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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X35 審判 全部申立て 登録を維持 X35 |
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管理番号 | 1248155 |
異議申立番号 | 異議2011-900174 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-05-16 |
確定日 | 2011-12-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5389660号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5389660号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5389660号商標(以下「本件商標」という。)は、「NextValue」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年10月5日に登録出願、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,情報処理及び情報通信ネットワークに関する事業の管理・運営,情報処理及び情報通信ネットワークの運営に関する事業の管理・運営,事業の管理又は運営に関する助言及び援助,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機及び電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する技術者のあっせん,その他の職業のあっせん,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作に関する情報の提供,コンピューターデータベースへの情報編集及び情報構築,コンピューターによるファイルの管理,通信販売の注文・受付・発注に関する事務処理代行,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」を指定役務として、同23年1月11日に登録査定され、同年2月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要点 (1)引用商標の周知著名性について 「NEXT」及び「next」商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「ネクスト・グループ・ピーエルシー」及びその関連会社を含むネクストグループのハウスマークである。我が国において、引用商標が「被服」「靴類」「かばん類」及び「身飾品」等について永年に亘って使用された結果、遅くとも本件商標が出願された平成22年10月5日には、周知著名の域に達しており、また、本件商標の査定時においても同様に周知著名となっている。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について 本件商標は、「Next」と「Value」の英語を結合して一連で横書きしてなるものである。本件商標には、申立人及びそのグループ会社が「被服」等について使用した結果、取引者や需要者間で広く知られるに至った引用商標と実質上同一視できる「Next」の語を明瞭に含むものである。 したがって、本件商標が、その指定役務について使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、その役務があたかも申立人又はその関連会社と何等かの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかの如く、その出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第8号の該当性について 申立人は、イギリス法人であり、その名称である「Next Group plc」(ネクスト・グループ・ピーエルシー)中、「Group」(グループ)の語は、同じ目的をもった人の集団であるということを単に表す語であって、比較的識別力に乏しい語であり、「plc」(ピーエルシー)の語は、「public limited company」の略語であって、イギリスの「公開有限責任会社」を意味する組織の種類を表した語である。 したがって、法人名称の要部は、「Next」であり、申立人は、「Next(ネクスト)及び「next」と略称されている。これは一般に会社名を称呼する場合には、組織の種類等を表した語が省略されることが極めて多いことからみてもわかる。 また、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の名称の略称が、「被服」等の需要者及び取引者問において周知著名となっていたことは上述のとおりである。 よって、本件商標は、他人である申立人「ネクスト・グループ・ピーエルシー」及びその関連会社であるネクストグループの名称の著名な略称である「Next」を明瞭に含んでおり、また申立人らの承諾も得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第8号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、この登録を取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、「NextValue」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「Next」が「次の」を意味し、「Value」が「価値」を意味する英単語からなるものと容易に認識し得るものである。 しかして、構成態様上、前記の各文字は、大文字と小文字の違いがあるものの、同じ書体、等間隔で、まとまりよく一体的に表されており、視覚上、いずれかの文字が特に強い印象を与える部分ということができない。 また、その構成中「Next」の文字は、「次の」の意味をもって後続の文字を形容する働きをする品詞として、一般に知られて親しまれていることから、「NextValue」の文字全体で「次の価値」程のまとまりある意味合いを看取させるものというのが相当であって、観念上、「Next」の文字部分のみが、殊更に強く印象されるものともいえない。 してみれば、本件商標は、「NextValue」の文字の全体をもって一体のものとして看取されるというのが相当であるから、これよりは、「ネクストバリュー」の一連の称呼のみが生じ、「次の価値」程の観念を生ずるものというべきである。 一方、引用商標は、「NEXT」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「ネクスト」の称呼、「次の」の観念が生じるものである。 しかして、本件商標の称呼「ネクストバリュー」と引用商標の称呼「ネクスト」とを対比すれば、両者は、構成音数が大きく相違する上、「バリュー」の音の有無の明らかな差異を有するから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。 そして、本件商標と引用商標は、外観において、明らかな相違があるから、外観上相紛れるおそれはなく、また、観念において、それぞれから生じる観念は明らかに異なるものであるから、観念上相紛れるおそれはないというべきである。 してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標とは十分に区別し得る別異の商標である。 (2)引用商標の周知、著名性について 申立人は、「引用商標が、本件商標の登録出願時及び査定時において、周知著名となっており、また、申立人及びその関連会社の名称の著名な略称である。」旨の主張をしているので、この点について検討する。 甲第2号証は、申立人の会社概要である。 甲第3号証は、申立人のホームページである。 甲第4号証は、ゼビオ株式会社のホームページである。 甲第5号証、甲第14号証及び甲第16号証は、「next Japan」のホームページであるところ、甲第5号証は、本件商標の査定後の2011年7月13日に印刷されたものである。また、甲第14号証には、「2010/04/01 next最新コレクションが『SWEET』に掲載!」及び「4/21発売の『SWEET』にnext 2010最新コレクションが掲載されます!」の記載がある。 甲第6号証は、「next Japan」のオンラインショップであるところ、本件商標の査定後の2011年7月15日及び同22日に印刷されたものである。 甲第7号証ないし甲第9号証及び甲第13号証は、商品「被服」に関するカタログであるところ、甲第9号証及び甲第13号証は、発行年月日が不明である。 甲第12号証は、セール案内である。 甲第15号証、甲第17号証ないし甲第21号証は、引用商標が紹介された雑誌の発行部数を証明するウェブサイトであるところ、甲第15号証には、「sweet(雑誌)」及び「2010年1月時点で、発行部数は105万部。2009年3月時点で、ヤングアダルト?ミセス対象のレディース雑誌売上1位を記録している。」の記載がある。 甲第22号証は、2001年12月に発行された雑誌「ファッション販売」である。 以上の事実を総合すれば、引用商標が、本件商標の登録出願前から、一部のカタログ及び雑誌等において、「被服」に使用された事実を窺い知ることはできるけれども、我が国における商品の販売数量、売上高などの取引実績を具体的に把握し得る証左は見出せない。加えて、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左もほとんど提出されていない。 そうとすれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知性を獲得した商標とは認め難いものである。 また、引用商標は、申立人及びその関連会社の名称の著名な略称ということもできない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。 引用商標は、上記(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。 むしろ、「NEXT(next)」の文字は、周知性を獲得した申立人の商標というよりは、「次の」の意味を有する英語として我が国において広く親しまれた語であると認められるものであって、たとえ、本件商標の構成中に「Next」の文字が含まれているとしても、当該文字部分のみに印象を留め、本件商標と引用商標とを関連あるものとして看取するとはいい難いものである。 そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。 (4)商標法第4条第1項第8号について 申立人は、本件商標は申立人及びその関連会社の名称の著名な略称である「Next」を明瞭に含むものである旨主張しているが、上記(2)のとおり、引用商標は、申立人及びその関連会社の名称の著名な略称として、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-11-22 |
出願番号 | 商願2010-77540(T2010-77540) |
審決分類 |
T
1
651・
23-
Y
(X35)
T 1 651・ 271- Y (X35) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大森 健司 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2011-02-10 |
登録番号 | 商標登録第5389660号(T5389660) |
権利者 | 富士通株式会社 |
商標の称呼 | ネクストバリュー、ネクスト、バリュー |
代理人 | 横山 淳一 |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |