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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X05 |
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管理番号 | 1248181 |
異議申立番号 | 異議2011-900255 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-07-19 |
確定日 | 2011-12-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5405456号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5405456号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5405456号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年12月1日に登録出願、第5類「遺伝子治療用ベクター,遺伝子治療用ワクチン,医療用の遺伝子検査用試薬,注射液,点滴液,医療用血液,血液製剤,血液疾患の治療のための薬剤,癌の予防用・治療用又は診断用の薬剤,抗がん剤,経皮注入される薬剤,パッチ剤,抗嘔吐剤,その他の薬剤,薬剤用カプセル,医薬用カプセル,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,乳糖,乳幼児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、同23年3月29日に登録査定、同年4月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1673490号商標(以下「引用商標1」という。)は、「シンビオ」の片仮名と「SHINBIO」の欧文字とを上下二段に書してなり、昭和52年9月22日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成11年1月29日に商標法第50条の規定による商標登録の取消しの審判の請求(平成11年審判第30130号)があった結果、指定商品中「人工鼓膜用材料,人工歯用材料,補綴充てん用材料,歯科用セメント,及びこれらの類似商品」について、同年6月14日に登録を取り消す旨の審決がされ、同年10月20日にその確定の登録がされて、さらに、同16年11月4日に指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (2)登録第4523026号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SYNBIO」の欧文字と「シンビオ」の片仮名とを上下二段に書してなり、平成13年1月31日に登録出願、第29類「乳製品,食用油脂」を指定商品として、同年11月16日に設定登録され、その後、同23年11月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 (3)登録第4706841号商標(以下「引用商標3」という。)は、「シンビオ」の片仮名を横書きしてなり、平成14年11月7日に登録出願、第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同15年9月5日に設定登録されたものである。 以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は,その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証を提出している。 (1)本件商標から生ずる称呼等について ア 本件商標は、「SymBio」の欧文字と「シンバイオ」の片仮名とを二段に併記したものからなり、下段に振り仮名が付されている関係から一義的には、称呼は「シンバイオ」となる。 しかしながら、上段の欧文表記「SymBio」は、英和辞典、仏和辞典、独和辞典及びスペイン語辞典(甲第1号証ないし甲第4号証)のいずれにも単語として掲載されていない。 また、「bio」については、上記各辞典によれば、英語の場合のみ「バイオ」と発音され、それ以外の仏語、独語及びスペイン語では、「ビオ」又は「ヴィオ」と発音されることに加え、英単語「symbiosis」の発音が「シムビオシス」と記載されている(甲第1号証ないし甲第4号証)。 さらに、フリー百科事典として知られるウィキペディアの記載によれば、日本人社会においても「バイオ」及び「ビオ」として使用されている事実がある(甲第5号証)。 以上によれば、欧文表記「SymBio」のみからは「シムビオ」又は「シンビオ」と称呼されるのが自然である。 イ 次に、観念的には「Sym-」は、ギリシア語の語につく場合に「syn-」の代わりに使用される「合成、類似」を意味する接頭語として知られていることから、「合成生物、類似生物」の意味合いをもっている。 (2)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、その構成中の欧文表記「Symbio」の部分から「シンビオ」の称呼を生ずるものである一方、引用商標は、いずれも「シンビオ」の称呼を生ずるものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼を同一にするものであり、かつ、指定商品についても抵触関係にある。 (3)取引の実情について 本件商標の権利者は、自己のホームページにおいて、別掲2に示す標章のように、欧文字「SymBio」単独にて使用している。 また、「Bio」に関して、一般の取引者・需要者が「バイオ」と称呼するのか「ビオ」と称呼するかは、これまで慣れ親しんでいる商品の称呼に影響を受けやすいところ、甲第17号証に示す商品「ヨーグルト」について、「Bio」が「ビオ」と称呼されている事実がある。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「SymBio」の欧文字と「シンバイオ」の片仮名とを上下二段に書してなるところ、その上段及び下段の構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されているものである。 ところで、一般に、欧文字と仮名文字とを併記した構成からなる商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものとして無理なく認識できるときは、該仮名文字部分から生ずる称呼がその商標から生ずる自然の称呼とみるのが相当である。 そこで、本件商標の構成文字についてみるに、上段の「SymBio」及び下段の「シンバイオ」の各文字は、いずれも辞書等に掲載されている成語とは認められないことから、特定の観念を生ずることのない造語として認識されるものである。