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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1246458 
審判番号 取消2010-300942 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-08-31 
確定日 2011-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4959859号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4959859号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4959859号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成13年9月25日に登録出願され、第25類「ジャンパー,ジャケット,ウィンドブレーカー,スーツ,ワンピース,スカート,短ズボン,その他のズボン,ロンパース,カマーバンド,その他の洋服,オーバーコート,その他のコート,カーディガン,チョッキ,その他のセーター類,ティーシャツ,ポロシャツ,ブラウス,その他のワイシャツ類,ナイトガウン,パジャマ,バスローブ,その他の寝巻き類,タンクトップ,ボクサーショーツ,ブリーフ,キャミソール,コルセット,シュミーズ,ガードル,パンティガードル,スリップ,パンツ,ブラジャー,ペチコート,袖なしアンダーシャツ,その他の下着,水泳着,水泳帽,エプロン,布製幼児用おしめ,よだれかけ,タイツ,パンティストッキング,その他の靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ボータイ,耳覆い,保温用マフ,サンバイザー,ボンネット,ベレー帽,その他の帽子,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,短靴,ブーツ,サンダル靴,スニーカー,木靴,ビーチシューズ,スリッパ,その他の履物,仮装用衣服,リストバンド,ヘッドバンド,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同18年6月9日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のすべてについて、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用事実について
被請求人は、本件商標は本審判請求の登録前3年以内に日本国内で指定商品について使用されていると述べるが、請求人は、上記を根拠付ける証拠を何ら受領していない。
商標法第50条第1項が定める商標登録の取消しの審判の趣旨は、被請求人も述べているように、一定期間使用をせず、保護すべき信用が発生しないか、又は発生した信用も消滅した商標の登録を取り消すことで、不使用商標に関する独占排他権を排除するとともに、真に商標の使用を希望する者の選択を確保することにあるところ、同審判を請求された商標権者は、その商標登録の取り消しを免れるためには、その審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、その請求に係る指定商品等のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しなければならない(商標法第50条第2項本文)。
被請求人は、登録商標の使用事実を追って答弁すると述べているが、使用事実の立証がない以上、本件審判の審理を終結し、本件商標の登録を取り消す審決を速やかに下すべきである。
(2)本件商標の不使用の正当理由について
ア 被請求人は、本件商標の不使用の根拠として、請求人から本件商標に対する情報提供、登録異議の申立て、登録無効審判の請求等の度重なる攻撃を受け、不確定な外部要素によって自らの商標使用が制限された点を指摘し、これが商標法第50条第2項但書(以下「但書」という。)に定める「正当な理由」(以下「正当理由」という。)にあたるとして、その理由を縷々述べている。しかしながら、被請求人の主張は、同項但書が定める正当理由の解釈を誤った独自の見解にすぎない。
すなわち、被請求人は、但書に定める正当理由について、「商標権者の責めに帰すことができない真にやむを得ないと認められる特別の事情が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうものと解されている」と述べている。請求人としては、かかる一般的解釈について異を唱えるところはないが、商標法上、特許庁の登録処分を巡って当事者間で争いが生じている登録商標について、その使用の制限を商標権者等に義務付ける旨の定めはなく、登録の有効性について争いがある商標であっても、当該商標に対して無効又は取消の処分が確定するまでの間は、商標権者等が登録商標をその指定商品等について使用することが妨げられるわけではない。したがって、商標の登録処分の適法性と当該登録商標の使用の可否は、全く無関係の別問題である。
