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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない X0325
管理番号 1248000 
審判番号 不服2010-22942 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-12 
確定日 2011-11-16 
事件の表示 商願2008- 88285拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願標章
本願標章は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「香水その他の化粧品」及び第25類「ベルト」を指定商品とし、登録第4934451号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、同20年10月30日に登録出願されたものである。

第2 原登録商標
原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、平成16年4月19日に登録出願、第3類「せっけん類」、第14類「カフスボタン,ネクタイ止め,指輪,ブレスレット,イヤリング,ネックレス,ブローチ,その他の身飾品(「カフスボタン」を除く。),クロノメーター,その他の時計,時計バンド,腕時計用ブレスレット,時計用貴金属製化粧箱,その他の時計の部品及び附属品」及び第18類「財布(貴金属製のものを除く。),がま口(貴金属製のものを除く。),クレジットカード入れ,その他の袋物,ブリーフケース,アタッシュケース,ハンドバッグ,旅行かばん,その他のかばん類,包装用革製小袋」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願標章は、他人がこれを本願指定商品に使用しても、商品の出所について混同を生じさせる程に需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断をして、本願を拒絶したものである。

第4 当審の判断
商標法第64条第1項において、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定している。
そこで、これを本件についてみる。
1 本願標章と原登録商標との一致について
本願標章は、原登録商標と同一の構成態様よりなるものであって、その出願も原登録商標権者によるものであることが、商標登録原簿及び出願書類に徴して認められる。