そして、「SymBio」の欧文字は、その構成文字のうち、語頭の「S」及び4字目の「B」の各文字を大文字で表し、その他の文字を小文字で表してなるものであることから、「Sym」の文字と「Bio」の文字とを結合してなる造語として看取され得るところ、我が国において外国語として最も親しまれた英語では、「symphony」を「シンフォニー」と、「symposium」を「シンポジウム」とそれぞれ発音し、また、「bio」が「(特に短い)伝記」の意味を、「bio-」が「(連結形)生物、生命」の意味を有するものであって、いずれも「バイオ」と発音する(甲第1号証)ことに加え、例えば、「新明解国語事典(第六版)」(株式会社三省堂発行)において、「バイオ〔bio〕」の見出しの下、「バイオテクノロジー・バイオニクスの略。(造語)生命に関する。」との記載があることをも併せ見れば、該「SymBio」の欧文字からは、「シンバイオ」の称呼を生ずるというのが自然である。 そうとすると、本件商標の構成中の下段に位置する「シンバイオ」の片仮名は、上段に位置する「SymBio」の欧文字の表音とみて自然なものであって、本件商標から生ずる称呼を特定するためのものとして認識されるというべきであるから、本件商標は、その構成文字全体に相応する「シンバイオ」の称呼のみを生ずるというのが相当である。 (2)引用商標 ア 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「シンビオ」の片仮名と「SHINBIO」の欧文字とを上下二段に書してなるものであるところ、これらは、いずれも辞書等に掲載されている成語とは認められず、また、その構成態様に照らし、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定するものとして認識されるとみるのが自然であることから、引用商標1は、その構成文字全体に相応する「シンビオ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのない造語からなるものとして認識されるものである。 イ 引用商標2は、前記2(2)のとおり、「SYNBIO」の欧文字と「シンビオ」の片仮名とを上下二段に書してなるものであるところ、引用商標1の場合と同様に、その構成各文字は、いずれも辞書等に掲載されている成語とは認められず、また、その下段の片仮名が上段の欧文字の読みを特定するものとして認識されるとみるのが自然であることから、これより、「シンビオ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのない造語からなるものとして認識されるものである。 ウ 引用商標3は、前記2(3)のとおり、「シンビオ」の片仮名を横書きしてなるところ、該文字は、辞書等に掲載されている成語とは認められないものであるから、その構成文字に相応する「シンビオ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのない造語からなるものとして認識されるものである。 (3)本件商標と引用商標との対比 ア 称呼 本件商標から生ずる「シンバイオ」の称呼と引用商標から生ずる「シンビオ」の称呼とは、後半部において「バイオ」と「ビオ」という明らかな音の差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼した場合、その語感、語調が著しく相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。 イ 観念 上記(1)及び(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生ずることのない造語からなるものと認められるから、観念上、これらを比較することはできない。 ウ 外観 本件商標と引用商標とは、各々、前記1及び2のとおりの構成からなるものであり、両者は、その文字綴りにおいて、明らかな差異を有するものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。 エ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (4)小括 上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 (5)申立人の主張について 申立人は、本件商標の構成中の「SymBio」の文字部分から「シンビオ」の称呼をも生ずる旨主張するが、上記(1)のとおり、本件商標は、その構成全体をもって、まとまりある一体的なものとして看取、把握されるものであり、殊更「SymBio」の文字部分のみが注目され、該文字部分をもって取引に資するとみるべき特段の事情は見いだし得ない。 また、申立人は、本件商標の権利者のホームページにおいて、別掲2に示す標章のように欧文字「SymBio」が単独で使用されているのが取引の実情である旨述べると共に、甲第15号証及び甲第16号証を提出しているが、日本語によるホームページである甲第15号証によれば、該標章は、本件商標とその構成態様を明らかに異にするものであり、また、該標章の直下には本件商標の権利者の名称である「シンバイオ製薬株式会社」の文字が表示されており、かつ、その内容中にも「シンバイオの夢」の記載があること、さらに、企業が自己のホームページにおいて複数の標章(商標)を使用することは一般に広く行われていることをも併せ考慮すれば、該標章の使用により「SymBio」の文字の読みが「シンバイオ」であることを裏付けるものにはなり得ても、申立人の上記主張を裏付けるものにはなり得ないから、この点について申立人の主張を採用することはできない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標(登録第5405456号商標) ![]() 2 本件商標の商標権者のホームページにおいて使用されている標章 ![]() (色彩については、原本参照のこと。) |
異議決定日 | 2011-11-29 |
出願番号 | 商願2010-93252(T2010-93252) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X05)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田中 幸一 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 吉野 晃弘 |
登録日 | 2011-04-08 |
登録番号 | 商標登録第5405456号(T5405456) |
権利者 | シンバイオ製薬株式会社 |
商標の称呼 | シンバイオ、シンビオ、シン、エスワイエム、シムバイオ、シムビオ、シム |
代理人 | 黒川 弘朗 |
代理人 | 柴田 泰子 |
代理人 | 山川 茂樹 |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 小池 勇三 |
代理人 | 山川 政樹 |
代理人 | 東森 秀朋 |