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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3543
管理番号 1248197 
異議申立番号 異議2011-900185 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-23 
確定日 2011-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5392044号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5392044号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5392044号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年9月17日に登録出願、別掲2のとおりの役務を指定役務として、同年12月24日に登録査定され、同23年2月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)引用商標
ア 登録第4660340号商標(以下「引用商標1」という。)は、「うちのごはん」の平仮名を書してなり、平成13年8月16日に登録出願、別掲3のとおりの商品を指定商品として、同15年4月4日に設定登録されたものである。
イ 登録第4660341号商標(以下「引用商標2」という。)は、「うちのごはん」の平仮名を書してなり、平成13年8月16日に登録出願、別掲4のとおりの商品を指定商品として、同15年4月4日に設定登録されたものである。
ウ 登録第5011929号商標(以下「引用商標3」という。)は、「うちのごはん」の平仮名を標準文字で表してなり、平成18年4月20日に登録出願、別掲5のとおりの商品を指定商品として、同年12月15日に設定登録されたものである。
以下、これらの商標をまとめていうときは、「引用商標」という。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、本件商標の登録出願時において、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の商標として需要者の間に広く認識されているから、「ウチノゴハン」の称呼、及び、「自分の家のごはん」等の観念を共通にする引用商標と類似する本件商標が、その指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、別掲1のとおり、薄茶色で表された雲のような吹き出しの中に「うちの」と「ごはん.jp」(「ご」の文字の濁点は、四稜星になっている。)の文字とを二段に横書きし、該文字の周りにオレンジ色で表された7つの四稜星を配した構成からなるところ、全体として外観上まとまりよく表されているものである。
そして、本件商標のかかる構成から生ずる「ウチノゴハンドットジェイピイ」の称呼は、やや冗長であるとしても一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、その構成中の「.jp」の文字から、インターネットのウェブサイトのタイトルやドメイン名に関連するものであることを想起するとしても、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ウチノゴハンドットジェイピイ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。
一方、引用商標は、「うちのごはん」の平仮名を書してなるから、「ウチノゴハン」の称呼及び「自分の家の食事」程の観念を生ずる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その全体の構成における特徴が大きく異なり、受ける印象も著しく相違するというべきであるから、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しない別異の商標といわなければならない。
そうとすれば、本件商標から単に「ウチノゴハン」の称呼及び「自分の家のごはん」等の観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は、見出せない。
(2)引用商標の周知、著名性について
申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されている旨主張し、甲第5号証ないし甲第172号証を提出している。
甲第5号証ないし甲第8号証は、本件商標の登録出願前に発行された、本件商標が紹介された新聞の記事であるところ、甲第5号証には、「2001(平成13)年10月から東京や埼玉のスーパー9店舗で試験販売していた。」旨の記載がある。
甲第10号証ないし甲第87号証は、本件商標の登録出願前に発行された、本件商標が紹介された新聞及び雑誌の記事であるところ、甲第17号証には、「キッコーマンが、体に優しい和風そうざいの素/『うちのごはん』でレトルト市場に進出」の記載がある。
甲第92号証は、「うちのごはん」販売実績一覧であるところ、本件商標の登録出願前及び登録査定前の2009年度において、「うちのごはん」に係る商品の販売数量は、2543万929個であり、その売上高は、31億7080万1479円である。
甲第93号証は、「和風そうざいの素」のメーカー別金額シェア一覧である。
甲第94号証は、テレビコマーシャル画像である。
甲第95号証は、テレビコマーシャル本数一覧である。
甲第96号証は、テレビコマーシャル放映地域、放映本数詳細、GRP値(延べ視聴率)一覧である。
甲第97号証は、「うちのごはん」広告宣伝費、販売促進費一覧であるところ、テレビコマーシャルに係る広告宣伝費用は、本件商標の登録出願前及び登録査定前の2009年度において、2億5870万7000円である。
甲第98号証ないし甲第105号証は、パンフレットである。
甲第106号証ないし甲第115号証は、商品カタログである。
甲第117号証ないし甲第120号証及び甲第143号証ないし甲第150号証は、新聞に掲載された全面広告又は新聞折込チラシである。
甲第123号証、甲第130号証及び甲第131号証は、雑誌に掲載された広告である。
甲第124号証ないし甲第129号証、甲第132号証ないし甲第140号証及び甲第156号証は、商品紹介記事等の雑誌又は新聞に掲載された記事である。
甲第151号証ないし甲第153号証は、申立人のホームページである。
以上の事実を総合すれば、引用商標は、商品「和風そうざいの素」に使用され、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、該商品の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(3)引用商標の独創性について
ア 職権調査による新聞記事情報によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「1993年11月27日付け読売新聞東京朝刊26頁」の見出しには、「うちのごはんよりおいしい? 東京・荒川区の学校給食展示会が開催」の記載がある。
(イ)「1994年5月12日付け北海道新聞朝刊全道7頁」には、「<読者の声>余った食べ物をタイに届けたい」の見出しのもと、「(札幌市南区・6歳)/・・・ぼくのうちのごはんを、はんぶんわけてあげたいな。ちいさいあかちゃんは、かわいそうだな。・・・」の記載がある。
