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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1249851 
審判番号 取消2010-301201 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-11-09 
確定日 2011-12-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5054673号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第5054673号商標(以下「本件商標」という。)は,「RAW+」及び「ロゥプラス」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成18年11月9日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,平成19年6月15日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成22年11月30日である。

2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定商品について,過去3年以上にわたって,我が国において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しない。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は,株式会社セックエス(以下「使用権者」という。)に対し本件商標の使用権を許諾し,本件商標がその指定商品について使用されたと各乙号証を示して主張している。しかし,いずれの証拠も本件商標がその指定商品について過去3年以内に日本国内において使用されたことを証明するものとはいえない。
ア 本件商標の使用について
本件商標は,上段に「RAW+」,下段に「ロゥプラス」の文字を二段に書してなり,下段の「ロゥプラス」は上段の「RAW+」の読みを表したものと容易に認識することができるから,本件商標からは「ロゥプラス」の称呼のみが生ずる。本件商標をその指定商品について使用したというためには,商標権者又はその使用権者によって,本件商標と同一の構成よりなる商標の使用がされたか,又は,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用がされたことが要求される。
イ 使用権者による使用実績について
(ア)乙第2号証及び乙第3号証の3
乙第2号証のスペディーレ宛の加工依頼書には,上部に「Raw+量産加工依頼書」の文字が記載されており,乙第3号証の3の三共生興(三共生興アパレルファッション株式会社,以下「三共生興」という。)宛の依頼書にも,上部に「Raw+サンプル加工依頼書」の文字が記載されている。しかし,加工依頼書は商品の製造を発注するものであるから,当該商品又は商品の包装に本件商標が付されたことを証明するものとはいえない。加えて,乙第2号証及び乙第3号証の3は,実際にどのような標章が当該商品に付されたかを明らかにしていない。
(イ)乙第3号証の4
乙第3号証の4は,「RAW+春物のご案内」を件名とするメールの写しであり,文中には「Raw+」の日本展示会の文字が太文字で記載され,その開催日程が記載されているが,本メールは「徳永様」個人宛に送られた私信にすぎないから,本件商標が指定商品について使用されたことを証明するものとはいえない。なお,件名は「RAW+春物のご案内」であるのに,添付ファイル名は「2011SS RAWTUS1」及び「2011SS RAWTUS2」となっている。
(ウ)乙第4号証,乙第5号証の1及び乙第5号証の2
乙第4号証は,「Rawtus Raw+ 2010-2011 autumn & winter Exhibition」の表題の付いたファッション関連の展示会の案内状と思われるが,商品についての情報は一切添付されておらず,本件商標の指定商品についての展示会であるかどうか,実際に開催されたものであるのかは,明らかにされていない。
乙第5号証の1は,1頁目は「Raw+」の文字が大きく上部に筆記体で表され,下部に「2011 spring & summer collection」の文字が示されている。2頁目には,上部に日立つように1枚目と同じ字体で「Raw+」の文字を左側に,「Rawtus」の文字を右側に表示し,その中央には縦線が引かれている。3頁目はモデルの写真となっており,被請求人が言及する挨拶文の記載はない。送付先リスト(乙第5号証の3)及びメール便返品の写し(乙第5号証の4)が証拠として提出されているが,メール便の内容物が証明されていないことから,実際に乙第5号証の1の案内状が送付されたことを証明するものとはいえない。