2 原登録商標の著名性について
(1)請求人の提出に係る甲各号証は、以下のとおりである。
甲第1号証は、「英和商品名事典」(株式会社研究社)、その他17の事典等の抜粋である。
甲第2号証は、「2005/02/15」に印刷された「Montblanc モンブラン German」についてのインターネット情報である。
甲第3号証は、出願人が作成した「日本におけるモンブランブランドの歩み」である。
甲第4号証は、出願人の日本法人であるモンブラン ジャパン株式会社の「会社概要」である。
甲第5号証は、日本のモンブラン店舗の一覧である。
甲第6号証は、講談社発行「世界の一流品大図鑑」(’84年版、’93年版、’94年版、’98年版、2000年版)の抜粋である。
甲第7号証の1は、世界各地の空港免税店における出願人の店舗の写真の写しである。
甲第7号証の2は、世界各地の空港免税店における出願人の店舗のリストである。
甲第9号証は、出願人の商品カタログの写しである。
甲第10号証は、その枝番号が1から966まであり、それらは、出願人の「万年筆、時計」を中心とした商品が取り上げられた2002年ないし2005年の雑誌及び新聞であり、商品等に関する紹介、記事などである。
甲第11号証の2ないし5は、出願人が2002年4月から2006年3月に商品広告を掲載したメディア及び掲載月日の一覧とされるものである。
甲第16号証は、2006年10月に開店した「モンブラン銀座本店」についてのインターネット情報(ウェブページ)である。
甲第17号証は、2001年9月3日(月)の日付がある「モンブラン」についてのインターネット情報(ウェブページ)である。
甲第18号証は、JAL(日本航空株式会社)のホームページにおける「モンブラン」についての商品情報である。
甲第22号証は、出願人の商品である「香水」が取り上げられた2002年ないし2007年の雑誌「ブルータス、月刊アサヒグラフパーソン、MISS、国際商業、AERA、Luca、香水図鑑、香水パーフェクト、フラワーデザインコレクション、ゲイナー、BAILA、COSMOPOLITAN、MAQUIA、MOSTLY CLASSIC、PARFUM、JOKER、Pen」等、及び新聞「日本繊維新聞、週刊粧業」の広告及び記事である。
甲第23号証は、出願人の商品である「時計、万年筆、指輪、ネックレス、バッグ」等が取り上げられた2007年ないし2009年の雑誌「ゲイナー、ゲーテ、日経マガジン、旅、Grazia」等、及び新聞「読売新聞、朝日新聞、京都新聞」の広告及び記事である。
甲第24号証は、出願人の商品である「時計、カフスボタン、財布、ネックレス、万年筆、指輪、腕輪」等が取り上げられた2007年の雑誌「婦人公論、ゲイナー、MEN’S CLUB、レオン、UOMO、MISS、VOGUE NIPPON、メンズイーエックス、VERY」等、及び新聞「神戸新聞、読売新聞、朝日新聞、北日本新聞」の広告及び記事である。
甲第25号証は、出願人の商品である「財布、時計、指輪、手帳、ネックレス、イヤリング、バッグ、万年筆」等が取り上げられた2008年の雑誌「EVEN、WATCH NAVI、TIME SPEC、Seven Seas Hozonban、TIME SCENE、AERA STYLE MAGAZINE、CLASSY.WEDDING、Udetokeiou、Nikkei Business priv」等、及び新聞「日刊ゲンダイ、朝日新聞、繊研新聞、Tokei Kogei Shinbun」等の広告及び記事である。
甲第26号証は、出願人の商品である「手帳、時計、ネックレス、ベルト、指輪、バッグ、万年筆」等が取り上げられた2009年の雑誌「LEON、OCEANS、ENGINE、NAVI、GOETHE、ATES、UOMO、CLASSY、Harper’sBAZAAR、TOKYO CALENDER」等、及び新聞「朝日新聞、読売新聞」等の広告及び記事である。
甲第27号証は、出願人の商品である「時計、手帳、バッグ」等が取り上げられた2010年の雑誌「Chronos、レオン、UOMO、INTERNATIONAL WRIST WATCH、Tokei Begin」等、及び新聞「朝日新聞」の広告及び記事である。
(2)以上の証拠及び請求人の主張による原登録商標等の使用等について
ア 筆記具に使用する原登録商標と同じ態様の商標(以下「使用商標」という。)について
請求人(出願人)は、1907年にハンブルグでジンプロ フィラー ゲーエムベーハーの社名で創業し、筆記具を生産、販売していた。1934年に、ヨーロッパの最高峰モンブランにあやかって社名を変更、ペンのキャップ頭にホワイトスターを表示するようになった。ホワイトスターは、モンブランの万年雪をデザイン化したものであり、同社は、万年筆を始めとする筆記具の世界トップブランドメーカーとして知られるようになった(甲1)。
同社は、1977年からダンヒル社によって買収され、現在、世界有数のラグジュアリーブランドグループであるリシュモン・グループに属している(甲2)。そして、筆記具のみならず、時計、バッグ、フレグランス、アクセサリー等の商品も展開するようになっている。
そして、甲第10号証によれば、その枝番号は1から966まであり、それらは、請求人の「万年筆、時計」を中心とした商品を取り上げた2002年ないし2005年の雑誌及び新聞であって、その商品等に関する紹介、記事などの記載がある。
これらによれば、同社が100年以上の歴史を誇る老舗のメーカーであって、筆記具の世界トップブランドメーカーとして有名であり、原登録商標と同じ態様の使用商標は、確かに、万年筆を始めとする筆記具に使用されて、我が国においても著名であることは、十分に認められるところである。
イ 原登録商標の指定商品への使用について