イ 被請求人は、請求人が本件商標に対する登録異議の申立てや登録無効審判の請求等をしたことについて、かかる状況の下で「新規ブランドの立ち上げに必要とされている何十億もの費用を投じられるわけがない」とか、「それを使用した場合には、常に侵害の可能性に身を晒すこととなり、第三者との間で本件商標のライセンス契約を結ぶことも困難である」などと述べるが、被請求人は、登録異議の申立てや登録無効審判、ひいては無効審決に対する審決取消請求訴訟においても、終始一貫して本件商標の登録処分に瑕疵がないと主張しており(乙第2号証及び同第3号証)、本件商標の権利は有効であると確信し、主張していたのであって、そうであれば、特許庁における本件商標を巡る争いがその使用の妨げにならないと認識していたはずである。また、被請求人のような外国法人が、わが国で新規ブランドを立ち上げるに当たって、ビジネスパートナーを見つけなければならないという規定や商慣行がわが国にあるわけでなく、運よくビジネスパートナーが見つかれば、その販売ルートなどの協力を得られるから、わが国での事業展開がしやすくなるというにすぎない。
ウ 一方、被請求人は、「胡坐をかいて使用の努力を怠っていた訳ではない」として、請求人に対する平成20年(2008年)5月27日付ファクシミリによる書簡(乙第6号証)を提出している。
請求人が被請求人から上記の書簡を受け取ったのは事実であり、それ以前も、請求人は、わが国で共同して事業を展開することについて、再三にわたって被請求人からの申し出を受けているが、これに対して請求人は、両者の経営戦略、ブランドイメージや、製品の販売先、価格及び品質の相違等、諸般の理由により、遅くとも平成16年(2004年)3月5日に、被請求人の当時の代表者(アン・ブーン・チャン氏)を交えて行われた会議の席上で、被請求人と共同して事業をする意思がないことを明確に伝えている(甲第1号証)。すなわち、両者のビジネス交渉は早い段階で不調に終わっており、請求人としてはすでに決着済みの問題としてその旨を被請求人に明確に伝えているのであるから、被請求人の上記書簡は、いわば、請求人に対して送りつけられてきた一方的なものにすぎない。
エ とどのつまり、被請求人が述べる「特別な事情」とは、本件商標の商標権を取得することはできたものの、わが国で事業を展開するに当たってビジネスパートナーをうまく見つけることができなかったというものであり、その結果、事実上、被請求人において本件商標の使用を差し控えていたというにすぎない。しかし、被請求人が独自の経営判断によって本件商標を使用することができたことは誰の目にも明らかであるから、いわば、被請求人は、専ら事業展開上の都合ないし自らの意思によって本件商標の使用をしていなかったのにすぎない。このような状況下において、被請求人が登録商標の使用をしていないことについて、正当な理由があるとは到底いえない。
オ 過去の裁判において、商標法第50条第1項に定める商標登録取消審判の審決の認定及びその判断について争われた事案は多数存在し、但書が定める正当理由の有無について争われた事例も決して少なくないが、そうした中でも、知的財産高等裁判所の平成17年12月20日判決(平成17年(行ケ)第10095号、甲第2号証)及び東京高等裁判所の平成14年9月20日判決(平成14年(行ケ)第50号、甲第3号証)は、被請求人が主張する正当理由の是非を判断するに当たって、非常に示唆に富む判断をしている。すなわち、前者の知財高裁判決は、世界第3位の大規模フランチャイズピザチェーンである外国法人(商標権者)が、既に別の大規模ピザチェーンが日本市場に参入しており、自己のマスター・フランチャイジーとしてふさわしい日本企業の絶対数が少なく、その発掘ないし契約に至らなかったことを、登録商標の不使用についての正当理由として主張された事案であり、また、後者の東京高裁判決は、商標権者の内部において商標の使用準備を進めていたこと、及び当該商標から派生する商標の使用に係るルールを巡って原告・被告間で交渉が行われたにも関わらず、被告(審判請求人)が不使用取消審判を請求したことが信義に反することをもって、登録商標の使用ができなかった正当理由にあたると主張された事案であるところ、判決は、商標権者が独自の経営判断により登録商標をわが国において使用することは十分に可能であった(平成17年(行ケ)第10095号、甲第2号証)、単に準備が進められていたという事実のみからは正当理由を認めることはできない、商標権者は上記交渉の影響を考慮して商標の使用を差し控えていたにすぎない(平成14年(行ケ)第50号、甲第3号証)として、いずれも商標権者の主張を退ける判断をしている。商標法第50条第2項但書は、わが国商標法が定める登録主義(商標法第8条)の弊害を是正する商標法第50条第1項に定める不使用取消審判の例外規定であるから、その解釈及び適用は厳格でなければならないところ、上記の各判決は、これを示すほんの一例である。
カ 被請求人は、正当理由の例として、「地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由」を挙げているが、これに商標法第50条第1項の趣旨及び上記の判決における判断を加味して総じると、但書に定める正当理由とは、商標権者等の意思が入り込む余地のない客観的かつ不可避的な事情に基づく理由と解されるから、やろうと思えば本件商標を使用できたはずという状況の下で、被請求人は、あくまでも自らの判断で本件商標の使用をしなかったのであるから、被請求人の主張が、但書が定める正当理由に当たらないことは明らかである。
キ なお、被請求人は、本件商標を登録出願した当時、請求人に対して「日本における『CARTELO』商標の出願は、日本市場の進出を目的にしたものではない。一貫性のないラコステ社の主張を窺う為の出願」のように説明していたのであるから(甲第1号証)、被請求人は、そもそも本件商標を日本国内で使用する意思は最初から有していなかったのであり、現に使用した事実もない、とみるのが相当である。
また、被請求人は、「本件商標を付した被請求人のファッション商品は、日本以外のアジアにおいて大々的に展開されており、一定の名声を獲得している。」と主張しているが、日本以外のアジアにおいて被請求人によって使用されている「CARTELO」とワニ図形の組み合わせの商標は、本件商標と異なっており、本件商標が使用されている事実はアジアにおいても存在しないものと考えられる。すなわち、被請求人のウェブサイト(http://www.cartelo.com.cn/:甲第4号証ないし同第6号証)等を見る限り、被請求人がアジアで使用している商標は、本件商標と異なり、ワニ図形が白色に塗られており、ワニ図形の全体を極めて容易に認識することができ、図形とワニ図形の重なり部分において、白く塗られたワニ図形によりCARTELOの文字の一部等が隠れるような構成になっており、本件商標とは明らかに異なっている。
(3)結語
以上の次第により、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品のいずれについても本件商標の使用をしている事実を証明しておらず、また、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由がない。
よって、本件商標は、商標法第50条第2項本文の規定によってその登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求を棄却する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
1 本件商標の使用事実
本件商標は、本件審判請求の登録(平成22年9月13日)前3年以内に日本国内で商標権者により指定商品に属する商品について使用されている。答弁は追って追加する。
2 本件商標の不使用の正当理由について
仮に、商標権者による使用の事実が認められないとしても、本件商標を日本において使用していないことについては正当な理由がある。以下に詳細を述べる。
(1)本件商標は、シンガポールに拠点をおく被請求人が日本において正当に所有している登録商標である。
被請求人は、日本は登録主義であり、事業を立ち上げる前にまず商標登録を受ける必要があることを考慮して、本件商標の出願より前に日本での本件商標の使用を行わなかった。この事実は、被請求人が、通常の方策ではなく、日本の法律に沿った方策を採ったとして、好意的に解釈されるべきものである。
そして、本件商標は、平成13年9月25日に出願されて以来、請求人であるヤマトインターナショナル株式会社によって、刊行物等提出(乙第1号証)、異議申立(乙第2号証)、無効審判請求(乙第3号証)と、絶えず攻撃を受けてきた。その後の知財高裁で下された無効審決取消判決に対しては、最高裁判所に上告提起及び上告受理申立がなされていた(乙第4号証)。その理由は、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するというものであった。上告棄却・上告受理申立不受理の決定は、平成22年12月24日に下された(乙第5号証)。
上述のような状況下では、被請求人が新規ブランドの立ち上げに必要とされている何億円もの費用を投じられる筈がない。まして、それを使用した場合には、常に侵害の可能性に身を晒すこととなり、第三者との間で本件商標のライセンス契約を結ぶことも困難である。したがって、被請求人は、商標事件の専門官庁である特許庁において非類似の判断が確定するまで、すなわち、本件商標の登録に対する決定、審決に対する不服の手段が尽きるまでは、本件商標を使用できない状況に置かれた。