加えて,乙第4号証及び乙第5号証の1に表されている「Raw+」の文字は,「RAW+」と「ロゥプラス」の文字を二段に書してなる本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないから,乙第4号証及び乙第5号証の1は本件商標の使用を証明するものとはいえない。
乙第5号証の2は,上記の展示会で配布されたオーダーシートとされているが,各商品は品番で表示されるのみで本件商標の表示はないから,本件商標が使用されたことを証明するものとはいえない。
(エ)乙第6号証の1ないし6
乙第6号証の1に示す商品写真(下げ札付き)は,撮影者,撮影場所,撮影日時が明らかにされていないため,証拠力に欠ける。また,下げ札には「Raw+」の文字しか表されていないため,本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
乙第6号証の2ないし6は,「Raw+」の下げ札が東京吉岡株式会社によって製造されたことを証明するにすぎず,本件商標がその指定商品について使用されたことを証明するものではない。
(オ)乙第7号証
乙第7号証の陳述書のうち,株式会社スペディーレは,乙第2号証に記載のメーカー名と社名が同じであることから,使用権者の商品の製造請負業者であると思われる。ラグレシアス株式会社及び有限会社ブレストコーポレーションについては,その事業内容及び使用権者との関係が明らかにされていないが,乙第7号証に示されているのは,製造業者を含むたった3社の陳述書にすぎないから,業界関係者の間で「Raw+」が「ロゥプラス」の称呼で認知されているとまで到底いうことはできない。
ウ 「Raw+」の称呼について
本件商標は,上段に「RAW+」,下段に「ロゥプラス」の文字を二段に書してなるところ,各乙号証には「Raw+」の欧文字しか表示されていない。被請求人は,「Raw+」の外観から連想される称呼が「ロウ・プラス」であることは明らかであると主張するが,被請求人が提出した証拠を鑑みれば,「Raw+」の文字からは「ロウ・プラス」ではなく「ロウタス」の称呼が生ずるものと考えられる。例えば,乙第3号証の4では,件名が「RAW+春物のご案内」であるのに,添付ファイル名は「2011SS RAWTUS1」及び「2011SS RAWTUS2」となっており,「2011SS」の文字が「2011spring&summer」の略と理解されるから,「RAW+」ブランドの展示会の資料に「RAWTUS」の文字が題名に使用されていることになる。また,Raw+春夏展示会の案内状(乙第5号証の1)には,表紙に「Raw+」の文字が大きく表示され,2頁目の上部に「Raw+」,「Rawtus」の文字が併記されている。Raw+秋冬展示会の案内状(乙第4号証)においても「Rawtus」及び「Raw+」の文字が併記されている。「Raw+」と「Rawtus」が別ブランドであるならば,「Raw+」の展示会の案内状に「Rawtus」の文字が併記されることは極めて不自然である。これらの被請求人の提出する証拠に基づけば,「Raw+」と「Rawtus」が別ブランドとは考えにくく,「Raw+」の文字は「Rawtus」を略して表したものであり,「ロウタス」の称呼が生ずるものと考えられる。
乙第5号証の2に示される商品から使用権者の顧客層は10代から20代の若者が中心と考えられるが,若者世代において,「KY」(空気を読めよ,の意味)に代表される頭文字略語が流行したこと(甲第1号証),また,アパレル業界においては「Socks」(靴下)の表示に「SOX」の文字が普通に使用されていることが特許庁の審判で認定されている(甲第2号証)。かかる顧客世代の流行やアパレル業界における取引の実情を鑑みれば,「Rawtus」の文字の「tus」の部分を工夫して「+」に変更し,「Raw+」の文字を「ロウタス」と称呼することは,需要者・取引者に受け入れられやすく十分にあり得ることと考えられる。被請求人も「ロウ・タス」と読むことが考えられなくはないと認めている。
以上より,使用権者の提出する証拠を鑑みれば,「Raw+」の文字からは展示会案内状に併記されている「Rawtus」の文字に従い,「ロウタス」の称呼が生ずると考えられる。
エ 結論
