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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Y30
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 Y30
管理番号 1248007 
審判番号 不服2010-18810 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-20 
確定日 2011-11-30 
事件の表示 商願2006-84496拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として平成18年9月11日に登録出願され、指定商品については、同19年8月21日付け及び当審における同23年3月31日付け手続補正書により、第30類「糖類・乳製品・乳化された食用油脂を使用していない缶コーヒー」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、黒色地の四角形内にわずかにモノグラム化した「BLACK」の文字を白抜きに、その下部に、縁の一部に金色を配した白地の円内に黒色で「無糖」の文字を表してなるところ、「BLACK/ブラック」の文字は、「コーヒーにミルク・クリーム・砂糖を入れないこと。また、そのコーヒー。(広辞苑第五版)」、「一般的には糖類、乳製品、乳化された食用油脂を使用していないコーヒーのこと。(インターネット記事)」をいうものであり、そして、「BLACK/ブラック」、「無糖」の文字は例えば、「BLACK COFFEE」、「ブラック無糖」、「無糖ブラック」、「無糖コーヒー/無糖珈琲」、「ホットブラック・無糖」、「ドリップコーヒー 無糖 BLACK」、「ボトル缶タイプのブラック無糖コーヒー」、「【BLACK無糖】?深煎り・エスプレッソスタイル?」、「缶コーヒーはブラック無糖が一番」等にように、前記の意味合いをもって多数のメーカーによって普通に使用され新聞やインターネト等を通じ一般に紹介されていること及び本願商標を構成する各語の有する意味合いからすれば、黒色地の四角形内に白抜き・円の一部に金色を配してなるとしても、全体として「糖類、乳製品、乳化された食用油脂を使用していないコーヒー」であることを認識させるにとどまるものであるから、これを本願指定商品中、前記商品に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。そして、提出された証拠資料をもって、本願商標がその指定商品に使用され、出願人の業務に係るものとして、日本国内において、取引者・需要者間に広く認識されるに至っているものと認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
ア 本願商標は、別掲のとおり、黒塗りの四角形内に、上段に大きくやや図案化してなる「BLACK」の文字を白抜きで表してなり、その下部に、上記文字1文字程度の大きさで、白抜の円の内側を金で縁取りをした図形を配し、その中に「無糖」の文字を表してなるものである。
そして、本願の指定商品に係る「コーヒー飲料」においては、「BLACK」及び「ブラック」の文字は、「乳製品、乳化された食用油脂を使用していない(商品)」を表すものとして普通に使用されているものであり、「無糖」の文字は「糖類を使用していない(商品)」を表す語として広く使用されているものである。
そして、品質を表示する語を輪郭、背景に図形等を設けてその中に表示することは、普通に行われていることからすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者において、「糖類、乳製品、乳化された食用油脂を使用していない(商品)」の品質を表したものとして理解、認識させるにすぎないというべきである。
イ 請求人は、本願商標は、その全体の独特の態様自体において、自他商品の識別機能を有するものであると主張しているが、本願商標は、一定の特異性を有しているといえることができるものの、極めて特異な態様とはいえないというべきである。そして、一般に品質を表す語等についても、輪郭、背景に図形を設ける等により、強調して表示することが普通に行われていることから、図形内に品質を表示する語である「無糖」の文字を配してなる構成は、商品の品質が「無糖」であることを強調して表した程度に認識されるにすぎないものである。
また、請求人は、新聞記事等において本願商標が付された商品(以下「本件商品」という。)について、カギ括弧でくくって、本件商品を「BLACK無糖」と読んでいる例が多数有ること、「BLACK無糖」を請求人のブランドの一つであるなどと記載されていることなどから、第三者である新聞記者等が本願商標を自他商品識別機能を有するものと理解している、と主張しているが、「BLACK」及び「無糖」の文字自体は、上記のとおり、それぞれ品質を表示するものであり、「ブラック(BLACK)無糖」は、コーヒー飲料において、例えば、食料品の業界新聞の商品動向記事において「缶コーヒー市場は、近年のトレンドと同様に、微糖・ブラック無糖が堅調に伸びてスタンダードが縮小している。・・・盛夏シーズンに伸び悩む缶コーヒーだが、ブラック無糖は6?8月に売上げのピークを迎える。」(2011年7月29日 日本食料新聞)のように缶コーヒーの一種類を表すものであるところ、請求人の取り扱う各種商品のなかで、本件商品を表す場合に、「BLACK無糖」(「ブラック無糖」と表示している場合もある。)の文言を使用する必要があるので、請求人の商品であることを明示した上で、一般的な「ブラック無糖」の語と区別するためにカギ括弧を使用して示しているにすぎないものであって、上記のような新聞記事等をもって、本願商標が自他商品の識別機能を有しているとする証左にはならない。
