下「ライセンサー」という)と株式会社セガ(以下「セガ」という)とは、以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。」の記載の下、「第1条(定義) 本契約において次の各号に掲げる用語の意義は、次の各号に定めるとおりとする。 一.本件プロパティ・・・ライセンサーが許諾する権利を有する劇場版『APPLESEED』及び次回作『APPLESEED 2』を構成するキャラクター・ストーリー・効果音等全てをいう。 二.本契約商品・・・本件プロパティ(第8条に基づいて修正・改変されたものを含む)を使用及び利用したプレイステーション2用ゲームソフトウェア(詳細は別途書面にて定める)をいう。 三.許諾地域・・・全世界とする。」の記載、「第3条(許諾) 1.ライセンサーは、セガに対し、本契約に定める諸条件で、本契約商品の作成のために本件プロパティを使用及び利用すること並びに本契約商品を製造し、許諾地域において販売することを独占的に許諾する。(後略)」の記載、「第8条(本契約商品の作成及び見本の提出) (前略)6.セガは、本契約商品について、その販売を開始するときは、本契約商品を特定する情報と販売地域・販売開始日についてライセンサーに届け出なければならない。」の記載及び「第17条(契約期間及び製造販売期間) 1.本契約の有効期間は、契約締結日より全ての地域における本契約商品の製造販売期間が終了する日迄とする。 2.本契約商品の製造販売期間は、本契約商品の各販売地域について第8条6項の文書に記載された販売開始日からそれぞれ2年間とする。但し、各販売地域の販売開始日は本契約締結日から2年を超えてはならない。 3.前各項に定める本契約の更新又は製造販売期間の延長については、各期間満了2カ月前迄に両当事者が協議の上決定するものとする。(後略)」の記載がある。
(3)乙第6号証は、2005年(平成17年)12月22日付けの「覚書」の写しであり、「ミコット・エンド・バサラ株式会社(以下「ライセンサー」という)と株式会社セガ(以下「セガ」という)とは、2004年3月31日付けで締結した『商品化許諾契約書』(以下「原契約」という)に関し、以下の通り合意したので本覚書を取り交わす。なお、本覚書に用いた用語の意義は、特段の定めがない限り、原契約に定義されたのと同一の意義を有する。」の記載の下、「第1条(商標権に関する確認) ライセンサーは、本件プロパティに関する商標『APPLESEED(アップルシード)』について、商品分類第9類『家庭用テレビゲームおもちゃ、携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM』の範囲において商標権を有する本契約外株式会社東北新社から2004年2月2日締結済みの覚書にて正当な使用許諾(締結日より7年間有効)を受けていることをセガに対して保証し、これに基づいてセガとの間で原契約を締結していることを確認する。」の記載及び「第2条(条項の不適用) 本件プロパティの根拠となる劇場用映画の制作状況の遅延が原因で、本契約商品の発売時期が確定しないことに鑑み、原契約第17条第2項但し書きは適用しないこととする。」の記載がある。
(4)乙第7号証及び乙第9号証は、いずれも各葉の下端右方に紙出力日を表したものと認められる「2011/05/23」の記載のあるインターネット上のウェブサイトの写しであるところ、該各号証には、各々、以下の記載が認められる。
ア 乙第7号証の上端左方には「waybackmachine」の記載、同じく、中央には「http://www.sega.jp/ps2/appleseed/」の記載、同じく、右方には「10」、「31」及び「2007」の各数字を上から順に縦にしてなる記載があり、かつ、下端左方に該ウェブサイトのURLである「http://web.archive.org/web/20071031105821/http://www.sega.jp/ps2/appleseed/」の記載がある。
該ウェブサイトの内容としては、第1葉の左上方に青色の図案化してなる「SEGA」の欧文字があり、その下方に、「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」の各文字を2段書きにしてなる見出しの下、「士郎正宗氏原作のフルCGアニメ映画『APPLESEED』をゲーム化! 原作ファンにとっては夢だった、士郎正宗氏の伝説の作品の映画が初の3Dアクションゲーム化。特殊チームES.W.A.T.の隊員である二人の主人公、デュナンとブリアレオスになりきって、アップルシードの世界を堪能できる初のソフト。」の記載があり、また、第2葉の「製品情報」の項目中に、「発売日 2007年2月15日」及び「対応機種 プレイステーション2」等の記載がある。
イ 乙第9号証の上端左方には「waybackmachine」の記載、同じく、中央には「http://appleseed.sega.jp/product/」の記載、同じく、右方には「10」、「15」及び「2007」の各数字を上から順に縦にしてなる記載があり、かつ、下端左方に該ウェブサイトのURLである「http://web.archive.org/web/20071015041321/http://appleseed.sega.jp/product/」の記載がある。
該ウェブサイトの内容としては、「製品情報」の見出しの下、「通常版」の項目として、「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」の各文字の2段書き、「発売日 2007年2月15日(木)」及び「対応機種 プレイステーション2」等の記載、「限定版」の項目として、「アップルシード エクス リミテッドボックス」及び「APPLESEED EX LIMITED BOX」の各文字の2段書き、「発売日 2007年2月15日(木)」及び「対応機種 プレイステーション2」等の記載があり、左下方に青色の図案化してなる「SEGA」の欧文字がある。
(5)乙第8号証は、各葉の下端右方に紙出力日を表したものと認められる「2011/05/23」の記載のあるインターネット上のウェブサイトの写しであるところ、その内容は、「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」を用いた「インターネット・アーカイブ」の語の検索結果であり、「インターネット・アーカイブ(Internet Archive)は、Web・マルチメディア資料のアーカイブを運営している団体である。(中略)アーカイブには、『WWWのスナップショット』と呼ばれる、ある時点において収集されたウェブページのコピー(ウェブアーカイブ)や、ソフトウェア・映画・本・録音データ(バンド等の許可によるライブ公演の録音も含む)などがある。(後略)」の記載及び「ウェイバックマシン インターネットアーカイブは、アレクサ・インターネットのデータを元にした『ウェイバックマシン(WaybackMachine)』も運営している。このウェブアーカイブサービスを使えばウェブページのアーカイブ時点の情報を見ることができる。(後略)」の記載があり、同団体のURLとして、「www.archive.org(http://www.archive.org)」の記載がある。