各乙号証には「Raw+」の文字しか表されていないから,本件商標とは外観が全く異なるものである。称呼についても,使用権者の提出した証拠を鑑みれば「ロウタス」の称呼が生ずると考えられるから,本件商標から生ずる「ロゥプラス」の称呼とは異なるものである。よって,「Raw+」の文字は本件商標と社会通念上同一の商標には該当しないから,商標権者またはその使用権者が,本件商標をその指定商品について審判請求登録の日から3年以内に日本国内で使用したことが証明されていないことは明らかである。

3 被請求人の答弁
被請求人は,結論と同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標の使用実績について
本件商標は,以下の事実により,少なくとも本件審判請求の請求登録前3年以内に,本件商標の指定商品について使用実績のある商標であり,商標法第50条第1項による審判により取り消されるべきではない。
ア 本件商標の使用許諾
本件商標の権利者である株式会社アイランズインクは,平成20年5月1日付け商標使用貸与契約(乙第1号証)に基づき,使用権者に対し,本件商標の使用権を許諾している。
以下,使用権者による使用実績を列挙する。
イ 使用権者による本件商標の使用実績
使用権者は,本件使用許諾契約に基づき,遅くとも本件使用許諾契約の締結日である平成20年5月1日以降,本件商標を付した各種の被服,靴などの本件商標の指定商品に係るいわゆるアパレル製品(以下「本件商品」という。)についてのトータルデザインブランド事業を開始し,かかる商品の企画・デザインから製造・販売までを手掛けている。
(ア)本件商品の製造
使用権者は,本件商標を付した商品を日本国内で製造している。例えば,使用権者は,(a)株式会社スペディーレ(東京都渋谷区千駄ヶ谷在)に対し,2008年12月24日付けの「Raw+量産加工依頼書」(乙第2号証)に基づいてフライトブルゾンの製造を委託し,2009年2月に予定通り納品されているし,(b)キップス株式会社(東京都墨田区立川在,以下「キップス」という。)経由三共生興(東京都港区麻布台在)に対し,展示会向けのレザーウェア製品の委託生産を行っている。キップスの使用権者宛2010年9月10日納品書に記載の品番と,三共生興のキップス宛2010年9月6日付け出庫通知書に記載の品番は共に同一であり,これは,使用権者が三共生興宛に交付した「Raw+サンプル加工依頼書」とも品番が一致する。なお,当該「Raw+サンプル加工依頼書」には,原産国欄に「韓国製」との表示がなされているが,これは,レザーウェア製品については,縫製を韓国で行ったものを日本で洗い,しわ加工を行ったものであり,またジャージー製品(メリヤス製品,ニット製品)については,韓国でパーツ縫製し,日本で接ぐため,これらの商品はいずれも日本製である。このことは,2010年9月15日付けにて商標権者が取引先に対して送信した電子メールにて,当該商品を正式発注する場合の製造工程についての説明がなされていることから明らかであるが,サンプル品も同様の方法で製造されたものである(乙第3号証の1ないし4)。
このことから,少なくとも,2010年9月頃において,使用権者は,日本国内において本件商品を製造しているが,当該行為は,商標法第2条第3項第1号に定める「商品又は商品の包装に標章を付する行為」であり,日本国内における「商標の使用」に該当する。
(イ)本件商品の展示及び販売
本件商品については展示会が日本で開催されている。具体的には,2010年5月12日及び13日の間に使用権者の事務所内スペースである「Rawtus Showroom」(東京都渋谷区宇田川町)において開催された2010年秋冬物の展示会(以下「2010年秋冬展示会」という。乙第4号証)及び2010年10月12日ないし15日及び18日ないし21日の間に同上の「Rawtus Showroom」において開催された2011年春夏物展示会(以下「2011年春夏展示会」という。乙第5号証の1ないし4)において,それぞれ本件商品が展示されている。
なお,2011年春夏展示会が実際に開催されたことは,たまたま転居先不明により返送されてきたメール便返品の日付が「20101003」となっていることから,2010年10月3日頃2011年春夏展示会の案内が発送されたことは明らかである。
次に,当該案内状は配布先リストによれば400通以上配布されている。また,2011年春夏展示会の案内書には開催日に○印が付けられていることからその開催日が明らかである。さらに,案内書中の挨拶文の冒頭には,「私達は現在『Rawtus/ロゥタス・Raw+/ロゥプラス』というブランドを展開しております。…(中略)…私達が得意とするものはレザーウェアとカットソーアイテムである。」と本件商標が使用されている旨が示され,その対象が本件商標の指定商品である被服であることを示されている。
