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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Y28 |
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管理番号 | 1246491 |
審判番号 | 無効2010-890060 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-08-05 |
確定日 | 2011-11-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5235047号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5235047号商標(以下「本件商標」という。)は、「堤人形」の文字と「つつみのおひなやっこや」の文字を二段に横書きしてなり、平成18年11月10日に登録出願、第28類「堤人形」を指定商品として、同21年5月29日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 (1)本件商標は、被請求人が本件商標の登録出願と登録に先立ち、平成17年9月29日、同じ第28類の人形につき、「堤人形」の文字と「つつみのおひなっこや」の文字を二段に横書きした商標登録を登録出願し(商願2005-91053)、同年12月9日に設定登録された登録第4914397号商標(以下「先登録商標」という。)と、完全に同一の商標である。 (2)しかも、この先登録商標は、請求人の無効審判請求(無効2006-89031)により、特許庁が平成18年10月18日に無効審決をなし(甲第1号証)、同年同月29日に無効が確定したものである(甲第2号証)。その無効理由は、請求人が商標法第3条第2項の自他商品識別力と周知性の確立により登録した登録第2354191号の「つゝみ」の商標(甲第3号証)と登録第2365147号の「堤」の商標(甲第4号証)と商標法第4条第1項第16号による誤認混同を生ずるものとされたものである。 したがって、先登録商標と完全に同一の本件商標もまた同一の理由により無効とされることは多言を要しないところである。 (3)なお、被請求人は、上記無効審決の取消訴訟も提起せずにこれを確定させた以上、商標法第56条が準用する特許法第167条により無効審決に拘束され、一事不再理の適用を受けるのは当然である。 したがって、被請求人が、無効確定後間もない同年11月10日に本件商標の登録出願をしてその登録を得た行為は、この無効審決の効力を無視して一事不再理の法理を潜脱することはもちろん、特許庁が膨大な出願審査に忙殺されるのを奇貨として、先登録商標の無効を知りつつ、特許庁を騙して登録した商標法第79条所定の詐偽登録罪に該当し、また請求人に対する商標法第78条所定の商標権侵害罪を犯すものである。 2 平成22年10月19日付け提出の上申書の内容 (1)被請求人の本件商標の登録出願は、特許庁が平成18年10月18日になした無効2006-89031の無効審判の審決(甲第1号証)の直後である同年11月10日に同審決を無視してこれと全く同一の商標をもって登録出願したのであり、しかも、上記無効審決が確定したのを完全に無視して同じ商標を登録したものであり、特許庁の審決無視の登録出願と登録の背信性は自明である。 (2)ところで、上記審決は、請求人の登録第2354191号商標の「つゝみ」の商標及び登録第2365147号商標の「堤」の商標との関係において、商標法第4条第1項第16号の誤認混同のおそれを理由とするものである。しかし、被請求人は、請求人の登録商標を取消すべく、前者の商標につき取消2009-300474号、後者の商標につき取消2008-300294号により、それぞれ商標取消審判請求をしたが、特許庁は、前者の取消審判請求を不成立とし、後者の取消審判請求を認め、まちまちの混乱した審決をなし、それらのいずれも知財高裁の審決取消訴訟に持ち込まれたところ、知財高裁は、いずれの商標も取消の理由がないものとし、前者の商標取消審決を取消し、後者の不成立審決取消の請求を棄却した。 (3)被請求人は、この知財高裁の両判決を不服として上告したが、それらのいずれも上告不受理と上告棄却の決定がなされ、知財高裁の判決が確定し、本件請求人の上記商標は、いずれも取り消されることなく商標権を維持しているのが現状である。 (4)以上に述べた被請求人の一連の行為は、上述の判決と決定のとおり(判決等の写しが提出されている。)明白に証明されるところであり、特許庁と裁判所の判断を無視した執拗な争訟は、いかなる角度からも容認されるものではなく、民法と民訴法及び商標法の根本法理である信義則違背と公序良俗違反は明白である。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。 1 請求人は、本件商標が先登録商標と完全に同一の商標と主張するが、本件商標の指定商品は「堤人形」であるのに対し、先登録商標の指定商品は「土人形および陶器製の人形」であって、両者は指定商品が異なっている。 したがって、本件商標は、先登録商標と同一の商標ではない。 先登録商標は、その指定商品に「堤人形」以外の「土人形および陶器製の人形」を含むことを理由に、商標法第4条第1項第16号に該当するとして登録が無効となったものである。 本件商標は、指定商品を「堤人形」に限定してあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する商標ではなく、登録の無効理由はない。 