しかし、被請求人がそのような事情に胡座をかいて使用の努力を怠っていた訳ではない。被請求人は、日本におけるビジネスパートナーを求める活動を絶えず行っており、使用義務を果たすために所要の措置を講じている。乙第6号証は、かつてのビジネスパートナーであったヤマトインターナショナル株式会社、すなわち請求人自身に被請求人が積極的に歩み寄り、本件商標が登録されたなら一緒にビジネスをやっていく旨の提案をした書簡である。これは、請求人と契約を結ぶために被請求人が尽力したことの何よりの証左である。一方、被請求人がこのような状況にあるのを知りながら、本件審判を請求した請求人には信義の欠如を感ぜずにはいられない。
上記提案が請求人によって断られた後でも、被請求人は、他社に対して本件商標に係るライセンスビジネスの勧誘を続け、本件商標に関する事業を立ち上げる努力を惜しまなかった。
乙第8号証は、被請求人が、2009年8月に株式会社丸巳繊維に対し、本件商標に係るライセンスビジネスを勧誘する目的で送った書簡である。しかし、株式会社丸巳繊維は、請求人との間に長く取引関係があることを理由に被請求人との契約の締結を拒否した。これは、請求人の存在により被請求人の日本での本件商標の使用が阻止されたケースの一例である。このように、被請求人は、日本におけるビジネスパートナーを求める活動を行っており、使用義務を果たすために所要の措置を講じている。
被請求人がこれほどまでに本件商標に固執するのには訳があった。本件商標を付した被請求人のファッション商品は、日本以外のアジアにおいて大々的に展開されており、一定の名声を獲得している。このような本件商標に被請求人は思い入れがあり、日本でもマーケットを確保したいと考えていた。しかし、前述のように、使用すれば侵害可能性に晒されるリスクを承知で契約を締結するビジネスパートナーは見つからない。
(2)一般に、商標法第50条第2項所定の正当な理由があることとは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等、商標権者等の責めに帰すことができない真にやむを得ないと認められる特別の事情が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうものと解されている。
そうすると、被請求人が不使用についての正当理由として挙げている前記理由は、被請求人が自らの自由な意思に基づく選択によって使用しないというよりは、自己の商標の登録性が争われている最中に当該商標を使用すれば侵害の責めに晒される危機的な状況は、被請求人の内部事情に属するものというべきではないから、上述の商標権者等の責めに帰すことができない真にやむを得ない特別の事情と認められて然るべきである。そして、請求人による情報提供、異議申立、無効審判の提起は、被請求人の責めに帰すものではないことは言うまでもない。
(3)付言すれば、第50条の立法趣旨は、「商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないかあるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考え、他方、そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、請求をまってこのような商標登録を取り消そうというのである。」と解されている(「工業所有権法逐条解説」第16版1209頁:乙第7号証)。
しかし、本件のように、その登録性について争われている商標の場合、権利の安定性は最優先事項である。他方、現時点においては、本件商標に排他独占的な権利を与えて国民一般の利益を不当に侵害することも、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることもない。むしろ、一定の商標を使用した商品又はサービスは一定の出所から提供されるという取引秩序を維持する商標法の目的に照らすと(「工業所有権法逐条解説」第16版1037?1038頁:乙第7号証)、先行商標との混同について争われている商標は、その間は使用を控えて、需要者の利益を確保するのが相当と解すべきである。よって、被請求人主張の上記理由は、不使用の正当理由として認められて然るべきである。
(4)以上のように、本件商標の不使用の事実が存在するとすれば、それは、請求人からの度重なる情報提供、異議申立、無効審判提起という不確定な外部要素によって、被請求人自らの商標使用が制限されたことに基づくものである。
3 本件審判請求が棄却されるべき理由
以上を総合的に判断すれば、本件商標の登録が商標法上取り消されなければならないとする理由は見あたらない。
叙上に徴し、本件審判の請求は、棄却されるべきである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用事実について
被請求人は、本件商標は商標権者により指定商品について使用されていると主張するも、その使用事実については追って答弁すると述べるに止まり、何ら使用事実を立証する証拠を提出していないので、本件商標は本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について使用されていないものといわざるを得ない。