そして,2011年春夏展示会において配布されたオーダーシートには,本件商標が表示され,また,オーダー(販売)の対象が本件商標の指定商品であるレザーウェア,ドレス,ワンピース,パンツ,スカート,シャツ,カットソー等の被服であることが示され,当該商品一つ一つの価格が表示されている。
このような本件商標を付した指定商品を日本国内の展示会において展示する行為及び展示会において本件商品の販売のためにオーダーシートを配布する行為は,商標法第2条第3項第1号,第2号又は第8号に定める「商品又は商品の包装に標章を付する行為」であり,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示する行為」であり,又は「商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布する行為」であるから,日本国内における「商標の使用」に該当する。
(ウ)本件商品の販売
使用権者は,本件商品を販売するに当たり,本件商標を記載した下げ札を付して販売しているが,この下げ札の製造を被服向け下げ札製造業者である東京吉岡株式会社に対して発注し,これに対する東京吉岡からの回答が,平成19年3月15日付け東京吉岡からの「御見積書」である(乙第6号証の1ないし6)。
本件商品に本件商標を記載した下げ札を付して販売する行為は,商標法第3条2項第1号又は第2号に定める「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡す行為」であり,日本国内における「商標の使用」に該当する。
このように,本件商標は,本件商標に係る指定商品に関して,少なくとも本件審判請求の請求登録前3年以内に,日本国内において使用されていることは明らかである。
ウ 本件商標の称呼について
本件商標は,「Raw+」という外観と,「ロゥプラス」という称呼が組み合わされている商標である。この点,商標法第50条第1項における登録商標とは,同条同項括弧書きにより,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」を含むと定められている。
このことから,「Raw+」だけの使用であっても,本件商標の使用に該当すると考えるのが妥当である。
すなわち,ローマ字で「Raw」とあれば,その後に続く「+」は通常は「プラス」と称呼するのが一般的と思われる。
このことは「Raw+」の外観から連想される称呼が,そのアルファペット読みである「ロウ・プラス」であることは明らかであることからも妥当な結論である。
あえて工夫をした読み方をするとすれば,本件商標を「Raw」と「+」の二つに分け,「Raw」はそのまま英語読みで「ロウ」と読み,「+」を日本語読みの「足す」と読んで,これを組みわせて「ロウ・タス」と読むことが考えられないでもないが,非常に工夫をした読み方であり,自然な読み方とはいえない。
実際にも,本件商標が使用されるアパレル業界においては,商標権者ないし使用権者が展開している事業ないしブランドが「ロゥタス」と「ロゥプラス」の2つがあり,後者について「Raw+」が「ロウ・プラス」の称呼で認識されていたことは業界関係者の証言により明らかである(乙第7号証)。
(2)結論
上記(1)の事実により,本件商標は少なくとも過去3年の間に使用されており,商標法第50条第1項による審判により取り消されるべき登録商標には該当しない。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば,以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は,平成20年5月1日付けの「商標貸与使用契約書」であり,被請求人と使用権者との間で,商標貸与使用契約を締結する旨,その契約条項中で,被請求人の保有する「Raw+/ロゥプラス」商標の使用を使用権者に許諾する旨が約され,その使用期間は契約の締結日から10年とされた。これと被請求人の主張を併せみれば,使用権者は,本件商標について使用を許諾された者(通常使用権者)と認められる。
イ 乙第3号証の1の1葉目は,キップスから使用権者(渋谷区宇田川町37-10 麻仁ビル301)に宛てた,2010年9月10日付けの「納品書」及び「物品受領書」であり,「品番・品名」の欄には,「V66227 RJK-1023 フランステン」,「数量」の欄には,「1.00」との記載がある。2葉目は,同じく,2010年9月10日付けの「納品書」及び「物品受領書」であり,「品番・品名」の欄には,「V66227 3 RJK-1024 フランステン」,「数量」の欄には,「2.00」との記載がある。
