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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない X42
管理番号 1249863 
審判番号 不服2011-7012 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-04 
確定日 2011-12-15 
事件の表示 商願2008-46814拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりからなり,第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成20年6月13日に登録出願されたものである。
そして,指定役務は,原審における平成21年3月26日付けの手続補正書により,第42類「モバイルコンテンツに関する国際規格・ガイドライン等への適合性についての審査・登録・運用監視・証明,ガイドラインに基づくコンテンツの審査・認定・登録・監視またはこれらに関する情報の提供,モバイルコンテンツの運用管理に関するガイドライン等の策定,プログラム・ホームページの設計・作成又は保守,コンピュータネットワークへアクセスする者の認証,インターネットによる検索エンジンの提供,コンピュータウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,認証機能を有するコンピュータプログラムの提供,コンテンツフィルタリング機能を有する電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,インターネットにおける青少年のコミュニケーションを目的としたウェブサイト用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネットにおける青少年のコミュニケーションを目的としたウェブサイトの設計・作成又は保守,気象情報の提供,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において,「本願商標は,その構成中に,多少の図案化を施しているとしても,容易に『EMA』の欧文字を表したと認められるものを有するところ,『EMA』の欧文字は『欧州環境庁』を表示する標章であって,経済産業大臣が指定するもの(平成19年7月19日経済産業省告示第189号)と同一又は類似のものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第3号について
商標法第4条第1項第3号は,「国際連合その他の国際機関を表示する標章であって経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標は,商標登録を受けることができない。」とするものであって,工業所有権の保護に関する国際間の条約であるパリ条約第6条の3(1)(b)の規定の趣旨を受けて設けられたものである。
そして,同条約の規定の目的とするところは,同盟国が加盟している政府間国際機関の紋章,旗章その他の記章,略称及び名称については,これと同一又は類似の標章を工業所有権の保護対象から除外することにより,当該機関の主権を尊重し,その権利と尊厳を維持・確保することにあり,前記法条の規定はこれと同趣旨をもって,一私人に独占させることにより当該国際機関等の尊厳性を害し,公益上支障のあるような標章は,登録しない旨を定めたものと解される。
また,前記のとおり,商標法第4条第1項第3号が,政府間国際機関の主権を尊重し,その権利と尊厳を維持・確保することを趣旨とするものであることからすれば,経済産業大臣が指定した標章である以上,該国際機関の権利・尊厳等が化体している標章であるから,これらと同一又は類似の商標を一私人の私権として独占を許すことは,適切ではないものと解される。
(2)商標法第4条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲のとおりからなるところ,その構成は,青色の色彩を施してややデザイン化されているとしても,欧文字である「EMA」(「M」の文字部分には,小さく赤色の「・」がデザインされている。以下「EMA」という。)を表したものと容易に理解,認識させる文字部分を顕著に表し,その右側に,青色を用いた「Content Evaluation and Monitoring Association」の欧文字と,「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」の文字とを,上下二段の同じ幅内に揃えて書してなるものである。
そうとすると,本願商標に係る構成においては,その構成中,青色の色彩を施すなどして顕著に表された「EMA」の文字部分が,他の文字部分と明らかに異なる外観であることから,独立して着目されるのは容易というべきである。
なお,請求人は,「EMA」の文字部分は「Content Evaluation and Monitoring Association」の欧文字の頭文字を表したものである,商標を構成する欧文字3文字が,その商標の他の構成部分によって,何を意味するか明確な場合に,あえてそれを無視して,これより別の意味が認識されると解すべき合理的な理由は存在しない旨主張するが,頭文字であるならば,「C」「E」「M」「A」部分が大文字表記されていることから,「CEMA」と表すのが自然といえるものであり,そうとすれば,本願商標に接する者が,「EMA」の文字部分を「Content Evaluation and Monitoring Association」の頭文字と直ちに理解し,これらが,常に一体不可分のものとしてのみ認識するとはいい難いものである。
また,本願商標は,「EMA」と,「Content Evaluation and Monitoring Association」の欧文字及び「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」の文字からなるものであるから,その構成文字全体より生ずる称呼は冗長であること明らかであり,そうとすれば,顕著に表された「EMA」の文字部分に着目し,該文字部分から「イイエムエイ」の称呼をも生ずるものと認められる。
そして,本願商標の「EMA」の欧文字部分は,経済産業大臣が「欧州環境庁の標章指定」(平成19年7月19日 経済産業省告示第189号)として,商標法第4条第1項第3号の規定に基づき指定する標章の一である欧州環境庁の略称を表示する標章「EMA」の欧文字と,その綴り字を同じくするものであるから,外観において類似し,それぞれ「イイエムエイ」の称呼を生ずるものであるから,称呼を同一にするものである。
したがって,本願商標は,経済産業大臣が指定した前記標章と,類似の商標と判断するのが相当であるから,商標法第4条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は,請求の理由において,「『EMA』は,『欧州環境庁』のオランダ語表記である『Europees Milieu Agentschap』の頭文字をとったものであるが,わが国においては,オランダ語は一般に全くなじみがなく,ましてやその頭文字語である『EMA』をそのように認識することは現実に不可能である。わが国においては,一般のニュースサイト等において英語標記『European Environment Agency』の頭文字をとった『EEA』の略語で標記していること明らかである。」旨,及び,過去の審決例を挙げ本願商標も登録されるべきである旨主張するが,「EMA」の文字については,商標法第4条第1項第3号の規定に基づき,経済産業大臣が「欧州環境庁の標章指定」(平成19年7月19日 経済産業省告示第189号)として指定する標章の一であること,前記のとおりであって,たとえ,我が国のニュースサイト等においては「EEA」と表示されているとしても,それらの実情をもって,「EMA」の文字が欧州環境庁の略称を表示する標章の一であることを否定することは適切ではない。
そして,本願商標は,その構成態様からして顕著に表された「EMA」の文字部分が着目され得ること前記(2)のとおりであって,たとえ,本願商標に係る構成においては,「EMA」の欧文字部分から「欧州環境庁」の意味合いを理解,認識させないとしても,経済産業大臣が指定した標章「EMA」と外観において類似し,同一の称呼を生ずる類似の商標である以上,一私人の私権として独占を許すことは適切ではなく,請求人の主張は採用することができない。
また,過去の審決例等は具体的,個別的な判断が示されているものであって,本願商標が登録されるべきか否かも,過去の判断等の一部の判断に拘束されることなく,個別,具体的に検討されるべきものであり,本願商標については,前述のとおり判断するものであるから,係る請求人の主張も採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標を商標法第4条第1項第3号に該当するとした原査定は,妥当であって,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 <本願商標> 色彩は、原本を参照されたい。





審理終結日 2011-10-14 
結審通知日 2011-10-18 
審決日 2011-10-31 
出願番号 商願2008-46814(T2008-46814) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (X42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子半田 正人 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田中 亨子
瀬戸 俊晶
商標の称呼 イイエムエイ、エマ、コンテントエバリュエーションアンドモニタリングアソシエーション、コンテントエバリュエーションアンドモニタリング、モバイルコンテンツシンサウンヨーカンシキコー、モバイルコンテンツシンサウンヨーカンシ 
代理人 森下 賢樹 
代理人 高橋 菜穂恵 
代理人 村田 雄祐 

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