なお、請求人提出に係る甲第1号証によれば、被請求人は、請求人に対し、本件商標の登録出願は日本市場への進出を目的としたものでない旨回答しており、本件商標については元々日本国内で使用する意思を有していなかったことが窺える。
2 本件商標の不使用の正当理由について
被請求人は本件商標を使用していないことには正当な理由がある旨主張しているので、本件商標の不使用につき、被請求人には正当な理由があるか否かについて、以下に検討する。
(1)商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消審判が請求された場合には、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって当該登録商標が請求に係る指定商品のいずれかについて使用されていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品に係る商標登録は取消を免れないが、その使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、当該商標登録は取り消されないことは、同法第50条第2項の規定から明らかである。
ところで、ここでいう「正当な理由があること」とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰すことができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品について使用することができなかった場合をいうと解するのが相当である(知的財産高裁平成19年(行ケ)第10227号、平成19年11月29日判決参照)。
(2)これを本件についてみるに、被請求人は、本件商標を使用することができなかった理由として、ア 本件商標については、その登録出願以来、請求人から刊行物等提出、異議申立て、無効審判請求、審決取消訴訟と絶えず攻撃を受けてきたこと、イ かかる状況下では新規ブランドの立ち上げに必要とされる何億円もの費用を投じられるはずがないこと、ウ 本件商標を使用すれば侵害の可能性に晒されるリスクを承知で契約を締結するビジネスパートナーが見つからないこと、などを挙げている。
しかしながら、被請求人の挙げる理由は、いずれも自己の経営戦略により又は専ら自己の事業展開上の都合により、自己の意思で本件商標を使用していなかったというものであり、被請求人の責めに帰することのできない事由に基づく、「正当な理由」には到底当たらないというべきであり、あくまでも被請求人の内部事情に属するものである。すなわち、たとえ、商標登録の有効性について争いがあったとしても、当該商標について無効又は取消の処分が確定するまでは、当該商標の使用が制限されたり禁止される訳ではなく、被請求人自らの判断により使用することが可能である。また、被請求人のような外国法人が我が国で新規ブランドを立ち上げる際には、ビジネスパートナーの存在を必須とするというような法令上の規定は見当たらないし、被請求人がビジネスパートナーを求めることは、専ら事業展開上ないし経営戦略上の自己都合にすぎない。
その他、被請求人は、商標法第50条の立法趣旨や商標法の目的という観点から本件商標の不使用につき正当な理由があることを縷々述べるが、いずれも被請求人独自の見解であって、採用することはできない。
(3)以上によれば、本件商標がその指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていないことについて、正当な理由があるものと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件商標がその指定商品について使用されていることを証明していないし、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしたものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(色彩は原本を参照されたい。)



審理終結日 2011-06-13 
結審通知日 2011-06-15 
審決日 2011-06-28 
出願番号 商願2001-86504(T2001-86504) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 千里 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2006-06-09 
登録番号 商標登録第4959859号(T4959859) 
商標の称呼 カーテロ、カルテロ 
代理人 佐々木 美紀 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 阪田 至彦 
代理人 鮫島 睦 
代理人 廣中 健 
代理人 田中 光雄 
代理人 勝見 元博 
代理人 田中 克郎 
代理人 中村 勝彦 
代理人 寺田 花子 
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