ウ 乙第3号証の3は,使用権者から三共生興に宛てた「Raw+サンプル加工依頼書」であり,その1葉目には,「品名」に「ギャザースリーブカーデ」,「品番」に「R11-JR8001」,「パターン型番」に「RJK-1023」,「サンプル数」に「1」との記載がある。その2葉目には,「品名」に「4ポケットショートブルゾン」,「品番」に「R11-JR8005」,「パターン型番」に「RJK-1024」,「サンプル数」に「2」との記載がある。また,それぞれ「依頼書作成日」は「7/20」,「納期」は「8/20」,欄外に使用権者(渋谷区宇田川町37-10 麻仁ビル渋谷301)の記載がある。
これらの対象品は,記号「RJK-1023」あるいは「RJK-1024」の製品であり,乙第3号証の1及び3並びに被請求人の主張よりすれば,使用権者から三共生興にサンプル製品の加工依頼がなされ,2010年9月10日付けの「納品書」及び「物品受領書」により,キップスを介して使用権者に納品されたものと認められる。
エ 乙第4号証は,2010年秋冬物の展示会の案内状とするもので,「Rawtus Raw+」「2010-2011」「autumn & winter」「Exhibition」との記載,「Date and time」「5.12.13」「11:00?18:00」との記載,そして,そのやや下には,メールアドレスが「shimazaki@secs.jp」と記載され,さらに右下には,「渋谷区宇田川町37-10 麻仁ビル渋谷#301)との記載がある。
上記住所は,乙第3号証の1及び3に記載された使用権者の住所と一致するものである。
オ 乙第5号証の1は,2011年春夏もの展示会に案内状とするもので,1葉目の上部中央に,筆記体で「Raw+」の表示があり,最下段に「2011spring & summer collection」との表示がある。
また,2葉目の上部に,筆記体で「Raw+」の表示があり,2010年10月のカレンダーが表示され,同月12日ないし15日及び18日ないし21日が丸囲みで示されている。
そして,最下段の「E-mail:shimazaki@secs.jp」との記載は,前記エのアドレスと一致するものであるから,該案内状は,使用権者によるものと認められる。
カ 乙第5号証の2は,2011年春夏展示会において配布されたとする販売用オーダーシートであり,1葉目の右列,3段目には,商品写真及び「¥39,000(¥40,950)」の記載,「R11-JR8001」「GATHERED SHOULDER LEATHER JAKET」の記載,欄の右下には「RJK-1023」の記号が表示されている。
また,3葉目の右列,2段目には,商品写真及び「¥43,000(¥45,150)」の記載,「STRETCH JERSEY COMBO 4POCKETS LEATHER CARDIGAN」,欄の右下には「RJK-1024」の記号が表示されている。
当該記号は,上記イのサンプル製品の「品番・品名」及びウの「パターン型番」に記載された記号と一致するものである。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,「株式会社セックエス」は,本件商標の通常使用権者と認められ,使用権者は,展示会の開催に先立ち,展示会用の商品「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」のサンプル加工依頼において「RAW+」を使用したこと,また,上記商品は,三共興産が生産し,使用権者に納品されたものと認められる。
また,使用権者は,本件審判の請求の登録(平成22年11月30日)前3年以内である,2010年(平成22年)10月12日ないし15日及び18日ないし21日に開催した「2011spring & summer collection」の案内に「Raw+」(筆記体)を表示し,展示会において,商品「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」を掲載した商品販売のためのオーダーシートを配布したものと認められる。
上記オーダーシートの「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」を掲載した欄に記載された記号は,「RAW+サンプル加工依頼書」により,三共興産が生産し,使用権者に納品された商品に付された記号と同一であることから,商品「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」に「Raw+」が使用されたものと認められるものである。
上記使用権者の行為は,商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務の関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布」する行為に該当するものと認めることができる。
