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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09163541
審判 全部申立て  登録を維持 X09163541
管理番号 1248174 
異議申立番号 異議2011-900072 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-02-28 
確定日 2011-12-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5371301号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5371301号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5371301号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成22年6月15日に登録出願、第9類、第16類、第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同年10月19日に登録査定、同年11月26日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
ア 登録第4669881号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SAP」の欧文字を横書きしてなり、1999年8月3日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年1月19日に登録出願、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同15年5月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
イ 国際登録第759060号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2001(平成13)年4月18日に国際商標登録出願され、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年8月30日に設定登録、その後、同23年6月9日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
以下、一括していうときは、「引用商標」という。
(2)具体的理由
ア 申立人について
申立人は、ドイツ中南部のヴァルドーフ(Walldorf)に本社を置く、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社である。申立人会社は、1972年に設立し、その年にISS標準ソフトウェアである「SAP R/1」を開発したことに始まり、1980年には、ドイツ国内の業界優良企業100社のうち50社が「SAP」を導入、1988年に、導入企業数が1,000社を突破し、2000年には、グループ全体でSAPユーザ数1,000万、導入数36,000を突破し、世界120力国で、導入企業13,500社、パートナー1,000社、対応業種別ソリューションが22種にまで拡張している。現在では、販売および開発の拠点を50力国以上に展開し、109,000以上の顧客にSAPのアプリケーションとサービスを提供している。
日本においては、申立人が100%出資する日本法人として、SAPジャパン株式会社を1992年に設立し、2002年には、SAP製品の国内導入企業数が1,000社を超えている。
申立人は、引用商標を申立人の製品及びこれに関連するサービス事業を表する代表的な出所識別標識として、あるいは事業全体を表するいわゆるハウスマークとして、現在に至るまで継続して使用している。
したがって、申立人の略称「SAP」は、本件商標の出願時に、既にソフトウェア業界及びこれらに関連する商品又はサービスの取引者・需要者において広く認識されるに至り、日本国内のみならず世界的規模で著名性を獲得した略称であったことは明白である。
イ 商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人名称の著名な略称である「SAP」を含んでいることが顕著に認められ、かつ、これについて申立人の承諾を得ているものでもなく、申立人の人格権を棄損するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の名称の略称及び商標として、広く一般に知られているものである(甲第2号証ないし甲第11号証)。これに対し、本件商標は、その出願時前に既に著名性を獲得している申立人の略称でもある引用商標と同じ綴りの「SAP」を、需要者の印象・記憶に残り易い本件商標の主要素の語頭に含んでおり、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用されたときには、需要者は、本件商標に含まれる「SAP」の表示から、著名な引用商標又は引用商標が表示する商品又はサービスの出所源である申立人会社と理解・認識し、申立人の業務に係る商品又はサービスと出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、赤色の「Y」の文字と、青色の「SAPIX(Aは横棒を赤色二等辺三角形で表してなる)」の文字とを、左が青色と右が赤色の正三角形の底辺を縦に接した菱形様の幾何学図形で挟んで、「Y・SAPIX」と表し、該「P」の下部に「サピックス」の片仮名を横書きに配してなるものであるところ、構成中の「SAPIX」の文字部分は同書・同大・同間隔に外観上まとまりよく一体的に構成されており、これより生ずると認められる「サピックス」の称呼も格別冗長というべきものではなく、淀みなく一気に称呼し得るものである。したがって,本件商標は、構成全体から生じる「ワイサピックス」の称呼又は「SAPIX」及び「サピックス」の文字に相応して生じる「サピックス」の称呼をもって認識されるとみるのが相当である。
さらに、その構成中の「SAP」の部分に限定して、当該部分に相応した称呼や観念をもって取引に資されるとすべき格別の理由はみいだせない。
そうすると、本件商標は、「SAP」の文字部分が本件商標全体の構成中に埋没し客観的に把握されないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、申立人を想起、連想させるものとはいえず、申立人の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)認定のとおり、本件商標は、その構成中の「SAP」の文字部分が独立して把握、認識されるものではなく、構成全体をもって「ワイサピックス」又は「サピックス」と称呼される特定の語義を有しない造語よりなる商標として認識される商標である。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、称呼において非類似であることはいうまでもなく、外観及び観念においても相違する商標というべきであって、商標それ自体別異のものであるから、本件商標に接する需要者が、引用商標あるいは申立人を想起又は連想することはないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)
本件商標(色彩は原本参照)



別掲(2)
引用商標2



異議決定日 2011-10-31 
出願番号 商願2010-47414(T2010-47414) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X09163541)
T 1 651・ 23- Y (X09163541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 瑠美箕輪 秀人 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2010-11-26 
登録番号 商標登録第5371301号(T5371301) 
権利者 株式会社ジーニアスエデュケーション 株式会社サピエンス研究所
商標の称呼 ワイサピックス、サピックス 
代理人 加藤 恒久 

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