2 以上の認定事実によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)セガ社が通常使用権者であることについて
被請求人は、ミコット社に対し、平成16年2月2日から7年間、本件商標を含む自己の所有に係るアップルシードに関連する商標権について、ミコット社が第三者に対して再使用許諾する権利等を許諾し、また、ミコット社は、セガ社に対し、商標「APPLESEED(アップルシード)」をプレイステーション2用ゲームソフトウェア(以下「本件ゲームソフトウェア」という。)に使用することを許諾した。セガ社による本件ゲームソフトウェアの製造販売期間は、その販売開始日から2年間とされているところ、該ゲームソフトウェアの販売開始日は2007年(平成19年)2月15日であることからすれば、セガ社は、少なくとも2009年(平成21年)2月15日までの間は、本件商標に係る通常使用権者であったということができる。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第7号証及び乙第9号証は、いずれもWeb・マルチメディア資料のアーカイブを運営している団体「インターネット・アーカイブ」が運営する「ウェイバックマシン(Waybackmachine)」と称するサービスを利用したものであるところ、前者は「2007年(平成19年)10月31日」にURLを「http://www.sega.jp/ps2/appleseed/」とするウェブページを、後者は「2007年(平成19年)10月15日」にURLを「http://appleseed.sega.jp/product/」とするウェブページを、各々、該団体がアーカイブしたものと推認される。
イ 乙第7号証及び乙第9号証の内容についてみるに、いずれも発売日を「2007年(平成19年)2月15日」とし「プレイステーション2」を対応機種とする「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」と称する家庭用テレビゲームおもちゃ(ゲーム用プログラム)に関する製品情報であるところ、該各号証には、セガ社が自己の製造、販売に係る商品等について使用する商標として広く知られている青色の図案化してなる「SEGA」の欧文字の表示があることに加え、それぞれに表示されている各URLをも併せ見れば、これらのウェブページは、セガ社が自己の製造、販売に係る上記家庭用テレビゲームおもちゃ(ゲーム用プログラム)に関する製品情報をインターネット上に掲載したものとみて差し支えない。
ウ 上記イに述べたとおり、セガ社の製造、販売に係る家庭用テレビゲームおもちゃ(ゲーム用プログラム)について使用されている商標は、「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」であるところ、該片仮名は、該欧文字の読みを表してなるものと容易に認識され得るものであり、また、「アップルシード」と「エクス」の各文字及び「APPLESEED」と「EX」の各文字の間には、それぞれ1文字程度の間隔が空いていることに加え、乙第7号証に「士郎正宗氏原作のフルCGアニメ映画『APPLESEED』をゲーム化! 原作ファンにとっては夢だった、士郎正宗氏の伝説の作品の映画が初の3Dアクションゲーム化。特殊チームES.W.A.T.の隊員である二人の主人公、デュナンとブリアレオスになりきって、アップルシードの世界を堪能できる初のソフト。」との記載があることをも考慮すれば、該「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」の各商標について、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「アップルシード」及び「APPLESEED」の文字部分からゲーム用プログラム(ソフトウェア)の内容が「APPLESEED(アップルシード)」と称する映画を題材としたものであると認識し、自他商品の識別に当たり、該文字部分に着目する場合も決して少なくないというのが相当である。
そうとすると、該「アップルシード エクス」及び「APPLESEED EX」の各商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を果たす要部は、「アップルシード」及び「APPLESEED」の各文字であって、前者は、本件商標と文字綴りを同じくする同一の商標であり、また、後者は、本件商標と同一の称呼を生ずる「APPLESEED」の欧文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、通常使用権者のセガ社は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「家庭用テレビゲームおもちゃ」について本件商標と同一又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「家庭用テレビゲームおもちゃ」について本件商標の使用をしていたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標の指定商品
第6類「アイゼン,カラビナ,金属製飛び込み台,ハーケン,拍車」
第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」
第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード」
第15類「楽器,演奏補助品,音さ」
第18類「乗馬用具」
第19類「飛び込み台(金属製のものを除く。)」
第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」
第21類「コッフェル」
第22類「ザイル,登山用又はキャンプ用のテント,ウインドサーフィン用セイル」
第24類「ビリヤードクロス」
第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」
第27類「体操用マット」
第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」
第31類「釣り用餌」

審理終結日 2011-11-07 
結審通知日 2011-11-10 
審決日 2011-11-22 
出願番号 商願昭61-110495 
審決分類 T 1 32・ 11- Y (X09202428)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 1988-12-19 
登録番号 商標登録第2099177号(T2099177) 
商標の称呼 アップルシード 
代理人 名越 秀夫 

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