そして,使用商品「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」は,本件請求に係る指定商品に含まれる商品である。
(3)使用商標について
上記(1)に示された使用に係る標章は,「RAW+」若しくは筆記体による「Raw+」(以下,これらをまとめて「使用商標」という。)であるところ,使用商標の構成文字中,「RAW」又は「Raw」の文字部分は,「加工していない,原料のままの」等の意味を有する英語(プログレッシブ英和中辞典 小学館)であり,「+」部分は,「プラス【plus】加えること。足すこと。〔数〕加号又は正の数の符号。すなわち『+』。」(広辞苑第六版)であることからすれば,それぞれ英語読みに倣い,使用商標よりは,「ロウプラス」の称呼を生ずるとみるのが自然である。
本件商標は,「RAW+」及び「ロゥプラス」の文字を上下二段に横書きしてなるものであり,「ロゥプラス」の片仮名は,2文字目の「ゥ」をやや小さく表しているとしても,上段に書された「RAW+」の読みを表したものと容易に理解させるものである。
そうとすれば,使用商標は,本件商標の構成中,「RAW+」部分と同じ綴りを表したものであり,かつ,本件商標と称呼を同一にするものであるから,片仮名部分を欠くとしても,本件商標と観念上の変動を伴うものではない。
したがって,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(4)まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が請求に係る指定商品に含まれる「ギャザーカーディガン」及び「4ポケットショートブルゾン」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
(5)請求人の主張について
請求人は,使用商標からは,展示会案内状に併記されている「Rawtus」の文字により「ロウタス」の称呼が生ずる,「Rawtus」の文字の「tus」の部分を工夫して「+」に変更し,「Rawtus」を略して「Raw+」と表したものであり,「Raw+」の文字を「ロウタス」と称呼することは,需要者・取引者に受け入れられやすく十分にあり得ることから,本件商標と外観上も相違する「Raw+」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない旨主張している。
しかしながら,本件商標は,前記1のとおり,「RAW+」と「ロゥプラス」の文字を二段に表されたものであり,他方,使用商標は,「RAW+」若しくは筆記体による「Raw+」である。
そして,使用商標は,前記(3)に記載のとおり,英語読みに倣い,「ロウプラス」の称呼を生ずるとみるのが自然である。
また,「ロウタス」が標章「Rawtus」の自然な称呼であること,「Rawtus」が「Raw+」と「/」を介して横一連に併記されているとしても,被請求人提出の証拠にあって,常に「Rawtus」と「Raw+」が併記されているものではなく,他に,「Rawtus」の「tus」部分を「+」に置き換えたり,「Rawtus」が「Raw+」の称呼を欧文字で表記したものとみるべき証左は見いだせない。
そうとすれば,使用商標は,本件商標の称呼を特定した片仮名部分を欠くものであるとしても,本件商標の有する識別性に影響を与えない範囲内での社会通念上普通に行われる変更使用とみるのが相当であるから,本件商標と社会通念上同一の商標であると認めるのが妥当である。
(6)むすび
以上のとおりであるから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-07-12 
結審通知日 2011-07-21 
審決日 2011-08-03 
出願番号 商願2006-104011(T2006-104011) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 信彦 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 末武 久佳
田中 亨子
登録日 2007-06-15 
登録番号 商標登録第5054673号(T5054673) 
商標の称呼 ロウプラス、ロープラス、ロー、アアルエイダブリュウ 
代理人 小笠原 史朗 
代理人 石川 達久 
代理人 市原 俊一 
代理人 小笠原 史朗 
代理人 石川 達久 

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