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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
審判 全部申立て  登録を維持 X30
審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1246614 
異議申立番号 異議2011-900189 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-19 
確定日 2011-11-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5401533号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5401533号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5401533号商標(以下「本件商標」という。)は、「イモアジサイ」の片仮名と「いも紫陽花」の文字とを二段に横書きしてなり、平成22年11月17日に登録出願、第30類「いもを使用した菓子及びパン」を指定商品として、同23年3月10日に登録査定、同年3月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第5412688号商標(以下「引用商標」という。)は、「あじさい」の平仮名を標準文字で表してなり、平成21年10月15日に登録出願、第30類「焼き菓子(洋菓子)」を指定商品として、同23年5月20日に設定登録されたものである。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は、その構成中「いも」の語が指定商品の原材料を表示するから、要部が「紫陽花」であり、その要部により「アジサイ」の称呼及び「紫陽花」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標は、「アジサイ」の称呼、「紫陽花」の観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、「アジサイ」の称呼、「紫陽花」の観念を共通にする類似の商標であって、指定商品も互いに牴触するものである。
また、本件商標は、引用商標に係る商標登録出願よりも後日に出願されたものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、円盤状のスポンジ生地の上にクリームをペーストし、さらにその上にあじさいの花びらに見立てたスライスアーモンドを散らして焼き上げた焼き菓子(以下「申立人商品」という。)に販売当初から使用してきたものであって、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されている。
また、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人商品の出所を表示するものとして、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されているので、本件商標が指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)したがって、本件商標は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号に基づき取消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知、著名性について
申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されている旨主張し、甲第6号証ないし甲第40号証(枝番を含む。ただし、以下に表示するときは枝番を省略する。)を提出している。
甲第6号証は、申立人の現在事項全部証明書である。
甲第7号証は、申立人商品及び引用商標を付した申立人商品の包装の写真である。
甲第8号証、甲第28号証ないし甲第31号証及び甲第33号証ないし甲第38号証は、申立人会社又は申立人商品等が、紹介された新聞又は雑誌であるところ、これらは、申立人商品等が記事として文章中に紹介されたものがほとんどであって、申立人が、申立人商品を宣伝広告したものではない。
甲第9号証は、神奈川県銘菓共励会のホームページである。
甲第10号証は、申立人商品が陳列された店頭写真である。
甲第11号証は、全国の百貨店売上高の推移を示す表である。
甲第12号証及び甲第13号証は、株式会社三越の売上高等を示す決算短信(連結)である。
甲第14号証は、申立人商品の販売先、販売地、販売数及び売上げを示す書面であるところ、申立人商品は、主に神奈川県内の店舗において販売されている事実が認められるものの、同県以外の販売数、売上げ及び販売店舗は、わずかなものである。
甲第15号証は、インターネットによる「紅谷 あじさい」の検索結果である。
甲第16号証は、申立人のホームページ並びに「楽天市場」及び「Yahoo!JAPAN」における申立人商品の販売ページである。
甲第17号証は、神奈川県銘菓指定要綱である。
甲第18号証は、神奈川県指定銘菓制度についての書面である。
甲第19号証は、申立人が、第二十二回全国菓子大博覧会において、申立人商品について名誉総裁賞(意匠部門)を授与された平成6年5月14日付け褒賞状である。
甲第20号証は、認定の有効期間を平成20年12月2日?平成23年3月31日とする、申立人商品に関する「“かまくら推奨品”認定書」である。
甲第21号証は、かまくら推奨品の認定基準である。
甲第22号証は、申立人が、第50回全国推奨観光土産品審査会において、申立人商品及び「クルミッ子」と称する商品について推奨された平成22年4月1日付け推奨状である。
甲第23号証は、一畑百貨店の特設店舗における申立人商品に関する取引についての書面である。
甲第24号証及び甲第25号証は、「湘南の海とまつり」における申立人商品等の展示事実を証明する書面及び写真である。
甲第26号証は、申立人商品等に関するパンフレットである。
甲第27号証は、印刷業者が、上記パンフレットを1998年4月に31500枚、申立人に納品していることを証明する書面である。
甲第32号証は、社団法人鎌倉観光協会が平成20年10月1日に発行した雑誌「鎌倉薪能」であるところ、申立人商品についての広告が掲載されている。
甲第39号証は、雑誌「ミスターパートナー」の発行部数を証明する書面である。
甲第40号証は、申立人商品等がtvkテレビの番組「もっとぶらり!風気分」で紹介された、取材台本である。
以上の事実を総合すれば、引用商標を付した申立人商品は、本件商標の登録出願時及び査定時において、主に神奈川県内の店舗において販売されている事実が認められるものの、全国にわたる主要商圏の同種商品取扱業者の間に相当程度認識されているか、狭くとも一県の単位にとどまらず、その隣接数県の相当範囲の地域にわたって少くともその同業商品取扱業者の半ばに達する程度の層に認識されているものとは認められない。
そうすると、引用商標は、上記甲各号証によっては、本件商標の登録出願時及び査定時において、我が国における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認められないものである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「イモアジサイ」と「いも紫陽花」の文字とを二段に横書きしてなるところ、構成中「イモアジサイ」の文字は、同書、同大、等間隔に表され、また、「いも紫陽花」の文字は、上段の文字の幅にちょうど収まるように表示されていることから、全体として外観上まとまりよく表されている。
そして、本件商標の指定商品が、「いもを使用した菓子及びパン」であるとしても、本件商標のかかる構成から生ずる「イモアジサイ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「イモアジサイ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。
一方、引用商標は、「あじさい」の文字を標準文字で表してなるから、「アジサイ」の称呼及び「紫陽花」の観念を生ずる。
してみれば、本件商標から単に「アジサイ」の称呼及び「紫陽花」の観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く認識され、周知であったとは認め難いものである。
したがって、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標に類似する商標ではないから、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品が類似する商品であるとしても、本件商標は、第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標に類似しない別異の商標である。また、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く認識され、著名になっている商標とは認められない。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-10-24 
出願番号 商願2010-89449(T2010-89449) 
審決分類 T 1 651・ 4- Y (X30)
T 1 651・ 271- Y (X30)
T 1 651・ 25- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 真規子深田 彩紀子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2011-03-25 
登録番号 商標登録第5401533号(T5401533) 
権利者 株式会社健康家族
商標の称呼 イモアジサイ、アジサイ 
代理人 渡部 仁 
代理人 栫 生長 

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