請求人は、筆記具のみならず、時計、バッグ、フレグランス、アクセサリー等の商品も展開するようになっており、約50のメディアに年間平均して2回から3回ずつ広告を掲載し、その結果、請求人の2004年度の日本での年間出荷数は、革製品が約1万個、時計が約1400個、ジュエリーが約2300個となっていると述べているところである。
甲第22号証は、請求人の商品である「香水」が取り上げられた2002年ないし2007年の雑誌及び新聞の広告及び記事であり、甲第23号証は、請求人の商品である「時計、万年筆、指輪、ネックレス、バッグ」等が取り上げられた2007年ないし2009年の雑誌及び新聞の広告及び記事であり、甲第24号証は、請求人の商品である「時計、カフスボタン、財布、ネックレス、万年筆、指輪、腕輪」等が取り上げられた2007年の雑誌及び新聞の広告及び記事であり、甲第25号証は、請求人の商品である「財布、時計、指輪、手帳、ネックレス、イヤリング、バッグ、万年筆」等が取り上げられた2008年の雑誌及び新聞の広告及び記事であり、甲第26号証は、請求人の商品である「手帳、時計、ネックレス、ベルト、指輪、バッグ、万年筆」等が取り上げられた2009年の雑誌及び新聞の広告及び記事であり、甲第27号証は、請求人の商品である「時計、手帳、バッグ」等が取り上げられた2010年の雑誌及び新聞「朝日新聞」の広告及び記事である。
しかしながら、これらの証拠は、そのほとんどが雑誌の広告及び記事であるところ、商品の広告については、請求人は、「約50のメディアに年間平均して2回から3回ずつ広告を掲載し」と述べるのみであって、具体的な宣伝・広告費、広告期間、広告地域などは不明である。仮に、約50の雑誌に3回ずつ広告した場合は、年間約150誌に広告がされるにすぎないものである。また、提出された雑誌等の広告にしても、原登録商標の指定商品に係る「時計」「指輪,ネックレス」「バッグ」「財布」などがすべて同時に広告されているものではない。
さらに、甲第10号証、甲第22号証ないし甲第27号証によれば、雑誌及び新聞の広告及び記事は、「時計」「香水」については、2002年ないし2007年の期間であり、「指輪,ネックレス」「バッグ」「財布」等については、2007年ないし2009年の期間であって、その期間はさほど長くない。
そして、請求人の原登録商標の指定商品に係る「時計」「指輪,ネックレス」「バッグ」「財布」などについては、その商品についての販売量、販売額、販売シェアなどについても、過去から現在におけるまでどの程度であるのか明らかにしていない。なお、この点に関し、請求人は、「2004年度の日本での年間出荷数は、革製品が約1万個、時計が約1400個、ジュエリーが約2300個となっている」と述べているところであるが、その数量は、決して多いとはいえないものである。
そうとすれば、請求人に係る時計、バッグ、フレグランス、アクセサリー等の商品が、さほど長くない期間、複数の雑誌に取り上げられたことのみをもって、これらの商品の分野において、原登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているということはできないものである。
ウ 原登録商標の指定商品における周知性について
以上によれば、原登録商標と同じ態様の使用商標が万年筆を始めとする筆記具に使用されて、我が国においても著名であることは、十分に認められるところであるが、原登録商標が、その指定商品である第3類「せっけん類」、第14類「カフスボタン,ネクタイ止め,指輪,ブレスレット,イヤリング,ネックレス,ブローチ,その他の身飾品(「カフスボタン」を除く。),クロノメーター,その他の時計,時計バンド,腕時計用ブレスレット,時計用貴金属製化粧箱,その他の時計の部品及び附属品」及び第18類「財布(貴金属製のものを除く。),がま口(貴金属製のものを除く。),クレジットカード入れ,その他の袋物,ブリーフケース,アタッシュケース,ハンドバッグ,旅行かばん,その他のかばん類,包装用革製小袋」について使用された結果、一般需要者の間に広く認識されているものとは、認めることができない。

3 防護標章登録出願について
商標法第64条第1項は、防護標章登録を受けることができる登録商標について、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでなければならないとされているところである。
してみれば、上記2において記載したとおり、原登録商標は、たとえ、筆記具において著名な商標と同じであったとしても、その指定商品について、一般需要者の間に広く認識されているものとは、認めることができないものであるから、本願の防護標章登録出願は、上記要件を具備していないものというべきである。

4 結び
以上のとおりであるから、本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲 本願標章(原登録商標)




審理終結日 2011-06-15 
結審通知日 2011-06-21 
審決日 2011-07-04 
出願番号 商願2008-88285(T2008-88285) 
審決分類 T 1 8・ 8- Z (X0325)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司手塚 義明竹内 耕平 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 松田 訓子
井出 英一郎
商標の称呼 モンブラン、モントブランク 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 村木 清司 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 関口 一秀 
代理人 ▲高▼部 育子 
代理人 松原 伸之 

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