なお、被請求人の登録第4798358号商標「つつみのおひなっこや」は、上告審(平成19年(行ヒ)第223号)及び最高裁差戻し審(平成20年(行ケ)第10348号)を経て、登録の維持が確定している。 なお、請求人は、被請求人が「商標法第56条が準用する特許法第167条により無効審決に拘束され、一事不再理の適用を受ける」、「商標法第79条所定の詐偽登録罪」、「商標法第78条所定の商標権侵害罪」に該当する旨主張するが、意味不明かつ事実無根の主張である。 2 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する商標ではなく、無効理由を有していない。 第4 当審の判断 1 本案前における請求人の主張について 請求人は、「本件商標は、その登録前の平成17年12月9日に設定登録され、請求人の無効審判請求により、平成18年10月29日に無効審決が確定した先登録商標と完全に同一の商標であるので、当該審決と同一の理由により無効とされるべきものである。また、被請求人は、当該無効審決の取消訴訟も提起せずにこれを確定させた以上、商標法第56条が準用する特許法第167条により無効審決に拘束され、一事不再理の適用を受けるのは当然である。」旨主張する。 しかしながら、本件審判は、先登録商標とは異なる登録第5235047号商標に係る審判事件である。 なお、本件商標と先登録商標の構成が同一であるとしても、指定商品は、本件商標が第28類「堤人形」であるのに対し、先登録商標は第28類「土人形および陶器製の人形」であって、両者は指定商品が相違し、また、無効の理由は、本件審判が商標法第4条第1項第16号違反であり、無効2006-89031号が商標法第4条1項8号、同10号、同11号、同16号及び同19号であり、無効の理由も相違している(甲第1号証)。 そうとすれば、本件審判の請求は、上記無効審判とは同一の事実及び同一の証拠に基づいてされたものとはいえない。 したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項で準用する特許法第167条の規定に違反したものといえないから、請求人の前記主張は採用することができない。 よって、以下、本案に入って審理する。 2 商標法第4条第1項第16号の該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「堤人形」の文字と「つつみのおひなやっこや」の文字を二段に横書きしてなり、第28類「堤人形」を指定商品とするものである。 ところで、商標法第4条第1項第16号は、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」と規定され、この「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」とは、その商品が有する品質について需要者が誤認する可能性がある場合をいうものであるところ、本件商標は、これをその指定商品「堤人形」について使用しても、これに接する需要者が、その商品が有する品質について誤認を生ずる可能性があるというべき事情は見いだせないから、商品の品質について誤認を生じるおそれがないものといわなければならない。 なお、請求人は、本件商標は、先登録商標を登録第2354191号商標「つゝみ」及び登録第2365147号商標「堤」との関係で商標法第4条第1項第16号による誤認混同を生じるものとして無効とした審決(無効2006-89031号)と同一の理由で無効とされるべきである旨主張している。 しかしながら、該審決は、先登録商標はこれをその指定商品中「堤人形」以外の「土人形及び陶磁器製人形」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから商標法第4条第1項第16号に該当すると判断したものであって、請求人の主張する上述の登録商標との関係で同号に該当するものと判断したものではないから、請求人の主張はその前提において誤りが有るというべきであり、これを採用することができない。 また、本件商標が上述の登録商標との関係でその登録を無効とすべき理由も見いだせない。 さらに、請求人は、被請求人が詐欺の行為や公序良俗に反する行為によって本件商標の登録を受けた旨主張するところがあるが、それらを認めるに足る証拠の提出はない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録 されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-04-25 |
結審通知日 | 2011-04-28 |
審決日 | 2011-05-10 |
出願番号 | 商願2006-104963(T2006-104963) |
審決分類 |
T
1
11・
272-
Y
(Y28)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩本 明訓、手塚 義明 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 瀧本 佐代子 |
登録日 | 2009-05-29 |
登録番号 | 商標登録第5235047号(T5235047) |
商標の称呼 | ツツミニンギョーツツミノオヒナッコヤ、ツツミニンギョー、ツツミ、ツツミノオヒナッコヤ、オヒナッコヤ |
代理人 | 須田 篤 |
代理人 | 佐藤 興治郎 |