(ウ)「1996.05.16付け毎日新聞地方版/埼玉」には、「[うちの家族]有岡竜哉(蕨市立東小5年)/埼玉」の見出しのもと、「・・・『でも、やっぱりおうちのごはんの方がおいしいよ』と言うと、おばあちゃんはにっこり笑って『ありがとう』と言ってくれます。・・・」の記載がある。
(エ)「2000年4月30日付け朝日新聞東京朝刊41頁日曜版5」には、「食卓の風景 カレー大好きの日々 大森美紀子(気分は大家族)」の見出しのもと、「・・・母の口癖は『うちのごはんが1番おいしいわ』。子供のころは『そんなこと言ってないで、たまにはレストランに連れてって』と思いましたが、今はその言葉が心にしみるようになりました。・・・」の記載がある。
(オ)「2001年1月7日付け東京新聞朝刊18頁くらし面」には、「新刊紹介」の見出しのもと、「◇『うちのごはんが楽しい理由(わけ)』栗原はるみ著(世界文化社 一三〇〇円) ワイン、日本酒、焼酎(しょうちゅう)、中国酒など、酒に合う料理を紹介。材料の組み合わせの妙、意外性にアイデアがあふれる。」の記載がある。
(カ)「2001年7月6日付け朝日新聞名古屋地方版/三重 32頁 三重1」には、「川を汚さずにおいしい給食 伊勢で無洗米試食 /三重」の見出しのもと、「・・・1年生のクラスでは『うちのごはんと変わらない』『おいしい』など、まずまずの評判だった。」の記載がある。
(キ)「2001年9月21日付け高知新聞朝刊 28頁 地域1」には、「『人知れず功績』社会貢献者表彰 自宅に児童自立援助ホーム開設 岡田智、好夫さん夫妻/民間シェルター『青涛の家』代表 武田紀さん」の見出しのもと、「・・・『とにかくうちのごはんを食べよったらえいき』。まじないのようにそう言い続けています・・・」の記載がある。
イ インターネット情報によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「DHCブログ」と題するウェブサイトにおいて、「うちのごはん」「デジタル一眼レフで撮った料理写真と簡単レシピと共に日々の生活を綴ってます。」の記載がある。
(http://www.dhcblog.com/home-cooking/)
(イ)「Life With Ponta」と題するウェブサイトにおいて、「うちのごはん♪」「わがやの夕食。昼食など。タジン鍋を使った料理が最近のヒットです!・・・」「2010年11月17日」「料理レシピ集」の記載があり、料理の写真が掲載されている。
(http://pontato.com/utigohan.html)
(ウ)「うちのごはん」と題するウェブサイトにおいて、「卵と乳製品を使わないうちごはんの日記。あと、週に3日はベジ料理!・・・」の記載がある。
(http://ameblo.jp/mitu-gohan/)
(エ)「ちぃのんぐるめ日記」と題するウェブサイトにおいて、「うちのごはん」「ピエトロのスパドレ?ジェノベーゼ【うちのごはん】」「魚焼きグリルで焼きトウモロコシ【うちのごはん】/只今、我が家のプチブーム」の記載があり、それぞれの写真が掲載されている。
(http://chiinon.blog.so-net.ne.jp/archive/c28698-1)
(オ)「rose cafe」と題するウェブサイトにおいて、「うちのごはん」「今日のごはんは/卵のひき肉チリソース(ほうれん草添え)/かぼちゃの千切りサラダ/オクラのお浸し/もやしと油揚げのお味噌汁/キムチ」の記載があり、料理の写真が掲載されている。
(http://homepage3.nifty.com/fuku-yume/gohan20054.htm)
(カ)「石窯ピッツァ『うちのごはん』」と題するウェブサイトにおいて、「自己紹介/本格石窯ピッツァのお店です。」の記載がある。
(http://blog.goo.ne.jp/syoujyu1961)
ウ 以上の事実を総合すれば、「うちのごはん」の語は、申立人が、東京や埼玉において、引用商標を付した商品の試験販売を開始したとする2001年(平成13年)10月よりも前から、広く一般に使用されている語であるとともに、現在においても、「自分の家のごはん」を紹介する個人のブログなどにおいて、広く一般に使用されている語である。
してみれば、引用商標は、独創性の程度が高い商標ということができない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、別異の商標である。
引用商標は、上記(2)及び(3)のとおり、周知、著名性を有しているとしても、独創性の程度が高い商標ということができない。
本件商標の指定役務と申立人が引用商標を使用する商品「和風そうざいの素」とを比較すると、本件商標の指定役務は、広告代理店等が依頼に基づいて行う役務や、情報を提供する会社又は市場調査会社が、他人の便益のために行う情報の提供又は市場調査であるのに対し、申立人が引用商標を使用する商品は、一般の消費者が主に家庭内で消費する「和風そうざいの素」であるから、本件商標の指定役務と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度は、極めて低いものである。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標

(色彩については原本を参照。)


別掲2 本件商標の指定役務
第35類「広告,ウェブサイト上の広告スペースの提供又はこれに関する情報の提供,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」
第43類「飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」


別掲3 引用商標1の指定商品
第29類「肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,カレー・シチュー又はスープのもと,肉・野菜等の具材と調味料を含む炊き込みごはんのもと,オムレツのもと,肉味噌炒めのもと,麻婆豆腐惣菜のもと」


別掲4 引用商標2の指定商品
第30類「調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,おかゆ,ぞうすい,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン」


別掲5 引用商標3の指定商品
第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」
第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」


異議決定日 2011-12-07 
出願番号 商願2010-73406(T2010-73406) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X3543)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-02-18 
登録番号 商標登録第5392044号(T5392044) 
権利者 マルヤスホールディングス株式会社
商標の称呼 ウチノゴハンドットジェイピイ、ウチノゴハンジェイピイ、ウチノゴハン 
代理人 早津 貴久 
代理人 福井 陽一 

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