ウ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)商標法第3条第2項の該当性について
そこで、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて以下、検討する。
ア 本件商品には、本願商標のほか、請求人の代表的表示マークである「UCC」の文字など、他の標章を表示してなるものであるが、本願商標は、前記1のとおり、単に商品の品質表示である「BLACK」と「無糖」の文字からなるものでなく、黒色を地色とする背景内に、一定の特異性を有する円的図形部分とその下方の白抜きで図案化した「BLACK」の文字とがまとまりよく一体として看取されるものであり、本願商標を本件商品の正面部分に顕著に配してなるものであるから、需要者に目につきやすく、強い印象を与えるものということができる。
イ 請求人の提出した資料(資料1ないし595)によれば、請求人は、平成6年4月より、本願商標を使用した缶コーヒー(本件商品)の販売を開始し、発売開始から平成23年1月までの17年10ヶ月の間で、累計で23億7729万個の販売個数があり、合計販売額は1698億2100万円である。
そして、本件商品は、ブラック無糖タイプのコーヒーであるところ、コーヒーは嗜好性の強い商品であり、その嗜好に合わせて商品を購入するものであるので、ブラック無糖タイプのコーヒー市場における本件商品のシェアを見ると、例えば、スーパーマーケットにおけるシェアでは、平成6年度が67.0%、同7年度が61.0%、同8年度が46.0%。同9年度が50.8%、平成10年度が69.1%、平成11年度が40.9%、平成12年度が53.7%、平成13年度が63.8%、平成14年度が68.9%、平成15年度が78.9%、平成16年度が54.7%、平成17年度が55.1%、平成18年度が42.7%であるのをはじめ、コンビニエンスストアにおけるシェアも同様に10年以上にわたって、高いシェアを維持している。
さらに、この間、本願商標を付した本件商品の広告宣伝を旺盛に行い、その広告宣伝費用は、延べ106億6千万円以上を費やしており、テレビによる広告宣伝は、全国各地の放送局で放映されているほか、新聞、雑誌、交通機関での広告宣伝も大規模に行ってきたことが認められる。
そうすると、本件商品は、本願指定商品に係る取引者、需要者に広く知られているものということができる。
これらの広告宣伝は、いずれも本願商標を中央に大きく表示した本件商品を目立つようにしている。
ウ 上記のとおり、本願商標は、一定の特異性を有するものであり、職権で調査しても上記特異性は、他に見あたらないものである。また、本願商標は、まとまりよい一体感のある態様であって、本件商品における実際の使用態様において、他の構成部分と分離して看取されるものであり、かつ、商品の中央に大きく顕著に表されているものである。そして、本件商品はその取引者、需要者に広く知られているもので有ることは、上記のとおりであり、本件商品が、平成6年以降、17年以上の長年にわたって、販売され、その間、同種商品において極めて高いシェアを獲得してきたこと、テレビ、雑誌等の広告宣伝において、本願商標が目につくようにして本件商品の写真を掲載(放映)し、かつ、本件商品を発売して以来旺盛に広告宣伝が行われてきたことが認められる。
このような諸事情を総合すれば、本願商標は、その指定商品「糖類・乳製品・乳化された食用油脂を使用していない缶コーヒー」について、請求人により使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、商標法第3条第2項の要件を充足するというべきである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、その指定商品について、商標法第3条第2項に規定する要件を充たしているものとして登録すべきである。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標 色彩は原本を参照のこと。



審決日 2011-11-08 
出願番号 商願2006-84496(T2006-84496) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (Y30)
T 1 8・ 17- WY (Y30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小畑 恵一
小俣 克巳
商標の称呼 ブラックムトー 
復代理人 村井 康司 
復代理人 太田 誠治 
復代理人 中西 淳 
代理人 北村 修一郎 
復代理人 岡田 春夫 

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